あっても途中で終わってて不完全燃焼なのです。
つまり自分で書くしかない!
なんて無謀な思いで書いてみました。
ちゃんと終わるかは妄想次第ですが、頑張ります
私、綾瀬夕映は麻帆良学園を卒業し、留学するためにメガロメセンブリアより飛行鯨に乗ってアリアドネーに向かっているです。のんびりとした小旅行といった状況で、乗り込んでからかれこれ半日が経過したです。
アリアドネーまでもう2日程かかる予定で、娯楽の少ない飛行鯨の中では日本から持ってきた本を読んで暇をつぶすくらいしかやることがありません。
「やはり、ケチケチせずに高速艇をチャーターすべきでした」
これから最低3年はこちらに居る事になるので、出来るだけ無駄遣いは避けようと安い旅客飛行鯨を選んだのが間違いでした。安いせいか娯楽施設に乏しいこの飛行鯨では、1日をつぶすのにも苦労するです。ぶっちゃけ暇なのです。
亜空間倉庫には日本から持ってきた本が大量に入っているのであと2日くらいどうと言うこともありませんが、さすがにそれもどうかと思うです。
まぁ、電車で言うなれば各駅停車の普通電車であるこの飛行鯨で世界を半周しようとしている自分が悪いので暇なのは我慢するしかないですが。
個室を取ってはいますがそれほど広い訳でもなく身体を動かすには向きません。このあたりはジャングル地帯なので、地球では見られない広大なジャングルを見ているのも良いのですが、それも何時間と続けばやはり飽きてくるです。麻帆良に居る間は、何時間でも読んでいたいと思っていましたが、実際にそれが実行出来る状態になると今まで以上に読もうと言う気が起きないという謎の現象に襲われます。
「少し、外の空気を吸ってきますか」
パタンと読んでいた本を閉じ、亜空間倉庫に放り込んでから部屋を出ます。この亜空間倉庫、いろいろな物が入る上に、瞬時に取り出せるのでものすごく便利です。魔法使い達が武器や道具などを取り出したりするときに使う魔法で、容量は技量次第。小さい物は指輪などから、大きい物では身の丈以上はある大剣などをしまっておけるです。なので、私は持ち運ぶ必要のないトランク代わりに使っています。魔法・・・便利です。
アリアドネー騎士団で候補生として訓練をしていた時は剣や動甲冑を入れていただけでしたが、日本に帰ってからはその便利さ故に自分の持ち物の大半を放り込んでしまいました。何せキーワードを唱えるだけで瞬時に取り出せるのです。ほしい物が見あたらず、部屋中を探し回る必要が無いとはこれだけで魔法使いになった甲斐があったと言う物です。
いえ、魔法使いになったのはあくまでネギ先生の力になりたかったからなのですが、まぁ、うれしい誤算という奴ですね。
そんな事を考えながら甲板に出て景色を眺めつつ空気を吸っていると、ぬいぐるみを抱えた小さな女の子が走ってきたです。
あのくらいの子供は移動の大半を走って行うですが、どうしてなのでしょう?自分の小さい頃の事を思い出しても、必要のない所で走っている記憶があるですが、何故走ったのか理由は思い出せません。多分、特に意味はないのでしょう。もしくは大人のスピードに合わせようとした結果なのかもしれません。ですがそういう場合大抵・・・
「ひゃあっ」ドテッ
転ぶです。頭の重さと身体のバランスが悪いので子供は転びやすいのです。身体が柔らかいので、よほど変なところで転ばない限り大怪我することはないので大丈夫ですが。
「ふぇぇ……」
むぅ。さすがに目の前で泣かれるのは困るですね。
「大丈夫ですか?」
私は泣いている子供を起こすとさっと治癒呪文を唱えます。騎士団で教わった治癒呪文なら私程度の魔力でも大怪我を直せるですし、軽い擦り傷程度、数秒で直ります。
「もう痛くないですか?」
そう確認しながら、ハンカチで涙を拭いてあげるです。
「うん!お姉ちゃんありがとう!」
「どういたしまして」
にっこり笑うその子を見て私も笑みがこぼれます。去年までと違い表情がわかりやすくなったとハルナは言っていましたが、それほど変わったのでしょうか?自分としてはあまり実感はないですが、あれだけいろいろあればいくら私でも変わりはするのですね。
「今度は転ばないようにするですよ?」
「うんっ!」
そういって手を振りながらその子はまた走って行きました。また転ばなければいいのですが……
「魔法を知り、魔法使いとなって早一年。私も魔法使いっぽくなってきたですね」
先ほどのごくごく自然な魔法の使用。ほぼ意識せずに行った奇跡は一年前では考えられない事でした。
本の中でしか存在しなかったそれらを今自分がごく当たり前に使っている事実は感慨深いものがあるです。
「たった一年でこれほどいろいろあったです。これからの3年で一体何があるのか……
今からとても楽しみですね」
平和だが退屈な日常から、刺激的だが危険な非日常へと踏み出した自分の選択はきっと間違っては居なかったです。
少なくともそうしていなければ、コレット達に会えていなかったわけですし。これからも沢山の出会いがあるでしょう。お爺様が亡くなり色あせて見えた世界が、のどかのおかげで色づき、ネギ先生のおかげで大きく広がり、コレット達のおかげで目標が出来た。次の出会いは、私に何をくれるのでしょうか。いえ、違うですね。もらってばっかりでは悪いです。次の出会いでは、私が何かをあげられる。そんな出会いにしたいものです。
