この素晴らしい世界でゆんゆんのヒモになります   作:ひびのん

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第五話

「マジか」

「マジだ。ごめん、期待に添えなくて……」

 

 日々を過ごしている馬小屋の裏手で、カズマが呆れ返った。

 この前の飲み会で帰り道をともにした俺とカズマとアクアは、お互いに思いの外すぐ近くの馬小屋に泊まっていることが判明し、今朝は寝起きで外の風を浴びに来たところにカズマが訪ねてきた。

 なんでも、冒険者クラスはなんでもスキルを覚えられる職業らしく、ウィザードから何か役に立つスキルを学びにきたらしい。見ただけで冒険者カードに、取得可能スキルが刻まれるのだとか。便利だ……。

 だが、スキルなんて一つも持っていない。

 すべてのスキルポイントは、アークウィザードになったときのためにストックされている。一応、見せる。やがて、ぽんと肩を叩かれた。

 

「大丈夫。たとえ最弱職の俺より弱くても、俺たちは友達だ」

「…………」

 

 ゆんゆんがいなければ何もできない俺は、何一つ言い返せなかった。

 

「そ、そういえばアクアは? 一緒の小屋にいるんだろ?」

「まだぐーすか寝てる。お前と、特にゆんゆんには見せられないほどみっともない、ニートだった俺よりぐうたらした感じでな」

「そ、そんなことで感謝の念が揺らぐことはないから……しかしお前、女神様を馬小屋に連れ込むとか、いいのか……?」

「女神? 女神様がどこにいるっていうんだ? 工事現場のおっさんと打ち解けて、意気投合して酒をガブ飲みして、何回も懲りずに大変なことになっているやつなら知っているが」

「アクア……」

 

 感謝の念が揺らぎそうになるのを、昨晩のゆんゆんの涙顔を思い出すことで、なんとか支えた。

 ずっと守りたい、アクアがくれたあの笑顔。

 

「それにしてもそんな便利な職業だったのか、冒険職。最弱とかいうからてっきり何もできないものかと思ってたよ」

「スキルポイントが全然貯まらないから、スキルを教えてもらっても取れないんだよ。それに比べてアクアは5ポイントもする宴会芸スキルをとった上で、アークプリーストのスキル全取りしてるらしいし……異世界って、こんなんじゃないだろ……」

「クルセイダーも加入したことだし、紅魔族で言う”養殖”させてもらったらどうだ?」

「それは無理だ。お前のところみたいに万能なアークウィザードなんて一人もいない。いるのは最弱職の俺、攻撃力皆無のアクア、一発屋のめぐみん、攻撃の当たらないクルセイダーだぞ」

「……あのすっげー美人のクルセイダー、そんなんなのか? パーティー偏ってんな……おい、そんな目をしても、ゆんゆんはやらんぞ」

「チッ。あのとき俺も美少女を願っとけばよかった。おい養殖マグロ、あとでお前の転生特典をうちのめぐみんとすり替えてやる」

「その名前はやめてくれ最弱職。分かった、俺がアークウィザードになったあとは、ゆんゆんに養殖してもらえないか頼んでやるから」 

 

 

 そして用意を終えた俺はカズマと別れ、昼にさしかかる時間ではあったが、一足先に冒険者ギルドに向かうと、当然のようにそこにいた。建物の隅でうつむいて、じいっと待ってたゆんゆんが「あっ、おはようショウくん!!」と、顔を上げるなり目を輝かせた。

 かわいい。もう一生離れられない。絶対にあの最弱職にはやらんぞ。

 

「ねえ、ずっと心配だったんだけど。昨日のことは夢じゃないんだよね。みんな現実だったんだよね? わたし、知らない人といっぱいお話しできたんだよね?」

「キャベツ捕まえて、新しい友達と飯を食って、めぐみんにも会えたのは現実だってば。そんなに不安がらなくても大丈夫だから。それより、あの、今日もレベリングお願いします」

