※注意※
お話の都合上、モブキャラが出てきます。
※2019年工事内容※
誤字脱字修正、句読点、行間……
【*4*】
***アーランドの街・広場***
「……えっ?」
そんな間の抜けた声とほぼ同時に、ボトボトと何かが石畳で舗装された広場の地面へと落ちた。
地面に落ちたもの……「ホロホロ」と「アラーニャ」という名前を持った黒猫と虎猫の人形。その人形たちの持ち主であるリオネラは、人形たちを拾い上げることも忘れてしまうほど呆然としていた。
話しかけているのは、
「わー!?」
「ほろほろ、あらーにゃ、どーしたのー?」
「大丈夫ー?」
浮いていたはずのホロホロとアラーニャが落っこちた事に子供たちは驚いている……が、この場でその予想外の事態を引き起こしたのは、実はその子供たちだったりする。
そんなこととは知らずに、落っこちたホロホロとアラーニャをリオネラに変わって拾い上げてあげる数人の子供。
……と、相変わらずリオネラは呆然としていたが、子供たちによって助け上げられたホロホロとアラーニャが、その子供たちの腕の中から飛び出し、それぞれ定位置であるリオネラの左右へと飛んでいった。
「あーいやぁー……これは流石に驚いたぜ。まさかオレ様たちが放り出されるなんてな」
「確かに驚いたけど、これは理由が理由だし仕方ないと思うわよ?」
アラーニャの言葉に「まあな」と返すホロホロ。
そんなやり取りをする
「ほろほろー? あらーにゃー? だいじょーぶー?」
「ああ、わりーな心配かけちまってよ。
「ええ、ホロホロの言う通りよ。だから……ってわけじゃなけど、さっきの話、詳しく聞かせてくれないかしら?」
まだ呆然としているリオネラをよそに、
アラーニャからの
「
「そう。そのことよ」
「やっぱ、聞き間違いじゃねーんだな……」
頷くアラーニャと、やれやれといったジェスチャーをするホロホロ。
そんなふたりを見てか見ずにかはわからないが、子供たちが
「マイスが結婚するって話で街のみんなが言ってるんだ」
「お母さんも、お父さんも同じこと言ってた」
「『青の農村』でも大騒ぎだってー」
「わたしも、そんちょーさんとけっこんしたいなー」
最後の子の言葉を皮切りに「本当かー」、「あたしもー」、「えー、そう?」などとぺちゃくちゃ喋りはじめる子供たち。
そんな様子を見ながらも、ホロホロとアラーニャは言葉を交わし合う。
「マジで、結構大変なことになってるみてーだな」
「そうね。そんな様子は無かったように思うけど……」
話を信じられない様子のアラーニャだが、「ありえない」と切り捨てることもできないようで言葉を詰まらせていた。その言い切れないと思っている理由を代弁するかのようにホロホロのほうが喋りだす。
「火の無いところに煙は立たねぇって言うからな。それに、マイスって恋愛とかに
「そうよねー。むしろあれだけ仲の良い
ふたりして、互いに言ったことに頷き合う。
「どうしたものかしら……って言いたいところだけど」
「まぁ、ひとまずリオネラを落ちつける場所に移動させてからだな。考えるのはそれからだ」
とりあえず、ここからの行動が決まった二人は……自分たちの意思で動いているのではないかと思えるくらいひとりでにスムーズに動き始めた。最早、リオネラの持っている
そうして動いたアラーニャとホロホロが、未だに呆然と立ち尽くしているリオネラの肩をゆすった。
「ほらっ、リオネラ。聞いたことを深く考えるのは後にして、とりあえず撤収するわよ?」
「いい加減戻ってこいってんだ。頭カラッポにして、考えるのは帰ってからだ!」
途中からホロホロはリオネラの顔をペシペシ叩きはじめたが……その甲斐あってかどうかはわからないが、焦点が定まっていなかったリオネラの目は元に戻り、数回目をパチクリと
「ええっと……劇が終わってから、私は、この子たちと……確かお話をしてて……」
