村から出たペガチャンは野宿をしながら二日ほどでゾラメの街についた。
街に入り適当に徘徊してると一人の男から声をかけられた。
「おいおい、君そんな格好してどうしたの!」
どうやら野宿のせいで汚れた衣服を着ているのを心配してくれたらしい。
「あ、大丈夫ですよ。こんなの慣れているので」
「いやーだめだめ体も細いみたいだし。まずうちさぁ家族出かけてて一人で寂しいんだけど、泊まってかない?」
うーん、いきなり人の家に泊まるのは抵抗があるけど宿に泊まる金もないしとりあえず一泊させてもらおうかな。
「じゃ、じゃあお世話になります。」
「おお、そうかそうか。じゃあ早速家に案内するよ。ところで君の名前は?」
「ペガチャンって言います。」
「ペガチャンか、いい名前だね。ちなみに僕の名前はえふてぃ。よろしくね。」
そうしてえふてぃさんの家に泊まらせてもらうことになった。
その夜
「ペガチャンだっけ?君どこからきたの」
「ここから見てあそこにある名前もない小さな村です。」
「え!?魔王軍に襲われたっていうあの!?」
「そうです。こんなところまで噂は届いているんですね。」
「うん、今魔王軍に対抗しようと色んな国も動いているからね。今のところ被害はあの村だけみたいだけど、、、」
えふてぃは妙に悲しい表情を浮かべていた。
魔王に対する恐怖かと思ったが違うようだ。
「どうしたんですかいきなり悲しい表情になって。」
「いや、あの村には僕の幼馴染の智志ってやつがいたんだ。君も知っているだろう?」
「え、師匠と知り合いだったんですか!?」
驚いた。まさか師匠の知り合いがこんなところにいたとは。
「師匠?そう呼ばせていたのか彼は」
少しにやけながらえふてぃはそう言った。
「はい。捨てられた僕を育ててくれた親であり、剣の修行をしてくれた師匠なので。」
「そっか・・・たまたま城に来てた客に一目惚れして、兵士をやめてしまったような奴だけど立派にやっていたんだなぁ。あの凄腕に鍛えられていたなんて細い割には結構強いのか?」
「ま、まあこれでも剣の扱いに関しては自信があるので」
俺は自慢げにそういった
「はははっ!そうかそうか。まあ今夜はゆっくりあいつの小さい頃の話でもしてやろう。」
こうして談笑しながらえふてぃと一夜を過ごした・・・
「ふああおはようペガチャン。あれ?もう支度してるのか?」
「はい、もう旅に出ないといけないので。」
「そんな急がなくてもいいよ。まだ家族はかえってこないしゆっくりしていきな。」
「いえ、急がないといけないんです。」
「なんでだい?」
「僕の旅の目的は魔王討伐なので・・・」
「ええ!?そうだったのか!?」
「はい、けど止めないでください。」
「そうか・・・君が本気でそうしたいなら僕は止めない。けど君に渡したいものがある。」
そういってえふてぃは家の宝箱から鎧、盾、剣、兜を取り出した。
「これは昔僕が結婚して智志と離れてしまうという時に彼からもらったものさ。その時はまだ城に勤めていたから余っていたのを僕に押し付けただけだと思うけど。僕では大きすぎて着れないんだ。ペガチャンなら着れるんじゃないかな。」
「え、本当にいいんですか?」
「ああ、君があいつの弟子っていうならなおさらさ。さっさと勇者様とやらを見つけて共に魔王を倒し、世界を平和に戻してくれ。後、何か情報を集めたいんだったらこの街の酒場にいくといい。そこの夜架というマスターがかなりの物知りだったはずだ。」
「ありがとうございます。必ず魔王しんじを倒し、平和な世界を取り戻します。それではさようなら!」
「おう、頑張れよ!後飯もちゃんとくえよ!」
こうして再び人の温かみを感じることができたペガチャンであった。