元μ'sマネージャーと女神たちの物語   作:カット

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少しカットした部分もありますが今回で2期1話は終わります。

そしてなんと!UAが50000突破しました!しばらく期間が空いたにも関わらず読んでくださるみなさんのおかげです。本当にありがとうございます!


43、奇跡を!

 

Aqoursが練習場所について話し合うことになる日の朝、いつものように職員たちは会議をしている。

 

 

「えぇ〜では理事長から緊急の内容を伝えていただきます」

 

今は朝の職員会議中だが今日はいつもと違う。その原因は普段はいない鞠莉がこの場にいるということ。昨日何か悩んでたのかわからないけど様子がおかしかったが……

 

学校のことで何かあるのか?

 

「突然ごめんなさい。昨日の夜にパ……いえ、父から電話がかかってきて……」

 

いつものテンション高めの話し方ではなく真剣に話している。つまりそれだけ大事なことなのだろう。

 

「沼津の高校と統廃合になる可能性が高く、学校説明会は中止になります」

 

『えっ』

 

鞠莉がそう言うと職員室にいた教師たちはみんな驚いた。校長は唯一驚かなかったが多分それは事前に聞いていたからだろう。

 

「まだ本決まりになったわけではありません。しかしその可能性は高いと思います。昨日電話で話されてから何度も父に掛け直していますがまともに聞いてくれない状況です……

 

私の力不足で本当にごめんなさい!」

 

鞠莉は謝って頭を下げた。

 

でもそんなことする必要はない。だって鞠莉は力不足なんかじゃないから。

 

「誰が力不足だって?」

 

「小野先生…」

 

「本当に力不足って言うならもうとっくに浦女は統廃合が決定してるよ。そうならなかったのは俺たちが知らないところで理事長として頑張ってくれてたから…そうだろ?」

 

「それはそうだけどそれでも……」

 

「統廃合が決定しちまったらたしかに残念だよ。でもこれだけは言える、鞠莉は決して力不足なんかじゃない!」

 

俺は鞠莉に思ってることを伝えた。

 

というか今更だけど理事長として話してる鞠莉に普段通りに話してるな、まぁいいか。

 

「小野の言う通りですよ理事長」

 

「山田先生も…」

 

「まぁなんで理事長として話してるのに普段通りの口調なのかは知りませんけどね」

 

『このタイミングで言いますか!?』

 

相変わらずマイペースというかなんというか……

 

このタイミングで言うことじゃないだろ山田先生、まぁ原因は俺だから突っ込めないな……

 

「それはさておき、理事長が頑張ってくれて、あとはやっぱりスクールアイドル部だな。Aqoursが頑張ってくれてるおかげでまだ統廃合が決まってないんだと私は思う。多分他の先生たちも一緒じゃないですかね?

 

それにのさっき小野が言ってくれた通り理事長は私たちの知らないところで頑張ってくれてる、だからまだ統廃合が決定してないんです。決して力不足なんかじゃありませんよ」

 

やっぱり真面目な時はこの人はちゃんと言うよな、他の先生たちも山田先生に続いて

 

「そうですよ」

「力不足なんかじゃありません!」

 

みたいなことを言っている。みんなわかってるんだ。学生でありながらも理事長としてすごく頑張ってくれていることを。

 

「みんな……ありがとう、生徒たちにはまだ言わないでください。後日集会を開きそこで伝えるつもりなので」

 

最後に生徒たちには言わないようにということで今日の朝の会議が終わった。

 

その後、朝のホームルームも終わり1限に授業が入ってない俺は理事長に来ていた。

 

「みんなには生徒に言わないように言っておきながら果南には伝えてあるんじゃないか?」

 

「っ!?な、なんのコートデースカ?」

 

「露骨に喋り方変えすぎだって……昨日バス停で鞠莉の様子がおかしかったことは果南も気付いてた。それで果南のことだから鞠莉の家まで行って直接聞きに行って、誤魔化そうとしてた鞠莉から聞き出した……って感じかな?」

 

「まさか果南をストーカーして?」

 

「果南のストーカーは鞠莉じゃ……」

 

「そんなことを言ったこともあったわね、そして正解よ」

 

やっぱりか。果南は友達として鞠莉が悩んでることを聞き出したのかな。

 

「ダイヤには?」

 

「………言えるわけない」

 

「そっか、ならちゃんと隠せよ?結構顔に出てるんだから」

 

「もちろんよ」

 

とは言ったものの、絶対ダイヤ気付くよな〜鞠莉は顔に出たりしてるしダイヤは自分のことはダメでも、周りのことには気付く方だし……

 

案の定放課後、みんなが部室で練習場所について話し合ってる時に鞠莉と果南が理事長室でコソコソしているところにやってきてバレた。そして今度の練習の時に説明会が中止になることを話すことになった。

 

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『そんな……』

 

練習場所を沼津のとある施設を使えることになったAqours。曜が使用許可取ってくれたみたいだけどできれば俺にも伝えて欲しかったな。そうすればここを使わせてもらうことが決定する前に俺からここの施設の人に話しに行くことができたものを……おかげで許可降りた後にお礼を言いに行く形になったよ。

 

そして練習を始めようとしたその時、果南が声をかけ鞠莉が説明会を中止になる件を伝えた。

 

結局その日は基礎練習だけやって解散にした。みんな集中できてなかったからな、怪我したら困る。

 

そして次の日緊急の全校集会が開かれ

 

「学校説明会は中止となります」

 

「準備を進めていた生徒には申し訳ないのですが、ポスターの撤去などよろしくお願いします」

 

学校説明会が中止になることが告げられた。

 

 

「やっぱりみんなショック受けてたな」

 

集会終了後、職員室で山田先生と話している。そりゃあショックも受けるだろうな。

 

「みんなこの学校好きですからね、通ってる学校無くなるのはショックですよ」

 

「だろうな、スクールアイドル部のみんなにはどうせもう話してたんだろ?」

 

バレてる……だと!?

