小説ネタ集   作:うみ

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 魔界には、ただひとつだけ、太陽の射し込む土地がある。そこには水があり、植物があり、清浄な空気がある。そこに住み着き、アヴァロンという里を置いているのは、地上を追われた亜人と呼ばれる者たちだった。
 幾多の魔王がその土地を狙っていた。魔界においてその名の轟く、ドラゴンたちの頂点に立つ者りゅうおうもまた、例外ではなかった。
 しかし、その全てが成し得なかった。
 妖精王アルベロン、そう呼ばれる男が原因で――



捨てられし者

 そもそも魔界はなぜ誕生したのか、という問いに対しては、いくつかの説がある。

最も有力な説は、一般的な伝承からなるものだ。

かつて神々は太陽を作り、大地を地上と地下に分けた。人間はその脆弱さゆえ地上に留められ、魔族と竜はその強大さから地下へと押し込められた。

 神々が、いま生きている我々のあずかり知らぬ世代において区画整理を行ったのだとすれば、矛盾はなくなる。

 しかし、いまもなお生き残る、君にとっては目の上のたんこぶと呼んでも差し支えないだろう、あの種族の存在がこの説の孕む矛盾を我々につきつけている。

 

 エルフとは、一体なんだ?

 

 我が親友にして、私が唯一尊敬する烈将よ。なにも考えることなく、君と酒を酌み交わした日々が懐かしい。

手の届かぬ真理からくる煩悶に囚われる私は、未だこの疑問に対する答えを見つけられそうになく、しばらくガップリンワインは喉を通らないだろうから。

 

 ――バーン領の筆頭書記官にして、ダークホビットの中で最も偉大な賢者の一人ドリア・サンドから、高潔と武勇を持って鳴るデュラン将軍への手紙より『魔界、地上、神々、区画整理に対する考察と近況報告』――

 

 

 

 

 

 赤く激しい光に照らされた幾多の影は、見るからに苦々しげな表情を見せているように見えた。といっても、それらの影は表情など変えられないのだが。

 影の正体は、種々雑多なドラゴンである。レベルも大きさも様々だが、少なくとも普通の人間の手に負える相手ではない。それが五十ほどの大群でもって来襲していた。人間の国のひとつやふたつなら容易に滅ぼせるだろう数だ。

 ただし、この大群は本来ならば六十を超えていた。

 つまりは呪文の一撃、たった一度の炎系呪文で十体ものドラゴンが屠られたのである。

 その驚異を目の当たりにしたばかりのドラゴンたちは、確実に二の足を踏んでいた。

 その前にはドラゴンの群れに相対する、細身の男。

 色としての白ではなく、何物かに染まる前の状態としての白、そんな印象を与える純白の肌。それと相まって、目も、鼻も、耳も、口も、額から顎先までがまったくの自然としか形容しようがない顔。水晶を削り出したとか、磨かれたダイヤとか、オリハルコンとか、そんな華美な表現はおよそ相応しくない。ただ、風に揺れ雨に打たれ日を浴びる一枚の葉のように、あるがままで完成し、世界と調和している、なんの不自然さも周囲にもたらしはしない面貌だった。

 首から下には、要所をミスリル銀で補強した白いローブを身にまとい、背中には弓と箙。身に纏う全ての装備に、薄緑の穏やかな光が宿っている。強大な魔力を秘めた品だと一目で分かりはするものの、決して威圧感を与えるものではない。

 

「オベロン! 今日こそその血肉を食ってやろう!」

「アルベロンだよ。オベロンじゃあ王配になってしまう。アルと呼んだらぶち殺すけど……しかしお前たち、りゅうおうの手の者だな。また来たのか。懲りないやつらだ」

 

 後列にいるドラゴンの一体が吠えた。人語を解するところからも、高度な知能を持つタイプであることが伺える。

 しかし、アルはそんなことなど委細構わず、同じ作業を繰り返す。

 その手を滑らかに持ち上げ、羽毛がしなるように指先を向けた。

 向けられた先には、ドラゴン。

 

