その1 手紙を書くことになったよ、オチは作るもの
日本に帰って来てから早ニ年ぐらい?の月日が経ちました。皆さん、お元気ですか? セレナが皆に手紙が書きたいとか面倒な事を抜かしたので筆を取りました。メールでいいやん、こんなん? つか普段からメールどころかボイチャつかSkypeしとるやん? なして手紙なん?って文句言ったらセレナの奴、奏と翼を味方にして手紙の良さがうんたらくんたらと言ってきやがったので筆を取りました(大事な事なので二回書きました)
んじゃまず、教授ことマムへ、肉ばっか食うな。せめて食感の近い豆腐ハンバーグとか食え、うるせぇ文句を言う前に野菜を食えババア。
ウェルへ、菓子ばっか食ってると糖尿病になるから止めろ、糖尿病は怖いぞ命に関わるからなって言っても無理だろうからこれを送ります、エナドリ一年分です。さっさと血管弾けて病院に行けボケ。
切歌へ、お前のデスデスが聴けなくて寂しいよ、お金を送るので調とガキどもを連れてドーナッツでも食べに行きなさい。決してウェルにはバレるな、バレそうになったらイガリマを使ってよし、俺が許す。
調へ……お前に偏食家どもの食事を任せてしまいガチで悪かったと思う。偏食家どもの対応としてマムは歳でボケ入ってるから豆腐を肉だと言ってごり押せ、ウェルは殴れ、あとは好きにやって大丈夫だろう。あと切歌にも送ったが金を送るので好きに使え他にバレたら殴れ、特にウェル。アイツは勝手に奪うから分からない所に隠せ、もし減っていたら付随したDVDを見てループ・ザ・ループでタコ殴りにしろ、俺が許す。
最後にマリアへ……この手紙を開ける際にシンフォギア装着したらマヌケと笑ってやろう、ぷーくすくすw やーい騙された、バーカw さて話しは変わるが最近、二課の連中(セレナも含む)の視線が痛いです。話しを聞いてみると俺が原因だと言うのだが納得がいきません。 何? 何やったか書け? コイツ、手紙だと言うのに催促しおるわw あれは二課の装者達とノイズの迎撃をしていた時の事だ
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「近隣住民とビルの中の人は退避完了! 一気に蹴散らしちまおうぜ翼、セレナ!」
「うん、奏!」
「分かった!……って、あれ、兄さんは?」
『爆破開始ー!!!』
ノイズの群れに立ち向かうように立つ三人の耳に聴こえてきたのは遠くから拡張器を使って声を上げる男の声。
同時にビルの至る所から響き渡る爆発音と天井が崩れ落ちてくる光景
「「「え? え?! えええぇぇ!!?」」」
三人同時のタイミングでの絶叫。
ズズンッ!!とビルが一つ丸ごと爆破解体され粉塵を朦々と巻き上げるのを遠くで見る男が一言
「この手に限る」(この手しか知らない)
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直後、脱出してきた三人にドロップキックを食らったんだ。三人とも目が血走ってて怖かったわぁw 何? そんなん誰でも怒る? いやいや、まだ一回だぜ? 一回なら誤射かもしれないだろ? その後も何度かノイズ迎撃に向かったんだが
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「爆破ー!」
「またかー!?」
「あとで絶対に斬る!!」
「兄さんのばかー!!」
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この手に限る。え? 何? ドヤ顔すんな? 何故、手紙でドヤ顔しなきゃきゃならん?(なぜバレたし?) 他にもモール街、工場と色々と爆破出来た、最高だったぜ! 何? 爆破ばっかしてるから白い目で見られるんだって? だって爆破ぐらいしか俺に範囲攻撃ないんだぜ? 効率を考えたら爆破しか選択肢ないだろ? 奏は槍を増やしてブンブン投げ出すしセレナは蛇腹剣でカッコいいし翼はデカイ剣で壁だし……俺もなんかカッコいい技が欲しいっす(´;ω;`) マリアみたいなマントとかマジウラヤマシスっと愚痴ばっかになったな。気が向いたらまた手紙書くよ、じゃな
