Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】   作:カチカチチーズ

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合間合間に書き進めていたら何故か1日で書き終わったという……
ただ、もしかしたら自分で納得いかずに書き直すか付け足すかもしれませんが一応投稿します

短いのでもしかしたら付け足す可能性が高いですね……


始まりそして変革

 

 

 

 

《緊急事態発生。緊急事態発生》

 

 電気の消えた廊下で俺は立ち止まり、カルデアに響くアナウンスを聞く。

 

《中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。

中央区画の障壁は240秒後に閉鎖されます。

職員は速やかに第二ゲートから退避してください》

 

「始まったか……確かロマニは一度中央管制室に向かう途中から合流を……いや、まずはあいつらへの指示か」

 

《繰り返します。

中央発電所、及び中央────》

 

 そう判断した俺はすぐさま端末で副班長の回線に繋ぐ

 

『────ランシアさん!』

 

「聞いたな?お前たちはすぐさま第二ゲートに向かえ」

 

『は、はい!……ラ、ランシアさんは?』

 

「俺か?俺は……

《動力部の停止を確認。

発電量が不足しています。

予備電源への切り替えに異常 が あります。

職員は 手動で 切り替えてください》

……だ、そうだ。カルデアスの火を消すわけにはいかん。俺は地下の発電所に向かう」

 

『な────』

 

 部下の驚愕で言葉が出ない様子を察し、反対される前に指示を続けていく。

 

「いいか、お前らはさっさと第二ゲートへ向かえ。脇目も振らずに行け。いいな?」

 

《隔壁閉鎖まで あと 190秒

中央区画に残っている職員は速やかに───》

 

『そんな、ランシアさん、あなたも────』

 

 通信を一方的に切り、走る。

 ここからなら地下の発電所へと向かう途中で中央管制室から来るロマニと合流が出来るはずだ。

 

「……よし、さっさとロマニと合流して……」

 

────あ?

待て。

 中央発電所と中央管制室に火災が────

 分かっている。

 だから、俺は、こうして、

 ロマニ、と合流して、地下の発電所に……

 マシュ…………あの娘はどうなる。

 ギャラハッドがいる。だが、もし、即死だったらどうする。

 足を止める。

 俺という存在がいる。ブリテンは崩壊した。だが、アグラヴェインは生き残った。

 俺というイレギュラーを忘れたのか?イレギュラーがいるのなら先が変わるという可能性を考えなかったのか?少なくとも聖都の円卓に変化はあるだろう。なら、なら、マシュが即死している可能性もあるだろう。

 何事も知識通りに進むわけなどない。

 俺は走り出した。

 

 

 

 走る。走る、走る。

 ただただ、中央管制室へと向かって。

 本来ならロマニと合流する筈だった。

 だというのに……いや、いい加減にするべきだな。

 

「……ランシア!?な、どうしたんだい!?」

 

 前方から走ってくるロマニを見つける。どうやら、もう彼女とは別れたようだ。なら、隔壁閉鎖までもう僅かだろう。

 

「お前は地下に急げ」

 

「君は!?」

 

「…………」

 

 問いかけるロマニを無視してすれ違う。サーヴァントの脚力による加速はロマニを遥か後方へと置き去りにする。

 ロマニの制止の声が聞こえるが無視して駆けていく。

 

そして、

 

《中央隔壁 封鎖します

館内洗浄開始まで あと 90秒です》

 

 隔壁封鎖の直前に俺は中央管制室へと滑り込んだ。目前に広がるのは瓦礫が散乱し、火災が広がる悲惨な光景。

 入り口辺りから見えるコフィン内部の魔術師らは皆既に意識は無い。

 まだ崩れていない瓦礫が今にも崩れてきそうな音を立てる中聞き覚えのある声が聴こえてきた。

 

「……嗚呼、よかった」

 

 少なくともマシュは生きていて彼女もキャスパリーグもいるようだ。安心してしまったのか俺の足取りはゆったりとしたものになり瓦礫の山を登っていく。

 

《コフィン内マスターのバイタル

基準値に 達していません

 

