最近いいアイディアが全然浮かばなくて…。ですが飽きて辞めざるを得ないとき以外は終わらせるつもりはありません!。頑張ります!
スミレと出会った日から5日が過ぎた。今回参加する親族全員揃い、通夜も終えた。そして今日は葬式である。葬式場へは少し距離があるため、何台か車を出すことになった。龍牙はそれに選ばれたのだった。その日の朝。朝食を済ませ、出発前の準備をしている所だった。
「なぁ龍牙よ。わしも葬式に行くのかの?。」
龍牙が荷物の準備をしているときにスミレが話しかけてきた。呼び名は龍牙で安定してるようだ。
「スミレは…、お前はその姿を知っている人って俺と父さん以外にいるのか?。」
「前にも言った通りこの姿を知っているのはおぬしと翔一と主様だけじゃ。」
翔一のことはもうスミレは知っているようだ。龍牙が教えたらしい。
「それ以外はない?。知り合いの孫を預かりましたとかで皆の前に出たことはあるか?。」
「いや、ないぞ。」
その反応を聞いた龍牙は、荷物と車の鍵を持ち立ち上がった。
「駄目だな。家で留守番だ。」
「そこを何とかできないかの!」
「流石に今は友人の子を連れてきたなんて言い訳出来ないから。今回は待っててくれないか?。後で2人でゆっくり墓参りでも行こう。」
「くぅ〜…分かったのじゃ…。後でゆっくり行こうかの。」
「お詫びと言っちゃあなんだが、シュークリームかなんかを買ってきてやるよ。」
「それは本当かの!?。」
龍牙がそう言うと、拗ねていたスミレがガバッと起き上がり、子供のように目を光らせた。
「ああ。勿論だ。」
「行ってらしゃいなのじゃ!!。」
竜牙は部屋の前まで歩いて行き、立ち止まった。
「ごめんな。爺ちゃんを最後まで見せられることが出来なくて。」
「気にせんで良い。わしがこう生まれてきた以上、これも抗うことの出来ない運命じゃ。はよう行けい、遅れても知らんぞ。」
「ああ。行ってくる。」
龍牙は外に出て車へ移動していった。
「よう龍牙。遅かったな。まあ気にするもんでもないな。」
「えーっと、俺の車に乗るのは父さんと結愛ちゃんと麗美さんでいいのかな?。」
「はい、よろしくお願いします。ほら、麗美も挨拶しなさい。」
「よっ……よろしく…お願い…します…。」
結愛は顔を真っ赤にしながら挨拶した。それもそのはず。彼女は初めて好きな相手の車に乗るのだから。
葬式も終わり、火葬も終え御骨を墓に入れる頃にはもう4時を過ぎていた。墓地からの帰り、竜牙は洋菓子店に車を止めた。
「あれ?、龍牙どした?。道に迷ったか?。」
「違うよ父さん。結愛ちゃん。今日のお葬式疲れたでしょ。何か買ってあげるよ。麗美さんもどうですか?。お金出します。」
そう言うと麗美は顔を赤くして言った。
「ごめんなさい…気持ちは嬉しいけど…私今…ダイエット中なの…。」
「分かりました。そんな無理には進めませんから。」
「ごめんなさいね…龍牙君…。」
「気にしなくて大丈夫ですよ。結愛ちゃんはどうする?」
「食べる!」
結愛は目を光らせ即答でこたえた。
「父さんも食べる?」
「うーん…俺はいらない。結愛ちゃんだけで大丈夫だろ。」
翔一は断った。結局食べるのは結愛だけだった。
「んじゃ、俺は車の中で待ってるから。2人でゆっくり買ってくれば。」
「そうね、私も車の中で待ってるわ。頑張ってね、結愛」
「う…うん…龍兄いっしょにいこ?。」
「うんじゃあ行こっか。」
2人は店に入り、ショーケースに並べられた沢山の洋菓子を眺めていた。
「何にする結愛ちゃん?。何でも大丈夫だよ。」
「うーんうーん。」
結愛はずっと考えてショーケースの前をウロウロしながら唸っている。
一方龍牙はもう決まったのか結愛を待っていた。
「うーん、じゃあこれ!。このイチゴのがいい!。」
