キリユウ 再会の果てに。/リメイク版   作:迷劉/めいりゅー

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第2話ですよ〜、イェーーイ!

ところで、皆さんの中にレジスタ…やっている人居ませんかね?やっている人!今宵…8月19日0:00より、季節限定ユウキ(5選)が星9覚醒するんですよ〜!マジ興奮ものですよね!!もう楽しみ過ぎて…これ書いている今も、興奮で暴れてます!皆さん…盛大に楽しみましょ!

んで、話を変えて……この第2話ですが、本編(ssnote版)を読んでくださった方必見!…かなり…変えさせて頂きました!
具体的なのはスリーピングナイツ全員が喋ること、とかですね〜。
あと、ノリのキャラが崩壊しかけている、とかですね〜。

まぁ、グダグダの誤字脱字オンッパレーッドッ、なssですが、暇つぶしにでもなれたら嬉しい所存デス!


第2話[スリーピングナイツ]

ユウキが向かったのは新生アインクラット最前線である27層。この層のとある宿屋。

 

ユウキ 「キリト〜着いたよ!ここが…ボク達のホームだよ!」

キリト「え、ボク達?」

ユウキ 「そうだよ。じゃあ入って入って〜。紹介するね!ボクのギルド[スリーピングナイツ]の仲間達!」

 

スリーピングナイツ 「「おかえり、ユウキ!」」

 

宿に入ると男性プレイヤー3人、女性プレイヤー2人が席に着いて待っていた。ユウキがニコニコと入っていくと、出迎えの言葉をかけていたので、ユウキのギルドメンバーで間違えないだろう。

 

ユウキ 「ただいま皆!…でこの人が…」

キリト 「キリトだ、よろしく。」

 

キリトは軽い会釈と共に自己紹介を済ませる。

 

ジュン 「俺はジュン、よろしくキリトさん!」

テッチ 「僕はテッチと言います。」

タルケン 「僕は、タルケンともうします。」

ノリ 「私はノリって言うんだ。よろしく、キリトさん!」

シウネー 「はじめましてキリトさん。私はシウネーと言います。来て下さってありがとうございます。」

キリト 「あぁ、皆よろしく。」

 

一通り名前を聞いて、キリトはメンバー全員の顔と名前を記憶する。

 

ユウキ 「それでボクが一応ギルドリーダーだよ!」

 

ユウキが胸をドンッと叩いた。

 

キリト 「へぇ…ユウキがギルドリーダーなんだ。」

ユウキ 「そうだよー。ボクがリーダーって意外だった?」

キリト 「いーや全然。こういうのユウキには似合っていると思うぜ。」

ユウキ 「ふふっ、ありがと。……それでキリト…どうかな…ボク達に手を貸してほしいんだ!」

 

ユウキはいきなりキリトの手をガシッと掴み、目を輝かせながらキリトに向かった。まるで親から何かお年玉でも貰う子供のような、そんな目でキリトを見ている。

 

キリト 「手を貸す…って具体的に俺は何をすればいいんだ?」

 

キリトのその発言に一時ユウキは目を丸くする。ポカーンとキリトを見つめ、ようやくその理由に気づく。

 

ユウキ 「あー!ボクまだ何にも言ってなかった!」

 

ズコーッとスリーピングナイツの皆は勢いよく倒れる。

 

ユウキ 「あははは〜。」

 

何時もある事なのだろうか、倒れる皆は苦笑いを浮かべている。ユウキの明るい笑いにキリトも笑いを零す。

 

キリト 「あはは…で、何の手伝いをすれば良いんだ?」

ユウキ 「ごめんね〜。それで……えっとね、ボク達はこの層のボスモンスターを倒したいんだ。…ここにいる7人だけで!」

キリト 「階層ボス討伐…それもこのメンバーだけ、か。また随分と無茶な野望だな…一体どうしてだ?」

ユウキ 「ボク達はね、とあるネットゲームで知り合ったんだ。そこで皆意気投合してね、それから皆で色々なゲームをしてきたんだ。けど四月から皆用事やら学校やらで、とても忙しくなっちゃって全員集合するのは厳しくなるんだ。だからさ、何か皆で一つ大きな思い出を作ろう!ってなってね。それならボスモンスターの撃破が良い、という事になったんだよ。」

