Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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とりあえずフランスの流れは完全に浮かびました。
ええ、気合いですよ。腕?多少不都合がありますがまあなんとかなります。
今月中にどれだけ進めれるか……!!


リヨンの戦い

 

 

 

 

 

『すまない、ちょっと僕から提案がある』

 

 

 カルデアからの通信、ロマンが言った言葉に俺はすぐさま返答した。

 

 

「提案?なんだ」

 

『……今の戦闘を見て少しね』

 

 

 投影ディスプレイに映し出されているロマンの顔には苦々しい表情が張り付いている。

 先の戦闘とその表情から俺はロマンが何を提案したいのかを察した。そして、それがどれだけ口にするのが辛いのかを。

 

 

「……ロマン」

 

『うん、わかってる。でも、これはカルデアの司令代理として言わなくちゃいけないことだ』

 

「…………」

 

 

 ロマンは苦々しい表情から一転、心に決めた表情となった。ああ、まったく……お前という奴は。

 

 

『……バーサーク・ライダー、いや聖女マルタとの戦闘。彼女の宝具であるタラスクをランスロットとアルトリア・オルタが抑え、彼女をマシュたちが受け持っていた……でだ、第三者として、司令代理として見て僕は戦力の増強を提案する』

 

「え?」

 

「……ドクター!待ってください、それは……!」

 

「うん……まあ、しかたないね」

 

 

 ロマンの提案に各々が違った反応を示す。

 立香はいまいちわかっていないようでポカンとしており、マシュはその意味が分かったのか咎めるように止めようとする、アストルフォはロマンの言葉の意味がわかったうえで仕方ないと言う。離れたところで見ているヴォルフガングとマリーは自分たちの実力不足がわかっているのか他人事のように笑い、申し訳なさそうにしていた。

 そう、ロマンの提案はただの戦力増強ではない。

 現地でヴォルフガングやマリー、ジャンヌのようなはぐれサーヴァントによる戦力増強ではなく俺と立香によるサーヴァント召喚の戦力増強。

 

 

「…………その、ランスロットさん、どういう意味なんでしょうか」

 

「……カルデアの実験場で召喚すればそのままサーヴァントの宝具などの魔力はカルデアもちですみ、マスターの魔力はサーヴァントの維持だけですむ。だが……現地での召喚はカルデアからの魔力供給はなく全てマスターが賄う必要がある」

 

「そうですッ!先輩やランスロットさんにこれ以上負担は……!!」

 

 

 そう、マシュが止める理由は俺や立香にこれ以上の負担をかけさせないため……だが

 

 

「……待ってマシュ」

 

「先輩……?」

 

「私は大丈夫。ううん、このフランスの先にはもっと過酷な特異点があるでしょ?なら、それぐらいどうってことない」

 

 

 ……まったく、頼もしい限りだ。

 だがな……

 

 

「ロマン、呼符を転送しろ。サーヴァントを召喚する」

 

「ランスロットさんッ!?」

 

「ランスロットさん……」

 

「だが、召喚するのは俺だ」

 

 

 魔力はあまりある。サーヴァントはアストルフォとマシュを抱える立香と違いアル一人。

 ならば、俺がやろう。未だここはフランス……第一の聖杯。こんなところでそんな負担をかける気は無い。

 

 

『……ランスロット、いいのかい?』

 

「ああ、問題は無い」

 

「ランスロットさん……」

 

 

 俺はカルデアから転送された呼符を掴む。

 立香の心配するような声に俺は気にするな、とこぼし呼符を構える。

 

 

 呼ぶのは攻守共に優れたサーヴァント。

 

 それは俺とアルが敵に集中している間、マシュと共に立香などを護っていることが出来且つ共に前線で戦うことが出来るのを望んでいるため。

 魔力が吹き荒れサークルを構成していく。

 

────胸に浮かぶは一人の護国の鬼将。

 

 

 さあ、来い────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

「フハハハ!!不信心者よ、己の罪を悔いながら煉獄に焼かれるがいい!!」

 

「ヴラド先走るな」

 

 

 はて、どうしてこうなった。

 望んだのは星五バーサーカーなヴラド三世だというのに召喚されたのは星四ランサーなヴラド三世とは。

 いや、十分強いからいいのだが。何よりこの特異点には悪属性が多いので宝具が刺さるからとても頼もしいのだが、しかしバーサーカーよりもバーサークしている為とても不安だ。

 というかアルとぶつからないか不安だった。

 でもまあ、どうやら心配は杞憂だったようだがまだわからんて。

 

 

「おお!スマンな友よ、だが此奴は正しく悪であった。なれば串刺さねばならんよ」

 

「それはわかる。だが、いきなりいくな」

 

「ふむ……うむ、善処しよう」

 

「頼むぞ……」

 

 

 よもや振り回す側に今回は行くと思ったら、未だに振り回される側だったとは…………もはや逃れられないようだ。

 と、首を薙ぎ飛ばされたファントム・オブ・ジ・オペラは消滅し、あまりに唐突な事だった為に唖然としている立香たちがいた。

 なるほど、ファントムが出てきた所だったのか……憐れファントム。

 

 

「大丈夫だったか」

 

「え、あ、はい」

 

「うわぁ、一撃だよ一撃」

 

 

 あまりにアレだった為かアストルフォは呆れたように笑う。ぎこちないぞ。

 と、そんな時に

 

 

『ああ、やっと繋がった!!全員撤退を推奨する!!サーヴァントを上回る超極大の生命反応だ!!』

 