「うんっ!! わたしに任せて。一日でもはやくアークウィザードにしてあげる! そしたらね、パーティーメンバーとして一緒にいろんなところ冒険しようねっ!!」

 

 両手を前でぱんっと打ち合わせ、未来に目を輝かせた。

 誰かに、その可愛らしい瞳を濁っていると言わせないために頑張ろう。アクシズ教のペンダントを、しっかり豊満な胸につけるようになったゆんゆんの手をとる。手を触れ合わせたことに驚いているのを感じながら、今日も冒険者ギルドに入った。

 こうしちゃいられない。のんびりしてたら、一生追いつけない。

 いずれ化けの皮が剥がれて、魔法の使えないウィザード呼ばわりされてしまいかねない。

 ちゃんと、背中を守りあう感じの、タッグウィザードがやりたいのだ俺は。

 

「今日はあんまり経験値がもらえそうなちょうどいい依頼、出されてないね……」

「他の街に行くっていうのは? この街の冒険者はレベル20くらいで、もっと強くて経験値が多いモンスターを狩りによそに出て行くっていうし」

「えっ!!? ……う、うう。本当はそうしたほうがいいんだけど……」

 

 ちら、と。ゆんゆんは昨日俺たちが座っていた席を見ていた。

 あっそうか。

 そういえば、いずれ紅魔族の長となるゆんゆんは、紅魔族で成績トップだっためぐみんを追いかけてここに来たって言ってたっけ。

 

「分かった。めぐみんとの決着がつくまで、アクセルにいよう」

「ご、ごめんね? 外に出れば、もっと強いモンスターを狩ってレベルを上げてあげられるのに……」

「いえ。私はもともと何も言えない身なので……与えてもらう立場なので……」

「敬語にならないでっ!? わたしがあげてばっかりみたいに言うけど、ショウくんもいっぱいわたしにくれてるんだからね? こんなことじゃぜんぜん返しきれなくって……」

 

 掲示板の前で、二人とも黙り込んでしまった。

 やがて、またお互いに見つめ合った。ゆんゆんは若干上目遣いで、ほっぺたもほんのり赤い。

 

「……今日はこれにしようか。猪鹿鳥の討伐クエスト……だっけ? 牙と角を向けて空から突進してくるちょっと危ない敵だって聞いたけど、どうだ?」

「う、うん。そうね、それにしよっか」

 

 オーケーをもらったので、なぜか一緒に来ないゆんゆんをよそに、依頼書を剥がして受付に持って行く。 

 ぽつりと、背後でゆんゆんが何かを言った気がして振り返る。だが、慌てて口を閉ざして深くうつむいてしまって、何を言ったのかはわからなかった。

 

 

 

 

 

 

『緊急クエスト! 緊急クエストッ!! 街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってくださいーー』

 

 ゆんゆんと二人きりで、今度は異世界麺料理を出す店で朝飯を食らっているとき。

 いつか聞いたアナウンスが、街中に鳴り響き。思わずレンゲをスープの中にポチャンと取り落とした。

 

「ま、またか。今度は一体なんだ?」

「わっわからないけど……早く行ったほうがいいよね。街に何かあることだったら、大変だもん!」

 

 たとえ魔法が使えなくても、冒険者の端くれ。さっさと食事を済ませて冒険者ギルドに向かおうと、ゆんゆんが頑張って頬張っているのを眺めていると、アナウンスが続いた。

 

『ーー冒険者の皆さんっ!! 宝島ですっ!!』 

 

 ガタッ。ゆんゆんは突如として立ち上がり、無造作に料金をカウンターのおじさんに渡す。

 それから俺の手をひっつかんで、嵐のように外に飛び出した。

 

「な、なんだなんだ!? ゆんゆん、待って。なんだ宝島って!?」

「えっと、おっきな亀さんモンスターが出たんだよ! あ、ああどうしよう。ショウくんのためのツルハシなんて持ってないからギルドで借りないと……ううん、むしろ、わたしの魔法で落ちたものを集めてもらえば……でもそれじゃあ……」

