「…………」
剱崎 斬は今日も晩御飯の献立を考える
「魚……いや、グラタン………ピザ…………」
「卵ぉぉぉぉぉ!!!」
卵の安売りに突っ込む幸薄そうな少年を見て斬は
「オムライスにするか」
高めの卵をかごに入れた
スーパーからの帰り、彼は常盤台中学に寄る
義妹を迎えに
「……………」
どうやって寮ではなく家から通っているのかはきかないほうが身のためである
「じゃねー」
「……来たな」
「何でいるの」
「買い物の帰りだ、晩飯はオムライス」
「オムライス………」
「…………」
よだれ汚いぞと斬は思った
◇
家に帰ると一通の封筒があった
「………なんだこれは」
合格通知だった
「level5を断る理由は無いとでも言うのか?まったく」
そう言いながら斬は
一方通行を書類だけ在籍とかにならないようにしないとな
色々と考え始めた
◇
「だりィ」
「………」
「ンで俺が学校生活を」
ザスッと何かが刺さる音がした
一方通行の前には螺旋状の槍───否、剣が刺さっていた
「………………あぶねェだろォがよォ?あァ!!」
「嫌なら行くぞ」
「誰が行くか」
ビュン!と一方通行の頬を掠めて何かが通る
それは先程と同じ螺旋状の剣なのだが
斬はそれを矢にして射ったのだ
それは遥か彼方まで飛び
爆発する
「何、騒ぎ起こしてンだよ」
「お前が悪い」
「てめェが俺を長点上機に入れなきゃよかったンだろォが」
「………」
キリキリと螺旋状の剣を弓にかけ引く
先程とは違い全力で
「おまっ、それはやべェだろ!」
「……ステr」
「やめろォォォォォォォ!!!」
◇
長点上機学園入学前夜
「我ながら似合わん」
斬は長点上機の制服を着て鏡の前に立っていた
横に一方通行を連れて
「これで2位がいなかったら学園、壊すからな」
「また、アレの餌食になりたいか」
「てめっ」
「冗談だ」
「このやろォ!」
「落ち着け」
「誰のせいだァ!!!」
「お前」
「ふざけンなァァァァァ!!!」
「陽のいと聖なる主よ」
「やめろっつってンだろゥが!!!」
こんな何気ないやり取りをしている彼らは知らない
2位だけではなくとんでもない根性馬鹿も長点上機に来ることを
level5でなければ絶対に入学出来ないであろう男が来ることを
因みに謎の螺旋状の槍が降ってきたとニュースになっていた事を後で知った斬は
「イイエ剣です」
と言ったらしい
◇
しかしこの年───主に7月の半ばから学園都市は崩壊をはじめる
level5や一人の無能力者、シスターを中心に
この世界のバランスは崩れていく
しかし、それでも
彼は今日も献立を悩む
「ピザだな、ピザにしよう」