たとえ、全てに否定されようとも~外伝~   作:Laziness

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本編【 Ⅴ・第四話 】を読んだあとにお読みください。

救いの手をとった後の杏さんはどうなったのか?

それを描いております。その頃の日本支部長はなんとあの人!?

どうぞ、ご覧ください。


そして、支部長になる

「いきましょう、アン・アリミ。」

 

 私は、男の子に手をつかまれ、新たな世界へと踏み出した・・・

 

 

 

 

 私は有里美家を抜け出し、【WN×WR日本支部】というところに連れて行かれた。

 

「この大きさで・・支部?」

 

「そうですね。この組織の規模は計り知れないので、早めに慣れるのが良いかと。」

 

 WN×WRは、各国に支部を置いていると聞いたことがある。

 

「ほらほら!遠慮しないで中に入って!」

 

「え?え!?」

 

 私は促されるがままに、その形容できないほどの大きさの支部に入った。

 

 

 中に入ってみると、なんとも清潔。

 

「わぁ・・」

 

「アン・アリミ、こちらです。応接室に案内します。」

 

「じゃあ、僕は必要な書類を持っていく。知りたいことは彼に質問してくれたらいいよ。」

 

 元帥さんはどこかへ行ってしまい、男の子と2人で取り残された。

 

「では、いきましょうか。質問は歩きながらどうぞ。」

 

「う、うん。じゃあさ・・」

 

 質問を許可されたので、質問させて貰おう。

 

「私って・・何の職につくの・・?」

 

 彼は悩むような仕草も見せず、こう言い切った。

 

「支部長ですね。」

 

「いや・・そう言われても・・。」

 

 支部長がどれ程の重役なのか、私には想像がつかない。

 

 まあ・・言っちゃ悪いけど・・支部長って階級低そう・・かなぁ?

 

「説明足らずでしたね。まず、WN×WRの構成から説明させていただきます。この組織は、まず大きく【内務】と【外務】に分けられます。内務は一旦置いて・・アン・アリミが属する、【外務】について説明します。外務は、その名の通り実際に戦場に赴いたりなど、本部から離れて活動する任務を受け持ちます。実動体(通称W・W)潜入捜査団(通常S・W)など沢山の部隊がありますが、支部長はそのどれにも属しません。支部長は『特別執行部』という役職となります。一般的に呼ばれることは滅多に無いですが。」

 

「『特別執行部』・・?凄いの・・?」

 

 危惧していたことが訪れたかもしれない。

 

 救って貰ったのは嬉しいけど・・もし重要な役職だったら・・?

 

「そうですね。全ての部の、頂点に位置しているといってよいでしょう。」

 

 な・・!?

 

 ちょ、頂点!!

 

 いままで、最早その辺りの泥レベルで扱われてきた私が・・!!

 

「な!?そ・・そんな!!」

 

「特別執行部には他にも、捜査主任や現場指揮主任、はたまた戦場医師主任など、さまざまな主任や重役が集まっています。いわば、リーダーの集まりです。」

 

 

 想像以上だった。凄いのかな~程度だったのが、最早今すぐ辞退したい気分だ。

 

 まあ、与えられた以上はしっかりやってみたいけど。

 

「それしか・・ないの・・?」

 

「元帥の気が変わらなければ。ですが誇ってよいのですよ、貴方にはそれほどの才能があったということです。」

 

 私に・・才能・・?

 

 今まで、ろくに戦うこともさせてもらえなかったこの私に・・?

 

「待って・・私に才能なんて・・!」

 

「貴方が自覚していなくとも、元帥が貴方の才能、そして強さを感じ取ったのです。今まで戦わせてもらえなかったのなら、これから階級に驕らず鍛えれば良い。貴方のその強さ、私もこの身で感じましたから。」

 

 世界最強・・とか言ってたっけか。

 

 こんな子供の言葉が、今の私には凄く心に響いたようで。

 

 

「うん・・じゃあ、がんばって・・・みる。」

 

「ええ、少しずつ。人間、日々精進していくものです。」

 

 何だろう、この子はもう悟りでも開いているんだろうか?

 

「君の・・役職は・・・?」

 

「【外務総統】ですね。先程、【外務】と【内務】に分かれていると説明しましたよね。それの【外務】の方の、リーダー的立場にいるものです。」

 

 

 

 

 

 ・・は?

