Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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少しずつ調子が戻ってきたと感じるこの頃。
EXTRAアニメ、李書文先生はバーサーカー参戦なんですね。となるとアサシンはどうなるんだ?

セイレムはやすぎんよぉぉぉ!!??
アレだろ?ニコ生火曜だけど配信ニコ生後でしょ?間違いなく
あとあのサーヴァント、ラブクラフト何じゃないですかねぇ




ヴィヴ・ラ・フランス

 

 

 

 

 

 

『え、あ、み、耳がァァァァァァ!!!???』

 

「────ッ”!?」

 

「「ァ────」」

 

 

 通信機から響く立香の悲鳴とそれ以上の何かがランスロットとマリー、ジャンヌの聴覚を襲う。

 ドラゴンの咆哮もサーヴァントを怯ませるには十分以上であるがしかし、いま通信機から響いているソレはドラゴンの咆哮すらも霞む程の恐ろしきおぞましき冒涜の嘶き。

 ランスロットは経験上、ドラゴンとはいかずともそれなりに様々な幻想種と戦った経験がある。中には蝙蝠が異常発達したような幻想種や視覚が退化し聴覚などに特化したドラゴンもどきなど、どれもが音が強力な幻想種だった。

 だがそのどれもがソレの前では霞んでしまう。

 

 これにはランスロットも通信機を落とし、耳を塞いでしまう。

 というより一級サーヴァントなどの聴覚にダメージを与えるとかほんとあの自称アイドルは何なのか。そろそろそのおぞましさを自覚してほしいものである。次のハロウィンはどうかチェイテでない事を強く願うばかり、

 

 

「ッ”ァ”……ダァ!」

 

 

 もう耐えられんとばかりにランスロットは通信機の通信を切る。

 それによりソレは通信機から聴こえなくなったがいまだに耳にソレが反響してランスロットらは辛い。

 ついでに言うならばソレはランスロットの胃痛にかなりのダメージを与えていた。絶賛ランスロットの喉は血塗れである。

 

 

「…………ジャンヌ、マリー大丈夫か?」

 

「…………大丈夫、です」

 

「きゅう……」

 

 

 ジャンヌとマリーの様子を見るランスロット。ジャンヌは大丈夫だと言うがその顔色は青く、マリーに至ってはジャンヌに寄りかかりほとんど気絶に近い状態である。

 そんな状況を見て、ランスロットは心に決めた。

 

 

「(よし、エリザベート・バートリーをたたっ切ろう)」

 

 

 ランスロットは激怒した。必ずや彼の邪智暴虐なる鮮血魔嬢を尽く滅ぼすのだ、と。

 滅尽滅相である。

 

 

「とりあえず、マリーは俺が担ごう」

 

「はい、お願いします」

 

「あぅ……」

 

 

 そう言って全身鎧から軽装の姿に変えてマリーを背負うランスロット。

 その背に柔らかいものが触れる。きっとこれがランスロットではなく本来のランスロットや弟エクターなどなら内心喜悦に包まれようがこのランスロットはそういうモノは湧かない。というか胃痛諸々によってそんなの気にしてられないのである。

 

 

「(……というかこんなグロッキーな状態でゲオルギウスに会うのか?……会うまでに元に戻ってほしいものだが…………エリザベート・バートリーだからなぁ)」

 

 

 ランスロットはただ回復を祈るばかりである。ランスロットらよりも近い場所でソレを食らったであろうアルトリア・オルタらの心配はまったくせずに。

 哀れ彼女らは犠牲となったのだ。

 

 

「あ、……ラ、ランスロットさん」

 

「どうした、ジャンヌ」

 

「街です……」

 

 

 ジャンヌの指差す方を見ればそこには街が見えた。普段なら喜ぶが今のランスロットにとってはもう少し後にして欲しかったとしか言えない。

 これから会うのは聖人だ。流石に聖人にこんなグロッキーな状態で会うというのは宗教人ではないランスロットでも遠慮したい、という心境があった。

 

