とあるアイルーの鎧袖一触   作:榛猫(筆休め中)

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ヤホヤホニャー!

前回までのとあるアイルーの鎧袖一触ですかニャ!

久しぶりにドンドルマへと立ち寄ったアイルーくん。

そこでセレシアやリリナといった懐かしい面々と顔を合わせる。

そして最後に立ち寄ったエクセリアの家で子供二人の面倒を見させられることとなり、絶叫を上げるのであった。


お願いがありますニャ

 

アイルー参上!夜戦なら任せておくニャ!

 

というより、夜戦ってなんニャ?

 

 

 

という訳でこんにちはニャ!ボク、アイルーですニャ!

 

今ボクは雪山に来ているのですニャ。

 

ニャ?子守はどうしたのか...ですかニャ?

 

ちゃんと終わらせてきましたニャよ?今はエクセリアさんとジェストさんが面倒見てるはずニャ。

 

あの二人の子守は大変なのですニャ...…。

 

ルーク君はボクに模擬戦の相手をさせようとしてくるし、クララちゃんは、ボクをモフりながら兄であるルーク君の良さをこれでもかと言うほど、延々と数時間以上かけて話してくるのニャ……。

 

おまけにエクセリアさんとジェストさんはデートとは名ばかりの一狩り(クエスト)に行っちゃって、ボクに二人を丸投げしていきやがったのニャ…。

 

もう大変 だったニャよ……。

 

 

 

 

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唐突だけど、ボクが雪山に来ている理由を説明するニャ!

 

今回ボクが雪山に来た目的はあるモンスターに会うためなのですニャ。

 

無断で狩り場に来たのかって?もっちろん!ちゃんとクエストを受注してきましたニャ。

 

といっても、今回ボクがやろうとしてることは討伐でも捕獲でもないんだけどニャ……。

 

じゃあ何をしに来たのかって?

 

あるモンスターにお願いをするためニャね。

 

ずっと疑問だったのニャ、星焔龍(スフィア)さんから力を貰った時からずっと……。

 

アイルーは通常、モンスターの能力を吸収するなんて事は出来ないはずなのニャ。

 

けど、星焔龍(スフィア)さんと戦った時や、あの変なイビルジョー(蝕星龍)と戦った時に手に入れたあの力……。

 

これは明らかに普通じゃないニャ……。

 

確かにボクはニャイタマ先生を真似て筋トレをしてここまで強くなったニャ。

 

けど、あの力は筋トレをしたくらいで身につけられるようなものじゃないニャ。

 

だから検証してみることにしたのニャ、鳥竜種や甲殻種、牙獣種に飛竜種、後は獣龍種の全力の攻撃を受け止めてみたのニャ。

 

けど結果はどれもハズレ…能力を手に入れる事はできなかったニャ……。

 

じゃあ星焔龍(スフィア)さんや、あの、変なイビルジョー(蝕星龍)(後でジェストさんに聞いたら蝕星龍って呼ばれる古龍種らしいニャ…)この二体に共通する点はなにかニャ……。

 

そう思って調べてみたら見つけたのニャ、あの二体の共通点!

 

それは古龍種という事だったのニャ。

 

通常の龍種から古龍種になったっていうのもあるけど、それはあの二体だけしか見つからニャかったからこれは多分違うニャ……。

 

でも古龍種なんてそう簡単に会える訳でもないニャ、前世で例えるなら、女優や俳優といった超有名人の方達と同類ニャね。

 

会いに行けるアイドルや休日アイドルなんかとは全然違うニャ……。

 

だからボクは出来得る限り懸命に古龍について調べたニャ、セレシアさんに頼み込んで古龍観測体の報告書を見せてもらったり、クエストで古龍討伐ものが入っていないか逐一確認したりしてたのニャ。

 

そんなある日、観測体の報告書を見てたら遂にお目当ての情報があったのニャ!

 

その報告書に書かれていた情報は鋼龍クシャルダオラが雪山に姿を現したというものだったニャ。

 

それを見たボクは、直ぐ様クエストを確認しに向かったニャ、そしたら目的のクエストが置いてあったのニャ。

 

このチャンスを逃すわけにはいかニャいと、ボクは即座にそのクエストを受注して雪山に向かったのニャ。

 

アイルーだから体毛のお陰で寒さを感じることなくクシャルダオラの探索を出来るのニャ!

