原作と違いすぎてどうすればいいのかわからない   作:七黒八白

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前回のあらすじ

 シノン「謎は全て解けたわ!」

 オウル「(主人公より目立つ奴多くね?(´・ω・`))」

やっとこさ投稿できる、疲れた。
前置きは此れ位で始めます。


第十一話 それでも彼は 選ばない

 何だか流れで俺が尋問してたが、こういうのは謎を解いたシノンがすべきだったのではなかろうか。

 目の前で項垂れているネズハ、いやナーザを見ながら場違いなそんな事を考えていた。誘導したとは言えアスナではなくシノンが解くとは・・・・

 

「・・・・僕らレジェンド・ブレイブスはこれまでにも色々なゲームで入賞したりして・・・・今じゃ出遅れてるかもしれませんけど、『ここで本物の英雄になろう』って・・・みんなでSAOを買ったとき誓って・・・」

 

「それがどうしてこんな事に・・・」

 

「・・・・FNCです」

 

 ・・・・やはりか、強化詐欺を行ってた時点でもう確信していたが。

 しかし、レジェンド・ブレイブスってリアルでも交友があったのか?俺が忘れてただけか?それとも・・・・

 

「ねぇ、オウル。えふえぬしーって?」

 

「ん?ああ、フルダイブ不適合。民間用のナーヴギアじゃ稀に起こるらしい、本来なら個人ごとに脳波に合わせた調整が必要なくらいデリケートな機械だからな・・・・大概は五感のどれかが機能しない位のものだが、酷いとダイブすらできないらしい」

 

「じゃあ、ネ・・・ナーザさんは・・・」

 

「ネズハでいいですよ、アスナさん。僕は遠近感が分からなくて・・・・正直、鎚を振るのもキツイんです」

 

「近接しかないSAOじゃ致命的ね・・・」

 

 シノンの言う通り、ここに遠距離武器はない。俺の原作知識でも知る限り《投剣》位しかないはずだ。

 

「初めは《投剣》を鍛えていたんですが、コスパが悪すぎて・・・・結局熟練度100に届く前に中断しました・・・」

 

「・・・・あなたは・・・その・・・見捨てられなかったの?」

 

 おずおずとアスナが聞いた、そう、それは俺も気になっていた。

 事件に直接関係は無いにせよ、どうも俺の知識と『レジェンド・ブレイブス』が嚙み合わない気がするのだ。

 俺が知ってる限りでは『レジェンド・ブレイブス』の結束はそこまで強いものでは無く、ネズハを見捨てることも考えていた・・・・と思っていたのだが、

 

「・・・・周りはきっと、見捨てることも考えてたでしょうけど・・・・実際僕も逆の立場なら・・・・でも、オルランドさんは僕を見捨てなかったんです」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 オルランド、きっとレジェンド・ブレイブスのリーダーだろう。やはり俺が知ってる原作とは少し違うようだ、確かに限りなく似てるだけとは言ってたが・・・・

 

「それで・・・黒ポンチョの男に強化詐欺を持ち込まれた・・・だな?」

 

「・・・・はい」

 

「その黒ポンチョの男からは何か要求されたりハ?」

 

 アルゴが聞く、事が事だけにこういうのはこいつに頼った方がいい。

 

「いえ・・・・何も、酒場で困ってた時に教えてくれた時も何も要求しませんでした・・・・」

 

「オウル・・・・」

 

 シノンがこっちに意見を求める、

 

「まず間違いなく親切心じゃないな、引っ掻き回して、お前を追い詰めて、いつか誰かを介して攻略組にリーク、そして公開処刑でもさせるつもりだったんじゃないか?」

 

「そっ、そんな!?」

 

 あり得ないことじゃない、このSAOの現状を分かっていれば。

 強化詐欺を思いつくほど賢いならこうなることも分かっていただろう・・・・人は慣れる生き物だ、ここでは人もポリゴンと化して死ぬ。普段のmobと変わりない、少し遠回りだが攻略組に公開処刑の悪習を作ろうとした。

 

「でも・・・そんな事をして何になるの?クリアが遠のくだけでしょ?」

 

「さあ?或いは何も考えてないのか・・・・常人には図りかねる」

 

 兎に角、ネズハには何とかして罪を償ってもらわなくてはならない。

 この事件を丸く収められなければSAOの内情は間違いなく荒れる。

 

「でもさ、どーやって?しらばっくれるかもよ?」

 

「オルランドが自白すれば勝ち確定だが・・・・ネズハお前LVは幾つだ?」

 

「10です・・・・」

 

「スキルスロットに空きは?」

 

「・・・・ありません」

 

 よし、丁度いい。アスナも居るし、アルゴにはボス攻略のクエストがあるから俺が連れてくことになるが。

 

()()()、鍛冶スキルを捨てる覚悟はあるか?お前でも使える武器がある」

 

「!!!」

 

「ただし特殊なスキルが必要だ、お前がこの層のボス戦で活躍して、そこで謝罪しろ。攻略組のリーダーは寛大だ、処刑何て真似はしないだろう」

 

 周りの悪意は抑えられないかもしれんが・・・・それ位は甘んじて受け止めてもらう。

 さあ?どうする?手伝いはするが、人の悲痛な声を真正面から受ける覚悟はあるか?