「地の砂に眠りし火の目覚め、緑なめる赤き舌となれ」

「貴様……穢らわしい、成りそこない風情めがァッ!!」

 

 先頭は五本頭のドラゴン、ヒドラだ。体内に溜め込んだ毒のブレスを口の端から垂れ零しながら猛進している。アルの攻撃はその到達を待つまでもなく、一瞬で完成する。

ドラゴンたちもそれを承知で突貫しているのだと、アルは気付いた。

 

(ドラゴンの耐久力でもって最短距離を踏破する、か。それなら、生贄の先鋒が頭の弱いヒドラやドラゴンであることも頷ける――まあ、甘いけど)

 

大気に語りかけ、マナを集束し、指向性を与える。

 詠唱は世界への影響力をより大きなものとし、ほんの少しの言霊がそれを現出する。

 指を構え。

 

「ファイラ」

 

 パチリと鳴らす。

 爆炎が熱と風でもって、全ての影を打ち据えた。

 爆風は満遍なく例外なく、範囲内の敵を打ちのめした。

 普通のドラゴンの鱗は全体的に炎耐性を持っている。しかしこの炎は、熱に対して強い耐性を持つはずの鱗を焼き尽くし、内に仕舞われていた皮と肉を容赦なく炙る。これには堪らず、世における最強種といってもよいはずのドラゴンたちが、阿鼻と叫喚の混声合唱を奏でた。

 視界を遮っていた炎が消える。ヒドラは鱗の内側まで焼かれて黒く焦げ、煙を上げながら絶命していた。

それを見たアルが息つく間もなく、上空に回り込んでいたドラゴンライダーが急降下する。同時に、二体のバトルレックスが死体を踏みつけてアルへと駆ける。

 鳥頭ならぬ竜頭で考えた作戦らしいと気づき、やれやれと頭を振るアルの前に、小さな影が走り込んだ。

 

「カザド」

「任せろ」

 

 言葉もそこそこに、アルはドラゴンライダーへ視線と指を向け、唱える。

 

「サンダラ」

 

 天から降り注ぐ稲妻が、二体にして一対の魔物を貫いた。雷光に打ち抜かれ、電気にまとわりつかれたドラゴンライダーは、炭化して煙を上げながら落ちた。

 僅かにできた隙をつくはずのバトルレックスは、小さな影――カザドによって地に伏していた。

 三頭身か四頭身しかない身長、ずんぐりむっくりという表現が鎧を着て歩いているかのような外見、胸元まで伸びるもじゃもじゃの髭、花崗岩のような風格。おまけに手にする武器は自分の顔ほども面積がある血まみれの槌となれば、威圧感は相当なものである。鎧は腕と膝下を露出させており、いっそ軽装といっても差し支えのないものだったが、アルは知っている。それは相対した者にとってなんの気休めにもならないことだと。たとえカザドが棒立ちになって脱力していたとしても、露わになっている筋肉の塊に刃の通る気がしない。

 が近接戦闘に関して最も信頼し信用する戦士がそこにいた。

 カザドはバトルレックスの血が滴る槌を片手で空に突き上げ、大きく叫ぶ。

 

「ドウォーフたちよ! いまこそワイミルの金床を照らせ! 火花を上げて血で染めよ! ドヴェルグルの槌は我らが手にあり!」

 

 叫びに応じて、数十の小人が現れる。

 両手斧、槌、槍、剣、あるいは無手など装備はそれぞれだが、鍛え抜かれた体と低い身長、そして豊かな髭を持つ男である点は共通している。

 彼らは各々の武器を、拳を、カザドにならって掲げた。

 

『血と名と命と祖霊にかけて!』

 

 一致した掛け声の後、ドウォーフの軍は天まで轟く雄叫びを上げてドラゴンの群れへと走り出した。その先頭は、カザド以外の何者にも許されていない場所である。

 いま、まさにこの瞬間カザドの振りかぶった槌が――槌を持ち上げて膨れ上がった上腕、大地を踏みしめるあまり血管と筋が浮き上がっている下腿、そしてなにより殺意と敵意と戦意と、闘気を宿して血走る眼が――彼の目前で大口を開けたノーマルドラゴンに、明確にして不可避の死を示す。