 

ユウキはボス討伐へ至った経緯をざっと話した。

 

キリト 「なるほど、7人だけ…つまりワンパーティ撃破となると[剣士の碑]か?」

ユウキ 「うん、大正解!さっすがーキリトー。」

キリト 「けどかなり厳しい闘いになるぞ。普通は7人7パーティの合計49人で行うもの。それを7人だけとなると、1人1人の負担が大きい。その覚悟はあるのか?」

 

キリトは単刀直入に聞いた。階層のボスを倒すというのは、舐めてかかるものではない。定石の49人で向かっても苦戦する時はあるし、かなり時間もかかる場合もある。単純計算で1人が7人分の働きを維持し続ける事が、勝利への大前提となってくる。そのため精神的にかなり厳しい闘いとなるのだ。

 

ユウキ 「大丈夫。ボク達は覚悟を決めてるよ!」

 

ゴクリ…とスリーピングナイツ全員が息を飲んでキリトを見る。

キリトは暫く悩んだ。SAOにいた時ではこんな無茶は出来なかっただろう。死んだら終わりのデスゲーム。しかし今は違う遊びのゲームだ。ならばゲームとして楽しまなくては、とキリトも遂に決心した。

 

キリト 「よし、いいぜ…前代未聞のボスワンパーティ撃破をやってやろうぜ。」

 

その言葉に皆はパァーッと明るくなった。誰もこんな無茶な頼み事を聞いてくれないと思っていたからである。

 

シウネー 「い、いいんですか!?でしたら…少ないかもしれませんがこれを…。」

 

シウネーはキリトに多少のコルを送る。これがめいっぱいの謝礼だ。

 

キリト 「あぁ…金は入らないよ。ボス戦でかなり使うから。それに何より友人の頼み事だからな。断る理由が無いよ。」

 

キリトはそう言い送り物をキャンセルした。

 

ユウキ 「キリト…。」

シウネー 「で、ですが…。」

 

しかしそれでは申し訳ない、とシウネーはそんな顔だ。

 

キリト 「うーん……だったら敬語をなしにしよう。俺は早く皆とも仲良くしたいから。」

ユウキ 「よーし皆、敬語はナシだよ!」

ジュン 「じゃあ、キリト。ちょっといいか?」

キリト 「えーと…ジュン、どうした?」

ジュン 「気になってたんだけど、キリトとユウキってどういう仲なのかな、って思ってさ。さっき友人って言ってただろ?俺らが知らないゲームとかやってたりした?」

 

キリトは確かにな、と思った。ユウキ達は長い間同じメンバーであり、恐らくこのALOでもずっと一緒であっただろう。他のメンバーが知らない友人、とは中々不思議な者となる。更にリアルの友達にしては紹介されるのが遅すぎる、というやつだ。

そしてキリトは悩んだ。本当の事を言うべきかを。相手はユウキの仲間であり、とても信用のおける人物達であるに違いはない。しかしそう軽々と言いたいものでもない、と。そして悩んだ挙句

 

キリト 「皆ならいいかな。」

ユウキ 「え、キリト言っていいの?」

 

ユウキは心配そうにキリトを見る。ユウキもこのことは、なるべく伏しておきたいものだと知っているからの反応だ。

 

キリト 「ああ。………実は俺は元[SAOプレイヤー]なんだ。」

ジュン 「な!?あのニュースになったデスゲーム!?」

キリト 「そう。俺は2年間…そこで暮らしていた。」

ジュン 「なんか…その…わりぃ。」

キリト 「べつに構わないさ。俺は生きて帰って来たし、それは昔の思い出として残しているからさ。」

ユウキ 「でねでね。キリトはラスボスを倒して、6000人のプレイヤーを救った[英雄]なんだよ!」

キリト 「って、ユウキ!それは要らない情報だろっ!?」

 

キリトは咄嗟にユウキを止めようとするも、ユウキはひらりと躱してキリトの阻止から逃げる。

 

ジュン 「そうなのか!?すっげぇ!」

キリト 「いや…なんか照れるな…。」

ユウキ 「キリトも満更じゃないんだね?」ニヤニヤ

キリト 「…………」ゴゴゴゴゴ

 

