自分の人生を振り返って見た。
これといった特別な思い出が思い出せない。
というより、自分が死んだ時の記憶が衝撃的過ぎて、そちらの記憶しか鮮明に思い出せないからだ。
どこにでもいるような普通の高校生だった。
自分で言うのもあれだが、平凡な日常を送っていた。
まあ、人並みに優れている事といえばオンラインゲームくらいだったかな。
僕が死んだ原因は確かナイフで刺された事による出血死であった。
刺したのは自分の隣に住んでいる幼馴染であった。
刺される前に理由を聞いたところ、
「他の女に取られるぐらいなら、あなたを殺して私も死ぬ。」
だそうだ。
僕は刺される2時間前に、学校1美人の先輩から告白されたのだ。
人生初めての告白に、僕は混乱してしまい返事を明日すると言い、そのまま逃げるように自宅に帰ったのだった。
その後、幼馴染が家に包丁を持って訪ねて来て刺された僕は、そのまま死んでしまったのである。
まさかあの子がヤンデレだったなんて。
そして現在、僕は真っ白で何もない空間にいた。
目の前には、今まで見たことのないほどの美しさを持つ女性が立っていた。
「あのー・・・。どちら様でしょうか?」
とりあえず、目の前の女性に質問した。
「この度は大変でしたね、杉下 薫様。とりあえず、私は女神です。」
・・・余計わからなくなった。
死んでから電波な人に出会うなんて。
「私はおかしい人ではないので、安心して下さい。」
今、考えていたことを読まれた?
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女神が言うには、今いるところは天界らしく、これから自分は元いた世界とは違う世界に転生させるらしい。
転生させる際、本人の希望を叶えるためここに僕を連れて来たそうだ。
「では、杉下様。転生において何かご希望がありますか?」
「もちろん今のままでも十分に強化を行いますが?いかがいたしましょうか?」
話を聞いたが疑問の方が増えた。
まあ、17歳で死んでまだやりたいこともいろいろあったしこのまま転生するのも悪くないか。
女神様は強化してくれると言うが、
「強化ってどんな感じになるのでしょうか?」
「はい。このようなステータスになります。」
そう言って僕の前に『ステータス』の書かれた紙を差しだした。
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・杉下 薫
≪ステータス≫
HP8500
攻撃5200
MP3700
防御1900
素早さ1100
≪スキル≫ 『未選択』
≪職業≫ 『未選択』
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「スキルと職業はまだ選択されておりませんので、このようなことになっていますかが、今から好きなものを選んでいただくことになっています。」
・・・これ、僕の遊んでたオンラインゲームのステータス画面にそっくりだ。
「あの、このステータス画面見覚えがあるのですが。」
「はい。これから行く異世界では杉下様の遊んでいたゲームの世界と大変似たような世界になっているのです。」
なるほど、ゲームの世界と似ているのか・・・。
それにしても、ステータスが低い。
いや、スキルと職業を選べばそれなりに強くなるのだろうが、それでも僕のキャラクターより低い。
僕のキャラクターならいいのに・・・。
そう思って女神様に質問する。
「あの、このステータスをゲームのキャラクターにすることはできますか?」
「はい。可能です。」
ダメ元で聞いてみたができるようだ。
僕はそうして欲しいと言い、女神様は僕の望み通りにステータスを変えてくれた。
「それでは、杉下様。新しい世界での冒険頑張ってください。それと、私と連絡が取れるようにしておきましたので、何かあった場合に連絡してください。」
ステータスの調整が終わり、女神様は異世界へとつながる門を開く。
元いた世界ではあまりいいことはなかったが、これから行く異世界ではいいことがありますように。
と思いながら門をくぐり、目の前がまばゆい光に包まれた。
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