 

「グォォルゥィイイアアアアアアアアアアッッッ!!」

 

 刹那の後、ドラゴン顔負けの猿叫と、なにかが風を切って振り下ろされる音が、ノーマルドラゴンの鼓膜を叩いた。

 恐慌に駆られて身を翻そうとした竜は、その頭を十五度ほど回したところで文字通りの鉄槌に打ち砕かれた。

 

「族長!」

 

 戦士の叫びが響くのと、カザドが動くのと、はたしてどちらが早かったのか、アルには判別できなかった。

 ただ、カザドの腕全体の筋肉が膨れ上がったかと思うと、その槌は恐るべき速度で引き戻され、ノーマルドラゴンの死体を飛び越えた真っ赤なリザードマン、りゅうせんしに叩きつけられたことだけは理解できた。

咄嗟に構えられた盾は割れて飛び散り、腕は棒切れのようにへし折れ、かくして槌はなんの抵抗もなかったかのようにりゅうせんしの脇腹を直撃した。肋骨が折れる程度で済めば御の字、それほどの一撃である。しかもカザドはそのまま振り抜いて、星になれとばかりに吹き飛ばす。

 宙を舞ったりゅうせんしは約一秒の間滞空し、樹木に衝突して地面に崩れ落ちた。それだけならばまだ息があったのかもしれないが、カザドに続いて殺到するドウォーフの戦士たちに飲み込まれて見えなくなった。戦場の喧騒は、断末魔の叫びであれども許容しない。誰もが知っている残酷な事柄のひとつである。

 その恐るべき戦いぶりを見るアルは、戦友の勇姿に少しだけ冷たい汗を流していた。

 飛び散った脳漿と血に塗れながらも意に介さず、襲い来る爪牙を叩いて潰し、肌を舐めるブレスを物ともせず、地面に転がった目玉を踏み潰して躊躇なく道を切り開くその様は、まさしく――

 

「バーサーカーよりバーサーカーらしいな」

 

 思わず苦笑を漏らしたアルは、両手を天に掲げる。

 マナをアルか上空の点、ドウォーフの軍勢と自分の間に集める。

 その領域に四体のスカイドラゴンが侵入し、ドウォーフたちに一方的な火炎攻撃を仕掛けようとしているのは一目瞭然だった。

 無論、アルがそれを黙って見過ごすわけもない。

 

「まっくらくらく、くーらくら。……ブライン」

 

 本来ならば単体にしか発動できない呪文を、詠唱で無理やり範囲魔法へ格上げする。

 視力を奪われて狼狽するスカイドラゴンは、パニックに陥ったのか空中を飛び回っては互いに衝突し、炎を吐いて傷つけあうという醜態を晒していた。

 しばらくすれば落ち着くことは間違いないが、その頃には戦闘が終わっていることも確実である。

 しかし、スカイドラゴンが無効化された時点で敵軍の搦手は尽きたらしく、地面で血なまぐさい戦争が続いているだけである。こうなれば始末してしまったほうがいい。

 

「天空を満たす光、一条に集いて神の裁きとなれ。 サンダガ」

 

 先よりもはるかに巨大な稲光が天より降り注ぎ、スカイドラゴンのいた空間を突き抜ける。

焼け焦げて墜落した四体のスカイドラゴンは敵軍の戦意を大きく削いだらしく、戦況は大きくドウォーフに傾いた。残った仕事は傷ついたドウォーフを治療するくらいであるが、軽傷者しかいない現時点ではそれも必要ない。

少なくとも、慣れたとはいえ未だに恥ずかしい呪文に対して赤面するだけの時間はあった。

 

(秋に入って、これで四度目の敵襲か)

 