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アメリカ FIS研究所
「みんなー リョウスケとセレナから手紙がきたよ」
「これ何デスか調? 手紙と…封筒?」
「手紙とは古風ですね。良き風習と言うやつですね」
「こ、これはエナドリではないですか!? 流石は我が友リョウスケ! 真の天才には何が必要か理解している!」
「ドクターうるさい。はいマリア、手紙」
「ありがとう調。私、部屋に戻るわね」
調から手紙を受け取りスタスタと早足で自室に戻っていくマリア
「マリア、何だか嬉しそうだった?」
「ふふ、日本の古き良き風習と言うやつですよ」
その背を見て首を傾げる調にナスターシャが笑みを浮かべていた
「ふふ、セレナったら……友達と楽しく暮らせているみたいね。少し心配だったけど日本に行かせて良かったわ」
自室に戻ってセレナからの手紙を読み終えたマリアは柔らかく笑った。
本当に良かった。セレナが楽しく暮らせているみたいで…姉としては少し寂しいけど、そこは姉として我慢しないとね
「さて……こっちは亮介ね…既に読むのが怖いのだけれど…」
セレナがカラフルな色をした可愛らしい手紙だったのとは裏腹に亮介のは普通の白の封筒だが何故か黒いオーラを放っているように見える。
危険物じゃないわよね? なんで封をするシールが核兵器とかのマークなのかしら?…………放射能汚染されてるの? 一応、シンフォギアを装着しとこうかしら…
安全の為にシンフォギアを装着して手紙の封を切り読み進めていくと見る見る間に顔が怒りで真っ赤になっていく
「ふん!!」
シンフォギアを装着してることを忘れて力任せに手紙を壁に叩き付けると壁に拳大の穴が空いたがそんなことは知らないとばかりに地団駄を踏むマリア
「いきなり人のことバカにしてなんなのよ亮介のバカ! 先を書けって思ったわよ悪かったわね!? そりゃ周り気にしないで爆破してたら怒るわよ! ってか日本に戻ってもやること変わらないじゃないのよ!ドロップキックもされるわよ、私もしたもの! 何がこの手に限るよ? その手しか知らないでしょ!? ドヤ顔してんるじゃないわよ! しかも他にも爆破してる? 白い目で見られて当たり前でしょうが!? 範囲攻撃が無い? 貴方、セレナとコンビネーションできるでしょうが! それ使いなさいよ! 効率厨乙!…………はぁはぁ……つ、疲れたわ…まさか手紙を読むだけでここまで疲弊させられるなんて…ああ、どうしよう、部屋ボコボコになっちゃった…後でマムに謝らないと…はぁ、手紙もくしゃくしゃにしちゃっ…た……」
くしゃくしゃになった手紙を拾い上げて気付く。
亮介の手紙はくしゃくしゃになると有る文字が読めるようになっていた。
そこに書いていたのは
(。・ ω<)ゞてへぺろ♡
マリアの部屋が怒りによって吹き飛んだ
「よし、やってやったぜ」
「……何をしたの兄さんは?」
「今、マリアの部屋が吹き飛んだ。勘だがね」
「……姉さん、頑張って」
漫画を読みながら悪ぶれなく言う亮介にセレナは姉の心労を考えホロリと涙を流した
その2 セレナと翼のダイエット大作戦
それはある日のこと今では二課の三人娘と呼ばれるようになった奏、セレナ、翼の姿があった
「もっくもく、もっくもっく」
「もくもく、もくもく」
「………」
「もっくもく、もっくもく」
「もくもく、もくもく」
「………」
良い笑顔で料理を食べ続けるセレナと翼の二人を前に同じテーブルの奏は無言でその暴食を見ていた。
いくら何でも食べすぎじゃないかこの二人……セレナもそうだけど翼も最近…『アレだし』…言った方がいいよな、けど凄く幸せそうに食べててアタシには言えない…アタシだって女の子だし美味しいモノを食べるのは幸せだし……あ、亮介がこっち見てる…あ、近付いてきた…
「おい、セレナ、翼、お前ら太ったぞ」
「「がはあ!!」」
い、言ったああ!! 同性のアタシですら言えなかったことを平然と言い切ったあぁ!!