 

「……何となくサーヴァントがあそこにいるのはわかるが……」

 

「……はい、こんな状態で会うというのは……少し」

 

 

 ランスロットの言いたいことをジャンヌは察し、少し深呼吸をし始める。ランスロットはそれを疲れたような表情で見ながら、背負っているマリーに苦し紛れの魔術により回復を行使する。

 

 

「…………致し方ない。仮にいるであろうサーヴァントが聖人だったならこの状況を咎めないだろう。何、特異点である以上戦闘があるのは仕方ないこと…………きっと、都合の良い解釈をしてくれるだろう…………たぶんな」

 

「…………そこは断言してくれませんか、ランスロットさん」

 

「それは無理な相談だ」

 

 

 ジト目でランスロットを見るジャンヌにランスロットは肩をすくめる。

 そんなランスロットにジャンヌはため息をつき、街へ向かっていく。

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

 

 

『はい、とりあえず二騎のサーヴァントに事情を話して協力の了承を貰えました』

 

「そうか……こちらも丁度サーヴァントと対面できた」

 

 

 街へと入り、再度かかってきた通信に出るとマシュからあちらで出会った二騎のサーヴァント、清姫とエリザベート・バートリーを引き込むことが出来た旨を伝えられ、俺は笑みを浮かべて目前のサーヴァントを見る。

 

 

「そちらで止まってください。何者ですか」

 

 

 赤銅色の鎧に竜頭を模した鎧飾りを肩に付け、その反対側の肩には赤線の引かれた白布の飾りを付けたサーヴァント。すなわちゲオルギウス、聖ジョージと崇められる聖人のサーヴァントが俺たちの目前数メートル先でこちらに制止を呼びかけていた。

 

 

「こんな状態で失礼。私は真名をランスロット・デュ・ラック、本来はサーヴァントですが此度は諸事情により受肉している身です」

 

「……なるほど、確かに通常のサーヴァントとはどこか違う。それに狂化もされていないようですね」

 

「ええ、彼らと戦う側です。それからいま背負っているのがマリー。私とは別口でこのフランスに召喚されたサーヴァント、クラスはライダーです。そして彼女が────」

 

 

 あくまで相手は聖人。それに初対面である為、何時もの口調ではなく整えたものを使う、何か見破られそうな予感が無いわけでもないが気にしないでおこう。

 それにしてもマリーはいつ気がつくのだろうか。

 

 マリーの紹介の後にジャンヌを示すとゲオルギウスは察したのか頷き

 

 

「なるほど、彼の聖女ですか。……名は伏せておいた方がよろしいでしょうね」

 

「御配慮感謝します。して、この街はどうやら既に襲撃されたように見受けられますが」

 

「……ええ、この街も既にあの邪竜と魔女に襲撃をされました。一度目は私がどうにか退散させましたが次はないでしょう」

 

 

 ジャンヌがオルタとは違うと分かってくれたのか彼はジャンヌの名前は聞かないでおいてくれた。流石は聖人、見る目というかなんというか良い人だ。

 さて、やっぱり襲撃されていたか。街へと入る時に外壁などが焦げかけていたり、内部の建物にも一部壊れたような部分が見受けられたからそうなのだろうと思ったが本当だったようだ。

 

 

「…………流石ですね。彼の邪竜と魔女の一派を御一人で撃退なさるとは、さぞや高名な英霊とお見受けします。よろしければ名をお教え頂けませんか?」

 

「────私としたことが、貴方がただけに名乗らせ自分が名乗らないなどという事をしてしまうとは失礼…………我が名はゲオルギウスと申します」

 

 

 俺の台詞で自分が名乗ってなかったことに気がつきやや赤面するゲオルギウス。

 その名を聞いて何か納得するジャンヌ。

 よくよく考えればゲオルギウスについてそんなに知らないな、俺。ゲオルギウスについて俺が知ってるのはアスカロンっていう槍だか剣だかを使ってドラゴンを殺し最終的に殉職した聖人というものぐらいだ。カルデアに帰ったら一度調べてみるか。

