原作と違いすぎてどうすればいいのかわからない   作:七黒八白

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前回のあらすじ

 シノン「今後ともよろしく」

 オウル「お前の中の人、今回の作品は出ないっぽいけど?」

もう少しでディープストレンジャー二発売ですね。買いたいのですが金欠です。
沢城さんは出ないみたいですが、後にこの小説でも出るだろう『あの人』は出るようですね、楽しみです。



オウル達のステータスを小説に出てる分だけ公開します。


オウルLV19 スキルスロット枠6個《片手剣》《体術》《索敵》《隠蔽》《投剣》残り不明


シノンLV18 スキルスロット枠6個《短剣》《体術》《索敵》《隠蔽》《軽業》《調合》


ユウキLV18 スキルスロット枠6個《片手剣》《体術》《索敵》《軽業》残り不明


アスナLV17 スキルスロット枠6個《細剣》《体術》《疾走》残り不明


フィリアLV15 スキルスロット枠6個《短剣》《索敵》《隠蔽》《強奪》残り不明 


この小説で出してるスキルとレベルはこんなものですね、フィリアは後から参戦したので少し低めです、それでも原作アスナと同レベルですが。



第十七話 いと低し ヒラルキー

「よし!皆集まったな。それじゃあこれから早速だけどフィールドボスの攻略会議を始めようと思う!」

 

 攻略組全員がフィールドボスの攻略会議に集合し、ディアベルが号令をかける。勿論ゴンドラは全員持ってるが流石に《ティルネル号》の様に最上級の素材ばかりの船は中々ない様だ。

 

「まぁ、あんだけデカけりゃステータスとは別に戦いずらいわな」

 

「エギルさんの船はどれ位の素材から造ったんですか?」

 

「主熊は倒せたんだが、素材がちと足りんかった。だがそれでも支障はないはずだ」

 

 後ろに並べられてるゴンドラを見てみると確かに使われてる材料が所々違う、だがそれでも攻略組の中では上位に入るだろからフィールドボスに壊されることは多分無いだろう。名前はなんて言うんだろう?

 

「こいつの船名か?ピークオッド号だ」

 

「・・・・縁起があんまり良くないんじゃないですか?」

 

「え?どーいうことなの?」

 

 アスナは元ネタを知っていたのだろう、すぐに分かったようだが流石にユウキは知らなかった。俺はかの名作ゲームを当時プレイしてたため知っている。

 

「ピークオッド号、『白鯨』っていう小説に出てくる捕鯨船ね。エイハブ船長が白いクジラ、モビィ・ディックに報復の為にクイークェグって人と船員達と乗船するの。最期はイシュメイルって人を除いて皆海に沈んじゃうんだけどね」

 

 とシノンの読書知識。割と有名な小説とはいえ子供が読むには結構難しい本だと思うが・・・流石の一言だ。

 

「それは確かに縁起が良くないね・・・・エギルさん、メアリー・セレスト号に改名したら?」

 

 フィリア、それ幽霊船だぞ?何で進めた?

 

「いやそっちの方が縁起わるいだろ!?大丈夫だって!今から戦うのは白鯨じゃなくてガメr・・・いやアーケロンって亀だろ?」

 

 オイコラ、今大映の怪獣の名前出しそうになったろ?特撮大好きか。確かに似てたけども。まぁ、確かにこれから戦うのは亀だしピークオッド号を沈めたのは白鯨なのだから。

 

「若しくは『サヘルの人』の異名を持つ直立二足歩行型兵器だな」

 

「知ってるのか?あのゲーム?」

 

「of course.俺位の年代が一番知ってると思うぜ?全シリーズやり込んだからな」

 

 いいなぁ、だったら俺もピークオッド号にしたかったなぁ。

 船に乗る、攻略の為。パニッシュド・ヴェノムオウルとか名乗りたかった。

 

「いいなソレ、Punished・venomAgilってか?」

 

「ネイティブの英語で話せるから様になるなぁ」

 

