Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
投稿期間空きすぎてすんませんでした!
一回半分までいったんですがそれを一回消して書き直したり忙しい事があって遅くなりました。
にしてもセイレムよかったですね。クトゥルフまったく知らなかったんですけどね!そして待ちに待ったエレちゃん!ありがとう!
街から離れたランスロットとジャンヌ、ゲオルギウスはそのまま街道を移動していた。
さて、街へワイバーンを率いるジャンヌ・オルタが向かった以上、その群れから漏れ出たワイバーンが近辺にてさ迷っているのは当然と言えるのだろう。
『────!!』
『────!』
「たァッ!!」
「ハアッ!!」
「ふん」
群れよりはぐれたワイバーンが街道を移動するランスロットらのもとへ襲いかかっていた。無論、サーヴァントである三騎からすればもはや容易くワイバーンを蹴散らしていく。
「…………」
『────!?』
とりわけ大きなワイバーンを切り落としたランスロットは剣をしまいつつ何やら浮かない顔をしていた。ランスロットの近くにいたゲオルギウスはその表情の意を察したのかランスロットへと近づいていく。
「悔いているのですか、ランスロット殿」
「聖ジョージ。……気にしないでくれ、いやそれよりも聞きたいことがある」
「……なんでしょうか。それに私の事はゲオルギウスで構いませんよ」
浮かない表情を払い何かを決めた顔になってランスロットはゲオルギウスに向き直る。
「では、ゲオルギウス。あなたはライダーと言った…………ならば足は呼べるだろうか」
「無論、我が愛馬ベイヤードは私の宝具にもなっています。呼ぶことは可能ですよ」
ゲオルギウスの返答にランスロットは頷くと虚空からサーヴァントが現れるかのように一頭の灰色の駿馬がその姿をあらわした。
「……なるほどそういう事ですか」
「こう、言ってはなんだがマリーは俺やあなたのような戦闘系のサーヴァントではない。言いたくはないが、もしかしたらもう竜の魔女の配下のサーヴァントに倒されている可能性もある…………故に馬に乗って出来るだけ早く待ち合わせ場所に戻りたい」
「わかりました。では聖女は私と共にベイヤードに乗ってもらいましょう」
そちらの駿馬は宝具というわけではない様ですしね。そんな風に言うゲオルギウス、しかしその表情はランスロットの内を理解しているようなものだった。
ランスロットもそれを理解してるのか頷き、ジャンヌを呼び寄せる。
「あ、どうしましたランスロットさん」
「ジャンヌ。より早く待ち合わせ場所に行くためにゲオルギウスと私の馬に乗って行くんだが私のシフはゲオルギウスのベイヤードのように宝具ではなくてな」
「はあ……えっと」
「こう乙女に言う言葉ではないんだが速さの問題で君はゲオルギウスの馬に相乗りさせて貰ってくれ」
「────」
普通に失礼な事を言ったランスロットにジャンヌは一瞬固まる。しかしそんなジャンヌを他所にゲオルギウスはベイヤードを呼び寄せる。
「────……ラ、ランスロットさん……」
「いや、本当にすまない……だが今はジークフリートの為にも急いで戻る必要がある。帰ったら非難を甘んじて受けよう」
「お二人とも」
ゲオルギウスの催促を受けジャンヌはゲオルギウスの手を借りてベイヤードの背に跨り、ランスロットはシフの背に跨った。
その後は何も互いに言わず愛馬を目的地へ向けて走らせる。
この時、ふとジャンヌは啓示ではないが何やら嫌な予感を覚え後方のランスロットを振り返り────
────────────────
────ガキィッン!!