「ちちち、違うもん、太ってないもん、ふくよかなんだもん」
「そそそ、その通りだ、私たちは日々の戦いで消費したカロリーをだな」
パシャと亮介が二人の写真を撮りテーブルの上にスマホを置いた
「ビフォー アフター」
二人がスマホの画面を凝視する中、スッスッと操作して二人に現実を突きつける亮介
「セレナは自業自得としても翼は人前に出る歌姫なんだから食事制限はしないとアカンだろ」
うーん、二人が助けを求めてこっちを見てるけどアタシもそう思っていたので亮介に同意するべく頷いて見せたら二人はテーブルに突っ伏してぐすぐすと泣き始めてしまった
「ぐすぐす、料理が、料理が、美味しいのがいけないんだもん…」
「ぐすぐす、私は、私は、防人であるのに、己を律することも、出来ないのか…」
うん、セレナは自業自得だな。翼はなんかちょっと違う気がするけど我慢できてないのは確かなんだよなぁ。
それにしても最近、翼が変な言葉遣いになったのは何でだろ? 亮介は防人語とか言って大爆笑してたけど…大人びたい年頃ってやつかなぁ、アタシにもあったし何も言えないけど
「ダイエットするか?」
「「お願いします」」
亮介の提案に二人が頭を下げてダイエット大作戦は開始された
「ねえ、兄さん? お願いしたのはワタシたちだけど毎日、朝早くに散歩するのはダイエットになるのかな?」
「私はみんなで歩くのは楽しいけど…セレナの言うことは確かだな」
「…なんでアタシもこんな早朝から。アタシ、関係ないのに」
「「奏も一緒じゃないとヤダ」」
ついに始まったダイエット作戦の一つ目、朝のトレーニングの前に一時間程ダラダラと外を歩くと言うのが亮介の提案だった。
なんでも二人が太った原因は暴食だけど食うのをただ制限すればどうせリバウンドするだろうから今の食事量でも体重が増えない生活習慣を叩き込むとのことだった。
もちろん、しばらくは体重を減らす為に食事量は減らすらしいが、ピークの食事カロリーを毎日消費すれば太ることはないだろうとのこと。
それってつまり運動しろってことだよな? まぁ、アタシも運動は嫌いじゃないし二人にこう言われたら付き合うのも悪い気はしないけどさ
「お前らは装者だから普通の奴より食うのは当たり前だなんだよ、ノイズと戦うから動きまくるしな。むしろ成長のことを考えれば足りないぐらいなんだ。ならば何故、太るのか? 簡単だ、食い方のバランスが極端なんだよ」
確かにノイズとの戦いをした後は極端に疲れてその分、食事してる。エネルギー補給もあるんだろうけど二人はそれが毎日になってしまっている。
つまりアタシや亮介はノイズとの戦闘後は足りなくなったエネルギーを食事で摂るけど二人はノイズ戦闘が無くても過剰なエネルギーを食事で摂るから太るとのことだ。
だから過剰なエネルギーを毎日消費すれば太ることは無くなるだろうとは亮介の言だ。
やっぱり運動しろってことだよな?
「さあ、両手を身体いっぱいに広げて深呼吸ー!」
「「すうー はあー!」」
「次は朝のボイストレーニング!! カロリーは敵だー!!」
「「カロリーは敵だー!!」
遊ばれてるだけの気もするけど二人は真面目にやってるし、いっか
「ダイエットなんか軽いもんだー!!!」
「おっ、奏も気合が入ってんな。二人も負けないように腹から声だせ!」
「「ダイエットなんか軽いもんだー!!」」
こんな毎日も楽しいしな。
後日、二人の体重は適正体重まで減ったことにより亮介はダイエットマスターと二人から呼ばれるようになった。
それから二人は夜九時以降は食事を摂ることはやめた。
だがそれを見た亮介が腹を空かせた二人の前でこれ見よがしに油物を食べて吹き飛ばされるのを見ながらアタシは腹を抱えて笑う日々が続いていたりする
その3 セレンダム 二課に立つ!
「お前ら! これを見ろ!」
デンと亮介さんがテーブルになにやら訳の分からないモノを力強く置いてそう言った。
割と大きいけど何だろうこれ?
「なんだこれ? ダンボー?」
「ちょ、奏、それはマズイよ。メタ的な意味で」
奏とセレナがテーブルの上に置かれたモノに向けて何故か気まずそうに話している。
それは一見、四角かった。頭は四角で身体も四角。全てのパーツが四角いロボット?みたいなモノがそこには鎮座していた。
ダンボーなるモノが何か知らないけれど色とかはセレナを模して作られたのかそれっぽい
「いいか良く聞け、これは俺が二課の技術を無断で使っゴホン、ゴホン! 借りて作った対ノイズ用人型決戦兵器、その名もセレンダムだ!」
「今、無断って」
「どっから見ても色違いのダンボーなんだけど」
「可愛い」
「「「え?」」」
「え?」
なんで三人とも私を見ているんだろう? 作った亮介さんまで驚いてるのはなんで?