 

「・・・・この世界で剣士になれるなら・・・他に何もいりません」

 

「いい覚悟だ・・・・だがお前が死んだらSAOは荒れる、命だけは捨ててくれるな」

 

 まだコペルが誰かに唆されたとは限らないが・・・・俺は、もう犠牲者は出したくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 何か・・・・以前もこんなことなかったっけ?

 俺とアスナとネズハは東の山の頂上を目指している、ユウキとシノンは攻略会議、アルゴはボスのストーリークエストで情報収集である。

 その為今ここにいるのは、コミュ力/zeroの梟、脳筋バーサーカーアスナ、罪悪感に苛まれてる元鍛冶屋。

 気まずい、ありえない位気まずい。もう滑ってもいいから何か話すかな、それ位気まずい。

 

「・・・・あのっ!ちょっといいですか?」

 

 そんな俺の気持ちが伝わったのか、なんとネズハはが声を掛けてくれた。まじかお前、この空気で話し出せるって・・・・もうお前ある意味英雄だよ。

 

「ん?何だ?何でも聞いてくれ」

 

「ええっと・・・・オウルさんは何時から誰と付き合ってるんですか?」

 

「「・・・は?」」

 

 ハモった、いっそ見事なくらい俺とアスナの声がハモった。

 

「だって、有名ですよ?クールなシノンさんに活発なユウキさんに細剣という玄人向きの武器を使いこなすアスナさん・・・・めちゃめちゃ話題です」

 

 いやまあ、SAOはハンパじゃない男女比だからそういう話題は結構上がるだろうけどさ・・・・

 

「付き合ってないから!私と彼はそんな関係じゃないから!!」

 

「うん、まぁ、そうだな。あとシノンとユウキも違うからな?」

 

 俺はハーレム系主人公では無い(断言)。

 現実問題、今の日本(2022年)では同性愛はまだ議論の余地があるが一夫多妻は無い。

 別に俺は性欲は持て余してない。

 

「でも・・・とある情報屋が三人を連れて風呂付きの宿に連れ込んで一夜を共にしたと・・・・」

 

「アルゴさんんんんんんん!?!?」

 

 アルゴてめえこの野郎!!!やりやがった!!!

 

「え?何?いくらだ?いくらでその情報買った?」

 

「私も気になるなぁ・・・・ちょっとアルゴさんと()()しないと・・・・」

 

「いやいやいやいや!!?飽く迄も噂ですので!買ったわけじゃありませんから!!」

 

 だとしても奴とは色々話さないとな・・・・アルゴを捕えて、椅子に縛り付けて、エグイ系の虫を・・・・とアルゴと次会った時のお話の仕方を考えてながら歩いてると、やっと着いた。

 

「ここが・・・」

 

「エクストラスキル体術の・・・」

 

「SAOでこれだけ大規模で手のかかったクエストはこれが初めてか?」

 

 バカでかい広場にでかい石がゴロゴロしている、つい数日前までここでユウキとシノンと殴り合ってんだよなぁ、何かもう懐かしい。

 

「オウルさん、ここで何をすればいいですか?」

 

「小屋の中に居る師範代からクエスト受注してそこら辺の石を素手で割る・・・・でも工夫しろよ?普通にやったら四日位掛かるからな?」

 

「四日!?ボス戦は明後日でしょ!?今からやっても間に合わないじゃない!」

 

「こういうのは大概何らかの救済措置あるもんだ、それを探せ・・・・言っとくが教えないからな、SAOで戦うならそういった推理も試される場面が多々ある・・・・特にネズハ、お前に一番足りないのは思慮深さだ、分かるよな?」

 

 仲間の役に立ちたい感情が利用されたのだとしても怪しすぎるだろ、顔隠した奴からのそんな情報。

 

「・・・はい、それはもう・・・」

 

「アスナも丁度いいから取っとけ、武器が無くなっても戦えるのは安心感がある」

 

「あ~、一層にも居たもんね。武器を落させる技使う敵・・・」

 

「沢山の犠牲者が出たそうですね・・・・参考にオウルさんはどうやって対処したんですか?」

 

「んー?武器投げて、突き刺さったのを取ろうと悶えてるところを首絞めて、そのままへし折った」

 

「「・・・・・・」」

 

 何だその目は、「駄目だコイツ・・・早く何とかしないと」みたいな目は。

 

「普通の人には真似できませんよ、ソレ・・・」

 

「前から思ってたけど、オウル君・・・何か、戦い慣れし過ぎじゃない?」

 

「ここだけの話俺の師がめっちゃ強かったからな・・・・これ位は成果というより経過だな」

 

 相手の動きについていけない?初動で見切ればいいじゃない。

 武器のリーチが負けてるときの対処法?カウンターで武器を壊せばいいじゃない。

 自分より格上に勝つ方法?捨て身で斬ればいいじゃない、死んででも殺しに行きなさい。(菩薩の笑み)

