原作と違いすぎてどうすればいいのかわからない   作:七黒八白

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前回のあらすじ

 オウル「裸見て 焦ってもいいじゃないのか 中一だもの by オウル」

 前回の話でコメント欄でかなり批判が来ました、返信しようかと思いましたが複数人から来ていた事と話の展開にも関わるのでこの場を借りる事にしました。
まず初めに前回の話で不快に思った方、誠に申し訳ありません。これは完全に作者のさじ加減が下手なために起こった事です。弁解の余地がありません。
主人公の事を掘り下げようかな、と思い。きっかけを作ろうとしたまでは良かったのですが必要以上に暴力的な描写になりました事を謝罪します。原作ヒロインのイメージ崩壊になったこと、深くお詫び申し上げます。



第十九話 頑なに 心固く

「いやー、それにしても最近バイオレンスな事ばっかり続いてる気がするな、もう女子の修羅めいた笑顔も見慣れてきた気がする」

 

 後ろの方でいつもの黒コートと剣を携えてる白髪の剣士、オウル君が自分の扱われ方に呟いている、修羅めいた笑顔って何?

 

「ていうかさ、見て見ぬふりは酷くないか?アスナさんよ」

 

「あのね・・・・入浴中に急に隣でSMプレイを始められた私の身にもなってよ・・・」

 

 考えてみても欲しい、自分が銭湯に行ったとしよう。

 例え相手が子供であっても急にかなり本格的なSMプレイを始めだしたら声を掛けられるだろうか?誰だって触らぬ神に祟りなしと無視するだろう、誰だってそうする、私もそうする。

 

「・・・・うん、だな。悪かった、仮想世界だからって色々デリカシー的な物が欠けていた」

 

「まぁ、溺死寸前までいってたのに無視してた私も悪かったけど・・・」

 

「ここじゃHPバーがゼロにならなかったら、息苦しさは感じても溺死はしないけどな」

 

「そうなの?」

 

「あぁ、圏内ならほぼ半永久的に潜水できるぞ、コードが働いてる限りは絶対HPバーがゼロにならないから」

 

 知らなかった・・・・果たしてその知識が役に立つかはどうかは別として。というか試したことがあるのだろうか?圏内での潜水?噴水位しか水があるところ無いけど?

 

「デスゲームでもやっぱゲームの世界だからな、その辺のシステムは理解しとかないと後で痛い目見るぞ?ここじゃ手足が取れてもポーション飲んでしばらくしたら生えてくるし」

 

「・・・・・・言われてみたら凄いよね」

 

 オウルの横でフィリアが手をまじまじ見ながら呟く、言われてみれば確かに・・・・・・今の私達はイモリの様に手足が取れても周りに敵が居なければ大したことでは無いのだ、しょせんこの体はアバターなのだから。

 

「何年ここに居ることになるのか分からないけど、現実に帰った時の乖離感とかどうなるんだろ・・・・」

 

「先の事はあんま考えんな、今が大切よ?『今でしょ!』って塾の先生もよく言ってたろ?」

 

「古い古い、ネタが古いよオウル」

 

 物まねをしながらいつも通りにおちょけるオウル君にフィリアがツッコむ。いつもは私が知らないネタなので反応しずらいが流石にこれは知ってる、でも古い、圧倒的に古い。

 

「それよりも・・・・前の方でキズメルと何か話してるシノンの事だが・・・」

 

「そればっかりはオウル自身で何とかしないと」

 

「そりゃあ~ないぜ~?フィ~リア~ちゃ~ん」

 

 何処の怪盗の子孫だ、あと物まねのクオリティが妙に高い。

 

「いやまあね?俺もキズメルの事ガン見してたのは女子的にアウトだとは思うよ?そもそも混浴自体避けるべきだったとも思うよ?でも何故にあそこまで怒ってんの?」

 

「・・・・黒パレオ、似合ってるとか一言でも言った?」

 

「・・・・それが原因なの?」

 