「ま、待って。ちゃんと説明をお願いしたいんだけど!! ……って、あれアクア? アクアだ! おーい!!」

 

 アクアと、もう一人知らない人が一直線に冒険者ギルドに向けて土煙を上げながら、凄まじい勢いで走ってく。

 声をかけたのに、こちらには目もくれず。

 その後ろをへろへろと、カズマがついていってた。ゆんゆんと顔を見合わせ、さらにカズマの後ろを追った。目的地はもちろん、冒険者ギルドである。

 

「はあっはぁ……着いた……おいカズマ! なんでアクアはあんなに焦ってんだ?」

「俺だって知らねえよ……おい、どういうことか説明してくれよ。宝島って何なんだよ?」

「あ、あの。よければわたしが説明しますね……」

 

 カズマが叫ぶと、アクアと一緒に走っていた血色の悪い胸の大きなお姉さんが説明してくれた。

 宝島とは巨大モンスターの名前らしい。山よりも大きなそのモンスターは十年に一度のみ、甲羅干しするために現れ、鉱脈を住処としているために、甲羅には希少な鉱石がいくつもくっついている。冒険者たちはモンスターをよじ登ってこれを取りにいくのだとか。

 なるほど。

 二人は、受付のほうにリュックとツルハシを取りにいったらしい。もっとも、受付に行くことを嫌がるゆんゆんは、アクアに頼んだみたいだが。

 

「ほらカズマ、持ちなさい。ゆんゆん、あなたこの女神様にパシリをさせるとは、なかなかいい度胸ね!」

「す、すみません……どうしても、あの受付の人を思い出すと、その……あの寂しい人を見るような目を思い出してしまって……」

「えっ。あ、ご、ごめんね? アクシズ教徒ですもの、このアクア様を頼るのは当然ですよね! ……って、そんなこと言ってる場合じゃないわ!! あんたまで、なんでここに来てるのよ!?」

 

 アクアは、ビクッと震えた見知らぬ女性に抗議する。

 

「いいじゃないですか! 私の店、今月も赤字で大変なんです。宝島の希少な鉱石でもないと、その、とてもかさんだ借金が返せなくって……あっ、そちらの方。ウィズ魔道具店、ウィズ魔道具店を宜しくお願いします!!」

「あんたの借金なんてどうだっていいわよ! そんなことより、稼がなきゃいけないの私は! この前のキャベツ狩りでぜんっっっっぜん稼げなくて、借金できちゃったのよ、このアクア様が借金!!」

「そりゃお前が調子にのってアホみたいに飲みまくるからだろうが。なんだよレタスって……プークスクス」

「あーーーっ!! 笑ったわね!? 見てなさい、今日の宝島でカズマが泣いて謝るくらいの金を稼いでやるんだから!」

「言ったな? なら今日も儲けは別々な。いいか? あとで文句言っても知らないからな?」

「上等よ! 岩よりもでっかいマナタイトとってきてやるんだから!! 泣いて謝っても、報酬分けてあげないんだからね!」

 

 カズマには、変な人を集める能力があるにちがいない。そんな気持ちを込めて目を向けると逸らされた。

 そしてカズマや道具屋の店主さんはともかく、女神様がやる気満々で、ツルハシ片手に鉱石を掘りにいくのか。

 ほんとどうなってるんだ、この異世界は。

 

 

「うわ……」

「なんだこれ……」

 

 街の入り口を出て、俺とカズマは昨日までそこに存在しなかった山を見上げた。

 すでに冒険者が山に向かって突撃している。岩盤むき出しのそれには、確かにキラキラと色とりどりの鉱石が見え隠れしている。

 宝島と呼ばれる亀は、出てきたであろう穴のそばでじっと体を横たえていた。真っ先に受ける印象は、とても温厚そうだということ。冒険者が背中に群がってツルハシを振り下ろしているというのに、気にもしていない様子。懐もでかそうだ。

 

「い、いこうショウくん!! 高純度のマナタイトが掘れれば、紅魔族垂涎ものの、強力な魔法杖だってできるんだから!」

 