「そのためにはもっと勉強する必要があるですね」
もっと勉強………こんな事を考えるのも、この一年で変わった所ですね。
一年前はとにかく勉強が嫌いでしたし。
やっても意味がないとまで思ってたです。それが今や学校の成績で上位に入る程になるとは。ネギ先生がきた当初は想いもしなかったです。今の私を見たらお爺様も喜んでくれるでしょう。
これから先、私はもっともっと成長するです。なのでお爺様、どうか見守っていて下さい。
夕方になり、うっすらと見え始めた2つの月を見ながらこれまでの事、そしてこれからの事に思いをはせるです。
夕食を戴いていると、なにやら船員があわただしく走って行きました。
「何かあったのでしょうか?」
アリアドネー騎士団で訓練をしていた時には有事の際、ケーキを食べていたら委員長にすごい剣幕で怒られたですし、なにやら気になります。今の私は装備を特別に所持したままですが騎士団を除隊してるです。つまりタダの一般人。なので、何か起こったとしても私が動かなければいけない理由は無いのですが、これから留学し、もう一度アリアドネー騎士団に入ろうとしているのに、何もしないと言う訳にはいきません。
残っていた夕食を詰め込み、船員が走っていった方向へ向かおうとしたとき、大きく地面、もとい、飛行鯨が揺れたです。突風などが吹いた時揺れることはあるですが、今の揺れ方は風にあおられての揺れ方ではなかったです。私は船員を追わず、そのまま甲板まで走りました。自身で直接確認した方が早いですからね。
甲板に出た私の上を、大きな黒い影が横切りました。
「あれは………っ黒竜!?」
黒い巨体をその大きな翼を使い舞い上がらせ、飛行鯨の周りを飛び回っています。数は5体。通常黒竜は群れたりはしないはず。一体何故……?
周りを飛んでいた1体が飛行鯨に体当たりを仕掛けてきました。大きく飛行鯨が揺れ、私は思わず転んでしまったです。
体当たりをされた所を見れば、たった一回で大きくひしゃげた船体が見えるです。
「先ほどの船員はこれを知らせに?」
ほどなく、飛行鯨に搭載されていた威嚇用の大砲が撃ち出されますが、そもそも威嚇用なので威力それほどなく、竜種でも最強と言われる黒竜です。全く意に介さずまた体当たりを仕掛けてきました。
ドォオオオオオォン!
先ほどより大きな音がして船尾、鯨の尻尾の部分が壊されました。
「このままでは撃墜されるです!」
私はすぐさま剣を装備し、騎士団の機動箒に跨り飛び出したです。どうして黒竜が飛行鯨を攻撃しているのかは不明ですが、このまま落とされてしまえば多数の怪我人、そして死者が出る可能性があるです。
それを見過ごすというのは、マギステルマギを目指す者として、そしてネギ・スプリングフィールドのミニステルマギとして許されないものです!
今にも飛行鯨に体当たりをしようとしていた黒竜に
左頭部に命中し、そのおかげでこちらを敵と認識したようです。
「さぁ黒トカゲ!私が相手です!!」
相手より小回りが効く事を利用し黒竜の背中に回り込みます。真正面から戦うのはいくら何でも無謀というものです。たとえ忙しいネギ先生の替わりにとエヴァンジェリンさんがこの半年稽古を付けてくれたとはいえ、一般魔法使いレベルでしか無い私がそうそう勝てる相手ではないです。
私は黒竜の背中に手を叩き付け、ネギ先生お得意の桜華崩拳を繰り出します。いえ、拳ではなく手のひらなので桜華崩掌でしょうか?
「まず一匹!」
1体が命中の勢いに押され落ちていくのを確認しながら、次の相手を見定めます。1体が落とされた事で他の黒竜も私に向かってきているです。このまま飛行鯨から引き離してしまえば、とりあえず撃墜される事も無くなるです。
「このまま黒竜を引き離します!その間に全速でこの空域から離脱してください!!」
甲板に出てきた船員の方にそう指示を出し、私に食いつこうと近づいてきた1体の牙をすれすれで避けながら、飛行鯨の航路と直角になるようにおびき寄せます。連続で攻撃を仕掛けながら森へと降り、木々を盾にしながらさらに距離をとっていくです。
「……うまい具合に黒竜達を引きはがせたですね」
自分を追ってくる黒竜は全部で5体。先ほど落としたものも、もう復活して追ってきているです。
「かなりヤバイ状況のはずですが、それほど怖くはないですね。
きっと、トカゲなんかよりよっぽど怖い相手と訓練していたおかげなのでしょう」
5つの巨体に追いかけられるより、自分と変わらない背丈の女王の高笑いの方がよっぽど怖いです。
こんな感覚を持った事は運がいいのか悪いのか。少なくとも、こういう状況でパニックにならないようになった事だけは感謝ですね。
「そうそう何度もやりたくはないですがっ!!」
私に食らいつこうとする黒竜を避け、その角目掛け
「 ガァッ!!?」
さすがに一撃で折ることは出来ませんでしたが、ヒビを入れ怯ませるとこは出来たです。
このままある程度引き付けてから一気に離脱します。もうかなりの距離を飛んできたですし、飛行鯨も十分逃げられたはずです。
このまま加速して一気に引きはがしたのち、
「ガァアアアォン!!」
バキバキバキドシャァンッ!!
