織田信奈の野望〜乱世に迷いし少年〜(再掲版)   作:ふわにゃんちゃん

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これって一応プロフィールにもその旨を記載してるし大丈夫なはず。二世も同じだったし同じ対応したから大丈夫だと思いたい。
垢BANとか規約違反だったら素直に受け止めます。


緋村家

 

 

 

長谷川長門は目を覚まして見た光景にかなり驚いていた。目を覚ました場所が病院や自宅、あるいはナイフを刺されたゲームセンターならいざ知らず、目を開けて最初に目にしたのが木造建築の天井だったのだ。しかも着物を着た女性の腕の中にすっぽりと収まっている。まるで別世界のような感覚に長門は陥っていたのだ。

そして自分の体のがきかなくなっていたのだ。ナイフに刺されたならばここまで体の自由が奪われることはないはずであるからだ。精々傷口が痛むだけのはずである。そして彼の体が思いの外小さくなっていること。そして彼は己の状態に気付いた時にはとてつもなく驚いていた。

 

(俺、赤ん坊になってるー⁉︎)

 

そう、彼は赤ん坊になっていたのだ。しかも前世の記憶を持ったまま。

彼はアニメやライトノベルなどの類いのものを見ていた為、転生をしてしまったと直ぐに理解していた。

 

(仕方ない、俺はここで生きていかなければいけ無いんだし……)

 

そう長い時間の葛藤の後、そう自己完結し、再び眠りについた。

 

 

長門が転生したのは戦国時代であった。そして、転生してから十年が経ちいろいろとわかってきたことがある。長門が産まれたのは美濃国、黒野に勢力を持つ、緋村家という史実では聞いたことのない大名家に生まれたのである。この世界では緋村家は黒野の豪族であり美濃の国主、土岐氏に対抗する勢力であったが、土岐氏の家臣である斎藤道三が下剋上をし、美濃を奪いとってからは彼とは同盟という形で彼の下に降ったのである。

そんな緋村家当主、緋村長隆の三男として長門は生まれたのである。

そして長門は今は兵法の勉強をするため、兵法書を読んでいた。そこにズカズカと大きな足音が近づいてきた。

 

「おお!千熊丸、ここにおったのか! どれ、久しぶりに兄が稽古を付けてやろう」

 

足音の正体は彼の兄で長男の隆成である。彼は背丈が180センチと大柄でその体格に相応しい武力を持ち、兵を指揮する能力も優秀であるが、知力にやや欠けるところがあるらしい。

 

「あ、兄上。今私は兵法の勉強をしようと……」

 

「なに、案ずるな。勉強などいつでも出来る。ほら、表へ出よ。稽古じゃ」

 

隆成に引きずられる形で長門改め千熊丸は庭に連れて行かれていった。

 

 

「えい! やぁ! たぁ!」

 

「脇が甘いぞ! もっと早く動け! その程度では戦で直ぐに首を取られてしまうぞ!」

 

隆成に半ば強引に稽古に引きずられ、たんぽ槍を使い、実戦形式で撃ち合っていた。しかし十歳の千熊丸の腕前では『鬼に金棒、隆成に槍』と異名を持つ隆成には相手にもならなかった。

 

「ふんっ! せいっ!」

 

「うわっ!」

 

隆成の突きが千熊丸の槍を弾き飛ばす。千熊丸は尻餅をついて肩で大きく息を吐いていた。

 

「よし、今日はここまでだ」

 

「は……はい……兄上…」

 

かれこれ二時間以上槍を振らされ続けた千熊丸はその場に寝転んだ。

 

「ほう、隆成よお主が稽古を付けておったとはな」

 

そこに緋村家当主であり、彼らの父である緋村長隆が顎鬚を撫でながら縁側に座っていた。

 

「はい、千熊丸は書物ばかりを読んでおります。武士たるもの武芸は日々鍛錬するもの、そこでこの隆成が稽古を付けたのです」

 

「ふふ、よいよい。千熊丸は兵法に興味があるようじゃな。こやつはお主や義隆よりも頭はよいのじゃろうな」

 

長隆はふ、ふ、ふ、と笑いっている。

 

「それよりも隆成、儂はお主に兵の訓練を頼んだはずだが?」

 

そう長隆が言うと隆成は思い出したと言わんばかりに顔を慌てさせ、長隆に一礼すると小走りで去っていった。

 

「では儂もいくかのぉ。千熊丸よ、隆成ではないが文武のどちらも偏ることなくしっかり励め」

 

「はい、父上!」

 

長隆は笑いながらその場を後にした。千熊丸も父の姿が見えなくなったときに兵法書の続きを読むために自室に戻った。

 

 





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