TRPGパラノイアっぽいディストピアな世界で行われる失われた『十八禁』を再現するブラックユーモアな作品です。十八禁ですが、R-18ではありません。
※注意※東方キャラが殺伐とした殺し合いをします。
消耗品と人工知能でもうパラノイアしか思い浮かばなかったので書いてみました。
脳内妄想シナリオなので抜けがあるかも知れません。
アルファ・コンプレックス、ここは地下に建造されたコンピュータによって管理されたユートピア。市民は全員幸福であり、幸福でない市民は存在しない。全てが充足した理想の都市。
唯一の欠点はそんな理想を妬んだ反逆者、コミーやミュータント達が存在することだろう。コンピュータはそれら反逆者を狩り出すため全ての努力をする事を市民に定めている。反逆者は巧妙に日常に紛れ込んでいる。だから全てを疑うことが必要である。そうあなたの隣にいる人も反逆者なのかも知れないのだから。
物語はそんな幸福な都市のとある食堂から始まる。
射命丸文はセキュリティクリアランスレッドの市民である。いつも通りよく分からない白濁した液体に何かが溶けている黒色の物体を胃に流し込んでいるとアラートが鳴り響く。ミッションアラートだ。市民の間に緊張が走る。ミッションアラートとは市民に課せられた義務の一つであり、月に一度程トラブルシューターとして活動しなくてはならないのだ。
『市民文-R-2、市民霊夢-R-4、市民魔理沙-R-1は至急ブリーフィングルームまで来て下さい。繰り返します。市民文-R-2、市民霊夢-R-4、市民魔理沙-R-1は至急ブリーフィングルームまで来て下さい。遅刻は反逆です』
どうやら今回は私の番らしい。急いで謎の物体を流し込み席を立つ。周りを見渡してみると自分と同様に立ち上がっている市民が二人ほど居るのが確認できる。恐らく自分と同じトラブルシューターだ。
「どうも初めまして、私の名前は文-R-2と申します。今回トラブルシューターを任された
「初めましてだぜ。魔理沙-R-1、生産輸送及び評議に努めているぜ」
「霊夢-R-4よ、武装集団で働いているわ」
軽い自己紹介を終える。さて、いつもの事だがここからが問題だ。先程のミッションアラートでは場所と時間が指定されていなかったのだ。当然両方共存在している。完璧な市民であれば思いもよらない方法で達成するだろうというありがたい思し召しだ。
「さて、私は完璧な市民だから、完璧に理解できたわ。でも完璧に完璧を重ねるためにブリーフィングルームの場所と開始時間を教えてもらえるかしら?市民文」
「私も完璧な市民ですから、完璧に理解しています。が、一部のミスも見逃さないために端末で確認してきます」
「それはいい心がけだぜ、さすが完璧な市民だぜ」
物思いにふけっていたら出遅れてしまったようだ。お互いにレーザーガンを片手に牽制しあっているというのに気を抜くなどという馬鹿な事をしてしまったようだ。近くにあった赤色の端末まで移動する。できれば端末の操作などしたくないのだが、仕方あるまい。
『市民あなたは幸福ですか?』
端末を起動した瞬間に問が発せられる。制限時間は1秒。いつも通りはいを選択する。制限時間を超過したり間違った回答をしたりすれば端末に備え付けられているレーザーガンで跡形もなく消滅させられる。たまに仕様が変わっていたりするので注意しなくてはいけないが幸いな事に今回はオーソドックスなタイプだった。
「ブリーフィングルームの場所と開始時間、と」
質問を端末に入力する。問題はここからだ。素直に回答が出てくれば良いのだが……
「チッ」
聞こえないように小さく舌打ちする。ブリーフィングルームの場所は分かったG-6ブロックにあるG-653ビルの15階だ。開始時間については『あなたのセキュリティクリアランスには開示されていません』とだけ表示されていた。
問題はブリーフィングルームの場所だ。G-6ブロックと言うと走っていったら6時間は掛かる。そして絶対に開始時間はそれ以前だ。何らかの移動手段を確保する必要がある。
