幻想郷に守り神がいた!?   作:たみやん

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最近寒くなってきましたね〜。
自分はおふとぅんから出られません!w
では、本編へどうぞ


第3話 ある日、少年は地獄を見る

しばらく歩くと人里中心の図書館に着いた。

私は定期的にこの図書館に来ては外界の勉強をしている。内容は様々だ。外の世界、いわゆる日本の地理や歴史を始め、世界の国々やその国で話されている言語なども調べている。かなり正確に書かれている理由はわたしにはわからない。

外の世界で例えるならば大学生とやらと同じぐらいの知能は持ってるつもりだ。

それはさておき、今日図書館にきた目的は一つだ。それは外の世界と幻想郷の繋がりについて調べること。

外の世界の人間が幻想郷に来ること…いわゆる幻想入りの現象についてだ。

なんでこういうことを調べたいかと言うと、 私は最近妙に自分のことが気になるんだ。

紫さんに聞けばすぐ分かるだろうが最近忙しそうで話を聞こうにも聞けなかった。

それにしてもこの図書館は広すぎる。

外から流れてくるありとあらゆる本をジャンル分けされて置いてあるし、昔から幻想郷にある本だって数え切れないほどある。

 

「さて、どれから手をつければ良いものか」

 

私が悩んでいると声をかけられた。

 

「あれ?蓮じゃないですか」

 

私は声が聞こえた方へ振り向くと着物姿の紫髪の稗田阿求さんだった。

 

「あ、どうも」

 

「何か探し物ですか?」

 

「ええっと、外の世界と幻想郷の関係ついて調べたいのですが…」

 

阿求さんは手を顎に当てて少し考えたあと「付いてきて」と一言いって歩き始めた。

私は阿求さんの後ろについて行った。

 

連れられてきたのは図書館の中心の読書スペースだ。

 

「これは阿求家が代々書き足していった特別な書物よ」

 

阿求さんのバッグから1冊の厚い本がでてきた。

 

「ここを見てみて」

 

それをみると阿求さんが広げた厚い本に大きく『結界異変』と書いてあった。

 

「異変ですか。……え?結界異変!?」

 

 

 

『異変』

主に通常ではない異常な現象や状況を指すものである。

幻想郷では稀にこの『異変』が発生する。

この『異変』には必ず原因となる者が存在し、これを博麗の巫女が対処にあたることとなっている。

だが、博麗 霊夢の代になると霧雨 魔理沙と共に異変解決へと向かう様になり、異変解決組とも呼ばれている。

 

 

私は妖怪退治屋という事もあって幼い頃に異変については勉強している。

ただし、『異変』についてはどのようなものか分かるが、『結界異変』の内容については全く勉強していない。いや、させてもらえなかったと言えば良いのだろうか。

昔、私の両親は私が勉強している事にとても関心していた。

ある日、私は異変について勉強をしていると紅霧異変や永夜異変などが書かれている本を見つけた。そして中の内容を読んでいるとあるページが破られており、私はそれを両親に聞いたが教えてもらえなかったことがあるのだ。

 

「結界異変…?いえ、聞いたことのない異変だったの少し驚いてしまいました。」

 

阿求さんはゆっくりと話し始める。

 

「結界異変とは、異変の中で唯一『許されていない異変』なのよ」

 

「『許されていない異変』?」

 

「異変には必ず原因となる者がいるのを知っているでしょ?」

 

「はい。紅霧異変ではレミリアさん、永夜異変では永琳さんの様な人物の事ですよね」

 

「そうよ」

 

「結界異変での人物は…?」

 

それを言った瞬間、阿求さんの表情は変わった。

 

「外来人よ」

 

「…!?」

 

阿求さんがその言葉を発すると私たちの話を聞いていた老人が1人、話しかけてきた。

 

「お嬢さんよ、その話はしてはいけないことを知っておるじゃろ?」

 

「そうですが、私の話し相手を見て下さい。」

 

その老人は私を見てハッとして「失礼」と言い、その場を去った。

 

「今の事、説明してもらえますか?」

 

「最初からそのつもりよ…。長くなるけどちゃんと聞き取ってね?」

 

「はい」

 

 

阿求さんから聞くには、結界異変の首謀者は外の世界の人間、つまり外来人であること。

特に重要なのはこの外来人が幻想郷を攻撃し、甚大な被害が出たこと。

この事から幻想郷の住民は外来人のことを嫌い、同時にその悪夢を忘れたいが為に結界異変と言う事を消そうとしていたのだ。

そして、先ほどの老人が私を見てその場を去った理由は簡単なことだった。

私は妖怪退治屋であり、異変については知る事が必要になるからその老人も納得したのであろう。

私が両親に教えてもらえなかったのも、その当時私は幼かったのでそんな残虐な異変は教えたくなかったからだと思う。

 

「なるほど。だから『許されていない異変』ですか。ですが、人間にそのような力があるとは思いませんが…」

 

「それ、あなたが言っちゃう?」

 

阿求はクスクスと笑いながら答えた

 

「あ…」

 

少し恥ずかしくなって、思わず目線をそらしてしまった。

 

「じゃあ、人間にも能力は備わるということですね?」

 

「そうね、現に自殺をしようとしてたまたま結界を裂いて幻想郷に来てしまった外来人も人里にはいるわよ?」

 

知らなかった…。

私はそのまま頷きながら阿求さんの話を聞いた。

 

「まぁ、これからも調べたいものがあったら私に聞いてね。沢山あるから分からなくなるでしょ?」

 

