Fate/Grand Order【Epic of Lancelot】 作:カチカチチーズ
本編もうすぐ更新できるぅ!と思ってたらなんか書いてァ!?
とりあえず投げ込んどけ
そんな感じのお話です。
アーチャーインフェルノ可愛いよ、欲しいよ。
よう考えればアレですよね。本来の世界から考えれば社畜ロットは武蔵ちゃんと同じ存在ですよね。片方サーヴァントですけど
「………………────ふむ」
目を覚ます。
頭が虚ろだ。
四肢にはうまく力が入らない。
さながら前日の晩に酒盛りでもしてそのまま酔い寝てしまった翌朝の様。
されどしかし、前日の晩に酒など一滴も呑んだ記憶は無く────────
「……なるほど。これが英霊召喚か」
そう、前日の晩などというモノは無かった。
あるのは黄昏の中、同胞敵一切の血を浴び続け到底馬鹿な行為をやらかした己を自嘲し死んだ記憶。今思えば何故わざわざ自害したのだろうか、よもや前世の祖父にでも影響されたか?
仲間を友を血の繋がる肉親を殺したというのならばそのまま王無き国を纏めれば良かったのだ。
少なくとも、文官として有能な騎士が二人残っていたのだから彼らと共に王無き国で波乱が起きない様に尽力できた筈だろう。そうしていれば幾分か殺した彼らにも顔向け出来るものだが、さて。
「まずは貴様らか」
『────』『────』
立ち振り向けば周囲には大量の鬼、鬼、鬼。
無論、それはあの二騎の様な純粋な鬼種ではない創りもの。まあ、召喚されたばかりの俺が何を知ったような口を叩いてるのだと呆れるが少なくともこれらからは幻想種の類のソレが感じられず、あるのは何やらズレた様な感覚。
そして、視覚情報。これらの見た目だが前世で見たことがある。ならばつまりこれらはどこかの神秘殺しの裏が創り上げたモノだろう。
「さて、何時だ」
今は何時なのか。
あの丑が支配する時なのか、それともまったく関係の無い時なのか。
それが何よりも重大な点だ。
支配された時ならば恐らくここにはカルデアのマスターがいるかもしれない。違うのならばそれは別にどうでもいい。
だがしかし……
「…………聖杯よりの知識はある以上、抑えねばならないな」
血の滴る剣を払って血を落とし、近くに落ちていた筵で血を拭い俺は歩き出す。
そうだ。まずは聖杯をとろう。
『ぬぅッ!この門は我こそが守護する門よ!人間、とく失せよ!!』
「知らん」
『────』
かれこれ三度目の門……赤い門の前に立つ大柄な赤鬼の口上を聞き流しその首を穿ち千切る。
一度目、二度目……緑門と青門の緑鬼、青鬼どうようそこまでの耐久力生命力は無くいとも容易く死に絶えた鬼に少々物足りなさを感じつつも俺は歩いていく。
さて、そういえば俺はどのクラスで呼ばれているのか分からない。
というのは俺が自分のクラスをイマイチ認識できていないからだ。何やら頭に靄のようなモノがかかっておりそれが俺のクラスやらに少し不具合を起こしている。
ちなみに先ほど靄のようなモノと言ったが既にその正体は理解している。
それは……
「狂化。それなりにまともな思考があるのに狂化とはどういう事だ」
剣を鞘に収めて山道を進んでいく。
狂化は低ランクの様でそこまでバーサーカーな思考にはなっていない。せいぜい円卓の騎士らしい、湖の騎士らしい思考を回すのに影響があるだけで至極問題は無い。
「────いや、低ランクか?まさか。アレだけ騎士たらんとしていたのにそれが出来ない。そこに問題を感じない?」
転生か憑依か、俺がランスロットになった事で俺は騎士たらんとした。
裏切りの騎士とならないように。
良き騎士になろうとした。誰かに慕われる様に頑張った。努力をした。
自分らしさを殺しながら……そしていつの間にかに俺はその新しい俺が本物となっていた。そして死んだ……生前の様な事が出来ないというのに問題は無い、と俺は思考した。何故?