レイシフト 定員に 達していません

該当マスターを検索中……発見しました

 

適応番号48 藤丸立香 及び

適応スタッフ ランシア・ニヴィアン を

マスターとして 再設定 します》

 

 

《アンサモンプログラム スタート

霊子変換を開始 します》

 

 ちょうど彼女らを見ることの出来る位置に辿り着いたところで霊子変換が始まった。

 

 

 

 

 

 少しずつ自分の意識が薄れてゆく中、俺はキリエライトの前に誰かがいるのを見た。

 ぼんやりとした人影。俺とキリエライト、そして名前はわからないが48番目の少女藤丸立香以外の誰かがそこにいた。

 こちらに背を向けているためその素顔は見ることは出来ない。いや、全体像がぼんやりとしている以上、顔が見えたとしてもきっと判別は出来ないだろう。

 わからない、わからない。

 既に意識を失った二人の為にも俺は意識が薄れ始めているにも関わらずその誰かを警戒する。するとその誰かは立ち上がってゆっくりとこちらへと振り返り────!!

 

「────」

 

 

 いや、そうだったな。

 何故、忘れていたのだろうか。つい数分前までお前の事を憶えていたというのに。

 いや、許せ。柄にもなく必死だったのだ。

 

「────」

 

 彼は口を開く。

 ぼんやりとした人影、口が動いたというのは見えない。声も聴こえない。

 だけど、わかる

 

「────────、────────」

 

「……クッ、お前といいエレインといい、何故そう痛い所を突いてくれるのか」

 

 わかる。例え声が聴こえなくとも。

 俺は彼の言葉に苦笑し足下の瓦礫に腰掛ける。

 この数瞬の語らいが長く永く、何時間にも感じられる。

 きっとこうして彼と語らうのはこれが最後かもしれない。少なくとも俺の知る地下世界までに彼が彼として現れた事はこの時しか知らない。

 いや、若しかしたら、何時か再び語らう時が訪れるかもしれない。

 だが、それは来るかもわからない事。

 彼もその事を察しているのか、俺にその想いを伝える。

 

「────────」

 

「ああ、お前がそう言うのなら。お前がそう望むというのなら」

 

 俺にしか伝わらないその言葉を胸に抱き、少しずつ途切れ始める意識にこの語らいが終わるのを悟る。

 そして、彼も徐々にその姿を消していく。

 

「────」

 

「ああ、また何時か」

 

 触れる事が出来ない、その事に悔しさと悲しさを抱きながら俺の意識は途切れた。

 

 

《レイシフト開始まであと3》

 

 

《2》

 

 

《1》

 

 

《全工程 完了

ファーストオーダー 実証を 開始 します》

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗚呼、どうか貴方は貴方らしく。

 言い足りない事は山ほどあれども、今はいいのです。

 だから、うだうだしてないで行動してください。

 貴方らしくない

 私の焦がれた、彼の日の憧憬。私の憧れた湖の騎士にそんな後悔は似合わない。

 

 剣を持ち、盾を持ち、その背をどうか彼女に、マシュに見せてあげて欲しい。

 君に宿る、私の父はこうも強いのだ。と私に密かに自慢させてほしい。

 

貴方の後悔に、ブリテンの崩壊に、私はただ一言言わせて欲しい。

────ただ間が悪かっただけ。と

 

他の事はきっとマシュが言ってくれるでしょう。どうか、良き旅を────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで話は変わりますが、父さん。親不孝な僕が言うのはどうかと思いますけども、貴方はまず母さんに土下座をした方がいいと思うのは僕だけなのでしょうか?

 

 

 




短かったですが読んでくれてありがとうございます。
誤字報告ありがとうございました。

ちなみにランスロットの嫁であるカーボネックのエレイン姫ですが
プリヤドライのアンジェリカに容姿がクリソツです
理由?好きだからだよ。特に新刊の表紙

付け足すなら明日再投稿、付け足さないなら数日空いて次話更新となります

感想、ご意見、辛辣な言葉待ってます。Mではありませんよ

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