 見事な発音で名乗るエギル、180超の身長でこんな名乗りされたら多分誰も笑えない。眼帯とかバンダナされたら子供は間違い泣く。

 

「え~~?バンダナはボクとキャラが被るからやめて欲しいなぁ」

 

「安心しろ、お前のキャラはもう定まってるから」

 

 てか180超の大男とお前がキャラかぶり何て起こすわけないだろ。

 

「じゃあボクのキャラって何なのさ」

 

「ロリコンホイホイ」

 

裁判長(シノン)、判決」

 

死刑(リンチ)

 

 

 あっ、墓穴掘った。

 

 

 それを悟った瞬間俺の行動は早かった。背を向けてクラウチングスタートの態勢になりいきなりトップギアで走り出す、この一連の行動に掛かった時間、凡そ、0.5秒。スピードビルドの俺に追い付ける者はそう居ない。

 しかし俺と共に行動し、ボス戦の時も活躍して来たパーティーメンバーは逃走を簡単に許してくれるほど甘くは無かった。

 

「逃がさないよ」

 

「!!?」

 

 まずユウキが顔に飛びついて来た、前が見えねえ。それを思うより先に踏み出した足が横から刈られるように空を切った。

 

「今のはオウルが悪いよ?」

 

 多分声からしてフィリアがスライディングで足を滑らしたらしい。そして前から感じる途轍もない威圧感。

 

「オウル君・・・・言葉は選ぼうね?」

 

 イマイチ考えが読めないため俺が苦手意識を持ってるアスナさん、腰が入った正拳突きを俺の鳩尾に躊躇なく放つ。現実なら死んでても可笑しくない位の勢いだ。お前さんは俺に何の恨みがあるの?

 

「オウル・・・・」

 

「待て・・・シノン・・・暴力系ヒロインとか流行らな___________」

 

「歯ァ食いしばりなさい」

 

 後ろから腹に手を回されガッチリホールド、僅かに感じる背中の柔らかい感触に何か思う前に上に持ち上げられて________

 

「ハァァァアアア!!」

 

「ギャァァアアア!!」

 

 ジャーマンスープレックス、いやコレ歯の食いしばり関係なくね?

 主街区の攻略会議中にパーティーメンバーの連携技でフルボッコにされて、挙句ジャーマンスープレックスかまされてる男がそこに居た。

 ていうか俺だった。

 脳天から石畳に叩き落とされて視界がグワングワン揺れる、よく気絶しなかったものだ。

 

 

 

 

 

 

「あのーー・・・・攻略会議・・・」

 

「なんでや!なんでお前だけ青春しとんねん!!!」

 

 コレの何処が青春に見えんだよ。現実だったら脳漿ぶちまけてるぞ、脳漿炸裂ボーイだよ。

 

「・・・・頼りになるパーティーメンバーだな・・・」

 

 エギルさん、正直に言っていいんですよ?おっかないって。

 文字通り視界が揺れる程の衝撃を頭に受けて仰向けで晴天を眺めながら思った。

 十二月半ばをそろそろ過ぎそうな頃、朝10時。ボス戦前の日常だった・・・・ボコされるのが日常って嫌だな。やはり俺の仮想世界のラブコメは間違っている、ラノベにできそう。

 

 

 

 

 

 

 

「来るぞ!!B隊退けぇー!!」

 

 ディアベルが大声と共に銅鑼を叩きならす、そんなオプション何処から引っ提げてきたのか気になるところだが、今はそれどころではない。

 怪獣映画に出てきそうな馬鹿でかい亀が今まさに突進してきている。速度はそこまで早くは無いがやはり初めての水上のボス戦。普段と勝手が違うので避けるタイミングが分かりずらい。

 

「ヤバイよオウル!引っかけられて転覆する!!」

 

「助けに行くな!今行ったらむしろ邪魔だ!!」

 

