Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
これは単純に仕事の都合上書く時間が取れなかった事と何故かポケ〇ンgo熱が再発した両親と共に夜の散歩へと巻き込まれたのが原因です許してくださいなんでも(ry
超高難易度初代様はおかしい
「おはようございます……ランスロットさん?」
「……ああ、マシュか。おはよう」
既に霧は晴れ、空には青空が広がり時折ある雲で光帯が見え隠れし始めた中、顔を洗い調子を整えたマシュがランスロットのもとへ行くと、ランスロットに何処か疲れた様子が見えた為、マシュは首を傾げる。
「どうしたんですか? ……もしかして寝れなかったんでしょうか」
「いや、そういうわけじゃないさ。少し早朝早々疲れる事があっただけでね」
「はぁ……」
ランスロットの言葉にマシュは首を傾げながら納得する。
ランスロットはそんなマシュに小さく笑うとその手に持っていた矢の束を矢筒へと入れていく。マシュはその姿に何処と無く既視感を覚えつつアストルフォと何やら話している立香のもとへ歩いていった。
「…………なんだアル」
「……いや、まだ機嫌が悪いのか、と思ってな」
「…………とりあえず食べれんからという理由でアレを潰すな」
「むぅ……」
マシュが離れたのを確認してから木の上からアルトリアがランスロットの近くに降りてきた。そんなアルトリアにランスロットは目線をやらず作業のままアルトリアに声をかける。
既に早朝から時間が経っているのに何処と無く疲れた……不機嫌な様子を感じていたアルトリアはランスロットに問いかけるとやはりと言うべきか苦言を返され、アルトリアは頬を膨らませる。
「…………アルトリア」
「なんだ」
「いけるか?」
「誰にモノを言っている。この身はブリテンの騎士王だ」
「…………だな」
唐突に空気を張り詰めさせたランスロットにアルトリアは騎士王然とした態度で応答する。
特異点にて未だ主だったサーヴァント戦は無い、だがジャンヌの目的である黒ジャンヌの排除を考えれば、これからサーヴァント戦があるのは必定。
その中でアルトリア以上のサーヴァントとぶつかる可能性をランスロットは考慮し、アルトリアに問うた。その答えをわかっていながら。
アルトリアの答えにランスロットは当たり前か、と呟き矢の束を全て入れ終えた矢筒と早朝から今の内に作り終えた大弓を持って立ち上がり、アルトリアを引き連れてジャンヌらのもとへと向かう。
「あ、おはようございますランスロットさん」
「おっはー」
「ああ、おはよう立香、アストルフォ。調子はどうだ?」
ジャンヌのもとには既にマシュと立香そしてアストルフォ。
どうやら、三人とジャンヌも既に出発する支度は出来ているようだ。
「……ふむ、ジャンヌ、そろそろ動くとしよう」
「はい。ここから一番近い街はラ・シャリテです。とりあえずはそこで黒ジャンヌについての情報を集めようと思います」
ジャンヌの言葉にランスロットは頷く。
現状黒ジャンヌの情報は竜の魔女と虐殺の二つ。無論、ランスロットはだいたい知っているがそれは一切口には出さない。
「では、ジャンヌの言う通りまずはラ・シャリテに向かおう。……ただ、ジャンヌ、暫くは顔を隠してくれると助かる」
「はい、今の私が人々の前に現れれば要らぬ混乱を招きます……」
「とりあえず簡易ではあるが外套を用意しておいた。暫くこれを被っておいてくれ」
そう言ってランスロットは背負っていた荷物の中から紺色の外套を取り出す。
「あ、ありがとうございます…………」
「どうしたんですか、ジャンヌさん?」
「どうしたのー?」
ランスロットから外套を受け取りそれを広げたジャンヌは表情が固まった。そんなジャンヌの様子が気になったのかマシュらはジャンヌの側から外套を見て一緒になって固まった。
