この素晴らしい世界でゆんゆんのヒモになります 作:ひびのん
「静かなもんだな。静かすぎて不気味なくらいだ」
長かったようで、短かったアルカンレティアでの冒険。その旅立ちの日にカズマがぼそりと呟いた。
「そうですねぇ。ここに来た日は、アクシズ教の人たちが、息もつくことができないほどに、入信書を押し付けてきたというのに」
「いざ去るとなると寂しいものだな。だが、またこの街にくればいいさ。冒険者の旅というのは、いつの時代もそういうものだ。というか絶対にまた来よう。なあ二人とも」
「「絶対に断る」」
カズマとめぐみんが完全にハモった。
来た時とは比べ物にならない、テレポートサービスセンターの壁に背中を預けながら、ぼんやり空を見上げていたゆんゆんに声をかける。
「どうかしたのか。宿に忘れ物か?」
「ううん。なんだか、すごい冒険しちゃったなって思って……里にいたときは、こんなの想像もつかなかった……」
「俺はもう二度とごめんだけどな……アクアがいなかったら、今頃みんなまとめて溶かされて毒液の中だったぞ。この街も無くなってただろうし。最初からすごい冒険しすぎだな……」
「あはは……うん。でも、こんなこと言ったら不謹慎かもしれないけど……わたしね、みんなで冒険できてね、すっごく楽しかったんだ」
ゆんゆんは、未だ魔王軍幹部討伐の熱が下がっていないのだろう。頬っぺたがいつもより倍ほど赤く、ひたすらに指をこすり合わせた。
最後にかろうじて見える街を振り返る。
一時は汚染魔法に汚された水源だが、もはや毒は見る影もない。
街の頂上から流れているのは澄み切った純粋な水である。
アクシズ教のプリーストたちが数人、俺たちを見送りにきていた。さらに建物の陰や、窓から、何十人、何百人のアクシズ教徒たちもこっそりとアクアの見送りにきてた。
……その情熱、わかるけどちょっと怖い。あの後にあった降臨祭のときにも思ったけど。
「アクア様、行かれてしまうのですね。我々はいつでも、お待ちしております……」
「ちょ、そんな顔しないで! 私の従者と魔王をチョチョイと倒してくるだけだから。またそのうち遊びにくるわよっ!」
「いつでもアクア様にお泊まり頂いた部屋は空けておきますので。まさかその身を張ってまで、この街を守ってくださるとは……命を捧げても、受けたご恩は足りませぬ」
「命なんていらないわよ、仕事増えるだけだし。それよりこれからも教義をよく守って、私を崇めなさい!! これからもアクシズ教をもーっと崇めるの!!」
「もちろんですとも!! 私共一同、より一層励んでまいりますので!」
「よしよし。ただ、えっとね……あのモンスターの泥に突っ込まれるのはもう勘弁してほしいかなって思うの……」
後から聞いた話だが、最初の日に汚染された水源。
あれを浄化したのは魔法ではない。
毒々しい水にびっくりして、勢い余って足を滑らせて落ちたアクア。偶然、水の女神の体質によって浄化されていったというのが真相らしい。
魔法で浄化することもできるらしいが、アクシズ教の信徒たちは、浄化の条件が水の女神が浸かることだと勘違いして、その願いを断れずに一つ一つに浸かったのだ。毒水に滝のように打たれたり、足を突っ込んだりとさんざんだったらしいが、自分の信者たちが信じてくれるなら……と、最後までやりきってしまった。
女神の鑑だな、ほんと。
「しかし、あれだけの戦闘があったというのに、死人どころか怪我人もほとんど出なかったのは幸いだった」