 例えノーマルの素材だけで作られた船でも流石に一撃で沈むことは無い。

 逃げ遅れたB隊の船がひっくり返るが案の定プレイヤーはほとんどダメージは無い、このボス戦はダメージは殆ど船が吸収してくれるためプレイヤー自身に危険はあまり及ばない。

 

「でも船壊されたら逃げるのも難しいわよ」

 

「そこだよな、カルデラ湖から出ればボスは追ってこないだろうが道中絶対mobが来る」

 

 シノンの言う通りだ。初めて四層に来た時俺は投剣と裸締めでmobを倒したがアレはmobが弱かったから出来たことだ。それに重装備のプレイヤーは船にしがみ付かないと浮くこともままならない。

 

「攻撃自体槍とかリーチが長い物じゃないと届かないしね」

 

「俺とユウキは片手剣、アスナは細剣、フィリアは船の操作、シノンは短剣」

 

 全員そこまでリーチは長くない、シノンに至っては最悪だ。この戦いはやりずらいことこの上ないだろう。

 

「みんな!衝角攻撃行くよ!!」

 

 その合図と共に全員船にしがみ付く、フィリアが全力で漕ぐ。代わろうか?と言ったが一番レベル高い俺が攻撃に回らないのは非効率的だと却下された。

 漕ぐごとにスピードが上昇、そのままアーケロンに向かって行き_______

 

「ここ!!」

 

「GUOOOOOO!!?」

 

 ______ぶつかる瞬間にブレーキを掛けてティルネル号の喫水線下の衝角が紅く輝きながらアーケロンの柔らかそうな横腹を穿つ。あのKUMAの角をオプションとして付けておいたが、どうやらボス戦でも有効な様だ、強い炎属性もあるようで水蒸気を噴き出しながら冷却期間に入る。目に見える程アーケロンのHPが削れた。

 

「退け!来るぞ!」

 

 怯んだ隙にソードスキルを叩き込むが、やはりそこは亀と言った所か。甲羅がかなり固いため通常の斬撃ではあまり効果が無い。両手武器の打撃ならば話は別だろうが生憎俺たちが持ってる打撃技など《体術》スキルによる物くらいだ。小さかったり、人型ならば兎も角ここまでデカい亀となると体術はあまり役に立たない。隙は小さいが攻撃力は武器依存でないため低いのだ。

 

「このままなら押し切れそうだけど・・・・」

 

「最後に絶対なんかあるだろうな、今までと同じなら」

 

 船を巧みに操ってくれるフィリアの希望観測を切って捨てる。

 HPバーはもう半分を切っているが情報以上に変わったところは無い(そもそもその情報を集めたのは俺たちなのだが)。

 

「今回ばかりは梟さんもLAボーナス持っていけないだろうなぁ!!」

 

 と、すれ違いざまにディアベルのギルメンが何とも心温まる掛け声を掛けてくれた。いやあ、応援ありがとう。顔は覚えたからお礼参りは期待してくれ、この野郎。

 

「せめて頭にソードスキルを入れる事が出来れば・・・・・・」

 

「頭か・・・・」

 

 船で真正面に行けば頑丈な顎で噛みつかれる。その攻撃は範囲は狭くめったにしてこない分攻撃力はバカ高い。まともに喰らえばいかにティルネル号でも危ない。詰まる所船無しでアーケロンの前に行ってソードスキルを叩きこめなければいけない。

 ただし水上で。

 

「誰か《水泳》スキル持ってる奴いない?」

 

「「「持ってない」」」

 

 三人から同時に同じ答えが返ってくる。

 ふーーーーむ、使いたくなかったがアレを使うか・・・・

 

「よしフィリア、俺達三人が隙を作るからトドメを頼む」

 

「いいけど・・・・そこまでどうやって持っていくの?」

 

「壇ノ浦の戦いって知ってっか?」

 

 言いながら俺はこの四層に来た時余分に取っておいた《浮輪の実》を九個正方形に紐で固めてベニヤ板に縛り付けた物を水面に4個投げ出す。元々船無しでも溺れない様に作った物だがこんな風に使うとは・・・・・。

 

「・・・・え、まさか・・・」

 

「八艘跳びと洒落こもうか」

 

「いやいやいやいや落ちるでしょコレ!?」

 

 アスナが叫びながらツッコんでくる、大丈夫大丈夫、行けるって。

 

「大丈夫だ、浮輪九個分の浮力で沈みはしない・・・・ひっくり返りやすいけど」

 

「同じようなものでしょ!!?」

 

 でもユウキとシノンはノリノリですぜ?

