「さぁ、これからどうしようか」
「一応、学校を探索してみたらどうですか?」
俺は、彼女と会ってから行動を共にしている。
「それもそうだな。 じゃあ、三階から見るか」
「そうですね。でも三階は、一年生と三年生の教室……他は音楽室しかありませんよ?」
うちの学校は、生徒の人数が多いから、クラスの数が多く、特別教室のほとんどは一階にある。だから、ほぼ教室しかない所に、生存者はいないだろう。ただ、出来ればいることも考えなければいけない。なぜなら、仮にいた場合「あの時、本当はいたかもしれない」って、心に引っ掛かり続けるからだ。だから念のため、三階から教室を調べる必要があった。
「いや、念のためだ。生存者がいたのに助けなかったら寝覚めが悪い」
「そうですね。分かりました!」
そう言って二人は、歩き出した。
移動の最中達也が彼女に話しかけた。
「なぁ」
「はい?」
「お前って今までどうやって逃げてきたんだ?」
「えっと、あの放送が終わった時、クラスのみんなが一斉に教室に出ていったんです」
「お前のクラスもか」
「お前のクラスもかって言うことは、先輩のクラスも?」
「あぁ。酷かった」
「でも、私もその一人でした。ただ、逃げようとしてた時クラスのみんなから『お前は陸部なんだから後だ!』て言われて押されました。そのままバランスを崩して机の角に頭をぶつけて……少し当たりどころが悪かったのか、少しだけ気を失ってたみたいです」
「それは、可哀想だな」
達也は、励ましのつもりで言葉をかけた。
「それで気絶してたのは、多分五分ぐらいでした。目覚めた私は、追いかけるつもりで一階に降りました。ですが、周りは既に地獄絵図でした。クラスメイトを見つける事は出来たのですが……そこに駆け寄ってみたら、彼等は他のクラスメイトを『食べて』たんです。私は怖くて……一階に降りて、目に付いたトイレに駆け込みました。そして少し落ち着いてトイレから出たら、先輩がゾンビ……いえ私の、『クラスメイト』を殺してました。そこからは、先輩も知っての通りです」
達也はどうすべきか悩んでいた。自分の後輩のクラスメイトを――知らないとはいえ――後輩の目の前で殺してしまっていたことに、言い知れないもどかしさを覚えた。
「悪かった」
「いえ、あれは、仕方なかったんです。気にしないでください」
「あぁ……すまんな」
「だから、もう謝らないでください」
「あぁ、分かったよ」
会話をしつつ、歩いていれば、やがて三階の教室についた。
俺らは、一つ一つの教室を見たが、特に何もいなかった。
あったのは、死体だけだ。
それを見た俺は、覚悟を決めた。
この世界から『逃げる』ことを
前回の誤字脱字報告ありがとうございます。一応気にしながら書きましたが誤字脱字があったらご報告願います!