「街の住人のほとんどは教会に集まってて、アクシズ教じゃないやつらも街の防衛や見張りに駆り出されてたしな。警報がすぐ出たおかげで、毒を口にすることもなかったみたいだし」
「ああ、今思い出してもあのモンスターの毒は凄かった。あんな凄いのは初めてだ。ジワジワ侵食されていく感触に、痺れて徐々に動かなくなっていく素晴らしい感覚……思い出すだけで震えが……っ」
「おい。素晴らしいってどういうことだ」
「言ってない」
「しかし、反省の多い旅となってしまいました……まだまだ、私は未熟です。もっと強力な爆裂魔法を打てるようにならないと……」
「何言ってんだよ。今回のMVPこそアクアだが、勝てたのはお前の爆裂魔法があったおかげだ」
真顔のダクネスを一瞥もせず、めぐみんは背丈ほどある杖を、悔しげに力強く握りしめる。
「いえ。本当の爆裂魔法はあんなものではありません。幹部クラスとはいえ、一撃で葬れなかったのは、私が未熟なゆえです。カズマ! アクセルに戻ったら修業です!! もっともっと爆裂魔法を打ちまくって、レベルを上げて、最強の爆裂魔法を完成させましょう!!」
「ゆんゆんみたいに上級魔法とってくれよ……」
「ありえません。我がスキルポイントは、すべて愛すべき爆裂魔法に注ぐために存在するのですから。しかし今回のことで、カズマも我が究極魔法と、それを扱える私の価値がどれほどかを、ようやくその身で理解したのではないですか?」
「まあ、ほんの、こんくらいちょっとだけな」
「ちょっとですか……まあいいでしょう。また魔王軍の幹部が現れたときは、私に任せてください。次こそは一撃で葬ってみせますからっ!!」
「二度と会いたくねえよ!!」
ビシッと、紅魔族特有のかっこいいポーズを決めるめぐみんに唾を飛ばして反論し、カズマはため息を吐いた。
アクセルは初心者の街だ。旅さえしなければ、もう二度と魔王軍の幹部など会うこともないだろう……そのとき、血色の悪い魔法具店の店主がカズマの脳裏を過ぎったが、あれは例外だと首を振った。
「それにしても、俺たちよく幹部クラスの大物倒せたよな。報奨金とか貰えるのかな?」
「すまん。私は把握していないが、幹部クラスならかなりの高額になるだろう」
「報奨金もらえるのっ!? カズマカズマ、アクセルでお祝いしましょうっ! 遊びまくりましょう!! みんな夜明かしでパーティーナイツよ!」
戻ってきたアクアが、純粋な子供が未知のおもちゃを前にしたような、それはもう素晴らしい笑顔を浮かべて近づいてきた。
わかったわかった、とあやすカズマもまた、楽しみにしている雰囲気を隠しきれていない。
「おーい、カズマ。そろそろ行くぞ!」
「……さて、呼ばれたことだし。帰るとしますか。みんな!」
全員が、来る時よりも大きな魔法陣の上に乗り、アクシズ教の信者達に見送られながらアルカンレティアを去った。
アクアは魔法陣ギリギリまで近づいて、またねーーーーっ!! と、名残惜しそうに手を振り。
めぐみんはゆんゆんと、今回の戦いでどちらの功績が大きかったかを言い争い。
ダクネスは静かに瞑想……たまに何かを思い出して頬を赤らめて、腕を組みながらテレポートの発動を待ち。
俺とカズマは、なぜ自分たちが生き残れたかを延々と語りあいながら。
六人の乗った魔法陣が輝き出した。
帰ろう、アクセルの街へ。
「……そういえば、なんで私たちアルカンレティアまで来たんでしたっけ」
「あ"っ」
めぐみんの言葉を最後に、勇敢な冒険者たちの姿は消えた。
