Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
明日は普通に投稿しますので気にせず
「愛しい人────」
鈴のような声が聞こえた。
「愛しい人────」
愛しい声が聞こえた。
「嗚呼────」
哀しい声が聞こえた。
「
────────────
さて、いったいどれほどの時が経ったろう。
この地に来てどれほどの時間が過ぎたろう。
血の味がする、血の匂いがする、死の味がする、死の匂いがする。
噎せ返るような味と匂い。だが、酷く心地が良く、酷く心地が悪かった。
ここは何処なのだろう。そこは何処なのだろう。
此処はフランス。其処は焼却される国。
私は
分からない。理解する。
理解できない。分かった。
顎より洩れるは焔。
口より漏れるは息。
ある女に呼ばれた。俺と同じ贋作の女に。
憎悪する過程しか知らない女。愛した過去を知らぬ女。憐れな哀れな女。
だが、だからこそ、見捨てられようか。
されども、しかし、見棄てられようか。
憎悪せよ、憤怒せよ、俺はお前を肯定しよう。それしか知らぬのだ、そんな乙女にいったい何を言えようか。故に私は肯定しよう。
お前が望むのならこの翼を羽撃かせ何処までも行こう。お前が望むのならこの焔で街々を焼き尽くそう。
乙女よ。
お前を私は愛そう。
例え悪と呼ばれようとも乙女を見捨てられようか。
故に────────
────────────────
「なん…だと…」
戦場でセイバーの言葉はあまりによく響いた。
既に悪竜はいない。
男の宿敵たる財宝を求める悪しき竜はそこにはいない。
セイバーの宝具でもって殺されたから────ではない。
セイバーの目の前には何かがいた。
「…………問おう」
流れるような長い黒銀の髪を馬の尾の様に束ね、竜を模した具足に身を包み、開けた胸元にはセイバーの胸元にある刻印に酷似したものが光り、血塗られた魔力を纏った男がそこに居た。
「貴様が
美しき魔剣を担い、翼のような布を首元に巻いた黒銀の男はセイバー、ジークフリートにそう告げた。
「お前……は」
「俺の名か……」
ジークフリートの驚愕の問いに男は静謐さを伴う声で答える
「俺はシグルド」
此処に
────────────
「愛してます」
ああ、愛してる。
「愛してます」
ああ、愛してる。
「愛してます」
ああ、愛してる。
「困ります、困ります……」
ああ、君の柔肉を貪りたいのだ
「シグルド、シグルド」
ああ、君にこの熱き猛りをぶつけたいのだ
「そんなそんな」
ああ
「
ネロ祭イベント礼装の『チア・フォー・マスター』を見たら書いていた。作者は悪くない。ブリュンヒルデの本増えねえかな
シグルドさんになった結果、殺死愛?になってしまった