「……キリヲ?どうした?」
斬は電話に出る
しかし一向に返事はない
聞こえるのは小さな、もめる声
そして
『──よっしゃ!キリヲ兄!』
と、聞き覚えのある声が携帯から響いた
「……オリジナルか?貴様」
『そのオリジナルっていうのやめてくれない?私には御坂美琴っていう名前があんのよ!』
「オリジナル、単刀直入に聞く」
『だからオリジナルって』
「どこまで知っている」
◆
「美琴……携帯返して、」
「キリヲ、黙ってて」
「むぅ」
「あの子達がまた犠牲になってる」
『そうだな、で?貴様に何が出来る』
「私にだって実験を止める力は!」
『あるとでも?では聞くが前回の実験を止めたのは誰だ?貴様は一方通行に勝てたか?貴様は』
「……………っ」
『俺に勝てるのか?』
「……………」
『欠陥電気にこれ以上死んでほしくないなら何もしない事だ』
ブッ
「美琴?」
美琴はキリヲの携帯をキリヲに投げ渡す
「わっ、ちょっと」
そして全力で走り出す
◆
「………ふん」
「何もするな、か。そいつにとっては一番きつい言葉だよな」
と垣根が言う
「まァ、オリジナルがどれだけもがいても無駄だけどなァ」
「施設を破壊したところで止まらん、実験の被験者をブッ潰した方が良い」
「どこで何があったかとか知ってるやつとかいねえのかな?」
削板がそう言うと
「………仕方ない、あいつに頼むか」
と斬はどこかに電話する
プルルルルルと何回かなった後
『よぉ久しぶりだねぇ』
「絶対能力進化計画についてありったけ教えろ」
『おいおい、せっかちだな。俺としても前戯を楽しみたいわけで』
「とっとと教えろ」
『………わかったよ、降参だ。教えてやるよ、かわりといっちゃなんだが条件として俺と姦淫しないか?』
「誰がするか、さっさと言え」
『そうカッカするなよ。場所をメールで送る。そこで落ち合おう』
「会いたくねえけどな!ったく……」
◆
「ヤバそうなやつじゃねえの?今の」
垣根が斬に問う
「あぁかなりヤバイぞ」
「おィ、今のエインヘリヤルか?」
「エインヘリヤルだ」
「あの変態情報屋かよォ!」
「姦淫って何だ?」
削板が斬に聞く
「頼む、お前はそのまま純粋な男であってくれ」
◆
とある廃工場に一人の男がいる
彼の視界には銃を向ける黒服の男達
「貴様は知りすぎた。ここで消えてもらおうか」
「おいおいそんなもの向けるなよ。俺のマゾヒズムを擽る気か?」
「なん………」
そう言うと黒服の男達、全員が地面に叩きつけられた
「どうした?君達のリビドーを見せてくれ」
◆
しばらく後、廃工場に残ったのは無惨な姿になった黒服の男達だけだった
「ふうぅぅぅぅぅ。いやぁ楽しかった。正直、勃起した」
男は血まみれのまま歩き続ける
「さて、じゃあ行こうか。約束の場所に」
彼の名はエインヘリヤル
後悔はしてない