結局テレポートサービスセンターを出た俺たちは、温泉の町ベレスを経て、来る時よりも豪華な六人乗りの馬車に乗って、アクセルまで帰還した。
アクセル行きの馬車に乗る前に「戻りましょう! ねえ戻りましょう。クエスト未達成になっちゃう! お願い、お願いよカズマぁぁぁ!!」と、泣きついたアクア。
だが、当のゆんゆんが申し訳なさそうに。
「あ、あの……アクア様には感謝してもしきれないほど感謝してて……あの、でも、今回のことで、アクシズ教として信仰するのとは違うのかなって思って……」
という依頼主の意向により、そもそも依頼自体が取り下げられることとなった。
そのときアクアは「なんでよーーーっ!!」と叫んだ。俺はとても賢明な判断だと思った。あれを見た後でアクシズ教に入ろうとはしないだろう。
まあ、アクシズ教のペンダントは相変わらず大切に持っているみたいだが。
それくらいがちょうどいい距離感なのかもしれない。
懐かしの我が街に帰ってきた俺たちは、別れて、それぞれの生活に戻っていった。
今回のクエストは依頼主の都合でのキャンセル扱いとなり、心配していた報酬は無事に支払われることとなった。まあ、ゆんゆん曰く、ギルドが認めなくても払う手筈は整えていたらしいが。
アクアの旅費と、ベレスでの豪遊費、そして三十万エリスがアクア個人に支払われ、女神の美しい瞳を"¥"のマークに変えた。
もっとも、その三十万エリスはアクセルに残してきたツケや、酒と遊興費に消えたようである。
……にも相変わらず、ここ数日の金使いは荒いままだった。
報酬額を超えて、ツケで飲みまくっているらしい。
なぜか。理由を聞くと、こう答えた。
「ふふふっ……いい? 私たちは魔王軍の幹部を討伐したの。報酬は一体いくらになると思う? どんなに少なくとも一億エリスにはなるわ! 六で割っても相当残る。それに比べたら、こんな金額屁でもないってわけ!」
「お前の辞書には貯金って言葉はないのか。昼間っから飲んでんじゃねぇ! 今回の件でちょっとは見直したってのに、この駄女神が!!」
「なによっ!? 私のお金なのよ。私が今回の一番の功労者でしょう! いいじゃないちょっとくらい贅沢したって! ……っていうかまた駄女神って言ったわねヒキニート!! 謝って! 駄女神って言ったことを謝って!!」
と。普段通りの調子のカズマパーティーを横目に、昼間の冒険者ギルドでぷはぁーっ! と、二人でジュースを煽った。
やがて小さな喧嘩も終わって調子を取り戻したアクア。
口に泡をつけたまま、美味しそうに唐揚げをつつく姿は中年のおっさんのようで。
アルカンレティアで見せた女神の威厳はどこに行ってしまったのだろう。
自慢の宴会芸を披露する女神を前に、げんなりするカズマを、ゆんゆんと二人で遠くから合掌した。
俺も、ゆんゆんとの日常は今も続いている。
クエストを受けて、街周辺の低レベルのモンスターを狩りにいく。
そんな普段通りの和やかな日々は、アクセルに戻ってから決定的に変わった。
「おめでとうございますっ!! ショウさん。このステータスならアークウィザードへの転職が可能になります!」
「ほ、ほ、ほんとですかっ!!?」
いつも通りの冒険者ギルド。
ギルドカードを提出しにきた俺は、そんな宣告を受けて、つい受付嬢の金髪お姉さんの鼻先まで身を乗り出してしまう。
「は、はい。本当です。あの近いです……一体何をしたらこんなに早くレベルが上がるんですか……?!
