外伝~2~永い後日談のクトゥロニカ神話『一途な彼等』   作:カロライナ

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Episode11〖爆殺魔法〗-前篇

「てめぇ! オレ様の功績を話してやったら、勝手にいい気になりやがって!! 修復してまたバラバラにして、何度でも繰り返して狂わせてやる!! お前等、こいつらをバラバラにしちまえ!!!」

「だから、やれるもんならやってみやがれっていってんだよ! このクソアマァ!! テメーには色々聞きたい事もあるし、キツいお灸を据えてなんなきゃなんねぇみてぇだな!! 負けても吼え面をかくんじゃねぇぞ!!」

「「やっちまえ!!」」

 

 二人の怒声が地下の巨大空間中に響き渡る。

 爆雷は降ろしていたショットガンを引き上げると、迫りくるであろう犬達へ向けて盾を構え睨みつけた。

 ドッグテイマーは、なかなか戦闘態勢に移行しない犬達を罵りながら蹴っては怒声で鼓舞をし、3体のハウンドと2体のドギーボムを爆雷とラッキーに向けて走り出させることに成功した。

 

 

===戦闘開始========

【奈落】ドッグテイマー

【地獄】ドギーボム*2

【煉獄】ハウンド*3

【花園】

【楽園】爆雷、ラッキー

 

ーー1ターン目ーーー

 

COUNT11

ドッグテイマー/背骨

 

「てめぇをぶっ殺す前にそいつにも罰を与えねぇと…てめぇのようなクチの聞き方も知らねぇ反抗的な野良犬には、最初の見せしめが肝心だからなぁ。オラ!! 前に出やがれ! 脱走兵!!」

「がうるるる…」

「大丈夫だラッキー。俺に任せておけ」

 

 ドッグテイマーと爆雷、ラッキーまでの距離は200mもの感覚があるにも拘らず、ドッグテイマーの怒声はまるで目の前にいるかのように大きく響き渡る。そして走りだした犬達に指示を送るように犬笛を取り出すと、それを力いっぱいに吹き始め 右手でリモコンのような物を掴みあげるのだった。

 

 

COUNT10

ドッグテイマー/背骨

爆雷/神速の併せ

 

「人間を舐めんじゃねぇっつーの…神速の併せから八手で詰みじゃ!! ごふっ」

「キャゥン!? …きゅんきゅーん」

「おれに不可能はねぇ…だから、心配そうな声を出すな……お前はお前が出来る最善の行動を取れ…」

「ハッ!! 野良犬がイキがってんじゃねぇぞ! さっさとくたばれ!!」

 

 ドッグテイマーが犬笛でハウンドたちに指示を送っている間、瞬時に爆雷は口元に手を寄せ、印を結ぶ。爆雷でも何か決死の覚悟で無理をしたのかガスマスクの内側。目元側に赤い液体が飛沫し、顎付近の隙間からは鉄錆臭い液体がボタボタと流れ落ちた。それを心配そうな声をあげながらラッキーは気遣うが爆雷は最果てのドッグテイマーを眺めたまま不敵な笑みを作ってみせた。

 

 

COUNT9

ドッグテイマー/ほね 【奈落】→【地獄】

ハウンド*3/けもあし 【煉獄】→【楽園】

ハウンド4/けもあし 【奈落】→【煉獄】

ドギーボム*2/けもあし 【地獄】→【花園】

ハウンド【奈落】出現

ラッキー/ディレイ

爆雷/幸運*2

 

「ヒャハハハハ!! 出遅れた奴には多少なりとも懲罰が必要だよなぁ? ほらほらぁ! 嫌ならもっとキビキビ動きやがれ!!」

 

 ラッキーが爆雷へ気遣いしている間、ハウンドとドギーボムは一瞬にして2匹との間合いをゼロ距離まで詰め寄り、ドッグテイマーの隣では出遅れた新たなハウンドが先頭に加わったことで戦力が新たに強化される。

 しかし、そんな中でも見える限りの爆雷の余裕の表情が変わる事は無かった。

 

