……第三者目線で書いてばっかりな気がして、ちょっと感覚が狂ってきている気がする今日この頃。
『塔の悪魔』を倒し、マイス君もギゼラさんの最期をやっと知り、ギゼラさん関係が一段落してようやく進展が……と思いきや、トトリちゃんは色々と気にしていたりするのに、他ルートと同じくマイス君が……というお話。
でも、ある意味ではここがターニングポイントだったりします。
※2019年工事内容※
特殊タグ追加、一部表現の変更、句読点、行間……
【*3*】
***青の農村***
晴れ渡る空。
その下でクワを振るう農夫に、店先で談笑する商人と客。
道端で寝転んでいるモンスターや、広場でたわむれる子供とモンスター。
つまりのところ……いつもの『青の農村』である。
そんな『青の農村』を手を繋いで歩く二人の人影があった。
「~♪ ~~~♪」
「鼻歌なんて歌っちゃてー。そんなに嬉しいの?」
「うんっ! ピアニャ、『青の農村』好き! 楽しくて、賑やかで、マイスのおやつが美味しくて、いろんな
一人は、『アランヤ村』出身の『冒険者』であり、指折り数えるほどしかいない『錬金術士』の一人でもあるトトリ。
もう一人は、『
二人が『青の農村』に来た理由は、聞いての通り遊びに来たようなものだった。
もちろんその中心になっているのは、ピアニャなのだが……トトリのほうも、別にただの単なる付き添いとして来ているわけではなかった。トトリはトトリで目的があって『
「マイスさん、あの時は大丈夫そうだったけど……元気にしてるかなぁ?」
そう。トトリはマイスのことが気になっているのだ。
というのも、先日の『塔の悪魔』討伐後に判明した「マイスがギゼラの最期を知らなかった」一件。『
最初、『最果ての村』で「ギゼラが『塔の悪魔』との死闘が原因で致命傷を負って、それが原因で……」という話を初めて聞いたマイスの反応は半ば混乱状態だったと言っていいほどあわてふためいていた。
だが、その後、詳しく話をしたトトリから見て、その話を聞いていたマイスの様子は
内心悲しんでいても人前で泣いたりは出来ず、家に帰って一人になってから泣いたりしているのかもしれない……とトトリも考えた。しかし、仮にそうだったとしても「自分の中だけに溜め込みすぎて苦しいんじゃ……」と、まるで自分の事のように心配になってきてしまう。
「お母さんと仲が凄くよかったみたいだから、絶対何とも思っていない、なんてことはないはずなんだけど……」
マイスとギゼラの仲の良さは、
事実、ギゼラの事を話すマイスは――例えそれが物を壊されたりといった迷惑をかけられた話であっても――楽しそうに笑いながら話し、ギゼラから聞いた冒険の話はまるで自分がしたことであるかのように誇らしげに語る。……一部の人からは、「ギゼラの事を話しだすと一気に子供っぽくなる」と言われたりもする。
そして、グイードなど二人のことを周りから見ていた人たちからも、「長年の友人のように仲が良い」と称されるほど。
無論、トトリもそう思っている。以前に
……となると、やはりギゼラの最期のことであんな反応だけで終ってしまうっていうのは、トトリにはどうにも不思議に思えて仕方がないのだ。
「うーん……それにしたってどうやって確かめればいいんだろう?」
もうここまで来てしまっているというのに、未だにそんなことで悩み続けているトトリ。
ピアニャの「『青の農村』に行きたい!」という駄々を聞いて「これは良い機会かも……!?」と思い立ったが吉日と突撃したわけだが……もう少し考える時間を取った方がよかったのかもしれない。
「ここはストレートに「無理してませんか?」って聞いちゃうべきかなぁ? それとも、さりげなくお母さんの話に持っていってそこからドンドン思い出していってもらって、そのまま泣いてもらって……って、わたし、そんな誘導するように話したり出来る気がしないよ……」
「トトリー? なあにー?」
「えっ、あ……ううん! なんでもないよ?」
考えていたことが全部口に出ていたため、手を繋いで歩いているピアニャから「どうしたの?」と聞かれてしまうトトリ。彼女は慌てて首を振るが、ピアニャは違和感を拭いきれないのか「ふーん……?」と首をかしげたままだった。
そんな反応にトトリは困ってしまい、誤魔化すように笑ってみせようとするが……上手くいかず中途半端になってしまう。そのため、トトリはさらに「どうしよう……?」と頭を悩ませてしまうのだが……。
しかし、何かを思いつくよりも先に、『青の農村』の中でも目的地である場所のすぐ近くまでいつの間にか来ていることに気付き、ピアニャの気をそちらへとそらすことにした。
「あっ! ほらっ、もうすぐマイスさんのお家に着くよー」
「わぁ、ほんと! マイスに、
目をキラキラさせて、ワクワクを抑えられずにスキップを始めてしまうピアニャ。トトリはその微妙に早くなったピアニャのスピードに合わせる様に、少しだけ歩幅を大きくする。