「きゃっ!」
真上から突進してきた黒竜の尻尾に私は盛大に吹き飛ばされたです。障壁の御陰で致命傷には至りませんでしたが、勢いのまま大木に叩き付けられました。
「ぐ、くぅぅ……っ」
かなり痛いですが立ち止まっていてはその先は死が待っているです。痛みでふるえる身体に鞭打って、もう一度飛び立ちます。しかし、今の一瞬で引き離した黒竜達にも追いつかれてしまいました。もう一度引き離して
「少し……慢心してたですね。
くっ………エヴァンジェリンさんの修行をクリアしてきたからと調子に乗った結果がこれです」
エヴァンジェリンさん相手に10分なんとか持ち、これくらいなら十分やっていけると太鼓判をもらったからと調子に乗っていました。
「くっ」
木々を避けながらかみついてくる黒竜を避けどうにか引き離そうとしますが、同時に何体もかかってこられると魔法を撃つのも難しくなってくるです。
「しまっ!!」
黒竜に気を取られすぎたせいか、張り出した枝に気づかず衝突してしまいました。
ズザァアアアアッ!
「いたたっ!」
盛大に地面に転げ落ち、10メートルほど滑って止まりました。
ズンッ!
「ぐるるるるるるるるぅっ!」
どうにか立ち上がった所に黒竜が立ちはだかります。こうして地面に立って見上げると、いつぞやの図書館島でのことを思い出します。あのときは茶々丸さんの御陰で事なきを得ましたが、今回ばかりは助けは無しです。剣も箒も手元にありますが、飛び立つ暇はくれないでしょう。そのままガブリとやられるのがオチです。
「………絶体絶命と言ったとこですね」
のんびりとした退屈な小旅行から一変、大変なスペクタクルに変わるとは……
「これだから非日常は楽しいです」
こんな命の危機を前にしているのにおかしな事ですが、どうにも楽しくなってきたです。
きっとランナーズハイというか、そんな感じの心理状態なのでしょう。
魔力も残りわずかですが、これでも
「でわ、やりますかっ!!」
魔力で身体強化をし、瞬動で一気に距離を詰めます。虚をつかれ驚く黒竜の角に、
バキキィィィンッ!!
「グルアァァァンッ!!?」
角が折れ、その衝撃で気絶してくれました。ゼロ距離で打ち込めば、私程度の魔法でもどうにか折ることが出来るです。
「もっとも、何度もやられてくれるほど甘い相手では無いですがね」
1体がやられた事で、更に気が立った3体が一気に飛びかかってきたです。巨体同士がぶつかって出来たわずかな隙間に身体をねじ込む様にしてどうにか初手を避けました。
残った1体に牽制の魔法を放ち、急いで距離を取るです。残り少ない魔力で、あと4体を倒すのは無理。ならば取るべき手段はただ一つ。この一瞬の隙を使って!
「逃げるのみ!
「な!なんです、これはっ!?」
答えが返ってくるはずもないですが、言わずには居られません。
「ぐるるるるっ!?」
黒竜達もこの突然の突風に戸惑っているのか、離した距離をそのままに様子をうかがってるです。
「ど、どうにか脱出を……!」
ずるずると魔力渦の方へと引きずられながら[扉]の呪文を唱えるです。吸い込まれたらどうなるか等、興味はあれど、試したくはないです。
「くっ! こ、これはっ……!」
魔力渦の吸引力がさらに上がって、私はとうとう踏ん張れなくなってしまいました。
「ひゃぁああああああああっ!!」
思わず悲鳴を上げながら、私は魔力渦に吸い込まれていったです。吸い込まれた瞬間、視界ま真っ暗になると同時に私は意識をなくしました。
「んっ、うぅ?」
顔に当たる日の光で私は目を覚ましたです。
少しひんやりして爽やかな空気がとても心地よいです。
ある意味、理想の目覚めですね。森の中で地面に寝ているなんて状態でなければ、ですが・・・
「一体どうしたのでしょう……? 黒トカゲも居ないです」
周りを見渡しても、私を取り囲んでいた黒竜達が見あたりません。そもそも黒竜に囲まれてた場所とは全く違う景色をしてるです。あのとき出現した魔力渦。アレに吸い込まれた所までは覚えてるですが、何故こんな場所に……?
「吸い込まれた先、と言うことですかね」
つまり、アレは天然の
今の魔法世界は明日菜さんが管理しているので以前よりも安定してるそうですが、それでもまだあのときの影響が残っているのでしょうか?