「・・・・さあ?」

 

「お前も分からないんかい」

 

 フィリアと相談してるが・・・・・・彼には難しいのかも知れない、乙女心は。

 

「まずそもそも女子とも会話経験がそこまであるわけじゃないしなぁ・・・・」

 

「そうなの?オウル結構軟派な感じに見えたけど」

 

「おいおい、自慢じゃないが人の心が分からないことに関しちゃ右に出る者はいない、生粋のボッチだぜ俺は?」

 

「本当に自慢にならないね・・・・・」

 

「言いながら悲しくなった・・・・・」

 

 何故かフィリアまでがお通夜の様などんよりした空気に巻き込まれている。

 ユウキちゃんとはリアルでも知り合いだった様だがリアルの彼はどんな人柄なのだろう?住んでる場所、年齢、趣味、今までの人生どうやって生きてきたのか・・・・・・・・・・・。

 

「・・・・・・私、変わったのかしら・・・・」

 

「ん?ごめん、聞こえなかった、何て言った?」

 

「何でも、行きましょう。城主に会うんでしょ?」

 

 一層の迷宮区で助けてくれたとはいえ何故そんな事を考えるのか?ボス戦の後も何故か追いかけようかと考えた。私と彼はこのデスゲームを効率よく攻略するだけの中のはず。

 

 必要ない、そんな情報は。

 

 知らなくていい、彼の自信の事なんて。

 

 思考をそこで打ち切るように早歩きで前を歩くキズメルの隣へ行く。

 

 

 

 キズメルに連れてこられたのは城の五階の執務室だった、廊下の絨毯よりも毛足が長いため少し躓きそうになった。窓は全てカーテンで閉ざされているので不自然な暗さが部屋を包んでいる。嫌な感じこそしないものの圧迫感や威圧感の様な物を感じるのは気のせいだろうか・・・・。

 

「城主ヨフィリス閣下、執務中失礼いたします。急ぎ報告することを先の人族の剣士から聞き、まかりこしました」

 

「・・・・・・・ここに人族を連れてくるということは信に置ける者なのですね?騎士キズメル?」

 

 磨き上げられた黒壇製の重厚なデスクの向こう側から声が返ってくる、抑揚のない声だった、男女の区別もつかない。

 

「はい、第一の秘鍵の功に成した者たちです。腕もたちます」

 

「・・・ふむ、それならば湖の魚の餌にするわけにはいきませんね」

 

 少し笑いを含んだ声でヨフィリス閣下は言う、ボス部屋を連想させる圧迫感に包まれたこの場所で、自分たちより格上のキズメルより強いであろう城主にそんな事を言われると思わず肩に力が入る。

 それを見透かしたようにランプの灯りが不自然に揺れ、ヨフィリス閣下も怪しく微笑んだ、気がした______________

 

 

「横からすみませんがヨフィリス閣下、それはもう間に合ってますので本題に入らせてはいただけませんか?」

 

 

 ______________にも拘わらず全く緊張してないのか破天荒な白い剣士、オウル君は話を問答無用とばかりにぶった切った。お願い、お願いだから空気読んで!?オウル君!!?

 

「ほう?間に合ってるとは・・・・・・落ちたのですか?」

 

 何故か会話に乗る閣下、意外とお喋りなのか?いやそれよりも反感買ってないよね?大丈夫な流れよね?コレ?

 

「はい、道中私は仲間とはしゃぎすぎて船から落とされました」

 

「それはそれは・・・・・・随分愉快な仲間たちで・・・・・」

 

 うん、ごめんね?同年代で同性のここまで打ち解けた友達はいなかったからはしゃぎすぎて君なら大丈夫だろうと湖に落としたことは本当にごめんね?だから、お願い、空気、読んで!?今そんな雰囲気じゃないから!?キズメル若干血の気が引いてるから!?