 

さて、クエスト目標(ターゲット)は何処にいるかニャ~?

 

 

 

 

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とりあえずエリア9に来てみたけど…ここにいるかニャ?

 

 

「………(ズンッズンッズンッ)」

 

あ、いたニャ…割りと普通に歩いてたニャ。

 

目標も見つかったことニャし、とりあえず交渉開始ニャ!

 

ボクはクシャルダオラに近づいて声をかける。

 

 

「あの~…そこの古龍さん、ちょっといいですかニャ?」

 

 

「ッ!シャルウゥゥゥゥゥッッ!!」

 

ハニャ~やっぱり警戒されるニャよね……。

 

暴風の幕が身体の周りを覆ってるのが何よりの証拠ニャ。

 

 

「えっと、そんなに警戒しないでほしいのニャ、実は貴方にお話…というより、お願いがあって来たのですニャ」

 

 

「シャルウゥ?」

 

ニャ?暴風の幕が消えたニャ?ホッ…よかったニャ…。

 

一応話は聞いてくれるみたいニャね

 

 

「そうですニャ、ボクは貴方に危害を加えるつもりも敵対するつもりも毛頭ありませんニャ」

 

というか敵対なんかしてこのチャンスをのがしたら次は何時になるかわかったものじゃないニャ!

 

 

「シャルウゥゥゥゥゥ」

 

 

「あ、聞いてくれるのですかニャ?実は……」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

クシャルダオラは困惑していた。

 

目の前のアイルーという小さな獣人種の存在に……。

 

この獣人種は話がしたいと言って声を掛けてきた。

 

しかもその願いの内容は『ボクに全力の能力を使った一撃をぶつけてくださいニャ』という意味不明なものであった。

 

ただの死にたがりか、そもそも頭の作りが残念なのか、クシャルダオラには解りかねるところであったが、一応その願いは聞いてやることにした。

 

 

「本当ですかニャ!?ありがとうございますニャ!!」

 

まるで子供のように跳び跳ねて喜んでいる獣人種。

 

死ぬかもしれないのに呑気なものだ……。

 

別にクシャルダオラからすればこの小さな獣人種がどうなろうと知ったことではない。

 

生きてようが死のうが、クシャルダオラには全く関係のないことなのだから……。

 

だからこそ了承した。

 

暇潰しには丁度良かった。

 

風を再び纏い獣人種から少しだけ距離をおく……。

 

そしてエネルギーを集めるためにチャージを開始する。

 

体内に暴風のエネルギーが集まり凝縮されていき、やがて限界までチャージする。

 

チャージを終えたのを確認して獣人種の方をチラと見てみる。

 

 

「…………」

 

そこには先程までの子供のように跳び跳ねる獣人種ではなく、受ける為に構えをとり、真剣そうに表情を鋭くした獣人種の姿があった。

 

先程までとは明らかに違う…異質で底知れないナニカを感じさせる……。

 

そんな雰囲気をその獣人種は放っていた。

 

お前はいったい何者だ……?本当に獣人種なのか?

 

生ける天災にそんな疑問を抱かせる程の雰囲気を獣人種は放っていた。

 

 

「ルオオォォォォォッッ!!!」

 

 

ドッッッッ!!!!!

 

しかし約束は約束、限界までチャージした暴風のブレスを、クシャルダオラはその獣人種へと向けて撃ち放った。

 

放たれる極太の暴風の弾丸……。

 

それはもうスピードで獣人種へと向かっていき、直撃した。

 

直撃する最中、クシャルダオラには獣人種が何かを呟いていたのを耳にした。

 

 

「ーーー必殺マジネコシリーズーーー

 

ーーーマジネコキャッチーーー」

 

極太の暴風の弾丸を全身で受けとめる獣人種。

 

その姿は心なしか、身体が大きくなっているようにも見える。

 

クシャルダオラはその光景に驚きながらも様子を見守る。

 

 