 

 こんな感じだったからな・・・・何だろう、原作でキリトと仲良くならなかったのも無理はない気がする・・・・

 

「まぁ、俺の事はいいんだよ、じゃあ俺は行くからな、ほい野営道具」

 

「ありがたいけど・・・・なんで毛布も寝袋も赤いの?」

 

「気にすんな、ガンバ」

 

 さてと、俺もちょっと用事あるから早くしないと・・・・アスナのひげ面は見たかったが・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「唐突だが死ねええええええええ!!!!」

 

「何でサ!?」

 

 圏内の為ダメージは入らないので体術スキル《閃打》を会った瞬間高速でかます。チッ、避けられたか・・・・

 

「いやいやいや!!?どうしたのサ!急二!」

 

「俺が何か三股掛けてるみたいな噂が流れてるじゃねえか!ネズハから聞いたぞ!」

 

「あぁ~~・・・・ハハッ☆」

 

 いや、そんな高い声でテヘペロしても誤魔化せないから、あと危ないネタかますな、お前の二つ名からしてやるとシャレにならん。

 

「SAOにもあんなテーマパーク無いのかネェ?」

 

「いやそんな話をしに来たんじゃねえよ、あとその話あんましないでくれる?マジ危ないから」

 

 そしてコントする為に呼んだんじゃねえよ。仕事はちゃんとしてんのか?

 俺とアルゴは取り敢えずお互いの仕事を終えたので、俺の買い物に付き合ってもらった(アルゴの奢り)後、昼飯を取りながら話し始める、ストーリークエストはもう終えてディアベルに報告したそうだ。

 

「仕事位ちゃんとしてるサ、失礼ナ。でも・・・黒ポンチョの男はノーヒット。フー坊の情報を買った奴も迷宮区の宝箱が空な理由が知りたいって事で聞いてきたことかラ、関係ないと思うゾ?」

 

 ・・・そうか、流石に考えすぎか。

 アスナとネズハを送って二日、ここは迷宮区に一番近い村。闘牛士の真似事が出来てればもうそろそろ来てもいい頃だが・・・・何の音沙汰もないとなると駄目だったか?まだ一日あるが・・・・

 

「アーちゃんとネズハは間に合うのか?それ以前にフー坊の方法は上手くいくのか?」

 

「賭けにはなるな、だがそのくらいでいい。ネズハに全く非が無いわけじゃないし・・・・はっきり言って俺はネズハ自身を助けたいわけでもない、SAOに公開処刑という悪習が生まれるのを阻止したいんだ」

 

 ネズハでなくとも同じことをしていた。聞こえ方は良いかもしれないが、俺の場合は「目の前の人間をちゃんと見てない」ということでもある。

 実際原作知識がある時点である程度の打算は入るものだ、純粋な善意には程遠い。

 

「俺は別に聖人じゃないしな・・・」

 

「・・・・他人にしちゃ十分すぎるくらいやってるとは思うがネ」

 

「それはそれとして俺の名を買った奴の名、何だっけ?」

 

「ん?ああ、フー坊の名を買った奴はフ「おーーいオウル!」あリャ?」

 

 名前を聞こうとした矢先、遠くからユウキがこっちに爆走してきた。

 

「攻略組がもう出るって!」

 

「はあ!?まだ一日あるぞ!?」

 

「それが変更点も弱点も分かったから、これ以上は無為に時間を減らすべきじゃないって・・・・」

 

 ディアベル・・・・流石に急過ぎるぞ。まだ二層に着いて七日目、焦るような段階じゃないだろ。

 

「レジェンド・ブレイブスが話し始めたら周りも同調してさ、ほら一層のボス戦でオウルを真っ先に非難した人が周りを調子づかせちゃって」

 

 ヤバイな・・・・俺の行動に気づいたとは思えないが、レジェンド・ブレイブスが焦ってるのは間違いない。

 ネズハがいなくなって行動を早めたか。そしてジョーとかいう奴、やってくれるな・・・・

 

「仕方ない、俺らも行くぞ、シノンは?」

 

「フレンド登録してたら追跡可能ってことでソロでレイドに参加してる」

 

「よし、GJ。アルゴはアスナとネズハにこのことを頼む」

 

「ああ、分かっタ」

 

 ボスは三体出る事、王の弱点は頭の王冠。情報は出そろってるし、死人は出ないかもしれんが・・・・

 

「不安だな・・・・」

 

「早く行こう!オウル!」

 

 頼むから間に合えよ、ネズハ。それが無いと王手は難しいだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、結構早かったのね」

 

「レイドとソロならそりゃな・・・・お前パーティーは?」

 

「あなたとユウキとアスナ以外と組む気は今のところないわね」

 

 まるで気高い猫・・・・まぁ、こいつを猫で例えると狩りをする山猫とかになるだろうが事投げにシノンは言った。

 

「何か知らないけど、あなたが居ないと周りがパーティー勧誘で煩わしくて仕方なかったわ・・・・」

 

「女に飢えてんだろうな・・・・」

 

「ソレボクも対象に入ってるの?」

 

 多分な、世の中にはそういった需要もあるのは事実だし。悲しいかな、そればかりは逆らえぬ性だよ。

 そして俺ってそんなに怖がられてんの?