私も長いことこの仕事をやっていますが、こんなにも早く上級職に転職される方はそうはいませんよ!」
「すみません……あ、ありがとうございます。あはは……」
「とにかく、ウィザードから上級職アークウィザードへ、転職されますか?」
「……お願いします!」
魔王軍の幹部を倒したときの経験値はアクアに吸われてしまった。
しかし今回の旅で全員のレベルが一気に上昇している。自分に限っては、アルカンレティアやその道中での"養殖"分の経験値がある。
レベルアップ? ゆんゆんが全部やってくれました……とは、とうとう言えなかった。
冒険者の持つギルドカードには職業が記される場所がある。
絶対に偽造不可能な特性故に、身分を証明するそれはこの世界において意味を持つ。
元の世界での運転免許証や保険証、学生証や社員証などとは比べものにならない、強者の証明。
それが書き換えられる。
天球儀のような機械から放たれる一筋の閃光が、既存の文字をかき消し、新たに理解不能な書き加える。
「……はい、完了しましたっ。それでは伊藤翔太さん。改めて、冒険者ギルド一同、あなたの今後の更なる活躍をお祈りしております!」
受付嬢のお姉さんににこやかにカードを返される。
俺は、その日一日中、自分のカードに釘付けとなった。
アークウィザード。
そう。一握りしかなることの許されない、上級職のアークウィザードとなったのだ。
山ほどあるスキルポイントを上級魔法に割り振って、ゆんゆんやめぐみんのように強力な魔法を使いこなせる。
その舞台に、ようやく手を届かせてもらったのだ。
もう、ヒモとは言わせない。ここからようやく異世界英雄伝が始まるのだ。
「えっ、ショウくん。"ライト・オブ・セイバー"を取るの?」
「もちろん! 心から決めてたんだ。いつかゆんゆんを超えるくらいのアークウィザードになって、もっと凄い"ライト・オブ・セイバー"を使いこなせるようになってやる!」
「……うんっ! そう決めてるんだったら、すっごくいいと思う!」
嬉しそうに手を合わせて、宿に戻った俺をゆんゆんも祝福してくれた。
ここ数日、ゆんゆんは本当に嬉しそうで、なんというか、とても明るくなった。
出会う前は柱の陰に隠れて様子を伺ったりするばかりだったのが、今では「めぐみん、勝負よ!! 今回は勝たせてもらうんだから!」なんて言いながらめぐみんの泊まっている馬小屋に堂々と挑戦に行くし、受付嬢のお姉さんのところについてきてくれるようになったし、アクアやダクネスとよく話している姿を見かけるようになった。
もっとも、めぐみんには2回に1回は面倒そうに適当に追い払われるし、昔を知っている受付嬢のお姉さんは生暖かい目で見られているし、アクアやダクネスと会える頻度はそう多くはない。
でも、だけれど、間違えようもなく彼女は変わった。
周囲の人たちはゆんゆんを見かければ声をかけるようになったし、カズマのパーティーと冒険にいくこともある。
異世界転生者として願った特典は、素晴らしいものだった。
ゆんゆんと出会い、命の危険もあるけれど、昔よりもずっと楽しい。「転生特典だから彼女になって」……なんていまさら言えないけれど。
こんな子と冒険に行けるだけで、俺も十分幸せだ。
といっても……
俺もアークウィザードにはなりたてで、まだまだまともに戦えない。
相変わらず異世界文字だって覚えてない。
ゆんゆんから離れられない日々は続きそうだ。
「それじゃあ、今日はアークウィザードになれたお祝いだね! え、えっとね……ねえ。せっかくだし、これが終わったら、どこかに行かないかな? 前にね、ちょっと高いけど、お祝いにピッタリな店を見つけたんだけど……」
「いいな! 討伐報酬も入ってくることだし、今日は気にせずに楽しもう!! ……これでどうだ! もう打つ手はないだろ!」
「あっ!? むむむぅっ……"エクスプロージョン"を使ったら味方も巻き込んじゃうし……」
ゆんゆん所有のボードゲーム板に集中する二人。
アークウィザードになったおかげか、勝ち続けているゆんゆんを珍しく追い詰めることができて、最高の気分だった。
「おはよう、ショウくんっ!」
「おぉ、ゆんゆん、おはよう。さすがに遊びすぎたな。結局昨日も勝てなかったなぁ……今日はどうする? 俺としては、さっそく覚えたばかりの上級魔法を試してみたい気持ちなんだが」
「いいよ! じゃあ最初みたいにジャイアント・トードの討伐に行こっか! その後は、めぐみんやカズマさん達と一緒に夜ごはん食べよう!」