ニヤニヤとキリトに笑いを向け茶化すユウキに、キリトは静かに怒りを燃やす。

 

キリト 「そんでゲームクリアした時変な所へ飛ばされてな。その時に…」

 

ユウキのほっぺたを引っ張る。それは先程のお返し(90%)を含めた行為だ。

 

キリト 「…コイツと会ったんだ。」

ユウキ 「痛い痛い、引っ張らないでよー。ボクが悪かったって〜!」

ジュン 「えぇ!ユウキもSAOの世界に行ったのか?」

 

これには驚きを顕にするジュン。ユウキがデスゲーム…SAOに行ったなんて初耳であるし、そんな素振りも見せなかったからだ。

 

ユウキ 「うんそうだよ!そこでキリトとデュエルをしたんだ…。まぁ負けちゃったけどね。」

 

懐かしいなぁー、とユウキはその時のデュエルを思い出す。キリトはSAOのアバターで、今と変わらず全身真っ黒の装備を身に纏い、2本の剣を巧みに操ってみせた。始めて二刀を使う相手と対峙して、ユウキは興奮した事を今でも覚えている。

 

ユウキ 「あの時から今日という今日まで、お互い連絡とか本名も知らなかったんだよ?本当…奇跡ってあるものだよねー!」

キリト 「本名はまだ知らないけどな。」

シウネー 「え?ユウキ達はその一回しか会って無かったのですか?」

キリ・ユウ 「「うん。」」

タルケン 「てっきり昔からの馴染みのある友達同士なのかと。」

テッチ 「確かに。2人とも久しぶりの再会にも関わらず、自然と仲良くやってますよ。」

ノリ 「まるでカッ…」

ユウキ 「あぁぁー!!…ノリ、ストップ!ボクとキリトの出逢いのエピソードは終わり!早く本題に入ろう!!」

 

ユウキは突然大声を上げ、速攻でノリの口を手で塞ぐ。そして無理矢理に会話を終了させ、次へと進めさせた。

 

キリト 「お、おう…。」

 

キリトはユウキの勢いに押され、そのままボス討伐の作戦会議へと移行した。

キリトが指揮を執りながらボス討伐に向けて、みっちりと会議を行った。途中ニヤニヤと不敵な笑みをユウキに向けるノリに、ユウキが飛びかかっていたが、それ以外は順調に会議は進んだ。

 

ユウキ 「いやぁー、流石SAOの英雄様だねぇ。よっ、攻略のプロ〜♪」

 

キリトがテキパキと進めていった会議の事で、ユウキが少しキリトを茶化す。またもやニヤニヤするノリに、ユウキはムカーッと飛びかかる。それにはキリト以外のメンバーは、苦笑いを浮かべるしか無かった。

 

キリト 「……そうか?どちらかと言うと苦手だぞ?こういうの。」

ユウキ 「え、そうなの?テキパキ進めてたからさ。」

キリト 「あぁ…コレは攻略の鬼、もとい俺の友達の見様見真似だよ。何せ俺は[ソロプレイヤー]ですからね。」

 

キリトはドヤ顔と共に過去の自分を自慢げに語る。

 

ユウキ 「キリトがソロプレイヤー?そんなの絶対に嘘だー!だってキリトの周りには女の子ばっかじゃん!」

キリト 「それは今であって関係無い!」

 

(確かにSAO時代にも、俺の周りには何故か女子が多いが関係はない!)

 

ノリ 「へぇーキリトの周りって、女の子が多いんだ。それはユウキ〜大変だねぇ〜。」

ユウキ 「の、ノリ!?ボクは別に…そういう事じゃないのぉ!!」

シウネー 「頑張って下さいね、ユウキ。私は応援してますよ。」

ユウキ 「えぇ…シウネーまで!?だから違うってぇー!!」

 

何度目かのユウキの雄叫びが轟き、皆大笑いである。

 

ジュン 「あのさ、あのさ。さっき[ソロプレイヤー]って言ってただろ?それってもしかしてSAOでなのか?」

 

自分の知らないゲームに興味津々のジュンは、キリトに質問を続ける。

 