「皆さん、ブリーフィングルームの場所と開始時間の確認が取れました。場所はG-6ブロックにあるG-653ビル、開始時間は30分後です。急ぎましょう」
もちろんだが、ブリーフィングの開始時間など知らない。真っ赤な嘘だ。だが、ここで分からないなどと言えば処刑されるだけだ。ならば適当にごまかしておくのが最善だろう。
「G-6ブロック、遠いわね」
「完璧な市民なら間に合う方法を思いつくはずだぜ、なあ市民霊夢?」
「あら、市民魔理沙は移動方法も思いつかないような完璧じゃない市民なのかしら」
「……そんな事ないのぜ、当然思いついてるぜ」
「じゃあ、その方法で行きましょう、もたもたしている時間はないわ」
「分かったのぜ、じゃあ行くぜ?」
そう言って市民魔理沙を先頭に移動していく、市民魔理沙が進むに連れてどこに行くのかがはっきりしていく。暗澹たる気分になる。市民魔理沙がどこに向かっているのか分かったからだ。すぐにその危惧は現実のものとなる。
超高速リニア、アルファ・コンプレックスの大動脈であり、全自動清掃装置を完備した一人乗りの完全個室制でどこにでも行くことができる便利なシステムだ。問題点は二つ殺人的な加速と減速、そして高い料金だ。
ちなみにその横には今まで『一切の』事故が報告されていないR&Dが新開発した移動手段である超空間スキマ転送装置も存在している。以前こちらを利用したトラブルシューターのクローンナンバーが何故か増えていた事が記憶に新しい。
「やっぱりリニアが一番だぜ」
そう言う市民魔理沙の声は若干震えていた。やはり怖いのだろう。まぁ、私もできるのならこんな物使いたくない。魔理沙を処刑する事も考えたがこんなところで無駄に肉壁を減らしたくないしヘイトを稼ぐこともないのでスルーする。
「じゃあ、私から行きます」
ここでもたもたしても仕方ないのでリニアの料金を支払い乗り込む。客席に全身を固定し、息を吸い込み、目をギュッと瞑り、全身に力を入れる。指先でボタンを押す。背中全体をバットで打たれたような衝撃が走る。血管がちぎれ、骨が折れる。一瞬の浮遊感。今度はダンプカーに撥ねられたかのような衝撃が前から襲う。そして停止。どうにか今回も生き延びたらしい。その事に悪態と感謝をしつつリニアを降りる。折れた右手をそこら辺にあった棒で固定し、ハンカチで血を拭う。
待っている意味もないのでさっさとG-653ビルを目指して移動する。ビルまで到着するとそこにはなぜか市民霊夢がいた。当然のように無傷である。
「あら、市民文遅かったわね、さっ、ブリーフィングルームに行くわよ」
「……ええ、早く行きましょう。ブリーフィングオフィサーを待たせるのは反逆的行為ですからね」
市民霊夢がどうやってここまで来たのか大体想像できる。コイツはおそらくミュータントなのだ。そしてミュータント能力のテレポートでここまで移動してきたに違いない。……だが、証拠がない。ここは警戒するに留めておくべきだろう。もしかしたら何らかの理由で死んで送られてきた新しいクローンという可能性もない訳ではないのだから。
ビルに入り、エレベーターに乗り込む。迷わず15階のボタンを押す。
「あっ」
「えっ?」
市民霊夢が間の抜けた声を上げる。目を丸くしながらボタンの下の方を指差す。そこには小さな文字でこう書いてあった。
『ボタンは引いて下さい。押すと侵入者撃退モードになります』
ボタンを引くって……、そう思った時にはレーザーガンで霊夢共々跡形もなく消滅させられたのだった。
「以前の私はボタンを押すような反逆者でしたが、今度の私は完璧です」
新しいクローンが送られてきたのはどうやらどこかの部屋のようだった。部屋には同じ様にクローンが送られてきたのであろう市民霊夢と紫の服を着た市民が立っている。紫の市民が口を開く。
「どうやら無事に到着しましたね。……あら、一人足りない?遅刻は反逆です」
そう笑顔で言うと紫の市民は手元のタッチパネルを操作する。すると一呼吸間を置いて市民魔理沙のクローンが天井から落ちてくる。
「……前の私は遅刻をするような反逆者だったが、今度の私は完璧だぜ」