いえ、それでしたら森の中ではなく、空気もない荒野に投げ出されていたはず。やはり別口?しかし、それにしても………
「とりあえず、移動ですね。どこか人里に出て飛行鯨がどうなったか等を調べませんと」
ついでに行方不明扱いされているであろう私の事も知らせなければ。そのまま放って置いたら委員長達が騒ぎ出すかもしれません。迎えに行ってみれば来るはずの飛行鯨は来ず、調べてみれば私が行方不明。まぁ、長いお説教は必至ですね。
「森を歩くより、空を行った方が早いですね」 [装箒!]
機動箒に跨り空に飛び出すです。半年前の夏休みまでは、自分で空を飛べるとは夢にも思ってなかったですが、今や歩く、走る、と同じ感覚で出来るようになったです。人間進歩するのですね。
「さて、飛んだはいいですが、町はどちらでしょう?」
木の上まで飛んできましたが、見渡す限りの森です。地平線の向こうまで森では現在地がまったく解らないです。
「もう少し上に上がって、地図と合わせてみますか」
魔法世界の地図を空中に映し出しながら、更に100mほど上昇します。
川の流れや山の形を見ながら、地図と重なる場所を探すです。
緩やかにカーブする川や、遠くに見える高い山など、目印になるものが多い地形ですが、一向に該当する地域がないです。あの[扉]に吸い込まれたせいで、メガロメセンブリアからの航路からかなりはずれた位置に居ると見て間違いはないのですが、地図全体を見ても近い地形がないです。
「おかしいですね。どこにも該当する地域がないです」
まさか、旧世界のどこかに出たですか? いえ、すべてを知っている訳ではないですが、それでもあんな高い山は地球のどこを探してもないはずです。それに……
「ギャアッ!ギャアッ!」
「よっと!」
突然飛びかかってきたワイバーンを素早くかわして
「ギャイィンッ!!」
しっかり命中したワイバーンはそのまま下に落ちていくです。まぁ、威力は低くしてありますし、しばらく気絶してるだけでしょう。下位とはいえ竜種です。この高さから落ちでも死にはしないでしょう。
ワイバーンが居ると言うことは、確実に旧世界ではありません。もし仮に居るとしても、こんなすぐに出てくるなら、まず真っ先にテレビで大騒ぎになったはずです。
認識阻害の魔法を使って隠蔽しているならわかりませんが。
「つまり、ここは魔法世界であるはずです。しかし……」
特徴的な地形に見渡す限りのジャングルです。地図でもそれなりの大きさで載るはずです。
それでも載っていないとはどういう……?
くぅぅ~~~ぅ
………一度下に降りて、食事にするです。昨日の夕方から食べていないわけですから、お腹が空くのも当然です。えぇ、恥ずかしくないです。誰も聞いてないわけですしっ!!
「と、とりあえず川辺に降りて食料を探すとしますか」
私はそんなことを呟きつつ川辺まで降りるです。割と澄んでいる川で、魚の影も見えるですし食糧には困らないでしょう。
川の中でかすかに揺れる魚に向かって
見事命中した魚は電撃によってしびれ、水面へと浮いてきてあとはそれを捕まえるだけです。
釣竿などを使わずとも魚をゲット出来るのはとても便利です。釣り好きの方などが見たらきっと激怒するでしょうが、サバイバルの基本は生き残ることである。そんな哲学をエヴァンジェリンさんのサバイバル訓練で叩き込まれましたからね。食糧調達で手段にこだわってはいられません。
雪山、砂漠、ジャングル、火山といろいろな環境に放り込まれ、1週間生き延びろなんて修行を何度もやらされましたからね。何かにこだわっていたら死んでるです。
人間、死にそうな時はプライドなどかけらも役に立たないです。必要なのはただ一つ。泥にまみれても生き抜こうとする根性のみなのです。
「というわけで魚はもういいですね。次は山菜でも探すですか」
死にかけまくった地獄のサバイバル訓練を思い出しつつ5匹の魚をゲットした私は、次に山菜を探すことにしました。栄養のバランスは大事なのです。極限状態じゃないときは極力バランスよく摂取しなければいざと言う時へんな病気になったりしかねないですからね。
「あの辺りにありそうですね」
ささっと周りを見渡し、以前楓さんに教わった山菜の見つけ方を実践して手早く集めていくです。
食べられる種類を探すのはアーティファクトを使えばすぐに見つかりますが、山菜が群生している所を探すのは無理ですからね。ジャングルでのサバイバル訓練を終わらせた後、探すのに手間取るという話をした所、楓さんにかなり詳しく教えてもらえました。さすがは忍者です。伊達に週末いつも山で修行してないです。
「さて、これくらいにして早く魚を焼くです。考え事しながらだったので、結構時間をくったです」
まったく知らない場所に飛ばされても、基本困らないとは素晴らしい訓練ですね。アリアドネーの軍事訓練にも取り入れるように言ってみるですか……。
いえ……死人が出たらまずいですね。
エヴァ式サバイバル訓練を実施して、アリアドネーの正規軍壊滅とかいう話になったら目も当てられないです。エヴァンジェリンさんの悪名がさらに増えることになるでしょう。
私がそんな馬鹿な事を考えつつ魚を置いておいた場所まで戻って行くと、そこには青い鱗を持った1匹のドラゴンがいたです。
「きゅい?」
何やらやたらとかわいく鳴いていますが、置いてあったはずの魚が1匹もいないのは何故ですか?その口をもぐもぐしてるのは何故ですか?