 

「仕方ないでしょうね・・・・みんな下手すればPKされると怯えてるんじゃない?」

 

「正当防衛だったんだがな・・・・まぁ、PKへの忌避感が強まるならいいかもしれない」

 

「・・・・・・あんまり好きじゃないな、ボク、その考え方」

 

 狙ったわけではないがいい方向に働いたと思おう、

 

「・・・・ねぇ、オウル」

 

「ん?何だ?」

 

「貴方は何がしたいの?」

 

 急だな、しかも抽象的でどう答えればいいのか分からない。誤魔化すのは簡単だが・・・あえて言うなら、

 

「・・・・いつか起こるだろう悲劇を前もって防ぎたい、そんな処かな・・・・」

 

「?・・・・そう・・・」

 

 まぁ、これだけでわかるはずもないか。

 さてと、ボス戦はもうすぐだ。気を引き締めろよ?

 

「貴方もね・・・・アスナとネズハは?」

 

「あの方法使ってたらもう終わってる頃だと思うけど・・・・」

 

「間に合わないかもな・・・・だがもう止められん」

 

 

 ディアベルとレジェンド・ブレイブスがボスとの戦う編成を話し終えて、ボス部屋の扉が開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「来る!下がれ!」

 

 了解の応答と共に地面に揺るがすほどの衝撃と黄色の火花が足に絡みつこうとする、この層に出るミノタウロスの様な奴らは似たような麻痺(ナミング)技を使ってくるが、コイツ《ナト・ザ・カーネルトーラス》のは一際範囲が広く、直撃はタンクでも許されない。何故なら・・・・

 

「来るぞ!総員退避ーーッ!!」

 

 ディアベル本体とレジェンド・ブレイブスが戦ってるのは《バラン・ザ・ジェネラルトーラス》、ナト大佐より二倍はでかく、そしてナミング技の範囲も広い。

 指示が出た瞬間全員後ろへへダッシュしたが、間に合わず二人ほど火花の様なものに捕らわれる。

 

「チッ!!逃げ損ねたか・・・・」

 

 スタン、数あるバットステータスの中では易しい物だ、三秒捕らわれるだけなのだから。しかしこのボスたちに限っては違う。

 

「GOOOOOOOOAAAAAAA!!!」

 

 スタンが解けた瞬間、もう一度ハンマーでナミング。今度も直撃しなかったがそのまま体ごと倒れる、体には薄い緑の痺れてる様なエフェクト。

 

「麻痺ったな・・・・シノン!ユウキ!速攻で大佐を殺るぞ!!」

 

 ちまちま時間をかけては居られない、ディアベルの指揮のお陰かそこまで麻痺のプレイヤー出てないが、どちらも倒してない状況で本命が出ては困る。

 

「うん、わかった!」

 

「どうすればいい?」

 

「フィールドボスの時と同じだ、俺とシノンが大佐の膝を折る。ユウキはソードスキルで角の間を殴れ、高確率でスタンする。エギルさん達はユウキが殴ったら囲んでソードスキルを!」

 

「了解!」

 

 大佐を倒し、ジェネラルがレッドゾーンに入る前に回復を済まし、出てきたキングのタゲを取る。ディアベルはそこまで指揮していなかったがこれ位は別に良いだろう、てかちゃんと作戦考えろよアイツ。

 

「行くわよ!」

 

「いつでもどーぞ!」

 

 シノンは右膝を二連範囲《ラウンド・アクセル》で斬り、同時に俺は《ホリゾンタル・アーク》で左膝を斬る。部位欠損にはならなかったが、膝を折って片手を着いている、

 

「よーし!行くぞー!」

 

 幼さが分かる声だがその動きは既に攻略組のトップクラスだろう、しっかりブーストさせた上で《ソニックリープ》を放ち、

 

「BUMOOOU!!?」

 

「よし!全員削り切れ!」

 

「おうッ!!」

 

 エギルさん達も飛び込んでくる、これならレッドゾーンのバーサーカーモードが出る前に倒せる。様々なソードスキルスキルが飛び交ってナト大佐を追い込む。

 

「オウル!!本隊が!」

 

「何だ!?」

 

 ユウキに促され見てみると、ディアベルのソードスキルが決まり、退避するはずがレジェンド・ブレイブスだけ残り攻撃を続けている。

 

「命令無視か!焦り過ぎだろ!あいつら!?」

 

 ネズハが居なくなったのがそんなにショックだったのか?兎も角ナトを倒すのが先決だ、

 

「BURUUUUAAA!!」

 

 攻撃を中断したためか思ったよりも早く立ち直ってしまった、だが・・・・

 

「寝てろ!ウスノロ!!」

 