キリト 「あぁそうだ。」

ユウキ 「えっ、このALOでじゃないの?」

キリト 「いや…ALOでは皆と一緒かなぁ。ほらあの見に来ていた奴らだよ。」

ユウキ 「SAOってデスゲームだったんでしょ。危なくなかったの?」

 

ユウキはとても心配そうな目でキリトを見る。こういうゲームでのソロプレイは、常にゲームオーバーと隣り合わせになることとなる。それをゲームオーバー=死のSAOでは、危険行為の最高峰と言っても過言ではない。

 

キリト 「まぁ…な。あの時は色々あったから。だけど今は皆といる方が楽しいぜ。」

ユウキ 「そっか。ボクもキリトと居れて楽しいよ♪」

キリト 「ありがとな、ユウキ。」

ユウキ 「うん…!」

 

ユウキは心からの喜びの笑顔をみせた。

 

シウネー 「あの…戦闘狂のユウキにも春が来たんですね…。なんか嬉しいですね。」

ノリ 「そうだね。あの戦闘狂のユウキにも…。」

ユウキ 「むぅーっ…そこっ!2人ともうっすらと涙を浮かべながら、人の事を戦闘狂とか言うなぁ!」

 

涙を流して喜ぶ2人にユウキはビシッと指摘をする。恥ずかしさのあまりか、頬を少し紅く染めるユウキ。

 

キリト 「はっはっはっ、ユウキが戦闘狂なのに違いはないだろ?」

ユウキ 「っくぅ!キリトだけには言われたくないよ!キリトだって戦闘狂でしょ!」

 

2人の会話にどわっと笑いが起こる。

 

キリト 「ははは………ふぅー。さてと気を取り直してユウキ、締めを頼む。」

ユウキ 「うん。じゃあ、明日の2時に此処に集合だからね、皆気合いを入れて頑張ろー!」

皆 「「おぉー!」」

 

スリーピングナイツの皆、そしてユウキもそれから間もなくしてログアウトした。しかしキリトはこの後アスナ達の元へ行き、ユウキとの関係など面倒な事を話さなければならないのだ。そのために気を重くしており、飛んで行って時間を稼ごうか悩みに悩んでいた。どうせなら行かない、という手もあるのだが、それは後に厄介になってしまう。生憎皆さん揃って、キリトのプレイヤーホームに集合されている。コレは行かなければならない運命なのだ。

 

キリト 「あ、アスナからだ……ト…。」ガクガク

 

いつの間にかキリトのメッセージBOXには、アスナからのメッセージが届いていた。

 

「キリトくん今どこにいるのかな?何してるのかな?あの[絶剣]さんとどういう関係なのかな?色々聞きたいことがあるから、そっちの区切りが付いたら連絡してね、絶対だよ。」

 

それは地獄行きの片道切符であり、キリトの逃げ場完全に断ち切った狂気である。

 

キリト 「に、逃げ場無し…詰みってことかよ…。」

 

キリトがアスナへ、なんと連絡するかを迷っていた時だった。もう「終わったから直ぐに行く」や、「少し待っててくれ」などの言葉しか送れないキリトだが。

そんなキリトに向けて、不意に後から何かが飛んでキリトの背中に抱きついてきた。

 

ユウキ 「キリト〜〜♪」

キリト 「うわっ…て、ユウキか?ログアウトしたんじゃないのか?」

 

飛びついてきた何かはユウキで、ニコやかな笑顔と明るい声とともにキリトの背中に掴まった。

 

ユウキ 「うん、キリトと話したいことがあったから戻ってきたよ。」

キリト 「話したいこと?」

ユウキ 「うん、今日はありがとね。唐突にボス攻略だなんて無茶言っちゃってさ。」

キリト 「気にするなって、それにユウキは俺の願いを叶えてくれた。お相子というやつだ。」

ユウキ 「え…何のこと?」

 

ユウキには全くアテがない、という感じだ。

 

キリト 「デュエルだよ。ユウキ以外と戦っても楽しく無いんだよなぁ。今日は久々に闘って楽しかったぜ。」

ユウキ 「あーでも、キリトから来てくれたよね?」

キリト 「良いんだよ!闘えたのは事実だからな。」

ユウキ 「あはは、そうだね。ボクも楽しかったよ。…そいえばあの女の子達は?」

 