「────ああ、なるほど」

 

 

 響き渡る切羽詰まったロマンの通信越しの声に狼狽えるマシュたちを他所に俺は……いや、俺とアルにヴラドはロマンが言っているそれに勘づく。

 知識があるからというのもあるが……近づいてきているソレは確かに分かっている。

 俺もアルもその中で最大級のソレとやりあった事がありヴラドはヴラドでなんとなくソレが何なのか理解しているようだ。

 

 

「友よ」

 

「ランス」

 

「ああ、わかっている。マシュ!立香!」

 

 

 いつの間にかにマリーらが合流してロマンから色々と聞いていた立香らに俺は声をかける。

 

 

「「はい!」」

 

「竜殺しはお前たちに任せる。ヴラドは立香たちについて行ってくれ」

 

「友よ、そなたはどうする───いや、愚問であったな。任せよ」

 

 

 ヴラドは俺の指示に頷く。深くは聞かないで察してくれるのは頼もしい。

 

 

「ロマン。俺とアルはいい、竜殺しの場所を集中して頼む!」

 

『ッ……わかった!』

 

 

 ロマンが立香らに情報を伝えていき立香らは竜殺し……ジークフリートのいるであろう方向へと向かっていく。俺は共に残ったアルへと視線を投げかける。

 

 

「いけるか?」

 

「当たり前だ……だが、いまの私では駄目だ。用意はしておけ」

 

「……わかった。何時でもやれる用意はしておこう」

 

『────!』

『────!』

 

 

 空を見上げる。

 空にいるのは何十体ものワイバーンで構成された群れ。

 構えるのは弓ではなく無毀なる湖光。盾はいまは必要が無い。さて、本命が来るまでの暇潰しと行こうか────

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 それは蹂躙だった。

 

 空間が置換され、固定された大気は足場と変わり、そこを二人の騎士が跳躍する。

 飛行というアドバンテージがすぐさま意味の無いものと変わったワイバーンたちは抵抗しようともその前にその首を、翼を、胴を割られていく。

 圧倒的。

 蹂躙という言葉以外何を当てはめればいいのだろうかという程の状況であった。

 昨晩のタラスクとの戦いとは違い正しく作業のようなそれは二人の実力をより恐ろしく理解させる。

 

 逃さない。逃すものか。

 

 二人の恐ろしさを本能で理解したワイバーンは戦線から逃げようと各々違う方向へと飛んでゆく。だがしかし……ランスロットの魔術からは逃れられない。

 そも、ランスロットの魔術は幻想種のそれである。純粋な竜種でもないようなワイバーンが逃れる事など不可能でしかなく…………。

 

 

 

『────!?』

 

『────!!??』

 

 

 空間は置換され、逃げたはずのワイバーンはアルトリア・オルタの目の前に無防備にもその身体を投げ出してしまう。ならば、その先にある運命など両断以外にあるだろうか?あるわけがない。

 

 

 空を埋め尽くさん程に存在したワイバーンの群れはだんだんと本命が近づいてきている為にその数が増えているはずなのにみるみると減っていく。

 もはや、本命が到着するまでに空は青空のみが広がるのではないかと思うほどの殲滅速度。

 

 

 嗚呼、だがしかし残念ではあるがそれは果たせず。

 

 

 

『────────────────────!!!』

 

 

 

「来たな」

 

「フン……」

 

 

 断続的な咆哮を上げて彼方より現るのは黒き竜。その体躯は冬木でみたキャスターの宝具である人形ほどの大きさ。その時点で巨大である。

 だがしかし……驚く理由などあろうか?

 この場にいるのはブリテンが騎士王アルトリア・ペンドラゴン・オルタと湖の騎士ランスロット・デュ・ラックである。

 確かに黒き竜は巨大であろう。昨晩戦ったタラスクよりも遥かに。しかし、しかし、だからどうした?

 

 

「この程度、ヴォーティガーンと比べれば可愛かろう」

 

「なんだ?王の聖剣を、太陽の聖剣を受けても倒れぬのか?王が数時間戦っても毛ほども消耗しないのか?聖剣で足止めし聖槍でようやく討てるほど強いのか?」

 

 

────違うだろう?

 

 王は嗤う。

 貴様以上の怪物を知っているぞ?

 騎士は嗤う。

 貴様より強いモノを知っているぞ?

 

 

ランスロットの手の甲が鈍く輝き始める。

 

 

「あら、他のサーヴァントどもはどうしたのかしら」

 

「なに、貴様らなぞ我々だけで十分だ。という事だ突撃女」

 

「────そう、なら絶望しなさい。私のファヴニールで!!」

 

 

 竜の魔女は嗤う。

 己が騎乗する竜(ファヴニール)こそがこのフランスを滅ぼす災厄なのだと。

 

 しかし、何故だろうか。そう自信があるというのにジャンヌ・オルタは黒き竜───ファヴニールから通常のワイバーンよりも強力な黒いワイバーンに乗り移る。

 

 

 ランスロットはそれを戦闘に巻き込まれないためと判断し、その手に魔力を流し込んで────

 

 

 

 

 

令呪起動(我が剣に望む)────」

 

 

 

 

 

 




現地召喚ではカルデアに戻るまで魔力は全てマスターが負担します。

置換魔術の大盤振る舞い
刑部姫欲しいな。後、彼女のあのフード見て思ったのは電王のリュウタロスです。

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