Fate/Zero ~小傘キャスター~ 作:寂しい幻想の刀鍛冶
「
住宅街にあるとある民家・・・
その住民は子供一人を残して殺されていた。
そして、住民を殺した男、雨生龍之介は実家の蔵にあった史記の儀式を行おうとしていた。
その準備が終わりに近づいた時、龍之介に行かされていた子供の手に入れ墨の様な紋章が浮かび上がった。
「うあぁぁあぁああ!?」
「な、なんだこれ・・・、こんな物この子どもにはなかった筈・・・・・・」
その紋章を見て龍之介はなかなか洒落ていると感じていた。
そう思いながらニヤニヤしていると、後ろから風が吹いてきた。
急いで振り返った龍之介が見たのは自身が描いた魔法陣が燐光を放っていた。
そして、落雷の様な轟音と共に閃光した。
光がおさまり、目を開けようとすると、龍之介は何者かに顎を殴りぬかれた。
龍之介が最後に見たのはオッドアイの少女だった・・・・・・
~・~・☆・~・~
「はぁ、召喚早々マスターが危険な状況って・・・。あぁ、大丈夫かしらマスター?」
魔法陣から現れた少女、サーヴァントはマスターに声をかけた。
しかし、返事が返ってこない。
それを不思議に思った少女はマスターの状態を近づいて確認した。
「あら、気を失ってるみたいって私を召喚する為に魔力を持ってかれているから当たり前かしら?」
そう言いながら先程殴り飛ばした殺人鬼・雨生龍之介の方へと向かい始めた。
それと共に少女の後ろにローブで身体を隠している人型が現れ、その手にはロープが握られていた。
そのロープを受け取った小傘は龍之介から凶器になる様な物を取り上げてから縛り上げた。
そして電話を手に取った。
「さて、後は警察に連絡をしてこれを引き取ってもらわないと・・・。あ、警察ですか?人が殺されています!!早く来て下さい!?」
そう言うと少女は電話を切った。
そしてマスターである少年を抱えると、玄関へと向かった。
「この家はもう使えないわね。新しい拠点を探さなくっちゃ」
そう言いながら少年と共に少女は町の上空を駆けて行った・・・・・・
~・~・☆・~・~
少年とサーヴァントが立ち去った後、魔法陣が再び輝きだし閃光した。
そこから、ぎょろりとした目を持つ者が現れ、周りを確認すると、龍之介の手の甲に令呪がある事を確認して・・・
「おや、私のマスターである者が気絶しているとは・・・これは幸先が悪いらしい」
そう言うと共に龍之介を担ぎ上げ、この場を後にしたのだった。
~・~・☆・~・~
その後駆けつけた警察が殺されている夫婦が発見した。
だが、殺人犯の姿が見えず、通報した者もいない事から事件解決とはいかなかった。
しかし、殺された夫婦には子どもがいたとの証言があったが、子どもの遺体が発見されず、警察は子供の行方を追っている。
~・~・☆・~・~
冬木市内の廃墟・・・
少女は子供と共に此処にやって来た。
子どもが目を覚ますまでの間少女は廃墟の状況を確認をしながら、あるものを仕掛けた。
暫くしてようやく子どもが目を覚ました。
「あぁ、目が覚めたみたいね」
「あ、あなたは・・・だれですか?」
「名乗るのを忘れていたわね。私は多々良小傘、今回の聖杯戦争ではキャスターとして召喚されました」
「どういう、ことですか?」
そう子どもから問い掛けられて少女、小傘は聖杯戦争について、自身がどのような存在か、そしてどの様な危険があるのかを説明した。そして小傘は子どもに対して選択を迫った。
「今から貴方が出来る事は私を自害させて教会で保護して貰う事。もう一つは私と共に聖杯戦争に参加して生死をかけた戦いを勝ち抜く事。前者は貴方の安全が保障されていて、後者は危険が必ずあるわ」
「・・・・・・ぼく、どちらもやだ」
「え?」
「・・・ぼく、おねえちゃんといっしょにいたい!!!!」
そう言いながら子どもは小傘の服の裾を握った。
そうされて小傘は子どもの身体が小刻みに震えている事知った。