ピタッとキリトの動きが止まる。そしてギギギッと動き出す。

 

キリト 「それって強さの事だよな?……まぁ普通に強いんだけどさ、なんかこう胸に伝わるものと言うか…何かが足りないんだよな。」

ユウキ 「へぇ、なんか嬉しいね!……あ、あと聞きたいことがあったんだぁ。」

 

ユウキは手を合わせ、再度ニコッと笑う。それに合わせキリトも口を引き攣る。

 

キリト 「い、一応聞いておこう…。なんだ聞きたいこととは?」

ユウキ 「どうしたの?まぁいいけど…。でね、キリトはあの女の子達とどういう関係なの、って聞きたいんだ。」

キリト 「……はぁ……」

 

キリトはやっぱりか、というため息を深く零す。

 

ユウキ 「え、え!?聞いちゃ不味いの!?」

キリト 「いや…なに…。ユウキも聞くのかぁ…って。」

ユウキ 「ボクも、ってことは誰かから聞かれたの?」

キリト 「あぁ、アスナから「絶剣さんとどういう関係なの?」っていうメッセが先程な。」

ユウキ 「…アスナさん…って?」

 

会話に知らない人が出てきているのでは、当然と言える反応だ。しかしこのままだと話がなかなか進まない。他者の説明程厄介なものはない、と

暫くキリトは苦悩した。行きたくない、しかし両方のためには行かなければ、と。

そしてキリトはついに決心をつける。

 

キリト 「そうだな……よしっ覚悟を決めたぞ、ユウキ!この後ちょっと大丈夫か?」

ユウキ 「え?うん大丈夫だけど?」

キリト 「分かった。少しメッセージを取らせてくれ。」

 

キリトはアスナへメッセージを送った。

 

ユウキ (なんでキリトは指を震わせながら打っているんだろ?そんなに怖い人達だっけ?)

キリト 「……よ、よしっユウキ…これから俺のホーム兼俺の仲間の紹介をする。」

ユウキ 「えっ!やった♪」

キリト 「付いてきてくれ。」

 

キリトとユウキが向かったのは22層にあるウッドハウスだ。例のキリトのプレイヤーホームである。

 

ユウキ 「わぁー、ここがキリトのホーム?」

キリト 「あぁ。家本体も立地も中々気に入っているんだ。この層はモンスターがスポーンしない事で有名なんだぜ。のどかでいい所だろ?」

 

ユウキは目を輝かせながら、ぐるりとキリトのホームを一周して見る。とてもはしゃいで走るユウキの姿は、キリトにこれから先へ進むためのエネルギーを与えた。まだドアを開けるだけの体力しかないが。

 

ユウキ 「う〜ん、この層は気持ちが良いね…。おっきな森や心地よい風とか、上手く再現されてるよね!この雰囲気…ボクも好きだなぁ!」

 

ユウキは思いっきり息を吸い込み、深呼吸を行いフィールドの遠くを眺める。どうやらユウキのお気に召したらしい。キリトもそれには満足した。

 

キリト 「あぁ。実はSAO時代から此処に住んでいる、という事も補足しておくよ。」

ユウキ 「へぇ〜。キリトはセンスが良いんだね…。ボクもこの層の何処かに住みたいな〜。ねぇねぇ、いい物件とかないかな?あとで教えて欲しいな♪」

 

キリト (なんだこの安心感…。地獄の前だからこその安らぎ、的な何かか?)