 誤魔化しも込めて思考を移し、その時もう顔に赤みはない。

 里の長にして唯一の魔法使いのアルは、多大なる責任を負っている。ひとつの判断ミスが里の全てを滅ぼすこともある。

 アルは、りゅうおうについてよく知っている。知りすぎているといってもいい。彼の恐るべき魔王のことは、ドットで表されたステータス表記で知悉していた。諜報によって保有している情報をそれに加えると、いまの自分たちの勢力でりゅうおう勢力に真っ向勝負を挑んでも、それがたとえ単体であろうが軍勢であろうが、勝ち目がないことはわかりきっていた。

 意識を戻した眼前では、敵が潰走していた。ドウォーフたちは無理な追跡よりも勝鬨を優先したらしく、凱歌の雄叫びがやかましいほどに響き渡る。

 

「見たかトカゲども!」

「その鱗剥ぎ取って丸揚げにして食ってやる!」

「今度は首周りを綺麗にしてから来んか!」

 

 アルは、そこから先の聞くに堪えない罵詈雑言と下品な挑発の数々を、あえて頭から遮断することにした。

 そうして好き勝手に叫んでいたドウォーフたちの中心でカザドが槌を掲げると、面白いほど素早く静けさが戻る。

 勝ち戦の後の族長がなにを言うのか、誰もが固唾を呑んで見守るなか――

 

「――……ィィゥォォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!」

 

 カザドはその喉を存分に震わせ、力の限り叫んだ。

それも尋常なものではない。火山が噴火したときのそれにそっくりな音を腹の底から出し、死人も飛び上がるような大声だ。アルからすれば、もはや人の形をしていることが信じられない。

 

『ウォオオオオオオオオッッ!!』

 

 叫び声を聞いたドウォーフたちはというと、驚いて固まっていたのは一瞬で、我も我もと叫びだす。それも不愉快極まりないとしか言い様のない野太い声で、地平線の向こうまで届くほどの大きさである。アルは耳を風の膜で保護しつつ、身体そのものに伝わる振動に辟易した。

 やがて叫びが終わり、ドウォーフたちが互いに肩を叩いて健闘を称え合いながら倒れたドラゴンたちに近寄り始めた。

 腰に付けている大振りのナイフや武器の斧を使い、カザドの指揮の下、その死骸を解体するためである。強大な敵襲も、跳ね返した後は資源回収の場となる。

 

「……勝ったか」

 

それを見て呟いたアルだが、声に喜びはなく、むしろ沈鬱な雰囲気すらある。

比較的高レベルのりゅうせんしやヒドラも混じっていた割に、こちら側にはほとんど被害が出なかったのだから、明らかに喜ぶべきことだ。アルの囮とカザドの連携が完璧でなければ、死傷者が出ることは免れなかっただろう。

しかし、これが局地的な勝利でしかないこともまた明白だ。アルは頭を抱えたくなった。

 そんなことは露知らず、血まみれのカザドが仲間と共にドラゴン種の死体を引きずり戻ってくる。

 二体のノーマルドラゴンをひとりで引きずるカザドは、返り血の量も含めて、ドウォーフの中でも目立っていた。アルの悩みの残滓を見てとったのか、からからと笑う。

 

「おう、どうした。戦いの最中に考え事か? 良く言っても暗君ってとこだぁな」

「ぼくの意見はやや異なるね。思慮を失った上司は控えめに言って害悪だよ。たとえば指揮官のくせに誰よりも前を走るドウォーフとか」

「知ってるか、口男。“はぐれメタルは噂に遅れる、悪口はレティスですら背中を見ず”と言うんだぞ」

「たったいま、“皮肉屋はコドラに劣る”実例を見せていただきました」

 

 軽口にどこか救われた気分になりながら、アルは背を向けて歩き出した。

 今度の眼前にあるのは、愛しい故郷の光り輝く姿だ。

 

(せめて軍があれば……強大でなくともいい、りゅうおうの軍勢と向き合ってくれる数が揃いさえすれば……そしてぼくが万全の状態で向き合えたならば……万が一もあるのだけど)

 

 無いものねだりと自覚しながらも、そんな思考が頭の片隅をよぎるのは止まらなかった。

 そんな全てを包むかのように、里はある。

 自分が守ったものを改めて確認し、アルは堂々巡りの悩みを今度こそ完全に忘れることができた。

 