 しかしむしろその豪胆さ(一昔前の言葉ならKYと言う)が気に入ったのかオウル君が懐から出した、私達の三層での活躍を記したこの城の通行証にも使ったスクロールと引き換えにダークエルフの紋章が刻まれた指輪を貰った。大丈夫だったの?駄目そうな雰囲気だったけど?うるさい心臓を落ち着かせながらオウル君から指輪を受け取る。

 

「その指輪があれば、今後リュースラの衛兵に咎められることは無いでしょう・・・もっともお前たちが裏切らない限りに於いて、ですが」

 

 貴重な指輪を貰ったというのにさらりとプレッシャーをかけてくる城主、しかしながらオウル君はやはり応えて無い様だった。

 

「ですか・・・・それでヨフィリス閣下、本題なのですが」

 

 そこから先の話は私も聞き覚えが無い話だった、恐らくオウル君とシノのんが洞窟の中で見た物だろう。曰く人とフォールンエルフが手を組み船を造って攻め込もうとしている、恐らく三日後に、此処へ。

 

「成程・・・・どうやら本格的にフォレストエルフと手を組んだようですね、ノルツァーは・・・・船の数は分かりますか?」

 

 船の材料をどれだけ見たのかは分からないがオウル君は顎に手を当てて少し考えた後答えた。

 

「最低でも・・・十人乗りが十隻」

 

「ふむ、此処の船は十人乗りが八隻、恐らく数では負けるでしょうね・・・」

 

 デスクを指でコツコツと叩きながらヨフィリス閣下が答える、果たしてこれだけの短時間でそこまでの船を造れるのか懐疑的ではあるが、そこはゲームなのでツッコんではいけないところなのだろう。

 その後秘鍵の事を聞いてみたりしたが、実のエルフでさえ「伝承で守ってるだけであり、どういうものなのかは分からない」とのことで何だかモヤモヤしたものを抱えたまま私達はキズメルとまた戦う事になったのだ。

 

 

 

 

「まぁ、人族が快く思われてないとは言えだ。城主から許可は貰ったからしばらくはここでゆっくりしよう」

 

 そう言いながらボスドロップのコートを脱ぎ、剣をストレージに入れてオウル君はソファーの上で横になった。もう彼はそこを寝床に決めたらしい。

 

「三日間何しよう?」

 

「各自自由行動で、閣下からクエスト渡されたら俺が知らせるから」

 

「船は?」

 

「あーーー、取り敢えず使う時はメールを全員に送ってくれ」

 

 ユウキとフィリアの疑問を解消する、が。

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

 やはりシノンとはどこかまだ気まずい様だ、二人とも人に素直に謝れるような性格では無いのだろう。かく言う私もだが、非を認めることは出来てもそれを表に出すのは何故だか憚れるのだ。

 特にオウル君は自ら人の心に疎いと言っていたし・・・・・。

 いつまでも続くのだろう、この気まずい空間は。出来れば今日中に改称して欲しいのだが・・・・とか何とか考えてるとメールが来た、差出人は、

 

 

『from:ユウキ:二人だけ残して私達は出て聞かない?フィリアにはもう言ってあるから』

 

 

 顔は動かさずにユウキちゃんの方を見ると視線が合った、フィリアもこちらを見ている。確かにこのまま此処に居ても何も始まらなさそうな気がする・・・・よし。

 

「じゃあ、私ちょっとレベリングしてくるね」

 

「あ、じゃあ、ボクも。フィリアは?」

 

「わかった、一緒に行く」

 

「え?じゃあ俺も」

 

「「「来ないで」」」

 

「かつてない程強い拒絶!?」

 

 いや、あなたが来たら話が始まらないでしょう!?なんでシノンほっといてレベリングしようとしてるわけ?どうやら人の心が分からないというのは結構本当らしい。こちらの事を察したのかシノンは私に向けてちょっとだけ首を傾けた、多分謝罪の意だろう。

 なんでや!と言わんばかりに驚愕しているオウル君と何を話そうか全力で頭を回しているであろうシノンを置いて私達は客間を出た、さてここからどうしよう?本当にレベリングに行くのは何か違うし・・・・。