「ハイハイ。終わったのは終わったんだから、とりあえずもう帰りましょ」
「そうそう。もう帰っちまおうぜ? ほらっ、ガキ共にあいさつしな」
「あっ……それじゃあ、みんな。また観に来てね……?」
「「「「はーい、またねー!」」」」
好き勝手に喋っていた子供たちだったが、リオネラのお別れの挨拶には仲良く返事をして、リオネラたちさんにんを手を振って見送るのだった……。
―――――――――――――――
***借り部屋***
「ただいまーっと」
「ふぅ。やっと一息つけるってもんだぜ」
「…………」
『アーランドの街』での活動拠点としてリオネラが借りているとある部屋。そこまで帰ってこれた
その理由をわかってしまっているふたりは、放置しておくわけにもいかずリオネラに言葉を投げかける。
「ちゃんと頭の中に入ってきてて、思い出しちまってるんだろ? さっきの話がさ」
「……まぁ、ちょっといきなりすぎて色々ついてけない感じはするわよね。だから、ちょっとの間、考える時間を取って――」
「ううん、大丈夫だよ」
アラーニャの言葉に割り込むようにして、リオネラの口が動いた。
「驚いたけど……でも、マイス君にとって、幸せで大切な、門出なんだよ? お友達の私たちがめいいっぱいお祝いしてあげなくちゃ!」
ハキハキと元気な声で言うリオネラ。
だが、それに対するアラーニャとホロホロ言葉は対照的で、とても落ち着いたものだった。
「……リオネラ。わかってると思うけど……あなたの中にいるワタシたちには、あなたの思ってることって筒抜けなのよ?」
「そうだぜ? 馬鹿みたいに無理して言ってるのも丸わかりだってんだ。だからよ――」
「無理して言ってなんか、いないもん」
幼いことから一緒に……
「わかるでしょ? 周りの人たちからも、お父さんやお母さんからも
「…………」
「…………」
「でも、『
「…………」
「…………」
「そしてマイスくんは……フィリーちゃんに協力してもらいながら、マイスくんの世界の『魔法』を杖に宿し使う実験を何回もして、『アーランド』の人でも杖無しで使えるようにって『魔法』そのものも改良していって、人を傷つけない安全なものに組み替えたりもして……そしてソレをこの前のお祭りで発表して、教える環境も作って……お祭りとか、他のことがあっても、何時間も、何年もかけて、「不思議なチカラ」が当たり前にある『世界』を作ってくれてる」
「…………」
「…………」
「わかってるよ……そうしてるのが、私
部屋の中に、
ホロホロも、アラーニャも、何も言わずに、言えずに、絶えず口から溢れ出してきているリオネラの言葉に、想いに飲み込まれるだけ……。
「たくさんの友達がいて、楽しいことにあふれてる街と村があって、私たちのことを受け入れてくれる人たちがいて、不思議なチカラがあたり前な……「
「…………」
「…………」
「だから、私は今のままでいいの。……ロロナちゃんと、クーデリアさんと、イクセルさんと、フィリーちゃんと、ホムちゃんと、マイスくんと、ホロホロと、アラーニャと……みんなと一緒にいられる『
「何を思ってるかわかるって言ってるでしょ、リオネラ」
「それにな。本当にそう思えてる奴なら……そんな風に泣いたりしねぇんだよ。このアホ」
誰か、早く誤解を解いてください、お願いします。
これ、『リオネラルート』以外でもあってると考えたら……正直、ストレスで胃が死にそうです。だから、ここまでディープな感じには無い……ってことになると思います。
その当たりについては、ルートごとにメイン以外のキャラにも触れる機会を作るつもりですので、そこで補足できればと思っております。
とりあえず、自分の気持ちを理解した上で押し殺しちゃってるこのルートのりおちゃんには本気でこれ以上無いくらい幸せになっていただきたいと思っています。切実に。