「さあ、里へ帰ろう。アヴァロンへ帰ろう!」

 

 アヴァロン。

 魔界において、唯一つ太陽の光の注がれる土地。

 一筋の光明差す地は、未だ健在である。

 

 

 

 

 

以下、設定

 

・歴史について

 この世界におけるエルフやらドウォーフやらホビットやら以下略は、神様が魔界と地上に生き物を分けたあと、人間の迫害と侵攻によって地上を追われ、なんとか血路を開いて魔界に逃げ込んだやつらの末裔。一緒に暮らしてるのは、人間との戦争で劣勢になったとき組んだ亜人同盟の名残。あと、地上から魔界に行ける入口は数と場所が限られていたので、どの種もその数を著しく減らしてしまっていて、各種族バラバラじゃあ生きていけなかったという切実な理由もある。

 神様が区画整理→共存時代→人間が侵攻開始→各種族がバラバラに戦う→劣勢になったのでエルフ、ドウォーフ、ホビットで同盟→聞きつけた亜人が各地から集合→亜人そのものが減りすぎていた、時すでに遅し→魔界に逃げ込む

ってな感じの流れ。魔界に逃げ込んだのには根拠とか理由もあるけど長すぎるので割愛。

 

 

・アヴァロンについて

 

 外観は、結界魔法で白く光り輝く壁に覆われた円形の都市。円周は六キロメートルくらい。結界は、とある装置とエルフの魔術、ホビットの触媒を使って作動させており、硬さとしては死の大地の城門レベル。空中からなら素通りだが、エルフの魔法とホビットの兵器によるルナティック並みの対空砲火で木っ端微塵にされる。壁のせいで中の様子はわからないが、上に空いた大穴から射し込む太陽の光が壁の内側に降り注いでいるのははっきりわかる。

周囲は森に覆われており、幻覚作用のある花粉が蔓延している。森に手を加えて幻覚作用を付加したのはアルベロン。ある程度以上のレベルならレジストできる程度のもので、りゅうおうの軍がケロッとしていたのはそのせい。(ぶっちゃけ、花粉の部分は話を書き終わってから思いついた)

 

 りゅうおうも本腰入れて攻めたいのだが、大魔王を名乗るとある新興勢力のトップが自分に比肩するほど強いらしいので、片手間程度にしか軍をよこさない。アヴァロンの絶対的な弱点のひとつに「物量で押され続けたら負け確定」というのがあるので、バー……もとい某自称大魔王には頭が上がらない。ちなみに、アルベロン他のアヴァロン民は新興勢力のことなんぞ全く知らない。それどころか魔界の勢力図も知らない。外部探索や情報収集をしている暇はないし、外に攻め込むなんて余裕はないから、なにがあろうと専守防衛。

 

ずっと閉じこもっていて内乱起きたりしないの? とか思う人いるだろうけど心配ご無用。この状態でエルフと喧嘩しようもんならあっという間に周囲に攻め滅ぼされることは確定的に明らかであり、里の全住人がそれを熟知している。てかわからんほうが馬鹿。

 人口調節は完全管理されており、いまはホビット限定で一人っ子政策。もし次男が生まれたら、成人してから子供を作れないよう魔法的処理を施される。

 

 

・アヴァロンの民について

 

 アヴァロンには結構色んな部族が暮らしている。羅列していくとエルフ、ドウォーフ、ホビットの三種族が数的には最大勢力。あとはフェアリーとかワーウルフとか……D&Dを想像してもらえればわかりやすいかも。オークとかトロールとかゴブリンとかはいない。本能に忠実すぎて、里を作るときの争いで全滅したって設定。

 基本的に完全な配給制&中央集権で、アルとカザドと、出てこなかったけどホビットの長の三人からなる族長会議が全てを決定する。はずなのだが、カザドは戦闘狂の脳筋で、ホビットは一流の職人だが流通やら商売やらは全くわからない。ので、アルが配給システムを考案し、腹心のエルフやホビット職人組合の幹部と運営している。配給制はタバコなどの贅沢品から食料などの生活必需品までの全てが当てはまるため、ぶっちゃけアルベロンが一週間休んだらアヴァロンは崩壊必至。アメリカがくしゃみをすれば~どころの話ではない。