 

「大丈夫!ボクに考えがあるよ!」

 

 元気よく発案するがユウキちゃんもオウル君と同じく結構はっちゃけるからなぁ・・・・少し不安な気がしないでもない。

 

「窓は閉め切ってるとシステム的に聞こえないけど・・・・さっきカーテンを閉めた状態で窓を少し開けておいたんだ」

 

「何だかユウキの方が盗賊染みてない?」

 

 確かに抜け目のなさではオウル君より上かも知れない、ここは三階、裏へと回ってよじ登れば盗ty・・・・兎も角中の様子は伺えるだろう。

 

「問題はあの二人が索敵持ちだから、ちょっとしたことで気づかれかねないんだよね」

 

「オウルも意味不明な勘の良さがあるし・・・・」

 

「話してれば気が散ってるから気づかれにくいとは思うけど・・・・」

 

 階段を降り、廊下を歩きながら問題点を話す。

 聞いた話ではアルゴさんのガイドブックよりも事細かに書かれた、悪く言えば要らなさそうな情報まで乗ってる辞書の様なオウル君手製のガイドブックを熟読したシノン、電子の世界で原理が未だに不明な勘の良さを発揮するらしいオウル君・・・・何だろう今までで一番難易度が高いのではなかろうか。

 

「私が隠蔽発動させるから、二人は動いちゃだめだよ」

 

「立つだけなら大丈夫だけど・・・・あんまり動けないね、コレ」

 

 まるで忍者の様に城壁をよじ登り、出っ張りに足を掛けてどうにか客間の裏側に回り込んだ。良かった、気づかれていないのか窓は開いている。

 

「まぁ・・・・・いうか・・・・すまん・・・な」

 

「こっち・・・・めん・・・・さい」

 

 もう、と言うべきか。それともやっと、と言うべきか話してるようだ。

 

「・・・・今更だけど、私達凄く悪いことしてるんじゃ・・・」

 

「さぁ、盛り上がってまいりました」

 

 ユウキちゃん?あなたも後で謝りに行きましょうね?

 とか何とか言いつつ私も共犯者なのだから笑えない、距離があるのか上手く聞きとれないが恐らくまだ話し始めたばかりだろう。

 

「わた・・・・・怒りっぽい・・・・かしから」

 

「かく言う・・・・・俺・・・・空気・・・・めてないって・・・・」

 

 当たり障りない会話が続いている、これならもう心配ないだろうが、

 

「ねぇ、もういいんじゃない?」

 

「まだ、まだもうちょっとだけ!オウルがフラグをどうするかボクは見届けないといけないんだ!」

 

「ユウキェ・・・・」

 

 フィリアが不思議な発音で呆れ、ユウキちゃんが頑なに続けようとする、いやまぁ、気持ちはわかるのだが・・・・。

 

「その言い方だとやっぱりオウル君とはリアルで関係があるのね?」

 

「うん、オウルはよくリアルでもボッチだったよ」

 

「オウルェ・・・・」

 

 いやだからその発音どうやってるの?そしてリアル事情をあんまり話しちゃいけないのでは?

 

「でもねぇ・・・・これからの事を考えるとそうも言ってられないかも知れないんだよね」

 

「? どういう事なの?」

 

 オウル君の事を知っておいた方が良いことがこの先SAOで必要になる様な言い方、というかそれ以外の解釈が出来ない。

 

「多分、ボク達はこの世界に年単位で過ごす事になるよね?」

 

「それがどうしたの?」

 

 いや、『それが』で済ましていい程、軽い事では無いのだが。

 

「ゲームを始める前のボク達と、終えた後のボク達・・・・一切変わってないって言える?」

 

「・・・・私は_______」

 

「変わるつもりは無い?無理だよ、老年なら未だしもボク達程多感な年齢で死線を何度もくぐり抜ける・・・・賭けてもいいよ、絶対別人と言っていい程変わるよ」

 