 三連ソードスキル《シャープネイル》を鼻に叩き込み、《閃打》をスキル硬直直前に放つ。これで三連の長い硬直を短い硬直にすり替えられる。

 

「こいつで終いだ!」

 

 《ホリゾンタル・アーク》で胸をぶった斬り大佐はポリゴンと化す、LAボーナスが入ったようだが気にしてられない。

 

「全員ポーション飲んどけ!」

 

「オウルはどうするの!?」

 

「ディアベルと話してくる、俺たちがキングを相手取ることになるかもしれないから準備を怠るなよ!」

 

 言いながらディアベルの方へ駆け出す、レジェンド・ブレイブスはまだバラン将軍を相手取っているが・・・・LVのせいかそこまでダメージは与えられてない様だ、何故命令無視してまで戦おうとする?自分たちの立場が危なくなるのが分からないのか?いくら攻略が全プレイヤーに許された権利だとしてもレイドリーダーの指揮から外れるのは度を越してる・・・・

 

「何してる!?さっさと下がらせろ!ディアベル!」

 

「それが是が非でも戦うって聞かないんだ!すまないが将軍は俺たちがやる!キングを引き留めてくれ!」

 

「ッ!・・・死ぬなよ!」

 

「ああ、君もな!」

 

 明らかにレジェンド・ブレイブスは何かを狙ってるが気にしていられない、俺も体力を回復させて備えないと・・・・

 

「来たぞッ!!本命のキングだ!」

 

 誰かが叫んだ。

 マジか、そう言われて奥を見てみると、玉座が開きまるでエレベーターのように上がり、

 

「・・・・・・GOOOOOOUUUU・・・・」

 

 天井に届きそうな牛が鎮座していた、《アステリオス・ザ・キング》ここのフロアボス。装備はハンマーなので攻撃方法は変わらないだろうが・・・・・

 

「でかい・・・・どの位止められる・・・?」

 

 大佐と将軍とは比べ物にならない、1パーティーは流石にきついか・・・?

 

「行くよ!オウル!」

 

「ぐずぐずしてないで、ほら」

 

「止めろって言われたんだろ?ならちゃっちゃとやろうや!」

 

「・・・・気軽に言ってくれるな・・・・情報通りならブレス直前に王冠に攻撃すると確実に長めの硬直に入る、それは俺が何とかするから全員さっきと同じ隊列と戦略で攻撃、目的は足止め、無理に攻勢に出るなよ!」

 

 いつの間にか全員が戦闘態勢で横に居た・・・・頼もしいことこの上ないが、流石にHPバー四本あるフロアボスは倒しきれないだろう、だから俺の攻撃に全て掛かっている。

 

「ネズハ・・・・早くしろよ!」

 

 左手に剣を持ちながら、ピックを王冠めがけて投げる《シングルシュート》、まっすぐ飛ぶだけで何の面白みもなく、しかもコスパが悪すぎるが一層から鍛えて、このために弾はありったけ買ってきた。

 

「全員ソードスキル!!」

 

「了解!」

 

 長く持たないことを確信しながら、俺はピックを投げ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オウル、ピックはあと何本?」

 

「さっきので打ち止めだ、だがもう十分だろう」

 

 結局四十本くらい投げて全部当てたが、HPバーは一本が限界だった。削り切れるとは思ってなかったが・・・・・出費に合わないな、シノンにも買わせておけばもう少し投げれたかな?

 

「あんな小さな的に全弾命中させるのも凄いと思うけどね・・・・」

 

「将軍はたおされたみたいだし、一回引こっか?」

 

「そうだなユウキ、エギルさん達にも言っといてくれ」

 

 流石に疲れた、しかしこれで王冠で硬直させる戦法は取れなくなった。あの武器はネズハにやったし・・・・

 

「ッ!まずい!引けええ!」

 

 こちらにディアベルが絶叫する、見てみるとアステリオス王が何か片足を上げている・・・・まるで相撲の四股踏み・・・・・・・!

 

 

 

「シノン!!下がるぞ!!」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 だが間に合わなかった。

 直後、落雷の様な音が鳴った。俺とシノンは一メートル程上に飛ばされ、そのまま力なく床に転がされた。体が動かない・・・・・!

 

「ス、スタン?これ・・・!」

 

「こんな攻撃方法もあったのか・・・・まずい・・・!」

 

 アステリオス王がもう一度四股踏みをする、これが大佐や将軍と同じなら・・・・

 

「BURUMOOOOUUU!!!」

 

「ガッ!?」

 

「・・・ッ!!・・」

 

 体に不快な感触が絡むそして口と手くらいしか動かなくなる、麻痺か・・・・まずいな近くに運んでくれそうなプレイヤーはいない・・・・

 

「・・・・ここまで・・・かな?・・」

 

「諦めんな!ポーションを・・・」

 

「無理よ・・・即時回復するわけじゃないんでしょ?ソレ・・・」

 

 だが・・・・それでも・・・・・

 

「・・・・・お前を・・・・死なせたくないから・・・・」

 

「・・・・・」

 

 シノンがここに居るのは間違いなく俺のせいだ、SAOに入ったのは他が原因でもボスに挑むことになった要因は俺だろう・・・・俺がボスに挑まなければシノンとユウキもきっと・・・・

 

「・・・・馬鹿ね・・・・」

 

「それでもいい、麻痺を何とか・・・!」

 

 だが気が付くとそこにはもうアステリオス王が佇んでいた、俺もシノンもHPは半分、タンクではない為直撃すれば死ぬ、助けは間に合わない・・・・だが・・・・だが!

