作風もホンワカにしたいのでこちらの前書き、後書きにはネタを書かないようにしようかと考えております。
その代わり何を書こうかなと考えてしまいますね。
「え?、え?。」
「なんじゃ?その顔は。鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしおって。」
龍牙の思考は止まっていた。現在の状況に追いついていないようだ。
「あれ?、スミレは何処?。」
「なんじゃ、わしに何か用かな?。」
「え、お前がスミレ?。」
「そうじゃぞ、この耳と尾を見ろ。どう考えてもわしはスミレじゃ。」
「確かにその耳と髪の色、尻尾を見るとスミレと一緒だけど...。」
「なんじゃまだ信じぬと言うのか!。これならどうじゃ!。」
そう言うと、狐耳の少女から煙が出てきて煙が無くなる頃にはいつも龍牙が見ていた狐がいた。
「...本当にお前はスミレなのか?。」
「それ以外有り得なかろう。」
少女の姿になりながら、スミレは話した。そしてドヤ顔自慢してきた。
「どうじゃ?、凄かろう?。」
「うん、けど...背伸びしてる小学生みたいだぞ?。」
そう龍牙が言うと、顔を真っ赤にして怒りだした。
「ぬぅー!。わしは子供ではない!。見た目はアレじゃが立派な大人の女なのじゃあ!。」
「ふふっ...。分かった分かった、立派な大人だよな?。」
「そ、そんなに撫でるでない!。」
龍牙はクスリと笑い、頭を撫でながら適当に聞き流した。スミレは嫌がりながらも目を細め嬉しそうにしていた。そして、龍牙に質問をした。
「それよりものぅ。お主、主様を知らぬか?。」
「ん?、爺ちゃんの事か?。」
「そうじゃ、何か知らぬか?。前に主様から山の方に遊びに行ってこいと言われ、今日の夕方の頃に戻ってきたのじゃが、知らぬか?。」
スミレは今は亡き、彼の祖父の居場所を聞いた。
「爺ちゃんそんなこと言ってたのか。」
「そうなのじゃ、今探そうとしているのじゃが。居場所を知らぬか?。」
その言葉を聞き、龍牙は静かに話した。
「爺ちゃんは...、とっても遠い場所に行ったんだ。」
「それはわしらでも行ける場所なのか?。」
「行けないって言えば嘘になる。けど、俺達は今行ってはいけない場所なんだ。」
スミレは首を傾げた。
「どういう事じゃ?。」
「爺ちゃんは死んだんだよ。2週間くらい前に。」
「ぷぷっ...何を言っておるのだ!。そんな縁起の悪い冗談を言うのはよさんか。」
どうやら龍牙の答えはジョークだとスミレは認識し、笑った。
「じゃあスミレ。爺ちゃんに会うか。」
「そうじゃの。そうするしかなかろう。お主、わしを運びながら探してくれんかの。」
「丁度いい。俺も顔を合わせてなかった。」
スミレは狐の姿に戻り、龍牙は狐のスミレを抱き上げて運んだ。少し家を歩いていると翔一の妹である
「叔母さん。爺ちゃんに会いたいんですけど。」
「あ、そういえばそうね。まだ挨拶を済ましていなかったのね。こっちよ。」
「ありがとうございます。」
真理に祖父が眠っている部屋まで案内され、その部屋の前まできた。
「ここよ、スミレを離さないようにね。」
「はい、大丈夫です。あと、部屋の中は俺とスミレだけにしてもらえませんか?。」
「分かったわ。じゃあね。」
「ありがとうございました。」
真理が見えなくなったときにスミレは人間の姿へ戻った。
「なぁスミレ。そのときの姿は爺ちゃん知ってんのか?。」
「そうじゃ。この姿を知っているのはお主と主様だけじゃの。」
龍牙は襖を明け、話した。
「爺ちゃん、ただいま。遅くなってごめん。」
布団に寝ており、顔に布が被さっているのを見たスミレは一気に顔を白くした。
「主様!!。」
スミレは祖父の横に急いで座り、起こすように揺すった。