未だに「マイスの様子をどう確かめるか」が決まっていないため、トトリの中には不安も残っているのだが……それでも覚悟を決めて、一歩また一歩とマイスの家へと歩を進めて行くのであった……。
―――――――――――――――
***マイスの家***
そんなこんなで、トトリとピアニャはマイスの家にたどり着き、その玄関の扉をノックをするのとほぼ同時に開けた……というのも、トトリがノックをしたのも気にせずピアニャが開けてしまったからである。
トトリは驚きながらも、ピアニャに合わせて挨拶を……
「「おじゃましまー……」」
「なるほど……前に言ってた『名前問題』はもう大体解決できてる……というか、もうしかたのないことだと割り切ってるんだね。じゃあ、当面の問題は『パイの自給自足問題』ってことになるのかな?」
「ちむー!」
「ちむっちむっ」
「ちちむ!」
「ちぃ↓ーむぅ↑ー!」
「えっ? 『ロロナのパイつまみ食い問題』、『パイの木の味が一種類問題』
家に入ったトトリとピアニャが目にしたのは、ソファーに一列に並んで座っている『ちむちゃんず』と、テーブルを挟んで反対側にあるイスに座っているマイスが何やら話している光景だった。
ソファーに座っているちむちゃんたちは、
それぞれ……女の子の「ちみゅみゅみゅちゃん」、「ちみゅみみゅちゃん」。男の子の「ちむドラゴン」、「ちむまるだゆう」である。
マイスは、どうやら
……なお、『名前問題』というのは……女の子たちは「ロロナが名前を呼んでくれる時に、いつも噛んでて申し訳ない」と感じてしまうことを悩んでいて、男の子たちは「ロロナが名前を呼んでくれる時に、いつも申し訳なさそうにするのが逆に辛い」と感じてしまうからで……つまり、名付け親であるトトリと、彼らが今仕事をしている『ロロナのアトリエ』の店主のロロナによって引き起こされた問題だったのだ。
今現在は、ロロナのほうも、ちむちゃんたちも、良くも悪くも慣れてきたため、もうそこまで問題になっていないらしい。
さて、今日新たに挙がった『勤務地格差問題』なのだが……本格的に話が始まる直前に、予想外にもトトリが来てしまったわけで……
「って……あれ? トトリちゃんとピアニャちゃん? いらっしゃい!」
「「「「ちむ!?」」」」
マイスはいつも通りの様子だが、ちむちゃんたちはトトリの突然の来訪に驚きを隠せないようだった。まあ、仕事環境の不満の相談とはいえ、本人のいない場所で悪口をいっていたようなものであり、本人たちも後ろめたさを少なからず感じてしまったのだろう。
なので……
ちみゅみゅみゅちゃんは、ソファーから飛び降りてソファーの下に潜りこんで隠れ……
ちみゅみみゅちゃんは、「私は関係無い」とでも言いたいのかピアニャに跳びついてだっこしてもらい甘え始め……
ちむドラゴンは、ソファーに座ったまま明後日の方向を向きながら「ちむ~ちむ~」と口笛を吹いている
ちむまるだゆうは、ソファーから前方へ転げ落ちてテーブルの下をくぐりマイスの足にぶつかってしまうのだった……
しかし、考えてみて欲しい。
裏で文句を言われるのもキツイことだが……今のように、それがバレた時にそうやって隠そうとしたり誤魔化そうとすることのほうが、辛かったり、頭にきたりするものである。
つまりは、その状況を見たトトリは……
「……マイスさん? ちむちゃんたち?」
ついさっきまでのマイスへの心配はどこへやら。良い笑顔(黒)である。
「えっ、えっ? ど、どうかしたの?」
「「「「ち、ちちむ……」」」」
「トトリの顔、こわい~……」
マイスには悪気は無いのだが……これは仕方ない。ちむちゃんと一緒に、トトリの説教に付き合うしか無さそうだった。
そして、それにともないピアニャも少しの被害を被る事に……。
この後、説教の途中でトトリが泣きだしてしまい、それをなぐさめるためにマイスとちむちゃんずが頑張るのだが――それが結果的に
なお、「いや、でも、一日三食の食事が、基本的に自分たちが仕事で複製した『パイ』っていうのは、いくら何でもかわいそうだと思うよ?」とマイスに言われて、それは流石にトトリちゃんのほうからちむちゃんたちに謝ることになるのだった。
なにやってるんだマイス君(いつもの)
そして、『トトリのアトリエ』では、本来であれば5人しかつくれないはずのちむちゃんたちの後半の子達が、本編ではチラ見せ程度だったんですが、今回登場。『メルルのアトリエ』では普通に5人いじょういますからね。
そして、ちむちゃんの『パイの自給自足問題』。実際のところ、よくやることなんですが……よくよく考えてみると、何だか可哀相に思えるというか、なんというか……。
そして、今回のお話も大きく絡む次のトトリルートのお話は……!?
次回!「トトリ、毒を吐く!」お楽しみに!