 

「お前だけは・・・!」

 

「・・・・・・私、貴方に会え・・」

 

 

 

 

 

 

 

 と、シノンが何か言いかけた瞬間、回転しながら空気を割くような音と共に何かがアステリオス王の王冠に当たった。

 

 

「BUGGOUU!!?」

 

「すみません!!!遅れましたか!?」

 

「オウル君まだ生きてる!?」

 

「・・・いや・・・・ナイスタイミングだ・・・今回ばかりは死を感じたよ」

 

「・・・・・」

 

 何かシノンが拍子抜けしたような顔してるが・・・・・どうしたんだろ?

 

「どうした、そんな顔して?」

 

「別に・・・何でも・・・」

 

 そっぽ向きながらポーションを飲んでいる、さっき何か言いかけてたのが原因か?でも言い切ってないから何を言おうとしたのかわからんし・・・・・

 

「ヨォ、お二人さん、元気かイ?」

 

「アルゴか、二人は無事に・・・」

 

「あア、ちゃんとクエストクリアしたサ、でもあんな武器があったとは・・・・オイラもまだまだだネ」

 

 ネズハの手に戻った武器、チャクラムを見ながら言う。このSAOに残弾が無限の武器は無いし、無限にするバンダナもないが、アレはその中でも例外中の例外、手元に戻ってくる武器だ。手にしていればそのまま殴ることも出来るし・・・・・

 

「俺も使いたかったな・・・・」

 

「馬鹿言ってないでさっさと行くわよ」

 

「何でシノのんは機嫌が悪そうなんダ」

 

 いや・・・俺が知りたいくらいだ。

 そこからは総員でHPバーをあっという間に削った、キングから離れればほぼ確実にブレスを放とうとしてくるのでそこにすかさずネズハのチャクラムが入る。

 必ずスタンする代わり背が高いため届かないという問題は解決され、ほとんど作業に近かった。

 でもなぁ・・・・

 

「なぁ、このままじゃレジェンド・ブレイブスにLAボーナス取られるよな」

 

「そうね・・・防具のお陰でずっと張り付いてられるし、命令もいざとなったら無視するでしょうし」

 

 はっきり言って気に食わない、このままいい気にさせたまま、戦況を狂わせたまま、LAボーナスまでやるのは何か腹が立つ。

 それにユウキは呆れたようだが、意外にもアスナは乗り気の様だ。

 

「子供みたいな言い分だね・・・でもじゃあどーすんのさ?」

 

「考えがあるなら乗るわよ?オウル君」

 

「一つな・・・タイミングはシビアなうえチャンスは多分一回だ・・・やるか?」

 

 一応聞いてみたが、答えは・・・・

 

 

「「「やる!」」」

 

 

 聞くまでもなかった。

 

 

「よし!F隊下がれ!H隊前進しろ!」

 

 言ってるそばからチャンス到来の様だ、

 

「全員合わせろよ?俺たちにしかできないだろうが、攻撃はこれっきりだろうから!」

 

「分かってるわよ」

 

「うん!なんかわくわくしてきた!」

 

「ユウキちゃんは元気ね・・・和むわ」

 

「お前らなぁ・・・・ったく、行ってこい!」

 

 ガードは任せましたよ、エギルさん。

 俺たち四人は駆け出す、F隊が下がりレジェンド・ブレイブスにタゲが移った。その間に背後に回り現時点で最強のソードスキルを食らわせる。

 

「ゼアァッ!!」

 

 レジェンド・ブレイブスより俺たちの方が平均レベルが高いのだろう、グンとHPが減りこちらを向いた。

 

 

「エギルさん!」

 

「おうよ!!」

 

 

 ムキムキの重装備を使ってる四人組が王のハンマー攻撃を止める、衝撃で硬直するが追撃は俺たちがさせない。

 

「今だ!!」

 

 そして俺が先行して、受け止めている四人を踏み台に突進ソードスキルを王冠にかます。

 

「「「「ハアァア!!!」」」

 

 俺が一番高く飛び、左右にシノンとユウキが広がり、アスナは下からそのまま突き刺す!