 

「説明会に向けて練習を頑張ろうとしてたはず、理事長と生徒会長とお前が話し合ってみんなにも伝えたって感じか?」

 

山田先生……ちょっと惜しいですね。

 

「ほとんどあってます。ですけど果南も話し合いにいましたよ。3年生の3人と話してみんなにも伝えることになったんですよ。話した後千歌がアメリカまで行くって言った時はさすがに驚きましたけど」

 

「いきなり凄いこと言うな、そんなところまで高坂に似なくてもいいんだけど…」

 

「まったくです。でもまっ、これからどうするかはみんなに決めてもらいます。やるのはみんなですからね」

 

「そういうところは変わらないな」

 

μ'sを手伝ってた時も本当に大事なことはみんなで決めてもらってたからな。俺も意見を出さない時を除いては……

 

 

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「綺麗な夕陽〜」

 

 

学校説明会が中止になると全校生徒に伝えられた日の放課後、Aqoursのリーダーである千歌が砂浜に座っているところへ梨子がやってきた。

 

「私ね、こうなったのはもちろん残念だけど、ここまで頑張ってこれてよかったって思ってる。東京とは違って、小さな海辺の街に住んでる私たちがここまでよくやってこれたなって」

 

「それ本気で言ってる?」

 

「え?」

 

「本気で言ってたら私、梨子ちゃんのこと軽蔑する……」

 

 

梨子はもちろんそんなつもりで言ったわけではない。落ち込んでる千歌を励ますつもりで言った。でも落ち込んでる千歌には本気で言ってるように聞こえたのだろう。

 

 

「ガォー!」

 

「!?」

 

 

突如梨子がよくわからないことを……ではないだろうが最初の頃会った千歌の真似をし始めた。

 

 

「ピー!ドカーン!普通怪獣りこっぴーだぞ!くらえ!梨子ちゃんビーム!

 

こんな感じだったかしら?」

 

「ふふっ」

 

「やっと笑った」

 

 

梨子がやった千歌の真似で落ち込んでた千歌の顔に少しだが笑顔が戻った。

 

 

「私だってAqoursのメンバーよ。これからもみんなと一緒にやって、曲もたくさん作っていこうって思ってた。本当にいいなんて思ってない、思えるわけないよ。どうすればいいのかわからないの。どうすれば……」

 

「梨子ちゃん……」

 

 

励まそうとしていた梨子だが自分も辛いのか座り込んでしまった。

 

少しの間、砂浜には2人の少女が座り込んでいて、それを少し離れたところから顧問である達也は見ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ガォーーーーーーーーーー」

 

朝の学校のグラウンドで千歌が大声を出した。つーか別の言葉はなかったのか?

 

ちなみに近くには曜や他のAqoursのメンバーもいる。みんなは俺がいることに気が付いてるかな?

 

「起こしてみせる!奇跡を絶対に!それまで泣かない、泣くもんか!」

 

「やっぱり来た」

 

「曜ちゃん!?」

 

千歌が自分の決意を宣言すると曜が千歌に声をかけた。そしてみんなもすぐ近くまでやってきた。

 

「みんな朝早くだっていうのによく揃ったな〜」

 

『先生まで!?』

 

おいなんだそれは、俺は来たらダメだったのか?

 

「みんな来そうだったから早めに来ておいたんだよ。一応顧問だしな。みんなはっきりとこれからどうしたいか考えたみたいだな」

 

『はい!』

 

予想通りの返事だ。

 

「私たちきっと諦めたくないんだよ、諦めたくないんだよ!鞠莉ちゃんが頑張っていたのはわかる。でも!私も、みんなもまだ何もしてないんだよ、何もできてないんだよ!無駄かもしれない、最後まで頑張りたい!足掻きたい!ほんの少し見えた輝きを見つけたい!」

 

その気持ちは無駄じゃない。結果はどうなるかわからないけどそう思うことは決して無駄なんかじゃない。

 

「諦めが悪いからね、千歌は昔から!」

 

「それは果南さんもですわ!」

 

「お姉ちゃんも!」

「えっ?」

 

「みんなはどう?」

 

「千歌っち……みんな」

 

千歌はみんなはどうしたいか聞いたが……みんなの顔を見てるとその質問はいらないだろうな。だってみんな、答えは出てるんだから。

 

「いいんじゃない?足掻くだけ足掻いて」

 

「そうね、やるからには……

 

奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

みんなが"奇跡を!"と口にするとそれを後押しするようにグラウンドに日が差し込んでみんなを照らし出した。

 

そして

 

「ふっ!」

 

「「千歌ちゃん!?」」

 

突然千歌が鉄棒を掴んでそのまま逆上がりし出した。

 

………自分が制服着てること忘れてないか?そして曜と梨子、目隠しきれてないぞ。

 

「起こそう奇跡を!足掻こう精一杯!全身全霊!最後の最後まで、輝こう!」

 

そんなことを気にせず、最後まで足掻いて輝くことを決意したAqoursたち。

 

せっかく集まってるからここでこの後どうするか話したが、校舎に入ったらまずは鞠莉が父親に電話をしてどうにか統廃合の決定を遅らせられないか、そして学校説明会を開けるようにできないかお願いすることとなった。

 

 




あれ?以外と文字数多くなってた。3000字前後だと思ってました。

それはさておき、今回で2期1話が終わり次回から2話に入ります。もしかしたら達也の登場シーン少ないかも?


それでは次回からもお楽しみに!



あ、もしかしたら2期編でももしかしたらμ'sのメンバーの誰か登場するかも?

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