「さて、トラブルシューターも無事揃ったようなので、今回のミッションを言い渡します。旧世界には『十八禁』というコンテンツがあったようです。あなた達にはそのコンテンツの再現を命じます。明日の放送に使用するので今日中に提出すること、良いですね?」
「『十八禁』ね、ヴァイオレット様、他に何か情報はないかしら?」
「市民霊夢、私は忙しいのです。……話は変わりますが、私はR&Dに所属しているのですが、新しい装置が後、400クレジットあれば買えるのです。ああ、後400クレジットあれば良いのですけどね?」
これもいつもの事だ。意訳すると400クレジット賄賂を渡せばもう少し情報をやる、という事だ。さて、どうしたものか。
「ヴァイオレット様、実はさっき100クレジット拾ったんだぜ、持ち主が分かるまでヴァイオレット様に預かって欲しいんだぜ」
「なるほど、分かりました。私が預かっておきましょう。それで落ちていたのは100クレジットだけだったのですか?」
「そう言えば私も100クレジット拾いました。きっとどこかの反逆者が落としたのでしょう」
「なるほど、ではそれも私が預かっておきましょう。残りの200クレジットは市民霊夢が拾ったのですね?」
「……はい、ヴァイオレット様、私は200クレジットを拾ったわ」
出遅れてしまっては負担が大きくなるのもいつも通りだ。今回は市民霊夢がババを引いた。それだけの事だ。とにかくこれで何か情報が得られる筈だ。……まぁ、人によっては賄賂を要求するだけ要求して情報を寄越さない輩もいるから油断ならないのだが。
「私は忙しい。忙しいです、が、有情です。重要な情報を二つ与えましょう。まず一つ目、F地区に旧世界について研究しているオレンジの市民パチュリーがいます。彼女の話を聞くといいでしょう。次に二つ目、C地区に秘密結社ロマンテクスのアジトがあるようです。そこに何か情報がある可能性があります。当然ですが秘密結社は反逆です。ついでに殲滅してくれるとありがたいですね」
ロマンテクスのアジト、ね。
「ヴァイオレット様、質問よ。装備品はどうすればいいの?」
「今回のミッションはとても簡単かつ短時間の物なのでありませんわ」
「……分かったわ」
「じゃあ、行きなさい。物ができたらここまで戻ってくればいいわ」
そう言うと紫の市民は私達を部屋から追い出す。これ以上情報はくれないようだ。
「さて、これからどうするんだぜ?」
「そうですね、私はとりあえずパチュリー様に会いに行くのが良いと思います」
「そうね……レーザーガンだけでアジトを殲滅なんて無理だしね」
市民文はレーザーガンを抜き放ち、市民霊夢に向かって発射する。
ZAP!ZAP!ZAP!
「ヴァイオレット様の任務を無理だなんて言うなんて市民霊夢は反逆者に違いないですね」
「そうだぜ、市民霊夢は反逆者に違いないぜ」
市民霊夢のクローンが送られてくる。
「以前の私はヴァイオレット様の任務に文句を言うような反逆者だったけど今度の私は完璧よ」
それから私たちは市民パチュリーを訪ねるためにF地区を目指す。幸いな事にG地区とF地区は隣接している。歩いても行ける距離だ。互いに互いを警戒しながら、時に不注意な発言をした反逆者を粛清しながら進んでいく。
そして何事もなくF地区に辿り着く。
「さて、F地区に着いたわね、パチュリー様の居場所を調べなくてはね、市民魔理沙、お願いできないかしら」
「分かったぜ」
そう言うと市民魔理沙は近くにいたIRを捕まえて市民パチュリーの居場所を尋ねる。最初の一人は何も知らなかったようでZAPされたが、二人目は知っていたらしくしばらく話し込んだ後、解放される。
「この道を真っ直ぐ言った所にある御屋敷がパチュリー様の家らしいぜ」
「そう、ありがとう、市民魔理沙」
「お疲れ様でした、市民魔理沙」
道を真っ直ぐ行くとオレンジの塀に囲まれた一件の御屋敷が見える。
「きっとここだぜ、さっさと入って話を聞こうぜ」
そう言うと市民魔理沙はオレンジの縁取りがされた門を開こうとする。
「あっ、待っ」
ZAP!ZAP!ZAP!