 ああ。それで、こんなに張り切ってるのか。

 この辺りには見つからないが、きっとめぐみんと勝負するつもりなんだろう。冒険者はみんな来ているはず。鉱石取れた順勝負に加えて、ゆんゆんやめぐみんも持っていないような強力な杖が作れるなら。

 ゆんゆんにとってはこの上なく魅力的で、しかもおいしいクエストだ。

 

「おおおおおおっ、すげえっ!! 希少な鉱石がこんなにたくさんっ!!」

「うわぁあっ、鉱石モドキだっ!? こっちくんなっ、くそっ。うおおおっ!!」

「待てそこのモンスター! 私のところに来るんだ。その柔軟でいやらしい触手を、その男ではなくこちらに伸ばせ! このクルセイダーが全て受け止めてやる!!」

「ちょっ、ダクネス!? こっちを手伝ってください! ゆんゆんに負けるわけにはいかないのですから!」

 

 がんばるぞっ、と張り切っているゆんゆんをよそに、遠くからそんな声を聞き分けた。

 ……あの金髪美女クルセイダーの声に聞こえたが、きっと聞き間違いなので、聞こえないふりをした。きっとカズマがなんとかするだろう。

 

「それじゃあ、わたしが"ライト・オブ・セイバー"で削るから、ショウくんは鉱石を拾って、どんどんカバンにいれていって!!」

「大丈夫なのか? 紅魔族の強力な魔法だと、さすがに宝島も怒るんじゃないか?」

「大丈夫。いつもはすっごい地下に生きているモンスターだから、本来の甲羅は上級魔法くらいじゃ絶対傷つかないくらい硬いの!」

「なるほど。じゃあ頼むゆんゆん!! ぶっ放してくれ!」

「うんっ! いくよ。ちっちゃい”ライト・オブ・セイバー”っ!!」

 

 とても嬉しそうに魔法を唱えると、何重もの魔法陣が輝く。

 数秒もしないうちに甲羅の表面が砕け散り、ぱら、ぱらと落ちてきた鉱石を拾い上げ、次々にカバンに放り込む。石そのものが輝いているものが必ず価値の高いもので、向こう側が見えるくらい透き通っているものや、色付きの鉱石が高い確率で価値があるものらしい。

 

「ゆんゆん、探すの手伝ってくれ! 他の冒険者に拾われる前に、ちょっとずつやろう!!」

「え? う、うん!! そうだねっ。わたしも頑張って見分けるよ!」

 

 

 とまあそんな調子で。

 ゆんゆんが魔法をぶっ放して、分解した石の山から鉱石を二人で探す。鉱石掘りを頼っているとはいえ、初めてだ。初めてパーティーらしいことができて、ウキウキだ。

 希少な鉱石が砕けない程度の威力で魔法を放っているらしく、価値の高い鉱石はしっかりと形を残していた。上の方から「あっ、ずりぃ!!」と知り合いの声が聞こえた気がしたが……お前のところのアークウィザードに手伝ってもらえと、聞こえないふりをした。爆裂魔法はさすがに宝島も怒りそうだけどさ。

 

 

 やがて陽も落ち、甲羅にこびりついた全ての鉱石を落とした宝島は穴に潜る。

 冒険者ギルドはお祭り騒ぎだった。

 歓喜の中、とある一人の冒険者が悲痛な叫びをあげていた。

 

「ああああああああっ!!? 嘘です、こんなの嘘ですぅーっ!!!」

「やった、やったぁあっ!! やっと、やっとめぐみんに勝ったぁーーっ!!」

 

 隣のテーブルは鉱石が山積みにされていたのだが、めぐみんが突っ伏した衝撃で、いくつか端っこの石が転がり落ちた。さらにテーブルをばんばん叩いてる。その正面で、ゆんゆんが頬を真っ赤にして超喜んでた。

 

「なあカズマ。あれはいったい何をしてるんだ?」

「そういえばダクネスは知らないんだっけ。ま、紅魔族同士の因縁ってやつ? 今日は採れた最高級鉱石の数で勝負したみたいだな。おーいめぐみん、早くこないとー、アクアに全部食われるぞー!」