「簡単だ。いつの間にかに我が物顔をしていた紛い物が消えたのだ。なら、今の俺にとって一切不都合などない」
────昔の様に。
────まだ、紛い物が我が物顔になる前までのように。
俺は俺らしくやってればいい。
そうだ。新しい愛を探してみるのも面白い。
無論、エレインの事は愛している。だが、俺は死んだ。彼女も既に死んでいる、というより召喚された際に付属した知識の中には彼女は俺の死後の数年後に病死したらしい。
俺が死んだ事がそれほどショックだったのかもしれない。そんな彼女を俺は深く深く愛している。だがしかし……
生前と死後は別だろう。
少なくともそういう認識のサーヴァントはそれなりにいるはずだ。
「まあ、それも恐らく意味の無い考えであろうがな」
そう。どちらにせよ、聖杯があるのならばそれを回収するカルデアが来るわけでさっさと聖杯を押し付ければ俺は御役御免で退去する。
そうなればここにいる俺は消え、きっと呼ばれたとしてもその俺は今の俺ではなく騎士なのだろう。
そう、だから………………
「────頂上。さて、聖杯は何処か」
足を頂上に踏み入れる。
薄暗く所々邪気を感じさせる頂上。
しかし、彼の島に比べればそんなのは大したものではない。
『…………』
「……お前か」
頂上に座すのは一騎のシャドウサーヴァント。その姿は黒い靄でよくわからない。だがしかし……
「知っているな。何となくではあるがお前には覚えがある。さて、何処かの聖杯戦争でかち合ったか?」
『…………ラン……』
ノイズ混じりの声で俺に対してランと口走ったシャドウサーヴァント。恐らくランスロットと言おうとしたのかもしれない。殺気はあまりに薄く、どうやらここにいるだけのようだ。
それにしてもこのシャドウサーヴァント、その元は誰なのか。
靄がかりとはいえ体躯はそれなりに鍛えられており、女という訳ではなく紛れもない男であろう。
男のサーヴァント。さて、何者か。
「────普通ならばお前が聖杯を持っているのだろうな、大人しく引き渡してもらおう」
『……せい、はい……せいはい……聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯聖杯イィッ!!!!』
「ほう」
俺の放った聖杯という言葉がキーとなったのかシャドウサーヴァントはひたすらに聖杯と連呼し咆哮して俺へと襲いかかった。
────────
ランスロットは剣を抜き放ち襲いかかって来たシャドウサーヴァントを剣腹で横撃ちすることでシャドウサーヴァントをずらしその側面つまりは脇腹を蹴りつける。
『グゥゥゥッ!!』
「獣。獣だな、それも兎に劣るな!」
蹴り飛んだシャドウサーヴァントはすぐさま槍を取り出し刺突の連続を放ってくるがしかし、ランスロットはそれを全てその剣で流していく。
シャドウサーヴァントとなっている為か雑さの目立つ槍捌きをランスロットは嘲笑し、時折蹴りを打ち込む。
きっと、この戦いをランスロットを知る物……円卓の騎士らが見れば目を疑うだろう。ランスロットの戦い方に騎士としてのモノはなく、あるのは殺技。どのように打ち込めば確実にダメージを入れる事が出来るのか、どのように刺し込めばどのように心臓を穿つ事が出来るのか、どのような力加減で蹴れば骨に罅を入れ、骨を折る事が出来るのか。
殺し方がわかるのならそれは殺さない方法がわかると同様でランスロットはシャドウサーヴァントに致命傷を与えていない。
『ガァァァァッ!!!』
「────なるほど。宝具を使わないのではなく使えない、か」
本来ならばそろそろ宝具の一つは使いそうな中、シャドウサーヴァントは宝具を使ってこない事にランスロットは一瞬疑問を浮かべたがすぐに応えを導き出した。
ランスロットの中でシャドウサーヴァントは宝具を使えないか使えるかが分からなかった。それは今いるこの世界がどちらを基準にしているかが分からなかったからだ。
だが、ランスロットはここまで来てどちらなのかを察した。