「ま、まぁ、可愛いと思ってくれるのは製作者としては気分がいい(自分で作っといてなんだが可愛いか?)」
「で、兄さんはなんでこれを作ろうとしたの? しかもワタシをモチーフにして」
「暇だったから。セレナをモチーフにしたのは単純に思い付いたから」
「本当に何の理由も無いことに怒るべきなのかな?」
「さ、さあ?」
三人が話しているのを横目に私はセレンダムを突いたりして遊んでいるとセレンダムが瞳をキュピーンと光らせて歩き出した
「「「おお! 動いた!」」」
「ふふふっ、驚いたか! セレンダムは自立型学習AIを搭載していて自立歩行も出来るのだ! 更には足裏にあるキャタピラで走り最高速度は80キロ! 両手にはガトリング内蔵で毎分1200発の弾丸を撃ち出し、そのツインアイは各種センサーを見抜き解除まで出来る優れ物なのだ!」
「な、なんて無駄にハイテクな物を…」
「けどこれ対ノイズ戦用って言ってたから…まさか戦えるのか?」
「もちろん、セレンダムに使われている素材には三人のシンフォギアの欠片を集めて使用してるから普通に戦える。マスコットロボなんぞ誰が作るか」
「今、サラッとトンデモないこと聞いた気がするけどワタシは何も聞かなかったよ」
「了子さんとかが怒りで発狂しそうだな」
「さっき見せてきたら頭抱えてブツブツ言ってたわ、ザマァw」
「それで結局、この子?をどうするの?」
「うむ、作ったはいいが実戦テストしてねぇし、テストして壊れたら嫌だから三人の誰かがコイツのマスター登録して大事に扱ってくれ。家事も出来るぞ」
物凄い本末転倒な事を言い出した、何の為に作ったのか意味が分からなくなる
「そ、それなら私が貰ってもいいかな? この子、可愛いし」
「お、翼が御所望か。他の二人は? いらんか、そうか。なら翼がマスターって事で登録しちまおう」
そう言って亮介さんがスマホを操作するとセレンダムが私に向き直るとお辞儀した。
か、可愛い
「これからよろしくねセレンダム」
そうセレンダムに言うと嬉しいのか四角い身体を使ってダンスを始めた
「踊りよった…自己学習が速すぎる…だと…?」
「何で作った本人が驚くの?」
「ま、まあ翼が嬉しそうだからいいのかな?」
それからと言うものセレンダムは私の家族となった。
セレンダムはとても優秀で家事炊事はもちろん、ツヴァイウィングの仕事までサポートしてくれて緒川さんも大変驚いていた。
極め付けは何と言ってもこれだろう
「……俺の目がオカシイのか? セレンダムが壁をローラダッシュで走ってしかもトリプルアクセル決めてノイズにガトリングブチ込んでるように見えるんだが?」
「……普通にノイズ倒してる」
「……アタシらいるかな、これ」
「凄いぞセレンダム!」
何とセレンダムはノイズと本当に戦えたのだ! 戦場を縦横無尽に走り回りノイズをサーチアンドデストロイ! 凄いぞ! 強いぞ! 私のセレンダム!
その後、二課でセレンダム量産の話しが上がったが構造がデタラメすぎて不可能らしい
「どうしてプラスチックのボディであそこまで動けるのかしら? いくらシンフォギアの欠片を使っていても意味が分からないわ」
原因を探った櫻井女史も匙を投げる程にセレンダムは謎だそうだ。
作った亮介さん本人も
「いや、あそこまで優秀なロボになるとは…思い付きでやっただけなんだけど…いや、確かにノリと勢いで色々と詰め込みましたよ? だからってねぇ…量産化? 出来るわけねぇだろ。作った本人が一番ワケわかんねぇのに…」
こうして謎の結果を出しながらもセレンダムは二課の特殊戦闘員として重宝されるようになった
「セレンダムー ツーリングにでも行こうか」
「セレンダム!」
「「「喋った!?」」」
セレンダム、それは奇跡が生み出した大いなる謎として二課に立つ