「分かった。すみません注文良いですか?。」
龍牙が店員を呼ぶと店員がこちらに来た。
「はい。どれにしますか?。」
「えっと。この苺のショートケーキとシュークリームとエクレアを1つずつお願いします。」
「こちらで食べますか?。お持ち帰りにしますか?。」
「ここで食べることが出来るんですか?。」
「はい。出来ますよ。」
「どうする?。結愛ちゃん?。」
そう龍牙が聞くと、結愛は顔を赤くしながら答えた。
「こっ…ここで食べてもいいかな?。」
「分かった。エクレアとシュークリームはお持ち帰りで
お願いします。」
「分かりました。」
店員はエクレアとシュークリームを箱に詰め、保冷剤を入れシールで箱を止め、トレーに苺のショートケーキをのせ。ホット用のカップをのせて渡してきた。
「コーヒーやココアなどは飲み放題ですがセルフサービスとなっております。」
「はい、分かりました。」
「ありがとうございました!。ごゆっくりどうぞ。」
「さて、行こうか。」
「うん!。」
その後2人は結愛の学校の話や、龍牙の大学の話などをして楽しんだ。暫くして。
「さて、もう出ようか。父さんや麗美さんも待ってるし。」
「うん!。今日はありがとうね。龍兄!。」
2人は車へ戻った。
「よう龍牙。随分遅かったな。」
「カフェコーナーがあったからそこで休んでたんだ。すいませんでした麗美さん。話をしてたらつい時間を忘れてしまいました。」
「気にしなくて大丈夫よ。寧ろ話し相手になってくれて本当にうれしいわ。お金を渡さなくちゃね。いくらかしら?。」
「あ、そこは大丈夫ですよ。元々俺の好意だったので。」
「あらいいの?。ふふっ、優しいわね。龍牙君はいいお婿さんになれそうね。」
「ははっ、それがあんまり俺、モテないんですよね。」
実は彼が高校生の時、ひっそりとファンクラブができていた事を彼は知らない。
「龍兄!もう行こ!。」
結愛が怒ったように言った。
「あらあらごめんなさいね、それじゃあ行きましょうか。」
「おっ、やっと行くか。待ちくたびれたぜ。」
空気と化した翔一であった。
家に帰り、竜牙は真っ先にスミレを探し始めた。
「スミレー。どこだー。」
「キュー!。」
龍牙が呼ぶと、廊下の向こうからすぐにスミレが走って来た。
竜牙はキツネ状態のスミレの耳元でこっそり囁いた。
「お土産買ってきたから部屋で食べるか。」
「キュー!。」
スミレは目を光らせ、尻尾をブンブン振っている。部屋に入るとスミレはすぐに人間の姿になった。
「改めておかえりなのじゃ。さあシュークリームを渡すのじゃ!。」
「ハイハイ、どうぞ。」
「いただきます!。」
スミレは幸せそうに食べ始めた。
「はむはむ…うーん♡、美味しい!。」
「それならよかったよ。こっちも食べてみなよ。」
「ん?、その細長いのかの?。何なのじゃ?。」
龍牙が進めたエクレアをスミレは不思議そうに見た。
「これはエクレアっていうお菓子だ。美味しいよ。」
「ふむ、では頂くのじゃ。」
エクレアを食べた瞬間、スミレに衝撃が走った。
「な…なんじゃこれは!。この世にこんな美味いものがあったなんて!。」
どうやらスミレの大好物になったようだ。
おまけ
「そういえばなんでシュークリームのことを知ってたんだ?。」
「主様が洋菓子が嫌いだったから、よく食べさせて貰ったのじゃ。」
「あー、確かに爺ちゃん嫌いだったなぁ。俺達が何回も買ってくるもんだから1回だけ本気でキレてた。」
「そうなのか!?。」
「ああ、あのときは大変だった。飾ってある本物の刀を振り回したんだよな。」
「主様は優しいけど怒ると本当に怖いのじゃ…」
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