市民霊夢がレーザーガンで市民魔理沙、いや反逆者を蒸発させる。
「オレンジの門を開こうとするなんて、市民魔理沙は反逆者ね」
魔理沙のクローンが地面の下から送り出される。
「以前の私はセキュリティクリアランス違反をするような反逆者だったが、今度の私は完璧で幸福だぜ」
「で、どうしますか?」
「とりあえず一周りしてみましょうか」
そういう事になったので市民パチュリーの家をぐるっと一周する。すると真裏に黒で塗装された門と家まで繋がっている黒い道ある。
「……ちゃんと確認すればよかったぜ」
「何か言ったかしら?市民魔理沙?」
「いや、なんでもないぜ、それよりも早く行こうぜ」
黒い門を開け、ドアの前に立つ。じっくりとドアとその周辺を見る。特に不審な点はないようだ。それを確認した後、ドアをノックする。すぐに返事があり、中からオレンジを纏った人が出てくる。
「あらレッドが何の用かしら?」
「これはオレンジ様、我々はヴァイオレット様のミッション中でして、この家のパチュリー様なら知りたい事を教えて頂けるだろうと聞いたのですが」
「むきゅー、面倒くさいわね……まぁ、いいわ。この私が答えてあげるからさっさと帰りなさい」
市民文がそう言うとオレンジの市民は面倒くさそうに眉をしかめながらも話を聞いてくれる態勢になる。どうやらこのオレンジの市民がパチュリーで間違いないようだ。そして門前払いされるという最悪は避けられたようだ。
「私達、『十八禁』と言う物を調べているんだけど教えて貰えないかしら」
「『十八禁』!また珍しい物を調べているのね」
「流石!知っておられるのですね、パチュリー様」
「ええ、まだ私も研究途中だけど知っているわ、それで『十八禁』の何について知りたいの」
『十八禁』の何について知りたいか、と来たか。
「できれば全部知りたいけど、そうね……まずは意味からかしら?」
「私の研究によれば『十八禁』とは十八の禁止事項の事よ。『十八禁』は別名R-18とも言って、この場合のRも規制を意味しているわ」
「十八の禁止事項……」
市民パチュリーは重々しく頷くと言葉を続ける。
「この禁止事項の中身はまだ研究中だから分からないわ。他に分かっていることは『十八禁』は神聖視されている場合もあるって事かしら」
「神聖視、ですか?それはコンピュータ様のように?」
ピンと来ず、ポツリと漏らす。その声を聞き取ったのだろう。市民魔理沙がレーザーガンを照射してくる。
「『十八禁』がどんな物か分からないが、コンピュータ様と同一視するなんて反逆的だぜ」
すかさず市民文のクローンが送られてくる。
「以前の私はコンピュータ様への敬意が足りないような反逆者でしたが、今度の私は完璧です」
「他には『十八禁』がゲームと関わりが深いって事かしら」
「ゲーム、ですか?パチュリー様ゲームとは一体何ですか?」
「特定の規則の上で行われる参加型の競技の事よ」
「という事は『十八禁』とは十八の禁止事項がある参加型の競技で神聖な物なのですね!」
「ええ、私はそのように考えているわ……さて、こんな物かしら私が知っている事は」
市民パチュリーがそう言った時の事だった。視界の端、市民パチュリーの背後に何か動く物を捉える。丸く、握りやすいように凸凹した形状、そして存在しないピン。そこまで確認した私は咄嗟に逃げ出す。私と同様に気付いたのだろうか市民魔理沙も走っている。そして爆発。やはり先程のはグレネードだったようだ。
生き残った私達はレーザーガンを突き付け合う。
「あなたはテレキネシス持ちのミュータントですね?」
「いやいや、そう言うお前こそミュータントだろ?」
緊張の一瞬、お互いがお互いを一瞬で蒸発させられる状態。
「止めましょう。もしかしたら市民霊夢による自爆攻撃だったのかも知れません」
「……そうだな、そう言う事にしておくぜ」
一瞬の間の後、互いにスッとレーザーガンを下ろす。そうこうしている内にどうやら市民霊夢のクローンが送られてきたようだ。