ランスロットらが離れてしばらく経った頃、街に金属が弾かれたような音が響いた。
いや、弾かれたようなではなく本当に弾かれたのだろう。
「そんな、馬鹿な…………!?どうして僕が打ち負ける!?あの時から何人も殺して何倍も強くなったのに、どうして……!?」
「哀しいわね、シャルル=アンリ・サンソン。再会した時に言ってあげればよかった」
街にはワイバーンの群れとマリーの目の前に姿を現したサーヴァント────シャルル=アンリ・サンソン。どうやら既に戦闘は行われたのだろう。マリーもサンソンも互いに肩で息をしている。
そんな中、弾かれたのだろう剣を見て現実を理解出来ないかのようにマリーに、自分自身に問いかけるサンソン。その姿は見ていて哀しいもの。だからこそマリーはそんなサンソンに言葉をかける。
「あの時、既にあなたとの関係は終わっていたって。
だって、本当に────あなたの刃は錆び付いていたんだもの」
このフランスで多くの人間を殺してきたサンソンは確かに殺人者としての切れ味を増していった。だがしかし
「殺人者と処刑人は違うのよ、サンソン。人を殺すのが巧くなれば巧くなるほど────」
一息間を空けてマリーはサンソンに告げる。
「罪人を救うという、
あなたは竜の魔女についた時点で、もうわたしの知っているサンソンではなかったのね」
「嘘だ……違う、そんなはずは……!!ずっと君が来ると信じていた!だから腕を磨き続けた……もう一度君に会って……」
告げられた言葉はサンソンにとってあまりにも辛い現実。サンソンはそんな現実を否定するかのように言葉を紡いでいく……だがそんな姿はもはや見るに堪えないものだ。
「もっと巧く首を刎ねて────もっともっと、最高の瞬間を与えられたら!!」
縋るようなサンソンの言葉にマリーは首を横に振り
「…………もう、本当に哀れで可愛い人なんだから。わたしはあなたを恨んではいない。
はじめからあなたは、わたしに許される必要なんてなかったのに」
「ぁ…………ああ、あ────」
マリーの言葉に膝を着くサンソン。
もはやサンソンは再起不能、故に出張ってくるのは彼女以外ありえない。
「……大きくなるのは長いけど小さくなるのは存外早いものなのね」
「ごきげんよう、竜の魔女さん。ずいぶんと遅い到着でしたのね」
黒いワイバーンより降りて現れるのは竜の魔女。すなわちジャンヌ・オルタその人である。
自身の手駒が敗れた事によりその表情を苦渋に満ちたものにした彼女にマリーは挨拶をする。それにジャンヌ・オルタは少し苛つくが流してみせる。
「……
「あら、てっきり馬鹿馬鹿しいなんて言うと思ったのだけれど……」
ジャンヌ・オルタの零した言葉にマリーは目を丸くする。それも当然か、見て知ったジャンヌ・オルタの性格からして馬鹿にするのだろうと思っていたのになんとも違う事を言ったのだから。
「ふん、流石の私も敵の評価ぐらい改めます。ええ、わかっていますとも……ですから貴女がここにいる理由も察せれる」
「意外、気にしないと思いました」
マリーは彼女と言葉を交わしながら違和感を感じていた。何かが違うのだ。
「さて、まずは貴女を殺しましょう。あの騎士の事です────来るでしょうしね」
「あら、どうしてそう思うの?」
「湖の騎士、アレこそが最大の障害。彼女以上に私にとって壁となりえる…………」
だからこそ、保険を置いておいたのだから。
その言葉を口にしようとしたが飲み込み、ジャンヌ・オルタはその手の旗の先端をマリーへと向ける。
それにマリーはサンソンとの戦いで消耗したにも関わらず構える。
「さぁ、焼いてあげる」
────────────────
「────ふむ、存外変わらんようだな汝も」
「何のことだ」
灰の駿馬シフに跨るランスロットは聖剣と大盾を持ちながら眼前のサーヴァントを見る。
街の門の上にて一人佇むは翠緑の衣装を纏った野性味と気品を併せ持った少女。しかし、彼女から感じる尋常ではない雰囲気から彼女がバーサークしているのは見て取れる。
彼女はその手に弓を持ちながらランスロットにまるで知己と出会ったかのように話す。
「む、覚えていないのか────いや、あの時の汝は……まあ、いい。私とてそこまで憶えているわけではないのだからな」
「…………それで貴様は竜の魔女のサーヴァントでいいんだな?」
「ああ、不本意だがバーサーク・アーチャー、真名をアタランテ…………うむ、今こうして話している間も狂化を抑えている」
彼女、アタランテの言葉からランスロットはその意を察しシフに魔術を行使する。
アタランテというサーヴァントの知識があるランスロットはシフを駆けさせる。彼女が狂化を抑えているうちに仕留めねばその敏捷を活かして翻弄されるだろうとわかっているから。
そして何より、騎士として彼女を見殺しにするわけには行かぬから
「故に退けよ、アーチャー!」
「やってみせろ、ランサー!」
放たれた矢をランスロットの大盾が弾き、戦闘が始まった。
今回のでオルレアン編が長いことに気が付きました。なので少しこっからは詰めると思います。なんかこれ以上のんびりしていると来年になりそうで怖い。あと正月大晦日番外を書くためにも
久々にZ/Xやろうとしたら家近辺のショップからZ/Xが軒並み消えていた事が悲しい。皆さんZ/Xで好きなキャラいますか?カノープスとルクスリアが好きです