「けぷっ」
ドラゴンでもゲップするんですね………とか、どうでもいいです!喰いやがりましたね?この青トカゲ!!
とりあえず全力で青トカゲめがけて
「きゅい!?」
驚いた様子の青トカゲがその巨体に似合わずやたらと素早い動きで避けたです。なんと生意気な。
私はそんな生意気な青トカゲに更なる追い討ちをかけるべく詠唱を開始。身体強化し、一気に接近するです。
魔法を撃ちながら近づく私から、青トカゲはあわてて逃げていくです。しかし、私は逃がす気はありません。とっ捕まえて尻尾でも切り落とし、私の空腹を満たしてもらうです!
追いかけながら、魔法をばらまいて動きを限定させるです。その巨体の目の前に、右横に、壁になるよう
「きゅい?」
急に戸惑うような鳴き声を上げ、急停止したです!?
「へぶっ!?」
車は急には止まれません。高速で走っている人間もやっぱり急には止まれません。
私は急停止した青トカゲの背中にしたたか顔を打ち付け、その痛みに身悶えます。
「ぐぬぬ!いたたたた。 この青トカゲめ、急に止まるとはどういうつもりですか!」
追いかけて捕まえようとしてたことは棚に上げ、私は文句を言いつつその背を叩くです。
ペチペチとおとなしく叩かれている青トカゲですが、どうもこちらを気にしてもいないようです。
「無視するとはなんて生意気なトカゲですか。全力の
ペチペチ叩いていたその手を止め詠唱を始めようとした時、ふと青トカゲの目の前になにやら光る鏡のようなものが浮いているのが見えたです。
「私を無視して鏡で何してるですか? その前にトカゲに鏡が必要なのでしょうか?」
鏡を覗き込んで微動だにしない青トカゲ。6mほどの巨体のおかげで私も背に乗るのは苦労しないです。
ちょこちょこと青トカゲの首元まで行き、私もその不思議な鏡を見てみるです。鏡面が光っていてこちら側は映っていないですが、大きさは縦2m、横1mの楕円形をしてるです。地面から少し浮いている所を見ると魔法のアイテムか何かでしょうか?しかし、何故私から逃げている最中にいきなり鏡を見出したのでしょうか?
「きゅい………きゅい!」
何やらまた鳴き出し、鏡に向かって歩き出したです。すぐに鏡までたどり着いた青トカゲは、そのままさらに近づいていくです。
「そんなに近づくとぶつかるですよ?」
ペチペチと首元を叩きながら言いますが、気にせず鏡に顔を突っ込みます!?
「なっ!?鏡に!?」
そのままスルスルと鏡に吸い込まれていく青トカゲを見て、このままでは自分までも吸い込まれると思い、すぐさま飛び降りようとしましたが、それより早くその鏡が私ごと青トカゲを飲み込んだです。
「なっ!!」
一瞬で飲み込まれた私は、目の前が暗くなり、この短時間でまたしても気絶する羽目になったです。
頭の中をかき回されるような不快感を感じながら、私は意識をなくしました。
抜けるような青空をバックに、青い髪をした少女が身長より長い杖をかまえていた。
「使い魔召喚の儀」にて、自身の相棒となる使い魔を召喚した所だ。
涼しげな無表情でぼんやりと目の前に現れたドラゴンを眺めている。
「風竜じゃないか!」
「風竜を使い魔にするなんてすごいな!」
その少女の周りでは現れたドラゴンを見て騒いでいる。
「タバサ、早く契約しちゃいなさいよ」
ぼんやり眺めている少女に燃えるような赤い髪の少女が声をかけた。
タバサと呼ばれた青髪の少女はそちらをちらりと見てから、ドラゴンに向かって手を伸ばした。
ドラゴンは、周りで騒いでいる者たちに向かって口を開こうとしていたが、少女の手にこたえるように身を屈めた。少女がドラゴンにキスをして、使い魔の契約をなしたところで、
「ミス・タバサ。無事契約できたようですね」
禿げ上がった頭の男がそう言って近寄ってきた。
その言葉にタバサはうなずき歩き出そうとした時、
「ねぇ、タバサ?あなたのドラゴンの背中に誰か乗っているわよ?」
先ほど契約をせかした少女が声を上げた。
それを聞いて、禿頭の男とタバサはそろってドラゴンの背中を覗き込む。
「おや!本当だ。少女が乗っている!」
ドラゴンの背にうつ伏せになって乗っている少女を見て、禿男が声を上げた。
周りのものもそれに気づき覗き込む。
「まさかすでに使い魔になっている風竜をよんだのか?」
「まさか、そんなことあり得るわけないだろ?」
次々に自分たちの考えを口にし、一気にうるさくなる
「みんな静かに!まだ召喚の儀が済んでない者もいるのですよ!
