捻くれぼっちの凡校生活   作:シロアリ

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感想でもいただいたのですが、自分でも八幡らしくない気がする…。
難しいです。


ハジマリ

 

 

 

 

 

 

「あーーーーーーーーー!!?」

 

 

 

 

 

  時は変わって昼休み。

  授業の合間の休憩時間とは別の喧騒が教室内に響き渡っていた。一条の叫び声である。

  1限と2限までは頑張れたのだが、残りは結局寝てしまった。

  これはもう春が悪い。

 冬が開けたこの季節。まだ少し寒さが残る日はあるが今日は日本晴れと言って良いほどの快晴。窓側の席ではないのにポカポカと暖かい陽気が伝わってきて、俺を眠りに引き込んでいった。

 

  頭を上げて、突っ伏していたため硬くなった体を伸ばす。

  そしてチャイムよりもチャイムらしい働きをした一条の方へと顔を向けた。

 

 

「無い!!俺のペンダントが無い!!一体いつから、どこで……」

 

 

  この世の終わりを体現したかのような表情で一条は叫んだ。何事かと思えばただ私物を無くしただけだったようだ。

 ただ、本当に大事な物だったようで、桐崎と探す探さないで口論をしている。

  特に興味もなかったから、俺は席を立ってパンを買いに購買を目指した。あるよね、購買。この学校に詳しくないため場所は分からないが、今はあると信じて廊下をひたすら進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────

 

 

 

 

 

 

  コツン、コツンと廊下を歩く音が響く。あれからしばらく歩きまわった。階段を登り廊下を歩き、また階段を降りる。

 喧騒を抜けた廊下は徐々に人気がなくなり、空気も若干冷んやりしているように感じる。

 やはり、人が多いのと少ないのでは視覚的に何か影響しているのだろうか。人混みを見て暑苦しいと思うこともあるから間違ってはいないと思う。

 

  気付けば廊下の突き当たりに来ていた。ここは所謂特別棟のような場所で、家庭科室や被服室といった教室が並んでいた。当然のように購買はない。

 

 

「今日は諦めるか……」

 

 

  それでも昼食は必要なため、人に聞いて明日買うという思考に切り替える。

 よく考えたら今日金持ってきてねぇしな。

 はぁ、と溜息を零すも、人がいない廊下に虚しく消える。

 空腹感はあるが仕方がない。

 とりあえずパンは明日にまわすとして、今後のベストプレイスになるであろう屋上へ足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

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「おぉ…」

 

 

 屋上は開放的で、優しい風が頬を撫でた。

 こんなに気持ちの良い天気だというのに人はいない。

 完全な穴場だっった。

 ベストプレイス候補の中ではぶっちぎりの一位である。ここしか候補ないけど。

 

 柵に手を掛けて街を見渡す。特に何かがある訳でもないが、ぼーっとしているだけで心地が良かった。

 

 

「おやおや〜?比企谷じゃないか!教室から居なくなったと思ったら。こんなところで何してんの?」

 

 舞…舞子。そう舞子だ。

 

 

「あれー、今名前忘れられてた気がするなぁー?」

 

「…そんな事ないぞ」

 

 

 こいつエスパーかよ。ボストンバッグにでも入っているのだろうか。

 舞子は先ほどの問いの答えを待っているのか、ニコニコしながらこちらを見ていた。

 

 

「購買の場所が分からなくてな。今日は諦めて暇つぶしてた」

 

 

「ほほーん。なら後で教えてやるよ。折角同じクラスなんだし助け合わないとな!!」

 

 

「サンキュー、助かる」

 

 

 正直。

 まだ数回しか話していないが俺はこいつとの距離が掴めなかった。

 掴み所が無いというか、お調子者に見えて実は鋭いというか。どこかこちらを見透かされているかのような錯覚を覚えてしまう。

 悪い奴ではなさそうなんだけどなぁ…。

 

 

「それより比企谷、お前もう小野寺と仲良くなったのかよ〜。机寄せて授業受けるなんてやるなぁ!」

 

 こいつ……。

 

「あれはそんなんじゃねぇよ」

 

 相手がこいつだから信用度は薄いが、もしかしたら周りからは仲良く見えていたのだろうか。

 少し罪悪感が湧いてきた。教科書を見せてあげただけで俺と仲が良いと認識されるのは流石に小野寺がかわいそうだ。

 しかもほとんど見ずに寝たのだから、8割以上は俺が原因だろう。

 

 

「本当か〜?小野寺あの見た目と性格だから結構人気なんだぜ?みんなクジ引きだったから納得してるけど、お前の席を狙ってた男子は大量にいるんだ。仲良くならなきゃ損ってもんだぞ」

 

 

 確かに小野寺はかわいい。その上俺のような人間にも優しい、まさに思春期男子の理想像だろう。

 だからこそ、なおさらこれ以上関わる訳にはいかない。

 この外見が周囲にどう思われ、どういう影響を俺に及ぼすのかは小学時代から嫌という程体験してきた。

 教科書を忘れたのは痛恨のミスだが、明日からは極力借りを作らず、気を遣われるようなことも避けなければいけない。

 

 

「どうした?だんまりしちゃって」

 

 

「いや…何でもない」

 

 

 舞子が一向に返事をしないことをに疑問を持ったのか、訝しむような視線を送る。

 なんでもないように振る舞い、俺はその視線を軽く受け流した。

 

 

「もうすぐ昼休み終わるけど戻らないでいいのか?」

 

 

「逆に比企谷は戻らないの?」

 

 

「俺はまだいい」

 

 

 街の景色から視線を逸らさずに答える。

 直接見ていなくても、隣で舞子がニコニコしながらこちらを見ているのが分かった。

 

 

「…りょーかい。じゃあ俺は先に戻ってるよん。バイビ〜」

 

 

 次第に足音が遠ざかっていき、扉が閉まる音がした。

 空間から人が1人居なくなっただけで意識は他に集中し、道路を走る車の走行音すら容易く耳に届いた。

 午前中は優しい光を放っていた太陽も、今は真上に上がり照りつけている。

 

 このまま俺が教室に戻れば、確実に午後の授業でまた机を寄せることになる。

 どこまでも優しい小野寺は、たぶん最後まで優しい。

 今日という日が終わっても、きっと彼女の優しさは変わらないのだろう。

 

 ならば俺が変わればいい。

 関係が浅い今がチャンス。

 小野寺とは距離を置き、各自の今まで通りの日常を送る。

 

 いくら今まで嫌われて来たからといって、自分が原因で小野寺に被害が及ぶというのはは自意識過剰だ。

 俺個人の汚い妄想の押し付けで、実際の事は何一つ確証はない。

 小野寺の意思すら考慮しない、実に自分勝手な行動。

 だが、何かが起きてからでは遅いのだ。

 

 人生はリセットできないが、人間関係はリセットできる。

 優しい小野寺にとっても、元々クラスとの関わりを望んでいなかった俺にとっても理想の手。

 

 脳を回転させながらも、午後に影ができる東側の出入り口の壁にもたれかかった。

 

 

 まず第一歩として。

 午後の授業をサボるために、俺は静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 





なんか話の流れが無理やりっぽいし、なにより八幡じゃない感がすごい。
文才も無いに等しいと思っているので、今後も勉強したいと思います。
アドバスイスや指摘、評価などなど、感想いただけると嬉しいです。

次回は小咲sideでの話になると思います。

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