過去の話─────────
そう遠くはない過去の話────────
一人の少年は能力を手に入れました
他の人とは異なる異常な能力を
あまりにも強大な能力を
最初は無意識でした
何故、自分の口からこんな言葉が出るのかわかりませんでした
それでも彼はこう言っていたのです
──
そして彼は
いるはずのないlevel5の8位となりました
そして今、彼は───────
◇
シャコシャコと部屋に音が響く
シャコシャコシャコシャコシャコシャコと絶え間なく響く
その音をうみだしている少年はテレビを見ながら
米を研いでいた
「…………………」
そして慣れた手つきで米を炊く準備をして
米を炊く
彼はテレビのチャンネルをニュースに変える
しかし彼が興味をしめすようなニュースはない
「…………?」
ケータイに着信が来た彼はケータイをみる
それはとある事件をきっかけに知り合いになった一人の少年からの連絡
曰く、飯食わせろとの事であった
彼に断る理由もなく何が良いか聞くと
───肉と端的に返ってきた
「……………」
彼は外に出かける準備をしてスーパーに肉を買いに家を出た
◇
夕焼けに染まる街を一人の少年が歩いていた
彼を一言で表すならば白
そう、学園都市第1位の一方通行である
彼は彼にとって唯一の友と呼べる少年の元へ向かっていた
今、その少年が買い出しに出ていることも知らぬまま
◇
買い出しに出た少年は不良に絡まれてる女子学生を見つけた
多くの人が見て見ぬふりをする中
彼は見捨てなかった
彼は誰よりも正義感が強く
この場にいる誰よりも強かった
「I am the bone of my sword」
しばらく後
気絶する不良を無視して彼は買い出しを再開する
女子学生の礼にも応えずに
彼は正義感は強いが善人ではない
◇
その頃一方通行は
「………なんでいねェ」
ドアの前で待ちぼうけをくらっていた
◇
「肉、か」
彼はスーパーの肉コーナーでそう呟きながら考える
「焼き肉、ハンバーグ、ステーキ、牛丼、カツ丼……」
メニューを考えていると店員が
「お、兄ちゃん。今日は肉料理かい?だったらこの肉が安いよ!ステーキにピッタリでね!」
彼はそう言われたので
「ステーキにするか」
ステーキにした
彼が家に帰ると玄関に一方通行がいた
まわりに缶コーヒーの空き缶をばらまかして
「遅ェ!!!」
少年に缶コーヒーをとばす
が、いつから持っていたのか、はたまたどこから取り出したのか不明な剣で空き缶を切り捨てる
「悪かったな、お前が魚と言えば買い出しに行かずにすんだんだが」
「俺のせいかよォ!!」
そう言いながら二人は家に入る
彼の名は
level5の末端──8位の少年である
能力は