 

 

・エルフについて

 

 先ほど言ったとおり、アヴァロンを統治しているのはエルフの長であるアルベロンと、腹心の四人。このお話においてはフェアリーとエルフが神に任ぜられし世界の吟遊詩人と記録係って感じの位置づけなので、密接な関係である。だから妖精王アルベロンとか呼ばれていたりする。里の小難しい話は全部アルベロンがやっている。ちなみにアルベロンは転生者で、FFタクティクスの呪文使っているのはそれが理由。なんかマナの変換効率とか世界への干渉力とか精霊との関係とかややこしい設定があるけど多分日の目を浴びることはない。ドラクエ世界の魔法とは微妙に違うので、マホカンタで防げたり防げなかったりという地味に重要な隠し設定があるけど多分バーン様と闘うときまで使わない。現段階では勇者の味方をするかどうかも未確定なので戦うかどうかすら不明。(一応、バーンの配下ルートと第三勢力ルートと、前者二つからダイの味方になるルートが存在する)

 種族特性は、魔法が特殊、全体的に身体能力が高い、自然と交信できる、種の記憶を持っている、の四点。

 エルフは身体能力が高い。というより身のこなしが素早く、バランス感覚などに優れている。腕力や瞬発力が人間離れしているというわけではない。ただ、視力と聴力はかなり高く、そして邪気や殺気、悪意や敵意などを本能的に感じ取ることができる。感知距離は個人でまちまち。

自然と会話ができるため、森の中や水辺などは自分の庭も同然。動植物のみならず、精霊がいれば精霊とも会話可能。ただし、これは年を経たエルフか特殊な生まれ方をしたエルフでなければ不可能。ちなみにアルベロンは後者である。基本的に、会話する相手の知能が低いほど経験が必要となる。空気中の微生物と交信できるレベルに達せば、交信可能な距離にもよるが、エルフの中でも一、二を争う熟練といえる。アルはアヴァロン全域が交信範囲内であり、どっかのホビットが隠し子作ったやら、誰かが犯罪者になったやらが瞬時に把握できる。アヴァロンの治安を守るのは君だ!

 魔法と種の記憶について言うとネタバレ(現時点でも結構やばい)してしまうので終了。

 ちなみに、種族全体が現在は無神論者。深い理由があるのだがこれも黙秘。

 

 

・ドウォーフについて

 

 アヴァロンの軍権を握っているのはドウォーフ。というか戦闘できてある程度の数がいる種族がドウォーフしかいない上に、ワーウルフとかと比べても軍隊の構成要素としてはぶっちぎりに優秀なので仕方ない。今回の戦いで出てきたのは迎撃専用の少数精鋭である。ドラゴン相手に新兵入れた軍とか確実に死人が出るので、りゅうおうの軍勢と戦う時は精鋭だけ。ちなみに、ワーウルフは奇襲と遊撃を務める特殊な舞台としてひとまとまりにされてたり。

 種族特性は、魔法防御力が非常に高い、闘気の操作が非常に上手い、腕力がぶっちぎりで強い、土と魂の親和性が非常に高い、の四点。

 異常に背が低く、最大でもホビットと同じくらい。低身長に生まれてしまうと、人間の膝より少し高いくらいになってしまうため、近接戦闘力の高さを生かしにくい可哀想な種族。と思いきや、それを補ってあまりある闘気の心得が生まれながらにある。魔法防御力の高さもあいまって、闘気による身体強化やら硬化やらを施せば、高速移動する超ミニマム重戦車と化す。カザドのレベルになれば、初期ヒュンケルのブラッディースクライド直撃でも貫けない。ただし空が飛べず、遠距離攻撃の手段を持たないため、弓やボウガンを持たない状態で空から攻撃されるとなぶり殺しである。尤も、空を飛んでいる者がドウォーフの剛力でぶん投げられた斧やらなんやらを回避できれば、だが。

