織田信奈の野望〜乱世に迷いし少年〜(再掲版)   作:ふわにゃんちゃん

3 / 26

今の所運営から削除依頼は無いので再開しようかと思います。
すいません。サボってました………


初陣

 

 

ーーー美濃国、黒野城ーーー

 

 

あの日から五年後、千熊丸は元服し長門と名乗っていた。長隆の長を取っての名前であるが本人としては慣れ親しんだ名前であることは内心嬉しかったそして、武芸、軍略、政略において、上達していた。現在は兄である隆成と手合わせをしていた。

「ふっ!はっ!たぁ!」

「ふっ、腕を上げたな、長門よ」

長門は次々に木刀を振り下ろす。その剣尖は五年前とは比べものにならないほどに上達していた。しかし、長門に才能があり、上達していようとも、緋村家の猛将である隆成にはまだ敵わない。

「ふっ!」

「甘い!」

長門が木刀を振り下ろすが隆成は、それを難なく弾く。長門の手から木刀が消えて、カランと音を立てて木刀が地面に落ちた時には成秀の木刀の切っ先が、長門の首に向けられていた。

「………参りました。兄上」

「なに、お主もここまで強くなったではないか。このまま日々の鍛錬を重ねればお主は良き将になれるぞ」

隆成が差し伸べた手を取り立ち上がる長門。

「おお、義隆。お主も長門と手合わせをしていくか? お主らの手合わせは近頃やっておらんのだろう?」

「いえ、それはまたの機会にしておきましょう。それに兄上、それに長門も父上から間も無く軍議を始めると言っておりましたぞ」

涼しげな笑みを浮かべる緋村義隆。長隆の次男で情熱的な隆成とは違い常に落ち着いており水面のように静謐な男で隆成の諌め役であり隆成が一番に信頼する人物でもあった。普段は債務や検知、後方支援を主にしているが一度槍をとれば鬼の緋村の名に恥じぬ働きを見せる。

どのゲーム、歴史小説でも見た事も聞いたこともない緋村と言う大名。最初は誰の気付かないうちに時代の波に飲まれた弱小の大名だと思っていた。しかしこの緋村家に生まれ生きてきて分かった事があった。それはこの世界が自分が生きていた世界とは違う世界、所謂平行世界の類だと推測した。そしてこの目の前にいる二人の兄は天下に名を残す器のある大名になれるとも核心に近いものがあった。ならば自分はその兄達を支えていくことになるだろう

(その為には俺はどんな事でもするつもりだ)

「そうだな、此度は長門も来い。何しろお前の初陣だからな」

「はい、ですが実は………」

「なに、お前が七つの頃からコッソリ軍議を覗いていた事なんぞ誰もが知っておるから安心せい」

「いえ、五つの頃からです………」

「そ、そうか………」

 

 

軍議が終わり各々の所定の場所へと移動し始めた。長門も甲冑を着込み、戦支度を進めていた。

 

「長門様!」

 

そんな長門の下に甲冑を着た一人の少女が走ってきた。義隆によると姫武将というものらしく、第一子が女の場合は女に家督を継がせるらしい。どこもそれほど人が不足しているらしい。

艶やかな黒髪を現代で言うポニーテールにした少女は片膝をついた。

 

「高次、準備は出来たか」

 

「はい!長門様は初陣とお聞きしましたので、私が貴方様をお守りします!」

 

京極高次、もともとは浅井方の人間であるが浅井を出て緋村に士官してきた。そして今は長門の小姓として使えていたのだ。

 

「ふふ、頼もしいな。だが記憶が正しければお前も初陣のはずだが?ではよろしく頼むぞ?」

 

うう、と顔を赤らめる高次の頭を撫でると長門はあつまった四百の兵に向かって叫んだ。

 

「これより敵は浅井、数は七千。こちらは援軍を合わせて四千。だがその程度の数、我らにとっては然程のものでは無い‼︎ 奴らにこの地に踏み入ったことを後悔させてやれ‼︎」

 

おお‼︎と兵達からは雄叫びが上がり、黒野城を出立した。

これが転生者緋村長門の初陣である。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。