ランスロットは後方へと跳躍しシャドウサーヴァントと距離をとる。
それは臆したわけではない。
それは────
「槍と剣、交えてわかったぞ。貴様の真名」
『ヌゥッ!!』
嗤うランスロットに勢いよく突っ込むシャドウサーヴァントをランスロットはその場から動かず見る。
動かず防御姿勢を取らないランスロット。シャドウサーヴァントの勢いならばそのまま槍はランスロットを穿くだろう、しかし。
『────?』
槍は空を穿く。
「【其の血は、我が白世に光を与えたもうた】」
空を穿いた槍を見て困惑するシャドウサーヴァントの後方、不安定な岩の上でいつの間にかにいたランスロットはその手にある剣。
白と淡青の剣、その柄頭を握り引く。
すると、剣の柄が伸びていき刃の部分もあいまって槍のような長さとなり……
「後輩様々と言うべきか。俺はこんなものを仕込んだ覚えはないからな………しかし、なるほど確かにこれは俺にそういう適正を与えなくもないな」
聖なるかな。信仰する者が見れば目を離せなくなる力を宿す柄、不浄なるものを祓い清める浄化の剣。
伸びた柄をもってランスロットはペン回しの要領で軽く槍を回しシャドウサーヴァントへとその鋒を向ける。
「はてさて、シャドウサーヴァント、汝が真名を理解したならば異派であれども同じ信仰を抱く者として卿にこの死を与えよう」
兄弟殺しの咎人、その子孫が造り上げた槍の柄と接続した浄化の剣は並の宝具にあらず。
魔性を浄化し、嘆きをもって不治の疵を与う聖浄の槍なれば、魔性に堕ちたシャドウサーヴァントへの手向けとして充分なお釣りが来るものであろう。
「────ほんの僅かな時間であれど、さらば」
『────余は……』
シャドウサーヴァントの後方に瞬間移動と言ってもいい現れ方をしたランスロットはそのままその槍でシャドウサーヴァントの胸を背後から穿った。
浄化の力はシャドウサーヴァントの靄を払い、シャドウサーヴァントは本来の姿を見せていく。金刺繍が施された黒い貴族の服を纏った男は正気の声で呟く。
「余は……吸血鬼など、ではないのだ……」
「────そうか、理解したぞ。黒のランサー」
────卿とは前にも戦ったな
ランスロットは消えゆくシャドウサーヴァント……ランサーを見て当初抱いていた既知感を理解した。
ここではないどこか。
そこでランスロットは目の前のランサーと殺しあった。
その記録を思い出しそして
「だが、もはや関係はない。また何処かの戦いで会うだろうさ」
消えゆくランサーを尻目にランスロットは聖杯を探し始める。感覚としては近くにある事を理解している為、少しずつ少しずつ確かに聖杯に近づいていく。
「────さて」
ひときわ大きな岩に嵌っていた聖杯と呼ばれる水晶体を見つけ手に取ったランスロットは手頃な岩に腰掛け思案する。
それはこの聖杯をどうするかという事。
無論、普通ならばこの聖杯を感知しやってくるであろうカルデアのマスターに押し付けるのが妥当。しかし、そのカルデアのマスターがやって来るのが何時なのかは誰にもわからない。
ならばランスロットはどうするのか。
「────一先ずは預かろう。それに探偵が何の裏技かレイシフトが出来るのであればコレの力なら出来なくもなかろう」
────何より、すぐに消える気もないからな
そう、ランスロットは嗤い聖杯の輝きと共にこの鬼ヶ島からその姿を消した。
クラス:ランサー
真名:ランスロット・デュ・ラック
ステータス
・筋力:A ・耐久:A
・敏捷:A+ ・魔力:A+
・幸運:D- ・宝具:EX
保有スキル
・無窮の武錬[A+]
・精霊の加護[A]
・聖槍の祝福[A++]
クラススキル
・対魔力:B
・騎乗:B
・狂化:E
宝具
・浄化の剣ジョワイユ
・無毀なる湖光:真名解放不可
・騎士は徒手にて死せず
・己が栄光の為でなく
後悔はしていません。
本編投稿はもう少しお待ちを
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