そして思い出した。この子は少し前に両親が殺されていて、それを我慢している事に・・・
小傘は静かに子どもの身体を抱きしめながら・・・
「我慢せずに泣いてもいいのよ?」
「う、うわあああぁぁあぁぁああぁあああ!!!!」
小傘の暖かさを感じ子どもは涙を流したのだった・・・・・・
後の事は任せてくださいマスター・・・・・・
・・・・・・わかった、お願いねキャスター
~・~・☆・~・~
冬木の町、丑三つ時の夜の闇の中をサーヴァントの一人であるアサシンは駆けていた。
自身のスキルである気配遮断を使用しており、今から何者かを暗殺しようとしているのが分かる。
そして、その目的地とは遠坂時臣がいる邸宅である。
そこの庭園に入った時に自身のマスターが言っていた事を思い出した。
『徒に慎重にならなくていいアサシン。たとえアーチャーと対面しても恐れる必要は無い。すばやく遠坂時臣を始末しろ』
マスターの命令はサーヴァントに取っては絶対と言ってもいい。
今から始末する者がマスターと協力関係を築いていた事を知っていても今回の理由は聞かずに遂行しようと行動に移した。
そして庭に設置されている結界の破壊に取り掛かる。
その時に自身の様子を複数の使い魔が見ているのを察したが、アサシンは動揺していなかった。
自身に優位な事が起ころうとしているのに手を出すものはいない・・・と。
一番警戒するべきは暗殺した後である。
「他愛ない・・・」
そう考えながらも作業を進め、結界を結んでいる要石を動かそうと手を伸ばした時・・・
稲妻のような光と共に上から飛来した槍に手の甲を貫いた。
「ッ!?」
「地を這う虫ケラが、誰の許しを得て面を上げる?」
アサシンが上を見上げると今から始末する者のサーヴァントであるアーチャーが立っていた。
そして、これから起こる事と自身の結末を察した。
「虫ケラは虫ケラらしく、地を眺めながら死ね」
「(あれを・・・・・・恐れる事はない、だと――!?)」
アーチャーの後ろに複数の黄金の波紋が出現し、そこから色々な種類の宝具の様な武具が現れた。
そして、そのすべてがアサシンに向けられている。
それを見たアサシンは綺礼の言葉の意味を理解した。
恐怖よりも絶望が上回るがゆえに恐怖を感じる事が無い・・・っと。
そして武具が放たれ自身を貫く中理解した。
マスターである綺礼と時臣氏の真意を・・・
~・~・☆・~・~
「あの場を見ていた使い魔は、気配が異なるものが四種類おりました」
「ふむ、一組足りないか」
教会に保護して貰った綺礼だが、先ほど殺されたはずの違うアサシンが傍に立っていた。
そのアサシンからの報告を受けた綺礼は時臣へと連絡しようと部屋を出て行った。
そう、綺礼が召喚したアサシンはまだ死んではいなかった。
敗退した様に見せる事こそが時臣と綺礼の狙いであり、アサシンが行動しやすくするためでもあったのだ。
だが、二人はまだ知らない。アーチャーがアサシンを倒すところをしっかりと全陣営が見ていた事を・・・・・・
そして、今の会話を見られていた事を・・・・・・
~・~・☆・~・~
「アサシンを気配遮断は優秀なのにあんなに早く迎撃されたのは怪しいとは思っていたけど、まさか教会の者が手を貸していたなんて・・・・・・」
教会での様子を見たキャスターはそう言った。
その後ろにはローブを着た人型がキャスターに付き添う様にして立っていた。
そう、このローブを着ている人型こそが先程の教会での会話を見ていた物である。
「第三者の立場であるべき教会がこれとは・・・」
キャスターはこれからの事を考えてため息を吐いたのだった・・・・・・
どうも、寂しい幻想の刀鍛冶という者です。
始めに言っておくとこれは見切り発車です。
アニメを見た後にFGOを始めたのですが、FGO・・・楽しいですね。
まだ始めて三か月も経っていませんが・・・
過去の東方projectとFateのリベンジとしてこの作品をあげさせていただきました。
これからも時間を見てあげていきたいと思います。