 

キリトは表には出さない涙を浮かべ、目の前の無垢な少女に、神へ捧げる祈りの様なポーズを取る。心の中で。

 

キリト 「さぁ…お待ちかねの紹介タイム……。辞めるなら今だぞ?」

ユウキ 「大丈夫、覚悟は出来てるよ。それにそんな怖い人達じゃないと思ったけど。」

 

キリト (悪い奴らじゃないんだけど、質問攻めがめんどくさいんだよなぁ…。)

 

キリトは上がらないテンションのまま、軽いアクションでホームのドアを開けた。そしてキリトが先に家の中へと入り、ユウキもその後に続く。

 

女子組 「「あっ、おかえりなさーい!」」

 

リビングへと入ると直ぐに、ソファに腰掛ける数人の女子達からの声がかかる。

 

クライン 「よぉう!キリの字お邪魔してるぜ。」

 

更にそこに付け加えて、キリトとSAO時代からの仲であるクラインからも声がかかる。にしし、と笑いながらキリトに手を振る。

 

キリト 「なんだクラインも居たのか…。まぁ仕方ないか。じゃあ紹介するよ…[絶剣]ことユウキだ。」

ユウキ 「ユ、ユウキです!よ、よろしくお願いします!」

 

キリトから紹介されたユウキは、ひょっこりと顔を出した。少し緊張しているのか、所々言葉が詰まっている。

 

アスナ 「よろしくユウキさん。アスナです。」

リズ 「よろしく、リズよ!」

シリカ 「よろしくお願いします。シリカです!」

リーファ 「よろしく、リーファです。」

シノン 「シノンよ。よろしく。」

 

以上女子組の自己紹介が終わる。皆(シノン以外)一同に笑顔を作っている。怖いくらいにとても良い笑顔を。

最後に、とクラインは勢いよく立ち上がり、ユウキの前に移動する。

 

クライン 「クラインと申します。以後お見知りおきおっづ!」

 

キリトはユウキが引いている事を察し、クラインの足を強く踏む。

 

キリト 「バカか?」

クライン 「いてーなキリトよー。」

 

何時も通りのやり取りにみな少しの笑いをこぼす。が、それよりもユウキの方への視線が強い。デュエルをする時とは違う警戒心を抱いているようだ。

キリトとユウキは空いている席に着き、お茶とお菓子を頂いた。

 

ユウキ 「じゃあボクから皆に質問があるんだ。皆とキリトはどういう関係なの?」

 

ユウキの質問に対し、皆は少し悩んだ末…

 

アスナ 「…初めてパーティを組んだ仲…。」

シリカ 「…ピナと私の命の恩人…。」

リズ 「…専属スミス…。」

リーファ 「…義妹…。」

シノン 「…命の恩人…。」

 

と、全員がそれぞれに答え終わる。

 

ユウキ 「……へぇ〜そう何だ…。ボクはてっきり彼女さんでもいるのかと思ってたよ〜。」

女子組 「「えぇ!?彼女!?」」

 

ユウキの言葉に皆は焦ったような、驚いたような、そんな微妙な表情となる。まさかこのユウキから、「キリトの彼女」というワードが出るとは思ってもいなかったのだ。

 

ユウキ 「…うん、良かったー。」

 

ユウキはほっとしたように胸をなで下ろす。その動作に女子組は嫌な予感を察した。

 

((まさか…ユウキも…??))

 

心が晴れやかになったユウキは、美味しそうにお茶を啜った。

 

??? 「パパに彼女さんはいないですっ!」

 

丁度その時不意に何処からか少女の声が聞こえる。この場にいるユウキの視界に映る人のものではない。また別の人の声であった。

 

ユウキ 「え、パパ?この声主は誰なの?」

 

キョロキョロと周りを見渡しもやはり新たな人物は見当たらず、何も知らぬユウキにとって怪奇現象に等しいものだった。

 

キリト 「あーごめん、紹介するのを忘れてたよ。出てきて良いぞ…これがさっきの声主の[ユイ]だ。」

 

キリトが胸ポケットを開けると、中から何かが勢いよく飛び出しキリトの肩へと着地した。

 

ユイ 「はじめましてユウキさんっ!私がユイですっ!」

 

そしてそれはとても小さな妖精だった。キリトの肩に座りユウキへと挨拶をしていた。

ユウキもキリトに近づきまじまじと、その妖精[ユイ]を見つめる。

 

ユウキ 「えっ…この娘って…もしかしてナビゲーション・ピクシー!?あっ、でもキリトのプライベート・ピクシーなのかな!?そ、それよりだよ!キリトの事をパパって…!ま、ママはいるの!?」

 

まずキリトにナビゲーション・ピクシーが付いていることに驚き、個プレイヤー専属という点に目をつけプライベート・ピクシーと改めた。それだけでユウキがかなりのゲーム眼を持っている事が明らかだ。

しかしそのピクシーについて何より気になる事が、キリトを「パパ」と呼んだ事だ。

 

ユウキ (もしかして[彼女]じゃなくて[妻]!?そういう事だったの!?)