 

「BUMOOOOOOOOOOOAAA!!??」

 

 が、まだとどめを刺すには至らなかった、レジェンド・ブレイブスは大技の準備をしている・・・・・・が、ここまでは予想通り。

 恐らく攻略組でも俺たち四人しかこれは持ってないだろう、

 

「そぉい!!」

 

 自分の中で一番しっくりつつある掛け声と共に、四人で《閃打》を胸に放った

 

「BUMOO・・・」

 

 そしてボスはそのまま消え、俺の前にLAボーナス獲得のウインドウが出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり確信犯でしょ、貴方」

 

「イエ、偶然デス」

 

「怪しい・・・片言だし」

 

「油揚げをさらうのはトンビだけじゃ無いのかしらね・・・」

 

 三人から睨まれながらLAを確認する、将軍のLAはレジェンド・ブレイブスが手に入れたようだが・・・・まぁ、それ位は仕方ない。

 一層の時と同じく喝采が溢れる中で、俺はこれから起こることに対して心構えをした・・・・丸く収まるだろうか?収めてもいいのだろうか・・・・・・

 

「オウルさん!お疲れ様です!!」

 

「ああ、お疲れ、良い活躍だったよ。ネズハ」

 

 本当ならナーザと呼びたいが、まだだ。まだその時ではない。

 

「はい・・・・本当にありがとうございました・・・・思い残すことはもうありません」

 

 まさか・・・こいつ・・・やめろ、それはまずいんだって・・・!

 

「おい、ネズハ・・・「すまん、ちょっといいか?」!・・・」

 

 横から誰かが来た、背負ってる武器は店売りの物、然程強くなさそうなものだということは・・・・

 

「あんた、確か前線で鍛冶屋開いてた人だよな?どうしたんだ?その武器と防具は?そんなに儲かったのか、戦士に転向出来る程?」

 

 やはりか、気づけば喝采は聞こえない、痛くなるような静寂が広間を包んだ。

 レジェンド・ブレイブスの面々は俯いてる・・・・歯を食いしばっているのか、厳つい顔でオルランドだけが見ている・・・・

 

「で?どうなんだ・・・・・」

 

 少し間を置き、ネズハが真っすぐ見据えて言う、

 

「・・・・僕が、強化詐欺でシヴァタさんの武器を奪い、お金に変えてしましました・・・・」

 

 ・・・・・・・肌がひりつくような空気が流れ始めた・・・・詐欺の被害者はシヴァタだけではないだろう、ネズハの答えに何人かのプレイヤーも顔色がかわった。

 

「・・・・そうか・・・なら、金での弁償は出来るか?」

 

 弁償それは不可能ではない、レジェンド・ブレイブスが罪を認めればだが・・・・しかしネズハはそのまま膝まづき、

 

「・・・・いえ、もう全て使ってしまいました、高い宿やレストランで・・・」

 

 土下座で続けた。

 

「僕は、償えません。せめて煮るなり焼くなり・・・」

 

 ネズハ・・・・・・彼に非が無いわけではない、だがその大部分は止めずにそのまま続行させたレジェンド・ブレイブスにもあるだろう・・・・だがその罪を一人で背負うことを選んだ・・・・選んでしまった。

 

「おま・・・え・・・お前・・・・お前えぇぇぇええええ!!!!」

 

 攻略組の一人が怒鳴りながらネズハの胸倉を掴み強引に引き上げた、

 

「自分が何したか分かってんのか!!?ここで愛用の武器を奪うことがどれだけ重いか分かるだろ、普通!!なのに高い宿で寝ただ!?飯食っただ!?ふざけんなよ!!!挙句ボス戦割り込んでヒーロー気取り!?てめえ・・・どんな神経してんだゴラアアアアアアアアアァァァ!!!」

 

 元々荒っぽい性格なのか・・・いや・・だとしても、その言い分は正しかった。その叫びは確かにその通りだった。

 命を預ける武器、例え本質がデータでもありがたみを感じるプレイヤーは少なくない、むしろここに居るプレイヤーはほとんどそうだ。

 

「俺も・・・・俺も、武器無くしてもう戦えないと思ったんだぞ!?でも仲間がカンパしてくれて・・・素材集めも手伝ってくれて・・・・お前は攻略組全員の心踏みにじったんだ!!!」

 

 その言葉が切っ掛けだった、被害にあった奴、そうでない奴、だが皮肉なことにボス戦以上に心が一致し、怒号が一人に振り注ぐ。

 レジェンド・ブレイブスは、動けない・・・・・もしくは動かないのか。

 ディアベルが前に出る、そのことに気が付いたのか少しづつ声は収まっていった・・・・一時的な物だろうが・・・

 

「君の・・・名前は?」

 

「・・・ネズハです・・・」

 

 その顔は先ほどの歓喜は感じられない。

 見捨てられそうになってたにも関わらず仲間を差し出せず、かと言って罪からも逃れる気も全くない・・・・・・ふと何故か、その姿に、英雄とはこういうものか、と思ってしまった・・・・レジェンド・ブレイブスはまだ動かない。

 

「そうか、ネズハ君。君のやったことは許されることじゃない。カーソルはグリーンでも、いや・・・・だからこそ重いと言える・・・弁償が出来ないと言うなら、君が剣と共に奪ったみんなの時間と労力、同じ分だけ・・・・・・」

 

 流石のカリスマと口の上手さ、このまま進めばいいが・・・・・・

 

「違うッ!!」

 