「くぅぅっ。最近、ゆんゆんに負け始めてしまってます……ゆんゆんのくせに……」

「えへへへぇ……どうめぐみん!? これがわたしの実力よっ! もう、そう簡単に負けたりしないんだから!」

 

 ゆんゆん、嬉しそうでよかった。うん本当によかった……。

 ちなみに向こうの机に乗っている鉱石は換金後、俺とゆんゆん、めぐみんとダクネスでどちらも折半されることになっている。

 

「カズマも、アクアも大量に採れたみたいじゃないか。最後の爆裂魔法がけっこう効いたな」

「もっちろん!! 見なさい、このマナタイトの輝きを! こんな高純度のマナタイトなかなかないわ!! すいませーん、えっと、ここからここまで。ジャンジャン持ってきてちょうだい! もうお金には困らないんだから。今日は飲み明かすわよーーっ!!」

「あ。そういえばアクア、聞こうと思ってたんだけど。カズマは異世界の文字を読めるのに、なんで俺は読めないんだ?」

「はっ? ……あっ! そうそう、思い出したわ。あなたね、願いを叶えようとしたのはいいんだけど、脳が異世界言語の習得プログラムと相性が悪かったみたい。そんでこれ以上やるとパーになって、そもそも願いが叶えられなくなるってことで、中断してそのまま転送させたの」

「……魔剣選んでたら、俺は今頃パーになってたのか」

 

 あのアクアのいた空間で、魔剣とか選んだらハーレム作れるとかなんとか言われて後悔したもんだが、やらなくてよかった……

 カズマは、またもや胡散臭い目でアクアを見て。まさか、と言わんばかりに気づいたように自分の頭を押さえた。お前は大丈夫だったろ……いやまて。もしかすると、パーとはいかなくても、気づかないうちに、どこかダメになってるかもしれない。

 異世界転生やっぱ怖え……

 

「ねえっ、聞いてショウくん!! あのね、ショウくんのおかげでわたし、めぐみんに勝てたよっ!!」

「うおっ、おっ。おっ!? よ、よかったな……あの、ゆんゆんさん? その当たってますけど……うぐぉ。ゆ、ゆんゆんさん。ゆんゆーん……」

「えへへ……勝ったぁ。めぐみんに勝った……!!」

 

 がばっ、とお腹のあたりに飛び込んできた。嬉しさのあまり我を忘れたゆんゆんが、すりすり。やめて。膝のあたりが柔らかすぎて、なんかもう色々きついです。

 

「くぅっ、悔しいですカズマ!! それをよこしてください。くぅっ、ですが今回は二対二のチーム戦です。次は1対1の勝負で……んぐぅっ。ふんすっ」

「めぐみんも俺の胸に飛び込んできていいんだぞー? ……くそ、やけ食いに夢中で聞いてねえ」

 

 なかなか我に返らず、膝の上に頭を乗せたゆんゆんを撫でながらアクアに尋ねる。

 

「なあアクア。レベルが上がって、知力のステータスも上がったことだし、異世界言語を読めるようにはならないのか?」

「無理ね。そういうのは、あの空間でしかできないようになってるの。頑張って勉強するほかないわね」

「じゃああの空間にはいけないのか? 女神なんだろ、習得できるようになったらもっかい連れてってくれよ?」

「ううっ、わだしだって、わだしだって帰りたいわ……ぐすっ。できないのよ、帰れないのよぉぉ…………けど行く方法がないわけじゃないわ」

「あるのか!? どんな方法だっ!?」

「それはね。サクッと死ねばいいのよ。そうすれば、女神のところに行けるわ……」

 

 女神様の提案にがくりと俯いた。

 どう頑張っても、俺はヒモにしかなれないようだった。

 

「……ゆんゆんに教えてもらいます」

 

 

 




 そういえばアクアさまの1日1号泣ノルマを果たしていない

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