「以前の私は爆発に巻き込まれるような無能な反逆者だったけど、今度の私は完璧よ」
それからしばらく待ってみても市民パチュリーのクローンが来ることはなかったので、パチュリーの家を離れることにする。近くの公園で適当に座り今後の方針を話し合うことにする。
「さて、これからどうするんだぜ?」
「十八の禁止事項がある参加型の競技で神聖な物だけじゃよく分からないわね」
「そうなりますと、ロマンテクスのアジト、ですか?」
「そうなるわね、まだ時間もあるし、行くしかないわね」
「C地区でしたか」
「C地区は遠いのぜ」
「走っていったら日が暮れてしまうわね……」
議論が煮詰まって来た頃合いを見計らって市民文が提案する。
「提案です。アジトを探すためにもここは別行動をすべきじゃないかと思います。移動時間も含めて一時間後にC地区で集合というのはどうでしょうか?」
「別行動?そうね……私は構わないわ」
「私もいいぜ」
そういう事になったので、市民文はその場を離れ、即座に超高速リニアに乗り込む、目的地はもちろんC地区だ。ズタボロになりながらC地区に辿り着いた市民文は一つの建物へと迷いなく歩を進める。背後への警戒も怠らず、その建物に入り奥へと進んでいく。
「慧音様、お久しぶりです」
「おお、市民文ではないか久しいな」
「本日は緊急にお知らせしなくてはならない事態が発生したので参りました」
「なんだ?」
「我々のアジトをトラブルシューターが襲撃に来ます。できればその前にアジトを引き払って頂きたいのですが……」
ここは秘密結社ロマンテクスのアジト、その一つ。そう市民文はロマンテクスに所属しているミュータントだったのだ。
「ふむ、我々は破壊活動もしておらんから、狙われる優先順位はそう高くないと思っていたのだがな」
「はい、その通りかと。今回のミッションの内容は『十八禁』を再現する事です。その資料を持っているかもしれないからついでに殲滅してこいと言った具合でございました」
「ふっ、舐められているな……まぁいいこのアジトを引き払えば良いのだな?」
「はい……それとできればで良いのですが『十八禁』に関する資料だけ残して頂けると嬉しいのですがどうでしょうか?」
「そうだな……再現した物はどうなるのだ?」
「ヴァイオレット様によればTV放送に使うとか……」
「そうか、ならば協力してやろう。せいぜい旧世界の事を喧伝できるような物を作るように。いいな?後、一時間時間を稼げその間に準備を整えておく」
「ははっ、ありがとうございます!」
そして集合時間。市民文、市民魔理沙、市民霊夢は広場に集まっていた。
「それでアジトは見つかったかしら」
「幾つかそれらしい噂話を手にいれました、早速近いところから回ってみませんか?」
「そりゃ結構なことだぜ!」
「そうね、行きましょうか」
市民文に連れられて関係ない施設を周る羽目になる一行。そして遂に時間稼ぎも充分と判断した市民文が本命の本物のアジトへと二人を案内する。
「最期は……ここです」
「本当なのかぜ?今までの所は完全に外れだったし、ここも外れだぜ」
「まぁ、行ってみましょう。これが最期だと言ってるんだし、これも外れなようなら反逆者として処刑すれば良いだけの話よ」
慎重に建物の中へと入っていく一行。建物の中は閑散としており、人の気配は感じられない。
「人の気配が感じられないわね」
「でも、当たりっぽいぜ、ほれこれ見てみろよ」
それは打ち捨てられたダンボールの中に入っていた紙の束だった。アルファ・コンプレックスでは紙は非常に貴重品であり、まずお目にかかれない危険物でもある。何せコンピュータ様の統制が届かないからだ。
「人も居ないみたいだし、手分けして探してみましょう」
「そうですね、それが良いと思います」
そういう事になったので、建物を一室一室確認していく。どれほど時間が過ぎただろうか、ふと気付くと窓から覗く光が黄色から赤色へと変化していた。このアルファ・コンプレックスでは時刻によって明かりの色が変化するようになっており、一目で時間が分かるのだ。急いで関係ありそうな資料を纏め、大声で二人を呼ぶ。