では、次の人。召喚を行ってください」
禿男がそう言ってだまらせ、召喚の儀を続けさせる。
「ミス・タバサ。ルーンの確認をさせてもらいますよ?」
そういって許可を取ってからドラゴンの体を見渡す禿男。足の裏にあるルーンを見つけ、スケッチをした。
「ルーンは一つ。ミス・タバサ。使い魔とのつながりはちゃんと感じますか?」
そう言う禿男にタバサは少し首をかしげてからうなずき返した。
「ふむ。2重召喚というわけではないのですか。 だとしたら、召喚の時に偶然巻き込まれたということでしょうか?」
そういいながら考え込む禿男。タバサはそんな男を無視して、ドラゴンの背中にいる少女を見ていた。
肩口でそろえられた少し紫がかった髪に、学院の制服にも似た服を着ている。
そしてなぜか額が赤くなっているが、怪我などはしてないようだ。
よく見ると着ている服の仕立てはとても上等な物。貴族の子女なのだろうか。
そんなことを考えながら見ていると、先ほどの赤髪の少女がよってきて、
「この子、一体誰なのかしらねぇ?」
そんなことを言いながら、頬をつついたり、スカートをめくったりしていた。
「あら、見た目よりすごいの履いてるわね。ヒモが……いたっ!」
スカートの中を覗き込んでフムフム言っているその少女をタバサは杖で叩いてやめさせた。
「もう、叩くことないじゃない」
「失礼」
同性でもさすがにどうかと思われる行動だったが、赤髪の少女は気にしていないようだ。
「ミスタ・コルベール。彼女はどうすれば?」
タバサはいまだに何やら考え込んでいる禿男、コルベール教諭に少女の処遇を訪ねた。
「はっ!すまない。つい考え込んでしまった。 そうですな……目を覚まさないことには話も聞けれませんし、ミス・タバサは先に学院に戻り、彼女を救護室に運んでください」
声をかけられ思考の海より帰還したコルベール教諭はタバサにそう指示を出した。
召喚が終わったことだし、ここにそのままいても意味がないと判断したのだ。
「わかりました」
コルベールの指示にあっさりうなずき、タバサはスルリとドラゴンの背の乗った。そのままドラゴンで飛んで行こうというのだろう。
「まって、タバサ。私ものっけて」
そう言って赤髪の少女もよじ登ってきた。そばには大きく赤いトカゲが付き添っている。
そのトカゲを見て、そののち赤髪の少女を見つめる。どうやらそのトカゲの説明を求めているようが。
「いいでしょう?あなたの風竜にはかなわないけど、とっても立派なサラマンダーよ」
そう言ってサラマンダーに抱き着く少女。タバサはちらりとサラマンダーを見て、コクリとうなずく。
どうやらこの赤髪の少女が召喚した使い魔だと分かったようだ。
「あそこに見える建物に飛んで」
自分の召喚した青い鱗のドラゴンにそう指示をだし、タバサは本を開いた。
「………あなた、もう少しはしゃいだらどう?風竜なんてすごい使い魔を呼び出したのに、まったくいつもと変わらないなんて…………あら?」
めったに出ない風竜という当たりの使い魔を呼び出したというのに、いつもと変わらないタバサを見て小言を言う少女だが、タバサの持っている本を見てにやりと笑った。
その本のタイトルがいろいろな名称が乗っている「名前辞典」だったからである。
「喜んでないわけじゃなかったのね。さっそく名前を考えるなんて、むしろうれしいのかし……いたっ!」
ニヤイヤしつつそんなことを言う少女を杖で叩き、タバサ達を乗せたドラゴンは一路学院に向かっていった。
その頃先ほどまでいた草原では、ある少女がある少年を殴りつけていた。
白を基調とした清潔感のある部屋で私は目を覚ましたです。
白いベットに清潔なシーツ、保健室のような印象で棚には大小さまざまな瓶が並んでいるです。
窓の外には広い庭があり、手入れの行き届いた植木が森のように広がっているです。
「一体ここはどこなのでしょう?」
体を起こして部屋を見渡していますと、やたらと豪華なドアがノックされました。
「はい」
私が返事をすると静かにドアが開けられます。
入って来たのは少し頭が寂しい男性でした。身なりはしっかりしてますし、一体どういう人物なのでしょうか。とりあえずは情報収集です。
「ミス、御加減はいかがですかな?」
そう言いながら男性は私のいるベットまでやってきます。
「はい、どこも悪くないです。 あの、ここはどこなのですか?」
まず現在地を確認するです。
森の中に居た筈なのにいつの間にか保健室です、わけが分かりません。
確か食料泥棒な青トカゲを追いかけていて……
「ここはトリステイン魔法学院だよ」
「……トリステイン魔法学院、ですか?」
聞いた事ない学校です。まぁ、全ての魔法学校を知っている訳ではないので仕方ないですが。
「えぇ、トリステイン王国が誇る由緒正しい学院ですぞ」
さらに知らない国名が出て来ました。トリステイン王国ですか……そんな国、魔法世界にあったでしょうか?
