Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
まあ、持ってるんですがね?それよりも黒王と乳上が欲しい。
剣豪七番勝負で10連回す予定でしたが今回貰える30個で黒王と乳上狙いますね。
「グッ────!!」
鮮血が舞う。
黒ジャンヌの予想していた光景。
バーサーク・ランサーにより全身を串刺しにされるランスロット。
しかし、そこに広がるのは
「なん、と…………!?」
「…………」
全身を串刺しにされたランスロットではなく脇腹を剣で刺し貫かれたバーサーク・ランサーという光景。
黒ジャンヌを始めとするこの場の全員……当の本人であるランスロットとよく知っているアルトリア・オルタ以外の者らはその光景に驚愕していた。
四方八方より迫り来る無数の杭。
逃げ場など無いその死地からいったいどのような手でバーサーク・ランサーに悟られずに抜け出し、あろう事かバーサーク・ランサーにその剣を突き刺したのか。ただその現実に対して驚きを誰も隠せなかった。
「クッ!!」
すぐさまバーサーク・ランサーは突き刺さった剣から無理矢理逃れる。
血がとめどなく溢れる脇腹を抑えながらバーサーク・ランサーはランスロットを見る。
兜により表情の見えないランスロットにバーサーク・ランサーはいったいどのような手であの状況より抜け出たのか、という疑問とこの男ならこの気に食わない状況をどうにかするのでは?と思う。
「……いったい、どうやって抜け出た」
「…………置換魔術」
「なに?」
「ただ、空間を置換して貴様の背後へと逃れえた……そんな簡単な事だ」
ランスロットの言葉にバーサーク・ランサーは驚愕しつつも納得する。
しかし、魔術師でもあるマシュや通信を通してこの光景を見ているカルデアスタッフの心内には「何が簡単なのか全く以て分からない」という言葉だった。
「さて、大人しく下がるか?」
「……まさか」
「だろうな……では」
バーサーク・ランサーへの退却を促すランスロットの言葉にバーサーク・ランサーは痛みの中笑みを浮かべそれを否定すると、ランスロットは当たり前か、と零しその場から消え────
「シッ────」
「ガッ!?」
バーサーク・ランサーの背後に現れその右腕を切り落とす。
バーサーク・ランサーはすぐさま反応するがそれよりも速くランスロットは移動しバーサーク・ランサーの脚の腱を断つ。
「ガアッ!?」
「…………」
「なに、が…………」
今度はバーサーク・ランサーの前に戻ったランスロットをバーサーク・ランサーは膝をつきつつ睨み見る。その目には先ほど以上の疑問の感情が込められていた。
つい先ほどまで、ランスロットは狂化された事によりステータス上昇したバーサーク・ランサーの動きに手をこまねいていた筈だ。だが、今はどうか?
バーサーク・ランサーの反応速度以上の速度でバーサーク・ランサーを削っているではないか。
そんなバーサーク・ランサーの考えを察したのかランスロットは変わらぬ声音で語る。
「慣れただけだ」
「は?」
「狂化……なるほど、ステータス上昇の恩恵は凄まじいものだ。だが、その程度慣れれば問題は無い。俺を殺したければせめてトゥルッフ・トゥルウィスレベルが無ければ困る」
「…………くっ、言ってくれる……!」
まるでさも当たり前かのように語るランスロットにバーサーク・ランサーは苦渋の表情を浮かべる。右腕は切り落とされ、両脚の腱は断たれ動く事が出来ない……吸血鬼としての治癒能力も損傷が激しく満足に働いていない。
もはや、バーサーク・ランサーはまともな戦闘は出来ないだろう。
いや、それ以前に
「────ここで、終わりか。忌み嫌った怪物に成り果て、世界焼却に手を貸した……我が罪は重い。殺せ、湖の騎士」
バーサーク……狂化した事でバーサーク・ランサーは元来の在り方を歪められている。
本来ならば護国の鬼将、キリスト教の盾たるルーマニアの英雄は人理焼却を良しとする英霊では無いだろう、しかし黒ジャンヌによる狂化は彼を人理焼却の手先に変えた。
