Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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まさかの今日二話投稿。
アサシンシャドウに狙われた所長


アサシン

 

 

 

 

 

 

「所長ッ!!!」

 

「ホウ 反応スルカ」

 

「えっ、きゃあッ!?」

 

 所長の背後から現れた黒いというか影みたいなモノで全身靄がかったような人型の何かが所長に手をかける前にマシュが所長を引っ張って影から離す。

 

 輪郭が靄がかってハッキリしない影に私は一歩下がる。

 少なくともあの影は所長の後ろに突然現れた。私やマシュが所長の方を見ていたのに近づいたのが分からなかった……これがゲームならさしづめステルス性能持ちの怪物。

 

「ハァ、ハァ……何よ……これってサーヴァントじゃない!!」

 

「サーヴァント……ッ」

 

 マシュに影から離され息を整えながら所長は怒るように叫ぶ。

 この影がサーヴァント……つまりそれはマシュと同じ存在って事なんだろうけども……サーヴァントってこんなに黒いもんなの!?

 というかサーヴァントって昔の偉人とかそういうのらしいけどもこんなんいたの本当に!?

 

「なんでサーヴァントがいるのよ……ッ」

 

『そうか……聖杯戦争だ!その街では聖杯戦争が行われていた!』

 

 所長のサーヴァントを睨みつけながらこぼした言葉にドクターの通信が答えた。

 聖杯戦争って確か所長が言ってた所長のお父さんやランシアさんが参加してたっていう……。

 

『本来なら冬木で召喚された七騎による殺し合いだけど、そこはもう“何かが狂った”状況なんだ!マスターのいないサーヴァントがいたって不思議じゃない。そもそも、サーヴァントの敵はサーヴァントだ!』

 

「それじゃあ、あのサーヴァントは私を狙って……!」

 

『恐らく君のマスターを所長と誤認したんだろう……だから、所長を先に狙った』

 

「……ここで死んでたまるもんですか」

 

『新シイ獲物 ソノ 首イタダクゾ』

 

 サーヴァントは靄がかって表情は見えないけれど明らかに嗤ってる。殺すのを楽しんでいるように……こんなのが偉人って……でも織田さんは寺焼いたしな……

 

『サーヴァント反応、確認!そいつはアサシンのサーヴァントだ!』

 

「……!応戦します。先輩、指示を!!」

 

「う、うん、任せて!所長もサポートお願いします!!」

 

「……!まったく、分かったわよ!」

 

 

 これが初めてのサーヴァント戦、何とか頑張って勝たなきゃ!!

 ……そういえばアサシンって元々は中東の宗教の一団が語源だったっていうのをゲームで見た気がする。一年の仕事を40日で終わらせたとかそんな人だったような……。

 

「貴様等 鈍間ニ 見切レルカ?」

 

 

 アサシンはそう言いながら素早く細かい動きで私たちを翻弄し始めた。

 あっちと同じサーヴァントになったマシュもなかなか目で追いきれてないみたいだ。

 それでも時折放たれるナイフかなんかはきちんとその盾で防げてるけども……

 

「…………速すぎるッ」

 

「流石はアサシンのサーヴァントと言ったところかしら……」

 

 そう言いながら所長は何度か素早い動きで翻弄するアサシンに前に骸骨へ撃ってた魔力弾?を放っていくけども全然当たらない。

 見た感じマシュはそう素早くはないっぽいからあっちが直接殴りに来た時にカウンターするしかないけど……

 

「あっちもそれぐらい分かってるよね……ッ」

 

 

「フハハハハ 鈍間 鈍間ヨ!ランサー ガ コチラ ニ 来ル前ニ 終ワッテシマウナ!」

 

「くっそぉ……思いっきり嗤いやがってぇ」

 

 

 動きながら嗤ってるせいで四方八方から嗤い声が聞こえてきた段々とイライラしてくる……!

 でも、私にはマシュや所長を助ける方法なんてないし……どうすれば……!

