ストライクウィッチーズ~神風のウィッチ~   作:疾風海軍陸戦隊

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「た、体当たりだと!?それに空母!・・・・・ネウロイではないのか?」

 

「ネウロイ?なんですかそのネウロイというのは?リベリオンが作り出した新兵器か何かですか?」

 

「リベリオン?貴女何を言ってるの?なんでそこでリベリオンが出てくるの?」

 

ミーナ中佐が不思議そうな顔をして春佳に訊く

 

「なにって・・・・我が祖国、扶桑皇国はリベリオン・ブリタニアの連合軍と戦争をしているはずでしょ?同盟国であるカールスラントの軍人でもあるあなたが知らないはずはないでしょ?」

 

「なにを寝ぼけているんだ貴様は!?人間同士が殺し合うなんて聞いたことがないぞ!少尉。」

 

「落ち着け、バルクホルン。少尉。お前がここに来るまでのことを話してくれるか?」

 

「はい。実は・・・・」

 

坂本少佐が促すように春佳に訊く。春佳は深呼吸をし、ここに来るまでの話をした。1939年にカールスラントのオスとマルク侵攻から始まる世界大戦。その後ガリアを占領したカラールスラント。そして1941年12月8日にカールスラントの同盟国である扶桑皇国がリベリオンに宣戦布告し、真珠湾を奇襲攻撃。半年間の快進撃に衰退。各地の激戦、リベリオン軍の反撃、続く負け戦、帝政カールスラントの滅亡…そして扶桑では玉砕や特攻が続いき、そして自分も特攻に出撃して空母に体当たりしたことなどすべて話した。

 

「人類同士で戦争をするなんてね…。それもその戦争、カールスラントが引き起こしたなんて・・・・」

 

ミーナ中佐は世界大戦という言葉に驚きを隠せなかった恐らく。いや、きっとそのネウロイ?が現れなければこの世界でも同じような事が起こっていただろうと春佳は思った。

 

「それにしても体当たりを主体とする特攻隊か・・・・・あまりにも非人道的だ。扶桑はそこまで追い詰められたのか・・・・少尉。本土はどうなっている海軍は?」

 

「少佐。連合艦隊はマリアナ海戦で壊滅し、リベリオンの戦略爆撃機B-29に無差別に爆弾を落とされ国中焼かれて何もかも灰燼!正直いって、もう長くは持たないと思います」

 

「カールスラントも焼け野原になったのか?」

 

「詳しくは知りませんが、恐らく扶桑と同じだと思います・・・」

 

「‥‥‥そうか」

 

そう言うとバルクホルンは悲しそうな顔をする

 

「そう言えば、この世界はどうなんですか?それに先ほど言ったネウロイとは何ですか?」

 

「ああ、そうだったな」

 

坂本少佐はこの世界のことを説明した。

 

1930年代、欧州各地にネウロイと呼ばれる異形の集団が欧州各地に出現。人類は攻撃するも各地で敗北、欧州はネウロイに覆われた。それに対して人類は魔法力を使うことのできるウィッチと魔法力を高めることのできるストライカーユニットを使い反撃、世界各地で人類とネウロイの激戦が繰り広げられていた。

 

(ウィッチの存在は一緒だけど。戦う敵が謎の生命体なわけね・・・・・)

 

「つまり、少尉は異世界から来たことになるな」

 

「少佐。本気ですか?」

 

「本気だ。それにあのストライカーや、あの服が何よりの証拠だ」

 

「........」

 

「少尉。貴方はこの後どうするつもりですか?」

 

どうするもなにも、私はこの世界の事を何も知らない......同じ国名、同じ時代でも異世界から来た私にとっては全くの別世界だ。扶桑に帰ったとしても私の居場所はない・・・・

 

「う~ん・・・・・そうだ。ミーナ。この子を保護するのはどうだ?」

 

「美緒!?本気なの!」

 

「ああ、臨時隊員のウィッチといえば上にも説明しやすい。こいつが本当に別の世界から来た奴なら、こちらの世界のことは何一つ知らない素人だ。それになこのまま、ほ

おっておいて死なれると目覚めが悪いからな」

 