だが、言動は歪めれてもその内までは歪められぬ。故に彼は足掻かずその首を差し出す。
「了承したワラキア公」
「ワイバーンッ!!」
バーサーク・ランサーの姿勢にランスロットは敬意を払いアロンダイトを構える。
無論、むざむざと駒を殺されるのを見ている黒ジャンヌではない。配下のワイバーンを数体ランスロットへと差し向ける。だが
「フン、それは認められん」
「とりゃあッ!」
アストルフォとアルトリア・オルタが割って入りランスロットへ迫るワイバーンを叩く。
「……湖の騎士よ、そしてそこのマスターよ。次こそは余を召喚するがいい。であれば、その時こそ我が槍の真髄を見せてやろう。
護国の槍────民を守る武器は、さぞ貴様らの手に映えるだろう」
「────ああ」
────ザシュッ
振り下ろされたアロンダイトはバーサーク・ランサー……ヴラド三世の首を落とした。
それと共にヴラド三世の身体は金色の粒子へと変わっていく……これにてヴラド三世のフランスでの悪しき闘争は幕を下ろした。
────────
「────恥を知れ、ヴラド三世」
ヴラド三世が消滅した事により静寂に満ちたラ・シャリテに侮蔑の声が響く。
その声の出処はワイバーンの上、このフランスを滅ぼさんとする竜の魔女、黒ジャンヌ。
そんな彼女の言葉にヴラド三世の最期を見届けたマシュや立香らは怒りを混じらせた表情で黒ジャンヌを睨みつける。
「怪物の癖にただ田舎娘一人、田舎騎士一人も殺せないなど恥を知りなさい」
「────ッ!」
そのような視線など何処吹く風、黒ジャンヌは侮蔑の表情でヴラド三世を侮辱する。
そんな黒ジャンヌに食ってかかろうとする立香をアルトリア・オルタがその肩を掴み押し止める。
「アルトリアさん────!」
「…………下がれ」
「でもッ」
止めるアルトリア・オルタに立香は非難の声を上げるがしかし……
アルトリア・オルタはそれでも立香に行かせない。何故、という疑問に満ちていく立香、しかしすぐにそれは消えた。
「そうか────では死ね」
湖光の輝きを放つ聖剣を握る騎士が魔女の背後に現れたから────
「ッ!!!」
「なっ!?」
それに反応したのは近代の騎士衣装に身を包む中性的なサーヴァント。
バーサーク・セイバーはすぐさま細剣を割り込ませ、黒ジャンヌにその聖剣が触れるのを防ぐがその代償は大きい。
「くぅッ────!!」
湖光はバーサーク・セイバーの腕を縦に走る。
ただ一撃を受けただけ、だというのにバーサーク・セイバーは深手を負った。
それを確認し、すぐさまランスロットはアルトリア・オルタらのもとへ戻る。
「左腕ではあるがまあ、良しとするか」
「この田舎騎士が!!」
黒ジャンヌの怒号などなんのそのランスロットは剣を消し、弓矢を用意する。
「…………しかし、ここは退るべきか」
挑発紛いの行動で黒ジャンヌの怒りを引き出したランスロットは未だ動かないサーヴァント……バーサーク・ライダーに目線をやりながらそう呟く。
如何にランスロット、アルトリア・オルタという実力者がおれどもバーサーク・ライダーの使役するソレに対しては他の者らを支援しつつ対峙するのは難しい。
無論、気にせず暴れるというのなら二人の宝具でバーサーク・ライダーごと打ち倒せるのだろうが。
そんな風にランスロットが思考をフル回転させる中
「え?」
「────何?」
戦場に咲き落ちた一輪の
「ガラスの────薔薇?」
「今よ、アマデウス。機械みたいにウィーンとやっちゃって!」
「まったく、任せたまえ。
「なっ!?」
「何この重圧ッ!!」
「────嗚呼、なんて壮麗で邪悪な音でしょう!」
突如としてラ・シャリテに響き渡る壮麗ながらも邪悪さを感じさせるレクイエム。
黒ジャンヌらはその音色に縛られ動けず
「────行くぞ!」
「は、はい!」
その隙を見逃さぬランスロットはマシュらに指示を飛ばし、ラ・シャリテより離脱を始めた。
ランスロット、マリー、デオン、サンソン、クズ「「「「ヴィヴ・ラ・フランス!」」」」
マリーまだ当たらないんだよなぁ