元μ'sマネージャーと女神たちの物語   作:カット

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また日が空いてしまいましたね。別の作品投稿した後ちょっと忙しくて今日になりました。




28、3年生

 

「まだ眠いずら」

 

花丸ちゃんが眠そうにしている。それもそうだよね、だっていつもならまだ朝練の時間じゃない時間だし…

 

「それよりこんな大人数でバレない?」

 

「だってみんな来たいって言うし…」

 

梨子ちゃんはバレないか心配してるけど!たしかに千歌ちゃんの言う通りみんな来たいって言って否定しなかったね。先生も止めるの最初から諦めてたし…

 

というか果南ちゃんどこまで走るんだろ?途中で花丸ちゃんがダウンしかけたけど…

 

「ここっていつも使ってる階段だよね?」

 

千歌ちゃんの言う通り果南ちゃんは弁天島の階段を上っていった。私たちもその階段を上ってみるとそこでは…

 

「綺麗」

 

果南ちゃんが踊ってた。

 

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パチパチパチ

 

 

果南ちゃんが踊り終わった後、その場所に拍手が響いた。拍手をしていたのは鞠莉さんだった。

 

「復学届け、提出したのね。やっと逃げるの諦めた?」

 

「まぁね、でも勘違いしないで。私が休んでたのはお父さんの怪我が原因。それに復学してもスクールアイドルはやらない」

 

今の聞いてる限りまた果南ちゃんも学校に来るんだね。

 

「私の知っている果南は、どんな失敗をしても笑顔で走っていた。成功するまで諦めなかった」

 

「卒業までもう1年しかないんだよ…」

 

「それだけあれば充分。それに今は後輩たちもいる」

 

果南ちゃんと鞠莉さんの会話を近くで聞いている私たちは、一瞬ビクッってなった。気付かれてないよね?

 

「だったら千歌たちに任せればいい」

「果南!?」

 

「なんで戻ってきたの?私は……戻って来てほしくなかった」

「果南!?」

 

戻ってきて欲しくなかったって…果南ちゃんはなんでそんなことを…

 

「ふっ、相変わらず果南は頑固なんだから…「もうやめて!」…えっ」

 

「私はもうあなたの顔…見たくないの」

 

果南ちゃんなんで?そんなこと言う人じゃなかったでしょ?何があったの?

 

果南ちゃんが下りて行ったあと私たちもその場所をあとにした。

 

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「今日から3年の松浦が復学するみたいだぞ」

 

「そうなんですか?」

 

「理事長のところに復学届けが提出されたみたいだ」

 

理事長のところ…鞠莉さんのところってなると……嫌な予感しかしないな。

 

「失礼します!すみません、教室での揉め事の収拾がつかなくなって…」

 

「「揉め事?」」

 

「はい、スクールアイドルのことで何か揉めてて…」

 

おいおい、ほんとに嫌な予感が当たっちまうとは……

 

「じゃあ俺行きますよ。スクールアイドルのことでなら俺が行った方がいいかもしれないんで」

「そうか、それじゃあ頼んだ」

 

か、軽っ…相変わらずだな山田先生。まぁいいか。

 

3年の担任と教室に行ったら教室前で見ている生徒と千歌以外のAqoursのメンバーがいた。ちょうど千歌が教室に入ったところだった。

 

千歌は何をするつもり……

 

「いい加減に……しろーーーー!」

 

うるさっ!?つーか花丸先に耳塞いでたな、行動わかってたのか。

 

「千歌?」

 

「いつまでもよくわからない話をずーっとずーっとずーーっと!隠してないで全部話しなさい!」

 

「千歌には関係ない…「あるよ!」」

 

千歌…お前3年生に言ってるってことわかってる?

 

「ダイヤさんも鞠莉さんも放課後、部室まで来てください!」

 

「いや、ですが…」

 

「いいですね!」

 

「「「は、はい…」」」

 

「千歌さん凄い…」

「3年生に…」

 

「………あっ」

 

こいつ…気付いてなかったのか。

 

「ほらほら、お前らも教室戻れ。みんなも自分の席につけ。あとそこの3人…2人?とにかく教室で揉めるのはやめろ。他のみんなにも迷惑だろ」

「「「すみません」」」

「わかればいい」

 

あとはこのクラスの担任に任せて俺も職員室に戻ることにした。

 

とりあえず放課後はなるべく早く部室行くか。

 

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「だから!東京のイベントで歌えなくて」

 

「それはもうダイヤさんから聞いた」

 

放課後、部室にAqoursの6人と2年前にスクールアイドルをやってた3人が集まっている。

 

千歌がダイヤさんから聞いたということを聞くと果南さんはダイヤさんの方を睨むように見ていた。ダイヤさんは顔を逸らしたけど…

 

「それで諦める果南ちゃんじゃないでしょ?」

 