 

ユイ 「いいえ、私にはパパだけですっ!」

 

えっへん、とユイは腕を組んで堂々と告げる。

 

ユウキ 「そうなんだ…。あはは…。」

 

そのユイの返答に焦った自分を恥てポリポリと頭をかく。

 

キリト 「なんでユウキが焦るんだ?まぁ、初めてユイが俺を「パパ」と呼ぶのは驚くけどもさ。焦る必要は…」

ユウキ 「き、キリトには関係ないのっ!」

 

ユウキは顔を少し赤く染めながら、恥ずかしさを打ち消すためにか大きく声を出す。

 

女子組  ((やっぱりユウキも…はぁ。この男は一体何人落とすのやら…。))

 

予想的中という事で皆肩を落とす。

 

アスナ 「ユウキ…色々と宜しくね!」

ユウキ 「え?………あ、うん。皆宜しく、色々と。」

 

がっしりと握手したユウキとアスナは、もうライバル同士の目と早変わりしていた。周りの皆もその雰囲気と化していた。

 

クライン 「クソォー!なんでキリトはいつもそうなるんだよ!?」

キリト 「?何がだ?」

 

相変わらずの鈍感であるキリト。頭に?を浮かべ、クラインにブツブツと文句を聞かされている。

それを置いて、ユウキはすぐに皆と打ち解け話が盛り上がった。ユウキも一応SAOに飛んだことがあるということも聞き、アスナ達も隠さないで話した。ユウキが興味津々に聞くもので、皆は自慢げにSAOの世界での思い出話を奮ったものだ。無論キリトとの思い出話を。

途中ついにキリトが

 

「なんか俺の話しかしてなくないか。とても恥ずかしいのだが…。」

 

と、言っていたが、あまりこういう話を熱弁する機会が無いものだから、という事で容赦なく話続けた。その間何度もユウキがキリトをジローッと見ては他所を見、キリトを見ては他所を見、と行っていた。

 

クライン 「キリトは人気者でいいよなぁ。俺にもその理由を教えてくれよ〜。」

キリト 「ただただ思い出話を話されるのが[人気者]なら俺は断るよ。っていうか俺はなんにもしてないんだけどなぁ…」

 

キリトは追加のお茶を啜りながら、自分の関わる思い出話がユウキへと流出するのを聞き流す事しか出来なかった。

 

そしてアレコレと話が発展し、かなりの時間が経っていた。

皆にも現実世界での予定があるわけなので、今日はひとまずこの辺で解散することになった。

 

 

-現実世界-

 

 

目を覚ました和人は装着してあるアミュスフィアを頭から取り外し、ベットに付く台に静かに置いた。

 

和人 「ふぃー。今日は何時もの何倍ま楽しかった。まさか本当にユウキと再戦出来るなんてな…」

 

和人はしばらく起きず横になり、今日の感動に浸っていた。

何時か会える気がした[ユウキ]という剣豪と再会し、それから前人未到の[ワンパーティでのボス攻略]の協力。明日が楽しくならない筈がない。

 

(ユウキとこっちでも会えないかな?ボス攻略が終ったら聞いてみようかな?やっぱり失礼かな…。うーん…)

 

などと考えていると、1階から義妹である直葉の「ご飯が出来た」という声を聞き、思考を一旦止めて1階に降りた。

 

この日はこの後特に何もなく過ぎていった…。




第3話へ続きます!

そして宣伝!私の黒歴史ssをどうか…どうか…少しだけでも……やっぱり何でもないです。お気になさらずに。

追記
この投稿、実は2度目です。同じ前書きを書いてます。結構恥ずかしいです。
ミスって黒歴史ssの方に投稿してしまいました…。すみません!

再追記
後半の三千文字程度は、後付けしたものです!
本来なら次話として出す所存でしたが、思ったより区切れが悪く、こっちに付けさせて頂きました!
ふざけた投稿で申し訳ございません!

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