頭の中で、魔法世界の地図を思い描きながらトリステインなる国を探しますが、やはり分からないです。
「あの、トリステインと言う国を私は知らないのですが、メガロメセンブリアからどちらの方向にあるですか?」
魔法世界の中心であるメガロを基準に位置を聞いてみるです。あの変な天然
「メガロメ・・・センブリア・・・ですか? それは一体何ですか?」
「本国のメガロメセンブリアですよ?この世界での中心的な国です。知らない筈はないのですが……」
「世界の中心ですと? 待ちなさい、世界の中心はここトリステイン、とまでは言わないが、それでもそのメガなんたらとやらではないはずですぞ?
一体何を言っているのかね?」
どう言う事ですか?メガロメセンブリアを知らない?
確かにいろいろと問題も多いメガロですが、それでも中心的な役割りを果たしている事は間違いないです。気に入らない国とは言え事実は事実。ほぼ全員が世界の中心はメガロと答えるです。それなのにこの言いよう・・・
もう少し聞いてみるですか。
「アリアドネーはわかるですか?世界でも有名な学術国家なのですが」
「学術国家ですと!? 何とも魅力的な響きの国ですな!
ふむ、しかしその国名もやはり知りませんな。一体どこに在るのですか?」
やはり知らないようですね。アリアドネーもメガロメセンブリアも知らないとは魔法世界の住人とは思えないです。とてつもない田舎で外の世界を知らないが故の反応なのでしょうか。しかし、いくら田舎でもメガロくらいは知っていないとおかしいです。まさか・・・いえ、可能性はあるです。あの魔力渦はかなり不自然でした。そして目が覚めたのは地図上に存在しない地形のジャングル。このことからある仮説が立てられるです。あり得ないとは思いますが、そもそもあり得ないと思っていた魔法があったのです。そう言う可能性がないとは言い切れません。あり得ない事なんてあり得ない。誰が言った言葉かは忘れましたが、まさにその通りだと思います。だが、このあり得ない仮説、裏付ける事は簡単です。あの人の事を聞けばいいだけです。あの人の事を知らないなど、魔法世界ではあり得ないのですから。
「あー、ミス? どうしました?そのメガロセブンブリアと言う国やアリアドナーと言う国を私は知らないのですが。ゲルマニアかガリアの方にある街の事だったりするのですかな?」
私が考え込んでいると頭の寂しい男性が何やら聞いてくるです。
「いえ、メガロメセンブリアとアリアドネーです。そしてどちらもそれなりの大きさを持つ一国家です」
「しかし、このハルケギニアにそのような国はありませぬぞ?」
「それなのですが、最後に一つ質問してもいいですか? それで結論が出るです」
ハルケギニア。これも知らない名称です。でわ、止めを刺して貰いましょう。
「結論? よく分かりませんが、いいでしょう。一体なんですか?」
「ネギ・スプリングフィールドと言う人物を知っていますか?」
魔法世界でネギ先生の事を知らない者は居ないです。世界を救った英雄ですし、その父親も世界的に英雄として知られているナギ・スプリングフィールドで、親子2代に渡る有名人です。
もし、この名前を知らないのならそれは………
「ネギ・・・スプリングフィールドですか。 聞いた事のない名前ですな。
一体どこの貴族ですかな? あまりトリステインでは聞かない家名ですが」
決定……ですね。ネギ先生を知らず、しかも貴族かと聞いてきたです。
何故貴族と思ったのかは分かりませんが、それほど間違ってないのも事実ですね。ネギ先生は失われたオスティアの最後の王子ですから、貴族ではなく王族なわけですが。
知らない振りをしてる様には見えないですし、する必要もありません。
つまりここは………
「いえ、ネギ先生は、ネギ・スプリングフィールドは私の居た国の英雄です。歴史上ではなく現在進行形での」
「ほほぅ、英雄ですか。ふぅむ………やはり聞いた事がないですなぁ」
「私もこの国名を知りませんでした。どうやら相当遠い所に来てしまったようですね」
どうやらいわゆる異世界といった所のようですね。
「私がここにくる前、先程言ったアリアドネーと言う国の魔法学校、正確にはその国の騎士団に入るために候補生が勉強する学校なのですが、そこに留学する為に飛行鯨、旅客船に乗っていたのです。
ですが、途中ドラゴンの群れに船が襲われ、そのままでは撃墜されてしまうと思い、私が迎撃に出て船から引き剥がすことにしたです。それなりに船から遠ざける事には成功したものの、私は船に戻る事が出来ませんでした。気が付けばそこは私の知る地図には無い地形をしたジャングルでした。一応のサバイバル訓練は積んでいたのでその事は問題ありませんでした。
しかし、せっかく集めた食糧を目を離した隙にドラゴンが全部食べてしまいまして。空腹のせいで苛立っていたもので少しムキになって追いかけていたら、光る不思議な鏡に吸い込まれて行くドラゴンに巻き込まれ次に目を覚ましたらここで寝ていました」
私はここで目を覚ますまでの事を大まかに話しました。あまり細かく話すのは大変ですし意味がないです。異世界から来たかも、と言う事は言わない事にしたです。
正直、異世界から来ましたーと言っても笑われるか頭の心配されるだけです。私なら病院に連れていきます。