「そうそう!千歌っちの言う通りよ!だから何度も言っているのに…」

 

「なにか事情があるんだよね?……ね?」

 

果南さんのことを知っている千歌だから何か事情があるって思うんだろうな。ここは口出ししないで見守ってることにするか。

 

「そんなものないよ。さっき言った通り私が歌えなかっただけ」

 

「あぁー!イライラするー!」

 

「その気持ちよーくわかるよ千歌っち!ほんと腹立つよねコイツ!」

 

「鞠莉が勝手にイライラしてるだけでしょ…」

 

お、おい…コイツって。女子がそんな言い方すんなよ…

 

「でもこの前弁天島で踊ってたような…ピギッ!?」

 

「おぉー、赤くなってる!やっぱりまだ未練タラタラなのね!」

 

「なってない!」

 

この前…尾行したって時か。みんなちゃんと起きた……とかは置いておいて、たしかに未練ありそうだよな。ダイヤさんは黙って笑顔を浮かべてるし。

 

「とにかく!私はスクールアイドルはもうやるつもりないから!」

 

そう言って果南さんは部室を出て行った。様子を見ている限りスクールアイドルが嫌ってわけでもなさそうだし……やっぱり訳ありか。

 

「ダイヤさん、何か知ってるんじゃないですか?」

 

「わ、私は別に…」

 

「じゃあなんで果南さんの肩を持っていたんですか?」

 

「そ、それは……っ!」

 

『逃げた!?』

 

立ち上がった時予想できたがやっぱり逃げたか。でも千歌が「善子ちゃん!」って言ってすぐに捕まえた。いつも通り「善子じゃなくてヨハネ!」って言いながら

 

「ぴぎゃぁぁぁー!?」

 

「さすが姉妹ずら…」

「お姉ちゃん…」

 

ったく…

 

「おい善子、一応上級生だぞ。それくらいにしろ」

「はい」

「一応ってどういうことですの!?」

 

「まぁまぁ、それは置いておいて…そろそろ話聞かせてもらっていいか?みんなの様子見てればわかると思うけど、気になってて多分練習も集中しきれるかわからないしさ」

 

「……そうですわね、それに隠しきれそうもないですし仕方ありません。ただ…学校では誰かに聞かれる可能性がありますので私の家でお願いします」

 

それ俺行くのまずいじゃん…誰かに後で簡単に教えてもらうか。

 

「俺が生徒の家にこういう目的で行くのまずいし……じゃあ梨子、後で簡単に教えてくれ。多分適任は梨子だと思うから」

「私!?わ、わかりました」

 

梨子に頼んだら何故か千歌や曜が文句を言い出したけど…多分梨子が1番わかりやすく教えてくれる気がする。

 

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「おっ、小野ちょうどいいところに戻ってきた。電話来てたところだ」

 

「電話ですか?わかりました……お電話代わりました。小野です」

 

「あっ、達也君久しぶり!花陽です」

 

「花陽!?」

 

職員室に戻ったらちょうど電話がかかってきていたらしく、電話に出たらなんと花陽だった。

 

「久しぶりだな、どうしたんだ?携帯にかければいいと思うんだけど…」

 

「花火大会のイベントのことで、達也君スクールアイドル部の顧問でしょ?私もそのイベントに行くんだけど打ち合わせ前にちょっと相談が…」

 

「なるほどな、それを個人の携帯にしない方がいいか。それで相談ってなんだ?」

 

「うん、えっとね……」

 

実は花陽もとある目的で花火大会のイベントにやって来る。スクールアイドル部の顧問として、俺もそのイベントの打ち合わせに何回か参加することになっているが、その前に相談したいことがあったらしい。少しの間電話で花陽と話していた。

 

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『わざと!?』

 

先生と学校で別れてからダイヤさんの家にやってきた。そこでイベントでは歌えなかったんじゃなくて歌わなかったことを聞いてみんな驚いてる。って思ったけど、みんなじゃなくてルビィちゃんだけはやっぱりって思ってる感じがするけどなんで?

 

「そう…果南さんは東京のイベントでわざと歌わなかったのです」

 

「どうして……」

 

「まさか闇の「やめるずら」」

 

善子ちゃん空気読んで…

 

「あなたのためですわ鞠莉さん」

「私のため?」

 

「えぇ、覚えていませんか?あの時鞠莉さん怪我をしていたでしょ?」

 

鞠莉さんが怪我…そっか、もしそれでやってたら悪化どころか事故に繋がる可能性もあるもんね。だから果南ちゃんは…

 

「そんな!?私はそんなことして欲しいなんて…」

 

「あのまま続けていたらどうなっていたか…事故に繋がってもおかしくなかったのですよ?」

 

「でも!?」

 

あれ?でも…

 

「それで逃げたわけじゃない……か」

「でもその後は?怪我が治ったらまたやればよかったんじゃ…」

 