可愛らしくローブを翻して、後ろで腕を組んでにこりと微笑むゆんゆん。
不意に胸が高鳴った。つい顔を逸らして、ついでに話題も昨日のゲームのことに逸らして並んで歩きながら、いつも通りアクセルの冒険者ギルドの扉をくぐる。
「だから、どーいうことなのっ!? おかしいわ。そんなの絶対おかしいじゃないの!!」
とても聞き覚えのある声で、ゆんゆんとの話題が途切れた。
「どうしたんだ、四人揃って」
「あっ……ショウさんとゆんゆんさんのパーティの方も関係者でしたよね」
申し訳なさそうにうつむき、上目で見上げてくる受付のお姉さん。
テーブルに手をばんばんと叩きつける女神さま。
苦い顔をするカズマ。
集まる冒険者たちの同情の視線。
めぐみんとダクネスは、冷静そうにやりとりを見ていたので、ゆんゆんが聞いた。
「めぐみん、ダクネスさん。なんでアクアさんはあんなに怒ってるの?」
「ああ。あれはですね……」
「絶対におかしいわ! あれだけの力を持ったモンスターよっ!! 魔王軍の幹部を、私たちで倒したのよ! ほんとですってば!!」
「で、ですから。魔王軍幹部デッドリー・ポイズン・スライム"ハンス”はすでに何十年も前に討伐が確認されておりますので、報酬をお出しすることはできないと……」
「おかしいわ! だって、居たのよ! あれだけ苦労して倒したのに!! ほら! ちゃんと冒険者カードにも書いてあるじゃない、これよこれ!! あんたこの文字が見えないの!?」
「も、もちろんそれはわかってます! ですが、魔王軍幹部であるかは分かりませんし、それに今は懸賞金もかかっていません……万一を考えて、念のため冒険者ギルドで確認を行ったそうですが……その。アルカンレティアの方々は口を揃えて『何もなかった』と仰ってまして……」
「なんでよぉぉーーーっ!!」
……ああ、そういえばアクシズ教団の人たちは、外部に箝口令を敷いてたんだっけ。
信仰するアクア様の御身を守る為。他宗教の恨みを買わないため……エリス教徒では決して得られない優越感を感じるためと言ってた信者もいたが。
とにかく、そのときの号令を律儀にずっと守り続けているらしい。
魔王軍幹部のハンスがアルカンレティアに攻めてきたのは紛れもない事実である。
しかし、仮に復活が信じられたとしよう。
それが討伐されたとなれば「どうやって?」という話になる。
最後のトドメはアクアがさした。女神の魔法によって。だからアクシズ教団の皆様は万一を考えて口を閉ざしたのだろう。
今更、討伐したのはアクア様のパーティです、なんて彼らは言わない。
……たぶん、煮ようが焼こうが磔にされようが、決して口にすることはないだろう。
カズマもそれは理解しているようで、報酬がもらえないことに、ひどくがっかりしていた。俺も落ち込んだ。最低一千万エリスとか聞いてたのになぁ……
「か、カズマさあああん!! 私、ツケでいっぱい飲んじゃったの。どうすればいい? ねえどうすればいい!!?」
「知るか!! 俺は何回も、調子にのって飲み過ぎるなって言っただろ!! ああっ、命がけの戦いだったってのに……こんなオチかよ……」
「ゆんゆん! あ、あなたは私の味方よね? ねっ? あ、あのね。女神の名に免じてお金を貸してくれないかしら!」
「い……いいですけど、あの。カズマさんがいいって言うならですけど……」
「駄目だ。絶対甘やかすんじゃないぞ……」
「カズマーーーー!!」
袖を握ってがくがくと何度も揺さぶった。
だがショックを受けているカズマは、とうとう反応すらしなくなった。
やれやれ、と首をふるめぐみんとダクネス。
俺たちはお互いに隣のパーティーメンバーを見て、苦く笑った。
そんないつもの光景が、とても心地よかった。
そして今日も、そして明日も。
みんなで。
俺たちはこの素晴らしく、痛快な世界を冒険しに行くのだ。
主人公がヒモを卒業し、休み中に執筆した書溜めを全て放出してしまいましたので、ひとまず区切りとさせて下さい。
ウィズ・ベルディア・バニル、機動要塞デストロイヤー他。また、張っておいて回収してない伏線が沢山ありますので、また時間がとれたときにひっそり続けると思います。
見てくださった皆様、感想・評価・誤字報告をくれた皆様、ありがとうございました。
9/12追記:冒険者カードに倒したモンスターの名前が記されることを失念していたため、終盤を変更しました