Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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ぎ、ギリギリだったぁ……楽観視し過ぎてた。
4月に2部が始まりますね、アナスタシアがとてもとても楽しみでございます。当たるかな……

そういえばブラボがフリーになり、ユーザーが増えるやもしれませんがいったい何人の狩人が夢から覚めることが出来るのでしょうかね……



邪竜百年戦争オルレアン:エピローグ

 

 

 

 

 

 久方ぶりにはっちゃけ、聖杯という膨大な魔力リソースを利用しての聖槍起動というふざけた事をやらかし無事(?)に第一特異点を修復した俺は意気揚々とカルデアへ帰還したのだが…………その先にはオルレアン以上の熾烈な事が待っていた。

 

 

「聞いてるのかい?ランス」

 

「ん、あ、聞いてます」

 

「…………聞いてるとは到底思えないんだけど、そこのところどうだい?」

 

「い、いや、聞いてるぞ?」

 

 

 カルデアに帰還した俺を待っていたのはいつかの聖杯戦争で出会ったキャスターの様にのっぴきならないオーラを纏ったロマニ。流石の俺もそんな彼に逆らう事など出来ず、彼の命令通りに大人しく足を止めた。

 立香やマシュの心配するような表情、アストルフォやヴラド三世の苦笑、アルトリアの呆れた顔、キャスパリーグのまるでマーリンを見るかのような表情は割りと殺意が湧いたがともかく彼らが後にした管制室で俺は現在正座をしている。

 

 

「君は一応レイシフトによる調査隊のリーダーなわけなんだよ……その辺わかってるかい?」

 

「無論だ。リーダーとして、立香の先達として責任を感じている」

 

「……なら、独断専行はいったいどういう了見なんだい!?」

 

「反省はしているだが後悔はしていない」

 

「割とガチで殴り倒そうか!?」

 

 

 そもそも騎士として乙女を助けるのは至極当然の考えでそこを責められるのは少し遺憾の意を示したいところなのだが。

 

 

「別に彼女を助けた事は僕も流石に責めないよ……でもね、助けたなら一緒に逃げる事も出来たはずじゃないのかい?」

 

「敵サーヴァントには麗しの狩人アタランテがいた。彼女の逸話を考えると宝具ではない俺のシフでは逃げるのは難しいと判断した」

 

「なら、アタランテだけでも倒して離脱できたろ?」

 

 

 いやまあ、それもそうだが……。

 

 

「それとも何かい?息子もとい娘にカッコいいとこでも見せたかったの?見せてないけども、ねぇ?」

 

「い、いや、そんな下心はなくてだな……」

 

「じゃあさっさと退去しろよ」

 

「お前だんだん口調崩れてないか!?」

 

 

 何故にお前もまるでマーリンを見るかのような顔をするんだ。泣くぞ、おい。

 というかいまこいつ、退去しろよって言わなかったか!?撤退じゃなくて退去!?俺に消えろとお前は言うのか!?

 

 

「それで?聖杯を奪取?うん、まあ、それはレイシフトの目的だから文句は言わないよ……でもね?」

 

「………………」

 

 

 ロマニは一度言葉を切り、呼吸を整え一歩前に出た。

 

 

「なんで、それを使ってリソース確保に聖槍ブッパするかなぁ!?」

 

「おま、やめ、揺らすなぁ!?」

 

 

 ロマニは堰を切ったかの様に怒涛の勢いで俺の肩を掴んで前後に揺らしてくる。鎧兜を付けたままの俺は前後に揺れる事でところどころ顔が兜にぶつかり、脳が揺れて痛く気持ち悪くなってくる…………辛。

 

 

「サーヴァントとしての時ならともかく、君今受肉してるんだよ!?そんな状態で聖槍を使うなんて、いったいどんな副作用が起きるかも分からないのにさぁ!?」

 

「おい、ロマ、二……だんだん言ってる事が変になって、るぞ……」

 

「そもそも、君という奴は自分が受肉したサーヴァントだからってほいほい前に出過ぎなんだよ!わかってる?君は一応カルデアのマスターの一人なんだ、そんな君がもし倒れたらどうするっていうのさ!!」

 

 

 いや、マジですいません。

 というかそろそろ手を離してくれ、割りと辛い。

 

 

「いいかい!?人理修復中に君が倒れたら、立香ちゃんやマシュの精神的負荷が重くかかるんだからね!?」

 