「・・・・・・・」

 

 普段の態度からは考えられない程真剣な顔で話すユウキちゃん、はっきり言って意外である。彼女がそんな事を考えていたなんて・・・・・。

 

「でもそれがいったいどういう関係が?」

 

「多分近い内、またオウルはボク等から離れようとする」

 

「!」

 

「オウルがボッチな理由って一人が気楽って性格もあるけど、それ以上にPOHとか言うPKをボク達に会わせる気もないと思う。一人で全部こなそうとするよ、絶対」

 

「オウルの事よく知ってるんだね・・・・」

 

 ユウキちゃんの言う通りだ、出会って間もない私も彼が進み好んで私達を殺人鬼に会わせるとは考えにくい。

 

「それにね、何となく予感がするんだ、必然的な。ボク達はこのSAOを通して切っても切れない縁を結ぶんだって・・・・だから一人にさせちゃダメだよ、絶対」

 

「ユウキ・・・・」

 

「ユウキちゃん・・・・」

 

 ・・・・・・切っても切れない縁、そんな物私にはあるのだろうか?

 家族でさえ碌に集まることは無く、世間一般的なクリスマスや大晦日などの行事も私の家では関係なかった。あると言えば家付き合いの挨拶位の物、いやそもそもだ、母の手料理を最後に食べたのは何時だったか?

 

「・・・・・・・・・切っても切れない、縁」

 

 はっきり言ってリアルに帰ったら両親が離婚していても私は驚かない、冷え切ってる、わけではないが一緒にいる必要性を感じない。

 血が繋がって、書類上は夫婦、それだけあれば十分、そんな風に子供の頃から思えた。

 

 もしかすると、そういう家族愛もあるのかも知れない。

 ずっと続く愛は家族の中でも在りえないのかもしれない。

 強すぎる愛は忌避され所有欲になりかねないのかもしれない。

 

 今でも思う、

 

 子供の頃から思う、

 

 ずっと、思っていた。

 

 寒い、切ない、寂しい、そんな虚しさを。

 

 上手く言葉で表現できない程幼い頃から。

 

 塾の窓で、サッカーを楽しんでいる同年代の子共達を、

 通学路で、泥だらけになる程遊び夕日を背に帰る兄妹を、

 車の中で、日曜日だからか何処かの外食に出かける家族を、

 

 独りで、勉強道具片手に、羨ましそうに、でも表情は冷めきって、見てたんだ。

 

 ずっと、ずっと、ずっと、独りで・・・・・・・・・・。

 

「アスナ・・・・?」

 

「・・・・!なっ何でも無い何でも無い!」

 

 呆然としていたのを気になったのだろう、フィリアがこちらを覗き込んできた。ここは一応圏外なのだから考え込むのは褒められた行いではない。

 

「気を付けてね、死にはしないだろうけどここから落ちたらかなりHP持ってかれるよ」

 

「う、うんごめん。分かってる」

 

「・・・・・・まぁ、兎も角だよ。オウルの勝手な行動を制限するために少しでも情報が知りたいんだ、何故だか分からないけどシノンにはある程度心を許してる気がするから」

 

 ユウキちゃんがこちらを少しを訝しむ様な視線を寄こした後、この行動の目的を言った。デバガメしたかっただけじゃないんだ・・・・・いや、ちょっと待った。

 

「シノンとはリアルでの交流は無いの?」

 

「実の所、ボクはSAOでシノンと出会ったのが初めてで、シノンとオウルにリアルでどういった交流があったのかは知らないんだ」

 

「ご近所さんとかじゃないの?」

 

「ボクとオウルはそんな感じだけど・・・・シノンは見たことないから、まず違うね」

 

 フィリアの疑問も一蹴、では彼と彼女は何処で出会ったのだろう?しかもあの感じはただの知人とか友人を超えてると思う、少なくともシノンの彼への信頼はそれ位簡単に超えているだろう。

 

「ボクも良く知らないんだよね、それに聞きずらいし・・・・」

 

「何で?」

 

「その・・・・トラウマ的な・・・・」

 

 突如として言い淀む、トラウマ?彼の?のんべんだらりとした風来坊、といったイメージの彼が?