「お二人ともどうでしたか?そろそろ時間的にも厳しくなって来ましたが」
「そうね、幾つか『十八禁』に関係ありそうな物があったわ。まず『十八禁』においてピンクが重要な意味を持つことが分かったわ」
「じゃあ、こっちも報告するぜ、ベッドが重要な要素だったらしいぜ」
「ピンクにベッドですか。段々情報が増えてきましたね」
どうやら慧音様は要望通り、『十八禁』に関する資料を置いていってくれたらしい。ありがたい事だ。
「あなたはどう?市民文」
「はい、年に二回大きな祭りが開かれていたようです」
「祭り?」
「祭りって何なのぜ?」
「そうですね……ちょっと端末で調べてみます」
実は祭りが何かは知っているのだが、セキュリティクリアランス的に知っているのはマズイため一度端末で調べてみる必要があるのだ。部屋の隅に設置されていた端末にアクセスしたフリをし、戻る。
「祭りというのは神輿を担いで、神輿をぶつけ合う物だそうです」
「神輿って何なんだぜ?」
「それも聞かれると思って調べておきました。神輿というのは神聖視されているものだそうです」
「なるほどだいぶ分かってきたわね」
確かにだいぶ分かってきた。だが、肝心な事が分かっていない。十八の禁止事項の内容が一つも分かっていないのだ。その事を市民霊夢に問うてみると、
「そこら辺は想像で補うしかないわね」
そう軽く言われる。時間もないため仕方なく私達は『十八禁』の再現に取り掛かるのだった。そして夜どうにか撮影を終えた私達はブリーフィングルームに戻ってきた。
「あら、遅かったわね」
「ヴァイオレット様、お待たせしてしまい申し訳ありません」
「それで『十八禁』の再現は出来たのかしら?」
「はい!これを御覧ください!」
そう言ってビデオテープを紫の市民へと手渡す。今日一日の集大成だ。紫の市民はビデオテープを再生機へと入れる。壁に取り付けられた大画面で再現VTRが流れ始める。
初めに映ったのは二つのピンクのベッドだった。そしてそれを囲む十八名のIR達、このIR達は適当に近くに居たのを拉致ってきた。もちろん全ての市民が喜んで協力してくれた事を追記しておこう。IRの市民が9名ずつに別れて二つのベッドを持ち上げるとそのままピンクのベッドを激しくぶつけ合う。その度にベッドに備え付けられた不審者撃退用レーザーガンが火を噴き、IR達が倒れていく。恐怖に顔を引き攣らせながらもベッドをぶつけ合い続けるIR達、たまに逃げ出す不届きな市民も居るがそれは画面の外から飛んできたレーザーが蒸発させる。そしてそれはベッドが壊れるまで続けられ、最後には足しか残らなかった。生き残ったIRが画面外からのレーザーで蒸発するVTRの再生が終わる。
「以上です。ヴァイオレット様。如何でしたでしょうか?」
「そうね……まぁまぁね。まぁまぁだから誰か一人責任を取れば今回はこれで許してあげるわ」
そしてその日最後の責任のなすりつけ合いが始まるのだった。
ちょっとパラノイアとしてはぬるかったかなという気がします。
というか途中で力尽きました。
キャラ紹介
名前:魔理沙-R-1(霧雨魔理沙)
生産輸送及び評議
M能力:予知能力
秘密結社:プロ・テック
※わりと常識人にして挑戦者、超空間スキマ転送装置に挑み『運良く』全く関係ない所に転送される。
名前:霊夢-R-4(博麗霊夢)
武装集団
M能力:テレポート、テレキネシス
秘密結社:デス・レパード
※超高スペックなデスレパード、元サイオンのため二つミュータント能力を持つ、常にグレネードを所持しており、上位クリアランスを爆殺しようと試みている。
名前:文-R-2(射命丸文)
調査及び設計
M能力:アドレナリン調整
秘密結社:ロマンテクス
※超高速リニアに耐えられたのはアドレナリン調整の効果、ロマンテクスで新聞発行(違法)を行っている。