そんな四人にランスロットはまた何かやってしまったのか? と首を捻る。
「「「「(これが簡易?)」」」」
広げられた外套には白の十字架とジャンヌの旗に施されていたモノと同じモノが縫われおり、その完成度は凄まじく、四人はこれをランスロットが簡易と呼んだ事に若干の恐ろしさを抱き、それを察したのかアルトリアは誇らしげに笑みを浮かべる。
「……なるほど、そういう事か」
どう受け取ったのかランスロットはやや悔しそうな表情をしながら話し出す。
「すまない。一時の為のものとはいえ流石に簡易にし過ぎたようだ…………私とて妥協はしたくはなかったのだが時間が無くてなそれぐらいしか出来なかった……すまない」
「え、あ、いえ、大丈夫ですよ?流石にやり過ぎると逆に目立ちかねませんから……(このままこの外套を座に持ち帰りたいのですが)」
「(とりあえずカルデアに戻ったら僕もなんか作ってもらおー)」
「(わ、私も頼めば作ってもらえるんでしょうか……)」
「(…………むしろこれの完成品が見てみたい)」
ジャンヌの言葉にランスロットは安堵の表情を浮かべつつ何処と無く納得のいかない様子で荷物を背負い直し、改めてジャンヌを見て
「さて、それではラ・シャリテへと向かうとしよう。ジャンヌ、道案内は任せた」
「はい、任せてください」
────────────
「これは……!!」
「そんな」
「……一足遅かった」
ラ・シャリテに着いた俺たちの目の前に広がっていたのは焼けた街の残骸だった。
民家は焼け崩れ、所々から肉の焼けた臭いがする……そんな光景。
遅かった。
ロマン曰く既にサーヴァント反応はこの街付近から離脱しているようだ…………戻ってくる可能性を考えると早めに移動するのが吉となる……だが、しかし
「ドクター、生体反応を――」
『……駄目だ。その街に生命と呼べるものは残ってない』
「そんな――」
目の前の状況を容易く肯定出来ないマシュと立香がロマンに通信で生き残りを探す事を望むがそれを遮ってのロマンの言葉に二人は言葉を失っていた。
二人共そう簡単には納得出来ないだろう。俺やアル、アストルフォ、ジャンヌの様に二人は戦場というものを経験したわけではない。
無論、冬木での光景を見ているがそれとこれとはわけが違う。アレはもう終わっていた……助けれるものなど無かった。だが、ここは違う……ついさっきまで此処には生きていた人々がいたのだ。
────と、どうやら
────ガタッ
「ッ!!待ってください。今、音が……!」
「違う……アレって」
やや近場から物音がした。
崩れて出る音ではなかった。
それに反応したマシュは安堵にも似た声でロマンに訴えかけたがそれを立香が否定した。
立香の指差す方向、物音のした方向を見ればそこにいるのは人間ではないモノ
「……リビングデッド、か」
レイシフトしたばかりの時に砦で見たモノと同じリビングデッドとやや離れた所にいる緑色の甲殻を持つ幻想種……
『────!』
「……あ」
「……ッ!!」
『ワイバーン……死体を漁ってるのか……!!』
「……ア、アア、アァァァッッ!!」
「マシュッ!?」
焼死体か圧死体か、人間の死骸を食い漁る数頭のワイバーンを見て、目の前の光景を認めたくないのか叫びながら突貫したマシュに俺は辛さを感じながらアルとジャンヌに指示を飛ばす。
一先ずはあのワイバーンどもとリビングデッドを排除するしかないな。
「ジャンヌ、アル、いくぞ」
「はい……ッ」
「ああ」
「────」
上空へ逃げようとするワイバーンの額を寸分違わず撃ち抜く。『騎士は徒手にて死せず』により宝具化してる弓ならばこれぐらい容易い事だな。