「主様、起きるのじゃ。主様、孫も来たから早く目を覚ましてくれんかの?。主様、主様!。」
スミレはずっと揺すり続けた。揺っていたゆれで祖父の顔に被ってあった布がはらりととれ、その顔が露わになった。祖父の顔は安らかに眠りについた顔をしていた。
「主様!。早く目を覚まして欲しいのじゃ!。こんなに冷たくなりおって!。早く起きてお風呂に入って貰おうぞ!。そうしたらわしを存分に撫でて欲しいのじゃ!。」
祖父の頬に2粒の水滴がついた。更に頬に4粒、6粒と2粒ずつ水滴が増えていった。スミレの目からは大粒の涙が零れていた。
「...どうして主様は...そんなに勝手に行ってしまうのじゃ?...。わしは...両手でも抱えきれないものを沢山貰ったのに...、けれど...わしは...わしは主様に何一つ返すことができなかった!!。....何か返そうと考えていた矢先に.....何故こんなにも簡単に消えてしまうのじゃ!!。」
スミレの祖父への後悔の叫びは止まらなかった。言う度に、叫ぶ度にスミレの涙は増えていった。
「どうして...主様はわしに...遊びに行けと言ったのじゃ?...。最後のときくらい...一緒にそばに居たかったのじゃ!!。」
「おい、もうその辺にしておけ。これ以上過去を言っても駄目だ。」
スミレの嘆きに龍牙は反論した。スミレは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で龍牙へ反論した。
「お主に...お主に何が分かるというのじゃ!!。」
「お前の気持ちなんかよく分からないよ。けどさなんでそんなに過去を悔やむの?。変えられない過去を悔やんで過去が変わって今が変わって未来が変わるの?。」
「....。」
「人間はな、成長していくんだ。体が大きくなるのは勿論、心も成長していく。それは分かるな?。」
スミレは無言で頷いた。
「心は未来を作るんだ。今と過去を材料にしてね。確かにいい未来を作るには心にいい材料を入れるんだ。けど、そのいい材料には、過去に気づかなかった後悔、それに気づいたときの後悔も入っている。他にも過去に悪いことをしたときの気持ちとか、初めて恋人と別れたときの気持ちとか。そんな悲しく、薄汚れたものだっていい未来を作る為にいい材料になる。」
「何が言いたいのじゃ?。」
龍牙はスミレの頭を撫でながら優しく話した。
「爺ちゃんへの後悔を消せなんてことは言わない。俺が言いたいのはその後悔をまた同じ未来を繰り返さないようにするんだ。ここから出て、新しい家主にもしも飼われたとき、同じ後悔をしないで欲しいってやつだ。分かったな?。心も体も成長、しようぜ?。」
その言葉を聞いた瞬間、スミレはいつものように怒り出した。
「なぬ!?。わしは神でもう身長は伸びぬ!!。」
「は?。お前神だったのか?。」
「そうじゃが?。何か文句でもあるかの?。」
「いや、別に文句はないけどさ。ぷぷっ...こんな小さいやつが神って...。」
龍牙はそれに対し、笑い始めた。
「ふふっ...ふはははは!!!。」
「ぷぷっ...おかしいのぉ...あははははは!!。」
スミレも釣られて笑った。少し経つとスミレは泣き疲れ、笑い疲れたのか眠ってしまった。
「ふふっ...寝たのか...さて、どうするかこいつ。」
少し考えていると襖の向こうから足音が聞こえてきた。
「ふぅんふーん♪。おーい龍牙!。親父の挨拶終わった?。俺もするから飯食おうぜ。ってなんだその幼女....」
龍牙とスミレがいた部屋の襖を開けた瞬間、翔一の動きは止まっていた。
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