「分かったわ。それじゃあ、宮藤春佳少尉。あなたは今から臨時隊員として戦ってもらいます。いいですか?」

 

「はい!特攻隊に入った時から覚悟はできています」

 

「はっはっはっ!いい返事だな!」

 

「では、夕食の時に他の隊員にあなたの紹介をしますので、それまで部屋で待機してください」

 

「部屋は私が案内しよう」

 

そう言い、坂本少佐は春佳を部屋へと連れて行くのだった。

 

「あの・・・・坂本少佐」

 

「宮藤。お前と私は同じ扶桑海軍だ。だから堅苦しいのは無しだ」

 

「・・・・では・・・坂本さん」

 

「それでいい。でなんだ?」

 

「あの・・・さっき私が傷つけてしまった人なんですが・・・」

 

「ん?ああ、宮藤か。安心しろ幸いかすり傷程度だ。宮藤本人も気にしていないって言ってたぞ」

 

「そうですか・・・・あのその宮藤さんって、もしかして宮藤芳佳という名前で父が宮藤一郎っていうストライカーユニットの開発者ではないんですか?」

 

「ああ・・・・そうだ。お前の苗字も確か宮藤だったが、もしかして・・・・・」

 

「はい。宮藤芳佳は私の姉です。顔を見てはっきりと確信しました」

 

そう、異世界と知ってから思ったことがある。あの芳佳って名乗った人がお姉ちゃんだということが、となるとこの世界にも私がいるんだろうか?

 

「なに!?そう言えば確かに宮藤に少し似ているな。でもあいつには従妹がいても妹はいないぞ」

 

「そうですか…この世界には私は存在しないんですね」

 

なんか安心したような、しないような・・・・

 

「で、お前の世界の宮藤は元気にしているか?」

 

「・・・・・・・1944年のマリアナの戦いで戦死しました。」

 

「・・・・・・すまない」

 

「いえ、いいんですよ」

 

そう話し合っていると、二人の少女がやってくる。そうシャーリーとルッキーニだった。

 

(あいつのあの格好・・・・リベ公!!」

 

シャーリーの姿を見て春佳の目つきが変わる。異世界のリベリオンとはいえ、春佳のいた世界のリベリオンは扶桑本土を無差別爆撃し、そして最近では8月6日広島に8月9日には長崎に新型爆弾を落としおびただしい数の一般市民が犠牲になった。春佳にとってはリベリオンは心許せない敵と思っているからである。

 

「おっ!少佐。その子は誰なんだ?」

 

「ああ、シャーリー。こいつは今度、ウィッチ臨時隊員になった。宮藤春佳少尉だ」

 

「宮藤?そう言えば顔も少し似てるしもしかして宮藤の親戚か?」

 

「まあ、当らかずとも遠からずかな」

 

「?・・・・・まあ、いいや。よろしくな春佳。私はシャーロット・イェーガー。シャーリーって呼んでくれ」

 

そう言いシャーリは手を差し伸べるが、春佳は無言のまま立ち去ってしまうのだった。

 

「あれ?なんか気に障ること言ったかな」

 

(そう言えば、あいつの世界ではリベリオンと戦争していたんだっけな。ならばあいつにとってシャーリーは・・・・)

 

「いいや、あいつはただここに方ばかりで緊張してるんだ。気にするな」

 

と、坂本少佐はそうフォローする。

 

「そうか~あいつ緊張していたのか」

 

「ああ、そうだ。それじゃあ、私はあいつの部屋を案内しなきゃならんのでな」

 

そう言い、少佐は春佳の元に急いで向かうのだった。

 

(あいつ・・・もとにいた世界でどんな思いをしたんだ・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

(ここは、異世界・・・・・人間同士の戦争がない世界。つまりあのシャーリーさんはあの世界のリベ公とは全く違う。それはわかってる。分かってるけどやっぱり許せない。お姉ちゃんを殺し、無抵抗の一般市民を絨毯爆撃をして焼き殺し虐殺したリベ公なんか・・・)

 

頭の中では違う世界だとわかっている。分かってるのだが、だが体や記憶がその邪魔をし許せない気持ちが勝ってしまうのだ。

 

そう、複雑な気持ちを胸に秘め春佳はそのまま部屋に進むのだった。

 

 

 


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