ワイバーンを仕留めた俺は次の標的に移るために周囲を見回そうとしてロマンの声が聞こえた。
『今のが最後のワイバーンだ。周囲に反応はないよ』
「……そうか」
「……これをやったのは恐らく『私』何でしょうね」
先ほどのワイバーンやリビングデッド、そして目の前に広がるラ・シャリテの光景にジャンヌは浮かない表情でそう呟いた。
俺とアルは口をつむぐ。ここは俺らが口を出すところではないとわかっているから
「ジャンヌさん……」
「そうと決まったわけじゃ────」
「いえ、分かります。私には……ですが、どれだけ人を憎めばこの様な事が出来るのでしょう。私にはそれが分からない」
流石のジャンヌの言葉に否定しようとしたマシュと立香は口を閉じる。
きっと自分から派生した存在であるからだろうか……彼女は察せられるらしいが…………その憎悪について分からないのはそれは黒ジャンヌが正確に言えば彼女の一側面というわけではないからだろう。
「……」
「……」
『────ん? ッ!! 大変だ! 先ほど離脱したサーヴァントが反転した! 拙いな、君たちの存在を察知したらしい!!』
二人の沈黙を破る様にロマンの通信が響く。
「ルーラーの索敵能力か…………数は!」
『数は────五騎!ッ、速度が速い……これはライダーでもいるのか?』
「五騎……退避する。この場を離れるぞ!」
「ど、どうしてですか!?」
「数はこっちも同じですよ!!」
『駄目だ!ランスロットの判断は正しい……!
まだ未熟なマシュに……ステータスが大きく弱体化しているジャンヌ・ダルクでは一対一は分が悪い……』
そうだ。如何にワイバーンやリビングデッド、シャドウサーヴァントと渡り合ったマシュと言えども支援無しでのサーヴァント戦は幾ら何でも荷が重すぎる。そして、ジャンヌはステータスが弱体化している以上キツい。此処に来るサーヴァントが記憶通りならマシュ同様荷が重い。
ロマンと俺の言葉に自分なら大丈夫だ、とでも言いたそうなマシュの肩に俺は手を置く。
「ッ……で、ですが」
「…………退避だ。マシュ分かってくれ」
「…………はい」
きっと、マシュの中では劣等感が渦巻いているのかもしれない。だが、いまは……我慢してくれ……。
「すまん……ジャンヌ、サーヴァントがやってくる、すぐに────ジャンヌ?」
ジャンヌに退避を促そうとして彼女を見ればその表情は先ほど以上に真剣なものであった。
「……逃げません。せめて真意を問いたださなければなりません」
「だが────」
ここは退避しなくては駄目だ。そう言おうとした俺を遮る様に通信からロマンの声が響く。
『駄目だ!?もう間に合わない!!出来る限り逃げる事を優先するんだ!わかったね!?』
ロマンの悲鳴のような忠告が終わると同時に複数の通常よりもやや大きなワイバーンが空から降り立つ。
その背には五つの影、否サーヴァント。
黒い衣服に身を包んだ王の如き男、やや特殊なドレスを見に纏った仮面の女、俺たちとは違う近代の騎士衣装を纏った中性的な姿のサーヴァント、鉄甲を填めた杖を片手に持つ聖性を感じさせる女…………そして
肌の色、髪の色、纏う衣服の色の違いなどがあるがジャンヌと瓜二つの姿を持つ女サーヴァント────────ちょろ……んん、竜の魔女。
彼女を見て驚愕に表情を染めるジャンヌと冷徹に嗤う竜の魔女……此処に会合した。
「…………!!」
「────なんて、こと。まさか、まさか、こんな事が起こるなんて」
こっちを書きつつ合間合間で別作品を書きたいと思います。ようは一つ書いてたら発症する持病をどうにかするためにですね。
まあ、基本的にこっちなんで安心してください。
その別作品はこっちの主人公がランスロットではなくて別作品に行っていたという話ですので興味があればどうぞ。駄文かもしれませんがね