 耳障りな声で誰かが叫んだ、フードで顔は見えないが恐らく俺をPK呼ばわりした奴だろう・・・・俺の場合は事実だったが・・・・

 

「そいつが奪ったのは剣と時間だけじゃない!!」

 

 わざとらしく体を振り動かし、ネズハを指さして言う、まるで呪うかのように。

 

「俺知ってる!・・・そいつが武器奪ったせいで今まで倒せてたmobに殺されたプレイヤーが居るんだ!!」

 

 しん・・・・・・と静まり返り、

 

「そんなのもう、詐欺師じゃねえだろ・・・・・」

 

「ピ・・ピ、 PKだ・・・」

 

 やはりこうなるのか・・・・そのつぶやきに便乗し、フードの男は金切り声で叫ぶ、

 

「そうだ!こいつも人殺しだ!!PKなんだ!どーすんだよお前!金くれーで許されるはずがないぜ、だって死んだ奴はもう帰ってこないんだからなぁ!!!」

 

 その声は何処か楽しんでる気がした、いや実際楽しんでるのだろうコイツとコイツのバックについてる黒ポンチョの男は。

 その叫びを皮切りに他の奴らも叫びだす、集団心理という奴か・・・・・・・・・しかし・・・・・・

 

「おめーどーすんだよ!どーやって責任取んだよ?えぇ!!?」

 

「・・・・皆さんのどんな、裁きにも従います・・・・」

 

「じゃあ死ねよ!!人殺しは人殺しらしく、処け・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごちゃごちゃうるせぇんだよ、そんなに人を死に追いやりたいのか?

 

 

 

 ムカつくな、俺の中にあったのは怒り一色だった、周りの事なんぞ全く頭になかった。

 全員が俺に視線を向ける、だが全く堪えない、緊張は無い、考えなしの馬鹿どもとさえ思える。

 

「大した奴らだな、オイ。こっちは正当防衛と少なからず周りに認められても罪悪感が消えねえのによ」

 

 シノン達も俺の豹変ぶりに驚いているようだ、だがそんな事は心底どうでもいい。

 

「お前・・・こいつのした事分かってないのか!?」

 

 フードの男が叫ぶが、

 

「だから殺すのか?意図的でなかった、にも拘らずお前は意図的に死に追いやるのか?そもそもそんなプレイヤーが本当に居んのか?名前は?仲間は?」

 

「えっ、いやっ、その・・・噂だから・・・」

 

 やっぱそんな物か、ますます苛ただしい。

 

「どいつもこいつも・・・・のぼせやがって・・・日常に帰るために戦ってんのに人殺しになってどうする?俺たちの行動が外部に全く漏れてない保証は無いんだぞ?その怒りは正しい、その嘆きも正しい・・・・で?処刑?豚箱にでも帰りたいのか?」

 

 被害者は兎も角、関係ない奴も何故便乗する?義憤にでも駆られたか?

 

「愚かだな!!!その一言に尽きる!!俺たちが生きてる世界が例えリアルだろうが、バーチャルだろうが、人の世であり人が叶わずとも平和を望む限り、人殺しが正当化されることは無い!!!」

 

 復讐?したけりゃ結構。地獄に堕ちる決意があるなら好きなだけしろよ、ただし生き地獄だがな。死にたくなったら一人で勝手に死ね。揃いも揃って一々喚き散らすんじゃねえよ!!

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 誰もが聞き入ってる。

 もはや怒りの気配は感じない、だがまだだ、まだ終わらない、終わらせない。

 

「そんなに殺したいか?」

 

「殺せ」と周りで叫んでた奴らに目を合わせる、だが全員無言で逸らす。

 

「そんなに血が見たいか?」

 

 剣を抜く、人の命を奪ったことがある、俺の罪を着せてしまった剣を。

 

「どうしてもと言うなら、俺がコイツの首を刎ねてやる!!」

 

 跪いたネズハの横に立つ、首に剣を添える・・・・・ネズハは、動かない・・・・・・身じろぎすらしない。

 

「いいんだな?」

 

 この場に居る全員に言い聞かせる様に、言う。

 

「こいつがなぜ態々ここまで来たのか・・・・しらばっくれることをせずに謝罪したのか・・・・全てに蓋をして、闇に葬って、英雄面・・・・」

 

 剣を握りしめて、上段に振りかぶる、

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いいんだな!!?それでも!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・すまなかった、ネズオ・・・・」

 

 オルランドと呼ばれてた奴の声が聞こえた。

 

「ネズオに・・・いやネズハに強化詐欺をさせてたのは俺の命令です・・・裁くなら俺も」

 

 そして全員が、レジェンド・ブレイブスが、鎧と武器を置いて()()()と共に額を地面にこすりつけた。

 

 




待っててくれた人、遅れてごめんなさい。そしてありがとう。
時間が空いてどうしよう?こうしよう?ああしたい!こうしたい!と悩んでたらこんなに時間が空いた上に、一万四千字、長ぇ!!?と自分でも思いましたが、これでも端折った方なので許してください。
こればかりは一話に収めたかった。
後日談的な物は次回に持ち越しです。

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