「わか、ったか、ら……そろそろ……はな、せ」

 

「もっと君は自分の立場とか影響を考えてくれないと困るんだよ……」

 

「あ、はい」

 

 

 言いたいことは全て言い切ったのかロマニは俺の肩を掴んでいた手を離したがしかし、それなりの勢いと時間揺さぶられ続けた、ため、か……俺の、意識が…………ガクッ。

 

 

「え、ちょ、ま、メディィック!!メディィィィィィックゥゥゥウウウ!!!???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……知ってる天井だ」

 

「ネタを回収しなくていいからねランス」

 

 

 医務室の天井を見て零したランスロットの言葉にロマニは呆れたように笑う。

 そんなロマニなど気にもとめずにランスロットは医務室の寝台から起き上がり勝手にコーヒーを入れ始める。

 

 

「………………」

 

「………………それで?」

 

 

 コーヒーを数口飲んだランスロットは寝台近くに置かれていた自身の兜を持ち上げ見ながらロマニに言葉を投げかける。それは普通の人では気づかないようなロマニの差異に気がついたランスロットだからこそ出せる言葉。

 そんなランスロットにロマニはいつもの弛緩した表情ではなくカルデア所長代理と同時に医師としての真剣な表情を向ける。

 

 

「……そうだね。ランスロット、君が寝ている間に出来うる限りの検査をさせてもらった」

 

「…………」

 

「聖杯と接続してのリソース確保に受肉した身による聖槍の真名解放……前者は君が魔術使いであったからそれなりにマシだった……だがそれでも両方共に君の魔術回路に大きなダメージを与えている」

 

 

 君の受肉が聖杯によるものならともかく別の方法だった故の不具合だよ。カルテを渡しながらそう呟くロマニにランスロットは済まなそうな表情をせずただ騎士として自分の身を切り捨てる冷静な表情でカルテに目を通す。

 

 

「…………」

 

「聖槍はもう片手で数えれる分しか撃てないと思った方がいい、ついでに言うけどその数えれる分ってのはそこまでなら大丈夫じゃなくてその範囲のどれかって事だからね」

 

「よくて四回、最悪一回……そういうことか」

 

 

 実質もう撃つなと言っているようなものだ。撃っても本当にここぞという時だけ…………ランスロットは思考しそういう状況を頭の中で羅列する。

 バビロニア……あの獣相手に通用するとは思えない。

 キャメロット……確かにあの槍に対抗する為に使えるやもしれない。

 そして終局特異点、魔神柱を吹き飛ばす程度だろうせいぜい。

 何時槍を放つか分からない。ならば当分は使えないだろう。

 

 

「あの娘たちの精神的負荷を考えれば戦力低下になるとしても聖槍の使用は禁止だよ」

 

「仕方の無い話だな」

 

「そして、君の魔術回路の調整やらなんやらを考えれば……君には何度かレイシフトを休んでもらう」

 

「何?」

 

 

 レイシフトを休む、それはつまりマシュや立香に何度か任せるという事だ。

 だが、しかしそれは……二人に負担を強いる事で。

 

 

「君の言いたいことはわかる。でも、人理修復には何時何処でどのような不測な事態があるかは僕にも君にもわからない。結果的にそうなっただけだけど、君に頼り切りになるのも駄目だろう」

 

「…………成長の為、と」

 

「ああ。それと別にあの娘たちだけってわけでもないだろ?サーヴァントもいるんだ」

 

 

 ロマニの言葉にランスロットは目を閉じ、思案する。といってもランスロットとしては第五や第六、第七で身代わりになって死ぬ可能性を考えている為にロマニの言葉に殆ど賛成であった。

 自分がいなくなっても大丈夫なように。

 

 

「……了解した」

 

「うん。ありがとう、というわけで次の特異点には君は同行できない。わかってると思うけど君がレイシフトしない以上君と契約している二騎のサーヴァントもレイシフト出来ない」

 

「分かっている……せいぜい、スタッフの為に甘味やらなんやらを大人しく作っているさ」

 

「あ、じゃあショートケーキ宜しくねランス」

 

 

 わさび入りのシュークリームを用意してやる、戯け。そう吐き捨てランスロットは医務室を後にした。

 

 

 

 

 

「えぇ…………って、あれぇ!?僕の楽しみにしてたあんドーナツがないぞう!?」

 

 

 





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次からは暫く幕間が続くので少し気が楽です

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