「はい、ありがとうございます。でも、なんで阿求さんはここにある本を全部記憶してるのですか?」

 

阿求さんは不思議そうな顔をして答えた

 

「ここ、私が作ったのよ?」

 

「ふぇ!?」

 

話を聞くとこの図書館は最初、阿求さんが保存しきれなくなった本を入れておく場所だったらしいが、幻想郷の住民の悩みが解決すればと思い建てたらしい、

そして、阿求さんが見せてくれた本は阿求家が代々引き継ぎながら書き足している異変についての本らしい。

 

「それに私の能力は『一度見たものを忘れない程度の能力』よ。覚えるなんて簡単よ」

 

親指を立ててグーをしてる阿求さんを見て私は少し和んでいた。

 

「じゃあ、私はこれd「大変だぁ!!」

 

私が席を去ろうとした瞬間図書館の中に5人ほどの男が叫びながら入ってきた。

 

「外で妖怪が暴れているぞ!早く皆さん早く避難を!」

 

5人ほどの男達はかなり混乱している。

男達の話を聞いた図書館内の人達は悲鳴をあげ非常口から避難を始めた。

そして、先ほどの男達の1人が私を呼んだ。

 

「蓮さん!?いますか?」

 

「ここにいますよ」

 

「はやく!はやく!倒してください!そうしないと…」

 

男の顔は走ったにもかかわらず、青ざめており汗を大量にかいている。ところどころに転んだりしてできたような傷まである。

相当やられてるな…

 

「わかりました。あなた達は避難と同時に皆を誘導してください。」

 

「「「「「はい」」」」」

 

「では、阿求さん行ってきますので」

 

「気をつけてね…」

 

私は全速力で図書館を抜け、上空へ飛び上がった。周りを見渡すと倒壊した住宅や避難している住民が沢山いた。さらに目を住民が逃げている逆の方向を見ると昨日退治した妖怪が暴れていた。

 

「あいつは…」

 

私は普段では出さないほどのスピードを出して降下した。そのまま顔面に蹴りを入れようとしたが

 

ガキッ!

 

鉄のように硬い手で防がれた。

外したと思った瞬間目の前に奴の足が飛んできた。

 

「ゴブァ!」

 

そのまま地面に突っ込んだ。

 

立ち上がろうとするが、だめだ、意識は朦朧としてるし呼吸は整わない。

 

「簡易展開型治癒装置!」

 

腰につけてあるカプセルの一つを投げる。

そのカプセルは煙とともに膜のようなものが生成され私を治癒する。

 

「ふぅ」

 

危なかった。顔面に蹴りをもろにくらった挙句、後頭部から思いっきり地面に突っ込んでしまった。それにやつの力がこの前の比にならない。

 

「てめぇ、よく人里に荒らしに来やがったな。覚悟はできてんだろうなぁ?」

 

妖怪に問う

 

「殺ス…殺ス…復シュウヲ…」

 

こいつはやばい。本能がそう言ってる。

 

「周りの状況はっ…は?」

 

私は周りを見渡した瞬間、絶望した。

周りには私の家族や住民ご皆倒れていた。倒れているだけなのか?…いや、認めたくはないが死んでいる。傷ついてボロボロで…。だが、母と姉の姿は見えない。

色んな感情が渦のように回る中、私の感情は無くなった。いわゆる無心ってやつだ。

というかよくわかんない状態になった。

 

「死ネ…シネエエエエエエエ!!!!」

 

当然妖怪は待ってはくれない。

こいつを再び戦闘不能にすればいいのか?…否!殺す!!

 

「うおらぁぁぁぁ!!」

 

妖怪は殺傷性のある弾幕を放ちながら殴りや蹴りで物理攻撃もしてくる。

でも、なめてもらっては困る。私は弾幕をかわす修行なんて死ぬほどやっている。こんな程度の弾幕、目を瞑ってでも避けられる。

だが、やつの物理攻撃はかなり厄介だ。一撃が重いし、何より早い。こんなスピードで殴られたり蹴られたりしたら確実に死ぬ。

 

「チッ…あれを使うか」

 

私は手を高くあげ、叫ぶ。

 

「転送!妖刀『ガクロ』を我が元に!!」

 

私の手には刃渡り3メートルはある黒い刀。妖刀『ガクロ』が転送された。

 

「妖刀『ガクロ』今、その力を発動せよ!」

 

妖刀『ガクロ』はどす黒く光り、波動のようなものを発射し、私の手に戻ってくる。

 

「さぁ、どうよ」

 

「ア、アガガ」

 

妖怪は固まっている。

こいつが固まったのは私の武器、妖刀『ガクロ』の能力である。

妖刀『ガクロ』は妖怪達の怨念で出来ており、『妖怪』だけに限るが数秒間動きを封じる効果がある。

この刀は私がやってきた中で最も辛かった妖怪退治の時に妖怪が隠していた刀だ。

その時倒した妖怪は妖怪同士で殺し合い、その武器を生成したと言っていた。

当然、こんな能力を秘めていれば誰もが欲しがるし、私から奪って悪用するものもいるだろう。そのために私は異空間にこの刀を保存しているのだ。

 

「さぁ、死んでもらおうか」

 

私は刀を大きく振りあげ、妖怪の頭から一刀両断した。

気持ちの悪い音と共に、妖怪は2つに別れて絶命した。

 

「気持ち悪ぃな…」

 

返り血を拭きながらゴミを見るような目で私は妖怪の死体をしばらくの間見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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