 

「あれで結構繊細で激情型なんだよ、普段はそのイメージで間違って無いけど」

 

「怒ると手が付けられないって感じ?」

 

「うん、まぁ、滅多な事じゃキレないけどね?」

 

「うん、まぁ、でもこれはキレてもいいよね?」

 

 ・・・・・・・・・・・・何故だろう、今、一人分、声が多かった様な・・・・。

 

「やあ!こんにちは!そんな所で何をしているんだい?」

 

「こんにちは!いやぁ、男女が部屋で二人きりになったらやることは自ずと決まってるでしょ?」

 

 気持ち悪い程、ニッコリと楽し気な会話をするユウキちゃんとオウル君、しかし笑ってるのに笑ってない、特にオウル君は顔面にビシバシと青筋が走っている。SAOは感情がオーバーになりやすいと聞いていたが・・・・成程、これが修羅めいた笑顔か、怖い。

 

「首謀者は名乗り出ろ、何、OHANASIするだけだ」

 

「フィリアです!!!」

 

「ちょっ!えぇ!?」

 

 首謀者がいきなり仲間を売った、ちょっとぉ!?ユウキちゃん!!?

 

「よし、ユウキ。お前だな?ちょっと城の裏まで来い、腕が鈍ってないか確かめてやる」

 

「何でや!何で一瞬でバレたんや!」

 

 アホ毛ごと頭を鷲掴みされ、部屋の中に引き込まれる。流行りそうね、その関西弁。

 

「だってお前以外ありえないし」

 

「それでもボクはやってない!!」

 

「お前ら全員のメールログを確認しても同じことが言えるかな?」

 

「お巡りさん、ボクがやりました」

 

 変わり身というか、手のひら返しが速い。急に真顔になり謝罪し始めたユウキちゃんを連れてオウル君は部屋を出ていく、対人戦の訓練かなぁ、ユウキちゃんの目が凄く死んでいた。そんなにキツイのだろうか。

 

「何してるのよ、あなた達は・・・・」

 

「いやー、悪いとは思ったんだけど気になっちゃって・・・・」

 

 部屋に入り込むとシノンがこちらを呆れたように見ていた、いやはや・・・・恥ずかしい。

 

「アスナはそんな事をする人には見えなかったんだけど、この短期間で変わったわね」

 

「・・・・・」

 

『別人と言っていい程変わる』

 脳内でユウキちゃんの言葉がリフレインする。もう、変わっているのだろうか?私は?だとしたらこれからも変わっていき、最後はどうなるのだろう?現実に帰った時どうなっているのだろう?

 

「・・・・何悩んでるか知らないけど、アスナは難しく考えすぎだと思うわよ」

 

「・・・・そうかな?」

 

「そうよ、その辺はオウルを見習ったら?」

 

「彼は彼で色々考えてそうだけどね」

 

「それならもう少し、その、こっちの事とか察しして欲しいんだけど・・・・」

 

 ・・・・何の事だろう?ついリアルでの彼との関係を聞きたくなるが、自重する。聞けばきっとシノンは困るだろうし、そこまでして聞きたいわけではない。

 その後は何気ない会話をし、そして城の裏でコッテリ絞られたであろうユウキちゃんを片手にオウル君が戻ってきた。彼もまた変わっているのだろうか、少なくとも、人を殺めた以上同じでは居られないだろうが・・・・・。

 私はこのSAOで何を見て、感じ、どう変わるのか、今はまだ分からない。

 

 




 更新遅れてすみません、色々行事が重なってまとまった時間が取れ無かったためにこんなに空きました。
 これからも不定期更新になるかもしれません。






























ディープストレンジャー二ー面白い(ボソ)

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