「あの不思議な鏡によってここ、トリステイン魔法学院に来てしまったと考えられるです。ドラゴンを追い払うのに夢中で船の航路から大きく外れ、その時点で自分の居る場所も分からない状態でした。トリステインと言う国を私が知らないのも、私の勉強不足ではなく、私の居た所では存在して居なかった国名なので当然と言えるでしょう」
「ふむ、なるほど……。その光る鏡と言うのは恐らく[サモン・サーヴァント]の物でしょうな。君はある生徒の[サモン・サーヴァント]に巻き込まれたのです。
現に君はその生徒が呼び出した青い鱗を持つ風竜の背に乗っていたのですから」
「青い鱗。確かに私が追いかけていたドラゴンも青い鱗でした」
「うむ、間違いなさそうですな。そうなるとどこから来たのかはちょっと分かりませんな。先程君の言っていた国名は聞いた事もありませんでした。
これでも一応教師です。このハルケギニアの事は多少は知っているつもりです。それでも知らないと言う事は、交流の殆ど無いロバ・アル・カリイエから来たのかもしれませんな。[サモン・サーヴァント]はハルケギニアに居る幻獣を無作為に呼び出す物で、どこの誰をと指定して呼び出す物ではないのです。
なので、それが遠い所に居る幻獣でも呼び出されるのです。つまり………」
「つまり、私はかなり遠い距離を飛んだということですね」
「そういうことです。申し訳ない」
「いえ、これは仕方ないです。そちらが狙ってやったものではないのですから。
しかし、こちらではロバ・アル・カリイエと呼ばれているのですか」
「ここハルケギニアより東の方はエルフが住む砂漠地帯があり、その先にあるのがロバ・アル・カリイエです。あることは分かっているのですが、エルフの砂漠が邪魔をしてほとんど交流出来ない状態なのです。ごく一部の商人が行き来しているので、時折向こうの物が少量流通したりするのですが」
つまりここよりさらに東に国があるですか。しかし、そこが魔法世界という事はあり得ないですね。
魔法世界は火星を丸々使った異世界です。西と東で完全に別れているわけでは無いです。
「私は今まで自分の国からあまり出た事がなかったのでそのロバ・アル・カリイエと言う場所が私のいた所とは言えるかは分からないです」
「そうですな。使い魔召喚に巻き込まれたせいでもありますし、君、ここの責任者、学院長のオールド・オスマンに会って頂けますか?
これからの事を話合わなければならないですし」
学院長ですか。確かに一介の教師より扱える情報は多いかもしれないです。
ここが本当に異世界なら、私の生活基盤を確保しなければなりません。のどかのようにトレジャーハンターとして生活するのもいいですが、その手の遺跡があるかも分からないですし下手に荒らして追われる身になったら帰る方法を探すのも苦労しかねません。
それにこの世界の事を調べるなら学校というのは都合がいいです。
なにせ、それを教える所なのですから。図書室などがあるならば、そこを使わせて貰えば手間が大幅に減らせるです。
「学院長ですか。分かりました早速行くとしましょう」
私がそう言って立ち上がろうとした時、
くぅぅーーーぅ
私のお腹が盛大に音を立てたです!
何という失態。思わず俯いてしまいます。きっと顔はとんでもなく赤くなっているでしょう。
「そういえばもう夕食時でしたな。ミスは先程の話からして、もう丸一日何も食べてないことになりますし、仕方ない事ですぞ」
頭の寂しいこの男性は、必死にフォローしてくれますが、余計恥ずかしいです。
「すみませんです」
「いや、謝る必要はないですぞ!? そ、そうだ!今から厨房に行って何か作ってもらって来ましょう!今からでは賄いのような物しか出来ないでしょうから、そこは容赦願いたいですが」
「いえ、用意してもらうのに文句などありません。ご迷惑でなかったら、お願い出来ますでしょうか?」
私は赤い顔を隠しながら夕食の準備をお願いするです。
くぅ!何という失態!それもこれも、あの食意地の張った青トカゲのせいです!
今度見かけたら全力の[雷の暴風]をお見舞いしてやるです!!
「では、私は厨房へ行ってきますぞ。君はここで待っていて下さい。出来上がったらメイドに持ってくるよう言っておきますので」
「何から何まですみませんです」
「構いませんよ。では、私はこれで」
「はいです。ありがとうございました」
彼はそういうとドアを開けて、
「そうだ、ミス。まだ自己紹介をしていませんでしたな。 私はジャン・コルベールと申します。よろしければお名前を伺っても?」
そう言われて未だに名乗っていない事に気づきました。これは何という失態!こんなに続けて失敗するとは、猛省せねば。
「し、失礼したです!私はユエ。ユエ・ファランドールと言います。どうぞよろしくです!」
私は数々の失態に顔を赤くしながら、ベットの上で勢いよく頭を下げたです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
勢いで妄想を頼りに投稿しました。
正直いろいろ見切り発車なので、この先どうなるか自分でも解りません。
でも、どうにかして終りまで行けたらと思いますので、どうかよろしくお願いします。
ちょろっと修正しました。えぇ、エルフってば森じゃなく砂漠に住んでるんでした。
エルフなのにね。