 自他共に認める、魔界で最も優れた金属使いである。より正確に言えば魂の波長とでも言うべきものが土に似通っており、洞窟を掘ったり鉱床を探したり、金属を加工したりする方面では並ぶものがない。あとだいたい髭もじゃ。生後二年で髭が生え始める。髭と金属加工の腕前の二つが男らしさの象徴とされているため、若かろうがなんだろうが髭を伸ばし、金属加工の術を磨く慣習がある。

 掛け声にあったドヴェルグルはドウォーフの種族名の由来でもある、ドウォーフ族草創期の英雄。扱いとしては神様と遜色ない。ワイミルはその相方で、史上最高の鍛冶師にして炭鉱夫であり、初めて土の精霊と交信し、友情を持った存在と言われている。他の種族とドウォーフが接触する前の時代のことであるため、真偽は誰にもわからない。ゆえに先祖代々の口承伝承でしか残っていない。

 長期戦になると体格の差が如実に出ることが多いため、防御無視の大斧やら大槌やらを使う戦士が多い。

 ……ちなみに、本当にどうでもいい設定だが、股間の○○が本当に金属製というものがある。戦闘中に蹴られたとかなったら出すと思う。これは彼らが金属と関わっていくうちに体のあちこちが少しずつ金属の鱗のようなものを纏い始めたからだが、その鱗は例外なくそこと肩甲骨のあたりにある。カザドは特殊で、臓器の一部も鱗でコーティングされている。この鱗については割かし重要な設定。

 

 

・ホビットについて

 

 種としての特徴に多産があるので、数的にはアヴァロン最大。服を作ったり家を設計したりしてるのはホビット。料理屋があったらホビット。里の中で加工品あったらだいたいホビット。例外は金属系。彼らは三大種族の中で唯一の戦闘に参加しない種族だが、それをネタにして軽視したりすると自分の配給品でエライ目にあうかもしれないので誰もそういうことはしない。なんだかんだ言いつつも、アヴァロンへの影響力が一番強いのはこの部族かもしれない。ちなみに、アルの提案だが、数の多さを活かしてアヴァロン内の警備をしている。警備隊にはほかの種族もいるが、基本的にはホビットで部隊が構成されており、毎日見回りをしている。酔っ払いやらスリやらの逮捕は彼らの仕事。――あのだが、アヴァロンで犯罪なんぞすればその狭さゆえにすぐ見つかるし、外に放り出されればすぐに死んでしまうため、犯罪数は極小。ドウォーフの酔っ払いが逮捕の常連である。

 

 種族特性は、手先が器用、明朗俊敏、多産、精神系の攻撃をほぼ確実にレジスト、の四点。

 なにか複雑な物を作るときは大体ドウォーフと組む。頑丈な金属部品をドウォーフが作り、図面を引いて組み立てるのがホビットの仕事。あるいはドウォーフが図面引きをやって、複雑な部品をホビットが作り、組み立てるということも。

 その本領は芸術品の作成で最も発揮される。結界魔術の触媒となる装飾品は、族長と職人組合の組長しか作れない。そもそも真似できない精密さもさることながら、恐ろしく繊細な作りである装飾品を魔法儀式に耐えうる水準で作成可能な職人がそのふたりしかいないから。

 好奇心はあれども欲望が極端に薄く、マヌーサやメダパニ、薬物を使った精神操作がほとんど通じない。ただ戦闘力は低いので、戦うだけならそんなものは必要ない。ちなみに、ドウォーフは精神系の魔法も抵抗するから余計タチが悪い。魔法防御というより、レジストという方が良いかもしれない。さらにいうなら、エルフは、その特性ゆえに生半可な魔法を倍返しにできる。そう考えると、無欲という特性だけで精神魔法を無効化するホビットは逆に賞賛していいかもしれない。

 

 




 今後もこんな感じで続けていきます。
 これ連載して! この設定、ここ直したほうがいいよ! とかあったら感想でお願いします。

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