 

「…………囮」

 

「……!駄目よ立香!そんな事してもマシュが反応する前に死ぬわ!」

 

「でも……!!」

 

「ホウ ソウモ 死ニ 急グカ」

 

「あ」

 

 私が零した何とかなるかもしれないけれども私が死ぬ可能性が遥かに高い選択肢を所長に反対された矢先

 声が背後から聞こえた。

 

 

「先輩ッ!!??」

 

「デハ 望ミ 通リ」

 

 

 振り向けばすぐそこにアサシンがいた。その腕は振りかぶられていてその手には恐らくナイフのようなもの。

 マシュも所長も間に合わないこの距離で私は生まれて初めての死を感じた。

 

「死ヌガヨイ」

 

 

 とても遅く感じるその一瞬。

 私は死にたくないと強く願って…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、御手を拝借」

 

 

 鮮血が舞った。

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 エミヤの狙撃から置換魔術を使った転移もどきをして暫く。俺は何故か冬木にいる蟲の群れをガンドでひたすら撃ち落としていた。

 いや、何でいるのかなんて別にわかるんだ。まあ、間違いなく間桐の家にいたのが野生化したんだろうけども…………少なくともエネミーとしては出なかった……単純に集ってるところにフリクエがなかったからってのはわかるが。

 

「それでも多すぎだろッ!」

 

 もう百は撃ち落としてる筈だが数は一向に減らず、ついでに言えば鳳凰の羽根は一枚もドロップしない。

 というかドロップ品があるのかは知らない。いや、そもそも蟲からなんで鳳凰の羽根が落ちるんだろうか…………。

 ブリテンにいた時は竜の牙なんて一頭何十本もドロップしたしなぁ……ロンドンの歯車はとりあえずドールの首落とせば取れそうだな。

 

「最悪、群れを纏めてるのを殺せばいいか」

 

 そう言いながら群れを観察していく。というか、キモイな流石に。

 そういえば、モルガン嬢も流石に蟲は嫌い、と言ってたな……凄く意外だった。魔女だからそれぐらい平気だろうと思っていたがやはり女性か。

 

 

「……ひたすら蟲が出てくる高難易度クエスト出たら面白そうだな……あ、高難易度じゃないけども似たようなのあったな」

 

 200体の雀蜂。

 俺、ホントに200体殺さなきゃいけないんだと思ってデミヤを抑えつつ十数体は倒して、流石にデミヤが邪魔だったからブレイクしたら終了で辛かったな。

 

「ん?アレか、何処かの炎虫な蛾のポケ〇ンそっくりな蟲……流石にガンドでは落とせないか……となると」

 

 俺は拾った黒鍵を抜いて宝具・騎士は徒手にて死せずを使用、ランクDの宝具へと変化させウル〇モスに向かって構える。

 

「石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ石落ちろ」

 

撃つッ!!!

 

 

『────!!』

 

 放たれた黒鍵は物の見事にウル〇モスの頭部を撃ち抜き落とす。宝具化させたとはいえ元々がかなり劣化していたせいか黒鍵は落ちた衝撃で柄諸共砕けてしまった。

 

「……消えたな」

 

 ウル〇モスも流石にDランクとはいえ宝具を食らったからか消滅していて……そこには石が……!!!

 勝った、第一部完!まだ円卓に会ってないけども!

 取り巻きの蟲どもは親玉が消えた事で散り散りになっていき、俺は邪魔される事無く石を拾う。

 

「これで四つ目……やるか」

 

 懐からインスタント・フェイトを取り出し地面に置く。

 これはマシュの盾がなくとも現地で英霊召喚が出来るようにフェイトの一部を利用して作成した簡易英霊召喚礼装。

 欠点はあくまで特異点での英霊召喚で、カルデアによる召喚のように永続的に使役できるわけではなく恐らく聖杯を入手し特異点が崩壊した際に現地サーヴァントと同じ様に座に帰ること。

 メリットはとりあえず礼装が出ないこと……いや、こっちで召喚する時に礼装が出るのかは知らないが。

 インスタント・フェイトの周りに円を描くように聖晶石を置いていく。段々と緊張してきた。

 冬木解決までの相棒となるサーヴァントを召喚するのだ、緊張するのは当たり前だ。

 サーヴァントになれどもマスターはやったことが無い…………リアル召喚楽しみ。

 爆死?最悪俺が無毀なる湖光振るから。

 

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が母ヴィヴィアン・デュ・ラック

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

────────」

 

 

 魔力と詠唱により触媒である聖晶石が召喚陣を起動させる。

 徐々に魔力は三本の円環に変わり廻りだす。

 

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

 魔力は増大し、陣の中心は魔力の渦で見えなくなる。

 しかし、手応えは感じられる。

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ────」

 

 

 魔力はそのまま広がって視界が潰れる。

この光が止めばそこにはサーヴァントがいる。

 誰が来る。

 出来ればまともなサーヴァントが来て欲しい。

 

 

 そして、光が止み

 

 

「────召喚の命に従い参上しました。貴方が私のマスターですか?」

 

 

 




英霊召喚ぞい

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます
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