「こんのっ……止まりやがれってんだニャアァァァァッッ!」

 

弾丸に暫しの間抗っていた獣人種だが、そこで変化が起きた。

 

 

【カッッ!!!】

 

獣人種を中心に眩いばかりの光が放たれる。

 

そして遅れて暴風が吹き荒れた。

 

 

「ギニャアアアアッッ!!!」

 

光の中から聞こえてくる獣人種のものと思わしき断末魔。

 

しばらくして声は聞こえなくなり、静かになった。

 

死んだか…。そう思い、クシャルダオラがその場を離れようとしたその時であった。

 

辺りを照らしていた光が収まり始め、ある一転へと収束しだしたのだ。

 

それに合わせるように今まで吹き荒れていた暴風がその光へと吸い込まれていく。

 

いったい今度はなんだ?

 

クシャルダオラは足を止めその様子を見守る。

 

やがて光と暴風、その両方を全て吸収し、収まった中から現れた者にクシャルダオラは驚きを隠せなかった。

 

 

「…………」

 

そこには風のオーラのようなものを纏い、全身鋼色になった体毛を逆立てながら、静かに身体の調子を確かめる獣人種の姿があった。

 

その姿は自分自身を連想するほど荒々しいものとなっている。

 

 

「シャルウゥゥゥゥゥ」

 

訳がわからずクシャルダオラは獣人種に問いかける。

 

これはいったいなんなのだと……。

 

 

「……ありがとうニャ…。クシャルダオラさん、あなたのお陰で漸く分かりましたニャ…。これはクシャルダオラさん、貴方がくれた力ですニャ」

 

訳がわからなかった……。

 

お礼を言われたことも、あの姿が自身のお陰だということも……。

 

最早この小さな獣人種が何を言っているのかクシャルダオラには理解できる範囲を越えていた。

 

その中で二つだけ分かることがあった。

 

それはこれ以上この獣人種に関わるべきではないということ、そして手を出すべきではないということ……。

 

手を出せば、この獣人種はいとも簡単に自身の身体を粉微塵に出来るだろう……。

 

そう確信できるほど、獣人種の放つ存在感はクシャルダオラの本能にそう警報を鳴らしていた。

 

 

「シャルウゥゥゥゥ」

 

 

「そうですニャね、あぁ、それと、もうひとつお願いがありますニャ、しばらく雪山には近づかないようにお願いできますかニャ?ボクも一応ニャンターなので、撃退したっていうことにしておきたいのですニャ」

 

言われなくてももうしばらく来るつもりはない……。

 

お前にはもう二度と出会いたくない……。

 

そう思いながらクシャルダオラは足早にその場を去っていくのだった。

 

もう二度と出会う事がないように……。

 

ただそれだけを願いながら……。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

後に、その獣人種のことを祖龍へと報告したクシャルダオラによってアイルーはミラsから目をつけられることになるのだが、そのことを今のアイルーは知る由もない……。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

ギルドの報告書

 

雪山にてニャンターアイルーと鋼龍クシャルダオラが遭遇、クシャルダオラの攻撃を何らかの方法で吸収したアイルーがクシャルダオラに酷使した力を使ったという観測体からの報告があった。

クシャルダオラは怯えたように雪山から逃げ去って行った模様

 

これよりニャンターアイルーを【撃滅拳】としてG級ハンターとみなす。

 

そして、獣人種アイルーを【拳滅獣】『ルイン・フィスト』と呼称し、警戒体勢に入る。

 

【拳滅獣】として不穏な動きをした場合は直ちにギルトナイトが殲滅を行うこととする。




というわけで今回はここまでニャ!

次回の更新はまた一月後となりますニャ、それまでの間お待ちくださいニャ!

それじゃあまた次回お会いしましょうニャ!

See you Next novelニャ!!

これからのアイルーくんの動向について

  • 渋々弟子入りを認めアステラに同行するニャ
  • 弟子入り✕様子見でアステラへ同行ニャ
  • 弟子✕同行も✕気ままにやるニャ
  • 弟子○けど基本好きにやらせるニャ
  • 全部ほっぽり出してテトルー宅に籠城ニャ

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