千歌ちゃんの言う通り。鞠莉さんの怪我が治ったらまたやればいいんじゃ…果南ちゃんがそのまま諦めるなんて…

 

「そうよ、花火大会に向けて新しい曲を作って、ダンスや衣装を完璧にして…なのに…」

 

「心配していたのですよ。あなた、留学の話がある度に断っていたでしょ?」

 

果南ちゃんたちがやってたのは2年前って言ってたし1年生ってことだよね。その時から留学の話が来るのは凄いと思うけど…

 

「そんなの当たり前でしょ!」

 

「果南さんはずっと思っていたのですよ?このままでは自分たちのせいで、鞠莉さんから色々な可能性を奪ってしまうのではということを…

 

そんな時、果南さんは偶然、あなたが留学の話を断っているところを聞いてしまったのです」

 

「まさかそれで……っ!?」

 

「どこへ行くのですの?」

 

鞠莉さんがどこかへ行こうとするところをダイヤさんは引き止めた。行き先はわかっているとは思うけど…

 

「ぶん殴る!そんなこと…一言も相談せずに!」

 

「おやめなさい。果南さんはずっとあなたの事を見てきたのですよ?あなたの立場も、気持ちも、そして……あなたの将来も。誰よりも考えているのですよ」

 

「そんなのわからない…どうして言ってくれなかったの!?」

 

「ちゃんと伝えていましたよ。鞠莉さんが気付かなかっただけで…」

 

「……っ」

 

『鞠莉さん!?」

 

ダイヤさんの話を聞いて、鞠莉さんは泣きながら雨が降っている外に出て行っちゃった。気付かないだけで伝えていた……か

 

「言葉にしないと伝わらないこともある……か」

 

「曜ちゃん?」

 

「千歌ちゃん覚えてる?最初に小野先生が言ってくれた今の言葉」

 

「あっ、あの時の…」

 

これは私が水泳部に入ってるからスクールアイドルに誘われなくて、千歌ちゃんと一緒に何かやりたいっていう私の気持ちを見抜いて先生に言われた言葉。

 

「その言葉のおかげで私は今こうして千歌ちゃんと、ここにいるみんなとスクールアイドルをやることができてる。

 

大事なことは言葉にするべきだったんですよ。そうじゃないとすれ違っちゃうことも…伝わらない気持ちもある…」

 

「そうですわね。ですがおそらく大丈夫です。鞠莉さんのことですし本当に殴ってしまいそうですわ」

 

いやそれ大丈夫なのかな?

 

とりあえず梨子ちゃんに今のことを先生にメールで伝えてもらって、私たちはダイヤさんの家で雨が弱くなるのを待つことにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そういうことか」

 

梨子からのメールを見て大体の内容は把握できた。あとは鞠莉さんと果南さんで話し合わせることが必要か。

 

家を飛び出して……少ししたら部室行くか。

 

「どうだ?花火大会のイベントは上手くいきそうか?」

 

少し時間を潰そうとしたら山田先生が帰る前に声をかけてきた。

 

「きっとあいつらなら大丈夫ですよ。そう信じてます」

 

「そうか、お前らしいな。遅くならないうちに帰れよ」

 

「はい、お疲れ様です」

「お疲れ」

 

職員室内を見渡してみると俺以外はそんなに人がいなくなってる…まぁもう顧問やってる教室しか学校にいない時間か。

 

「それじゃあそろそろ部室行くか」

 

 

部室の方に聞くとやっぱり鞠莉さんがいた。傘を差さないで走ったのか、かなり濡れている。

 

「そのままじゃ風邪引くぞ」

 

「……ありがとうございます」

 

やっぱりショックが大きいんだな。

 

「梨子にメールで送ってもらったから大体のことは把握できた。これからどうするんだ?」

 

「………」

 

「俺はちゃんと本音で話し合った方がいいと思うぞ。お互いの想いを伝え合ってさ」

 

「お互いの……果南と」

 

「そうだ。これはさ、前に部員の1人に言ったことがあるんだけど……

 

やっぱりさ、"言葉にしないと伝わらないこと"ってあると思うんだよ」

 

曜も最初は千歌と一緒に何かをやりたいってことを口にしてなかったからな。俺がこう言うとちゃんと言ってたけど。

 

「言葉に……果南を呼び出してちゃんと話します。本音で」

 

「そっか、部室は使っていいから戸締りはよろしくな。それじゃ」

 

果南さんを呼び出しているのを見て、俺もAqoursのメンバー全員にそのことをメールで伝えておいた。

 

あとは自分たちでどうするか、お互いの気持ちを伝えあった後は自分たちで決めてもらおう。

 




次回で9話終わります。あとμ'sメンバーも今のとのろ3人出す予定です。1人はこの作品で出しましたが…

それではまた次回、お楽しみに

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