 

COUNT8

ドッグテイマー/ほね 【地獄】→【煉獄】

爆雷/8ゲージショットガン【ドギーボム,ドギーボム2】

ラッキー/あご

ドギーボム/トラウマスイッチ-ゾンビボム

ドギーボム2/トラウマスイッチ-ゾンビボム

爆雷/事前トラップ起爆

 

 刹那。巨大な爆音と共に、爆雷の目の前まで接近してきたハウンド2匹が、ドッグテイマーの足元辺りまで肉片が飛び散ったのだ。

 

「は? …は?」

「これが本来の爆薬の威力よ…ヘイ、マドモワゼル クレイモア地雷の御味は如何かな?」

 

 ドッグテイマーは犬笛を口元からポロリと落とし、信じられないと言った表情で、辛そうに脇腹を抑える爆雷を見据える。

 爆風によってハウンドが地面を転げまわり、目標物の1匹であったラッキーは爆雷が取り出したクリア板のような盾で衝撃の余波を遮られている。

 呆気にとられているドッグテイマーを他所に、爆雷の持つショットガンは正確にドギーボムを狙撃し、散弾はドギーボム2も巻き込み2匹を粉微塵に吹き飛ばしていく。

 

「テメー等は自分たちが大切に育ててきた相棒を上官の命令1つで殺したことがあるか?」

 

 瞬時に吹き飛ばされたドギーボムに備え付けられた爆弾が犬の死と共に起爆し、再び肉片が周囲に飛び散り血煙霧散した霧が、花園周辺の地面を赤黒く染める。

 

「一匹一匹、名前を付けて衣食住を共にし、困った時は互いを助けあった相棒を一方的に殺したことがあるか?」

 

 目の前のハウンドを睨みつけながら、ドッグテイマーへ向けて一歩大きく踏み出す。

 

「俺に幻覚を見せて惑わせようって魂胆があるならやめときな。テメーみたいなガキじゃ、訓練と称して相棒の肉なんざ食ったことがねぇだろ?」

 

 その人物はガスマスクの隙間から己の血反吐を溢しながら確実に接近してくる。

ドッグテイマーには『たかが人間。アンデットでもない、ただの人間と脱走兵が目の前に現れただけ。』といった認識があったのだろう。だからこそ相手の力量を見誤ってしまった。

 ここでドッグテイマーができることは…。

 

「ク、クソ、この役立たずが!!」

 

 悪態を付きながら逃走の準備を試みつつ、動かなくなった死体の肉片に対して鉛玉を浴びせることだけだった。

 ラッキーも果敢に接近してきたハウンドに嚙み付こうと飛びかかるものの、その攻撃は空を切る。ラッキーは目の前の犬に警戒しつつも、どこか恐れたような顔で爆雷の顔色を伺うかのように確認した。

 

「ラッキー、この犬は任せた。俺はあいつに肉体言語で話を付けてくる」

「わんっ!!!」

「…ヤバくなったら、即行にこっちへ来い」

「わんわんっ!!」

 

 しかし、爆雷はドッグテイマーのようにラッキーを怒る事はない。

 それどころか、攻撃を外したラッキーへ向けて掛けられた言葉は、彼の背後を護るように言いつけられたのだ。可能な限り明るい声色で吠えると返事を返し目の前のハウンドに対して唸り声をあげた。

 

 

COUNT7

ハウンド4/けもあし 【煉獄】→【楽園】

ハウンド1/セイバートゥス

 

 ドッグテイマーの横をすり抜け、新たに現れたハウンドは目の前で殺戮の限りを尽くす爆雷へ向けて接近していく。クレイモア地雷の餌食にならなかったハウンドもドッグテイマーの威圧を理解し積極的に爆雷を狙おうとするが、その行く手をラッキーが阻む。結局、ハウンド1が爆雷に攻撃を仕掛けることは叶わなかった。

 

 




【後書き】
ばっくさっつ♪ ばっくさっつ♪
らんらんらーん♪


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