 

 

「聖ジョージ!……どうか私たちと共に来ていただけませんか?仲間に掛かった呪いを退散させねばならないのです。ですが、複数の呪いが絡み合っているため貴方と私が揃っていなければ…………」

 

「なるほど、事情は理解しました」

 

 

 

『────────!!』

 

 

 …………いまの嘶き、ワイバーンか。数はそれなり…………いや、まてこの感覚は

 ん?

 

 

「んん……」

 

「気がついたかなマリー」

 

「え、ええ……ありがとう」

 

 

 ジャンヌとゲオルギウスが話し合っているあいだに気がついたマリーを背中から下ろし、少し魔術で彼女の体調を確認する。

 どうやら後遺症は無いようだ。

 

 

「えっと、いまは……」

 

「とりあえずは件のサーヴァント、ゲオルギウスには出会えたが……どうやらワイバーンが、いや魔女が来たようだ」

 

「────それは」

 

 

 

「ええ、市民の避難がまだ間に合っていません。私はここの市長から、彼らの守護を任されています。その願いを全うしなければ────私が聖人でありたい、と願うことも許されない」

 

「でも……!!」

 

 

 マリーに手を貸し立たせる。どうやらジャンヌとゲオルギウスで少し言い合いになっているようだ。

 だが、ジャンヌ。彼は君と同じ聖人とうたわれるサーヴァントだ、簡単に折れるわけがないぞ?

 

 

「……わかっています。残れば死ぬでしょう。

しかし、それでも────見捨てるわけには」

 

「ゲオルギウス様ったら、頭も体も堅い殿方ですのね」

 

 

 ────おい。

 

 

「なんですと」

 

「でもそんなところが大変キュートです。わたし、感動してしまったみたい。

ですので────どうか、その役目をわたしにお譲りくださいな」

 

「え…………」

 

 

 堪らず俺は天を仰ぐ。

 

 

「わたしはフランスの王妃。ここからは『未来』でも、わたしにとっては『過去』も『現実』もそれほど違いはありません。

市民を守ることはわたしにとっても大切な使命。ですので聖人ゲオルギウス、ジャンヌ・ダルクと共に仲間の呪いを解いてください」

 

 

 言ってしまったな。如何にファヴニールが既にいないとしてもこのまま彼女だけを残せば…………。

 

 

「マリー・アントワネットの名にかけて。この街は、わたしが必ず守りますから」

 

「ま、待ってください!

待って、ねぇ、待って!マリー!」

 

「マリー、一緒に戦いましょう!

ひとりは駄目でもふたりなら────」

 

「駄目だ」

 

 

 俺はジャンヌの嘆願に容赦なく却下の意を示す。俺のその言葉にジャンヌはこちらを振り向く、その表情からは何故どうしてという意思が感じられる。

 

 

「ええ、ランスロットさんの言う通り、それは駄目よ」

 

「マリー……!」

 

「ゲオルギウス様、それでよろしくて?」

 

 

 …………。

 

 

「……貴女が、それでいいのならば。私はこの役割を伏してお譲りいたしましょう」

 

「……マリー…………」

 

「じゃあ行って、ジャンヌ。ほんの少しだけど、貴女の旗の下で戦えて本当に光栄だったわ……ランスロットさん、お噺で聞いた湖の騎士と共に戦えてよかったわ」

 

 

 言葉を出さず俺は頷く。

 

 

「うん。待ってますから……」

 

「ええ、すぐに追いつくわ」

 

 

 彼女のその言葉を最後に俺はジャンヌとゲオルギウスを引き連れこの街より離れるべく行動を開始した。

 

 

 

 





はよ、エレイン動かしたい
はよ、ガウェインと絡ませたい

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