 

「シノン、《軽業》スキル持ってたっけ?」

 

「ユウキも持ってるのね、アスナは?」

 

「《疾走》スキルがあるけど・・・・」

 

「よーーーし!逝ってみようか!!」

 

「発音おかしくなかった!?今!?」

 

 ちょっと何言ってるか分かりませんねぇ。

 そんな風にすっ呆けながら先陣を切る。牛若丸の様にはいかないかもしれないがアスナも源氏だし大丈夫だろう。

 

「いや何のこと!?」

 

「将来刀とか使うようになったら言ってくれ、俺が戦装束をデザインするから」

 

「何のことか分からないけど絶対嫌!!」

 

 そうか・・・・まぁ流石にアスナじゃ似合わないかもな。

 特に胸部が___________

 

「今変なこと考えたでしょう?」

 

「滅相もございません」

 

 こいつサトリか何か?こっちの考えを適切に見ぬいてやがる。

 

「バカやってないでさっさと行きなさい、ユウキはもう行ったわよ」

 

 シノンに言われ見てみるとユウキはもう浮輪板を渡って亀の甲羅に乗って背中からソードスキルを連発している。

 

「ボクは甲羅から斬りつけるから頭の方行って!!」

 

「分かった!行くぞシノン、アスナ!」

 

 ティルネル号の縁に足を掛けて前傾姿勢で前に跳ぶ。亀がこちらを向く前に首にソードスキルを叩き込む。

 

「スイッチ!」

 

 首に攻撃され、仕返しに噛みつこうとしてくるアーケロン。その口は俺を丸ごと入るだろう大きさだ。確実に古代にいたというアーケロンよりもでかい。

 まともに殴り合う気はないので口が開ききる前に上嘴に足を引っ掻けて空高くバク宙回避。そして________

 

「行くよ!シノのん!」

 

「遅れないでね、アスナ」

 

 アーケロンの目に同時に突進系のソードスキルを突っ込んだ。

 

「GYUAAAAAAAAAA!?!?」

 

 クリティカルヒットだったのだろう。とんでもない勢いでHPバーが減少し、一気にレッドゾーンに入る。そして二人だけでなく周りの船も払いのけようと脚を縮ませて力を溜めるモーションを取る。初めて見る動きだが十中八九回転する気だろう。

 

「まずい!!早く退避するんだ!!」

 

「いや、突っ込め!フィリア!!」

 

 ディアベルが叫ぶがここまで来たら退くことは考えない、削り切る。俺は既にティルネル号に乗っているが三人はまだ亀の背中に退避している。あのまま回れば確実に水中に落とされる、跳ぶには遠いし、泳ぐには時間が無い。

 

「オウル!仕留めきれなかったらお願い!」

 

「任せろ!」

 

 トップギアで白波をたてながらアーケロンに突っ込んで行く、そしてもう一度横腹にティルネル号の衝角が突き刺さる。

 

「GYURRRRRRRR・・・・・・」

 

 瞬間水蒸気が今まで以上に噴き出し亀が真っ赤に膨れ上がり、見慣れたポリゴン片となって消えた。

 

 




早くアンダーワールド編が書きたい。(なお現実はGGOどころかSAOすら終わってない模様)

FGOの小説も書いてみたい、型月設定が難しいからかなり遅筆になるだろうけど。
そしてサブタイが適当になりつつある今日この頃。

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