 

 

 

 いやいや、まさか。

 

 疑うのも悪いんだろうけど、あのWN×WRの半分以上を担ってるってことだよ・・ね?

 

 私がいままで男の子・・とか言ってたこの御方・・・まさかの超重役。

 

 

「あ、特に遜ったりしなくても良いですよ?今までどおりで。」

 

「いえ・・そういうわけにも・・。」

 

 そう言われても、階級を伝えられてしまっては、どうにもこうにも・・といった感じだ。

 

「困惑の表情ですか・・。ではもう、お好きにどうぞ。」

 

(あ、諦めた。)

 

「わかり・・ました。外務総統・・?」

 

 その呼び方に、彼は若干顔をしかめた。

 

「できれば、階級で呼ぶのは止めて頂ければ・・。」

 

「で・・でも・・・。」

 

 彼は、諦めきった顔をし・・

 

「まあ、現日本支部長を見れば分かるか・・。では、少し寄り道しましょう。」

 

 本来行くべきルートを変えて、彼が向かったのは【支部長室】

 

 どうにも、入るのに勇気がいる扉である。

 

「失礼します。ジョシュア様、いらっしゃいますか?」

 

『お、その声は。入っていいぞ!』

 

 ノックの後、随分陽気な声が響いてきた。

 

「失礼します。」

 

「し・・しつれい、します」

 

 私は、たじろぎながら部屋に入っていった。

 

「おや、ディザ殿。この子はなんだい・・っと、すまんすまん野暮なことを聞いたな。」

 

「いったい・・何を勘違いしているんですか?」

 

 彼女は、口元を手で覆いながら、申し訳なさそうな顔をした。

 

 野暮・・なんでだろ。

 

「勘違い?なんだ、日本に来ていきなり彼女の1人でも作ったのかと」

 

「貴女とは違いますからね。」

 

「はっは!その通r・・じゃねぇ!!生まれてこの方、はっ!」

 

 男の子が、真面目な顔をしてそういうことを言うものだから、私は頬を染めつつ、ついつい笑いをこぼしてしまった。

 

「この通りです、アン・アリミ。支部長クラスは堅苦しそうに見えて、こんなのばかりなのです。」

 

「こんなの・・っちゃあ心外だがねぇ。」

 

 彼女は酔っ払った父上のような顔をしている・・。

 

 仕事中に飲酒とはいかがなものか。

 

「ですから・・心配しないでください、アン・アリミ」

 

「うん・・わかった・・ふふ。」

 

「お、おう・・なにやら解決したようで。」

 

 どうやら彼女曰く、支部長が結局一番仕事が楽らしい。

 

「じゃあ・・・

 

 

 

 天城様♪

 

 とか・・どうかな。」

 

 彼は僅かに頬を赤らめ・・た気がする。

 

「え、ええ。ではそれで。」

 

「いいねいいねぇ、青春だねぇ。」

 

 にやけながらこちらを見つめる支部長、最早唯の変態さんだ。

 

「では・・そう呼ばせてもらいます、天城様・・。」

 

「め、メイドみたいだな・・」

 

「ご不満・・ですか・・?」

 

「ぐはっ!」

 

 なぜか、鼻血を吹いて倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジョシュア様が。

 

 

「何故貴女が倒れるのです?」

 

「いや・・その、破壊力ぅですかねぇ?」

 

 何で疑問系なんだろ。

 

「天城様・・ありがとう、ございます・・。お陰で安心しました・・。」

 

「いえいえ、では戻りますか。もういきますね、ジョシュア様。」

 

 彼女が、亡霊のように起き上がってきた。

 

「おう・・またいつでも来いよ。」

 

 彼女はそのまま倒れていってしまった。

 

 

 

 

 

「あの人って・・やっぱり強いんですよね・・?」

 

 いつの間にか、完全に敬語になってしまった。

 

「ええ、あんな成りですがね。」

 

「私も・・強くならなきゃ。」

 

 彼は、それに対し首を横に振った。

 

「決して焦る必要はありません。貴女はあなたのペースが一番良いのです。ですから・・これから私と強くなっていきましょう。心身ともに・・ね。」

 

「・・はい!!」

 

 

 その後、手続きを済ませ、無事私は【支部長】になったのであった。

 

 

 それからの苦労は、また別の話・・。

 

 

 




外伝ですので、息抜き程度にお読みください。

誰か、スピンオフ書いてくれないかな・・。

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