転生先はガンプラバトルが大人気です   作:断空我

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ようやくクロスオーバーのタグともう一つが活かせる。

主人公はジム、ジェガンを使います。

今のところ。


Gミューズの再会です。

「次元覇王流!聖拳突きぃぃいいい!」

 

 カミキ弟の操るビルドバーニングの拳。

 

 炎を纏っているような拳を、操るアクアジムで回避する。

 

 標的を失った彼の拳は地面に突き刺さり、大きなクレーターを作った。

 

「動きが直線的すぎるぞ」

 

 距離を取りながらマシンガンで狙撃する。

 

「くそっ」

 

 放たれる弾丸をカミキ弟は回避する。

 

 地上の動きはエースクラスだなぁ。

 

 だが。

 

「じゃ、ちょっと、付き合えよ」

 

 近づいてビルドバーニングの頭部を掴んで海の中へ放り込む。

 

 バシャンと音を立てて海の中へフィールドが変わる。

 

「こんなの!」

 

 動かそうとするカミキ弟だが、足場がなくなった途端、バランスを崩した。

 

「そっか、足場が……だったら!次元覇王流!聖槍蹴りぃぃぃいって、ぁああ!?」

 

 片足を繰り出そうとするもそのままグルグルとビルドバーニングが回転する。

 

「覚えておくんだ。カミキ弟」

 

 アクアジムで接近してビルドバーニングの背後へ回り込む。

 

 肩を掴んでそのまま海底へ押し込んだ。

 

「ガンプラバトルは色々なフィールドが存在する。こんな風に海も存在している。適応、対応しろ。さもないと、すぐにおっちんじまうぞぉ」

 

 トンと優しくアクアジムでビルドバーニングを蹴り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フミちゃん、どうしてあの人は量産型しか使わないんですか?」

 

 コウサカ・ユウマは二人の試合を観戦しているホシノ・フミナへ尋ねる。

 

「うーん、私も知らないの。去年の世界大会から戻ってきてから急に量産機ばっかり……しかも、ほとんど素組みばっかり」

 

「何か理由でも?」

 

「おーい、何の話をしているんだ?」

 

 バトルが終わり、二人のところへ話題の人物がやって来る。

 

 瓶底メガネに手入れされていない髪。

 

 手の中には特にカスタムされていないジム。

 

「先輩、そのガンプラをカスタムしたりは?」

 

「その予定はないな。俺はあくまで手伝いだし、これもただ作っただけだからな」

 

 まただ、

 

 ユウマはメガネの奥で考える。

 

 この人はことあるごとに“手伝い”“前座”という言葉を使う。

 

 まるで、主役ではないというような言い方だ。

 

「それより、カミキの指導、そろそろ代わってくれないか?俺、疲れたんだけど」

 

「まだやれるでしょ?」

 

「コウサカ、お前、俺にうらみでもあるのか?カミキとの練習試合、既に二桁突入しているんだけど!!」

 

「手伝いなら頑張ってください。それが嫌ならオリジナルの機体でも使えばいいと思うのですが」

 

 この鬼メガネめ。

 

 呆れたようにため息を吐きながら筐体の前へ戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セカイとホシノさんがデートするの!一緒に来て!」

 

 休日。

 

 ガンプラバトルや課題などで疲れて眠っていた俺をたたき起こしたカミキ姉の一言がこれだった。

 

「デートって、Gミューズへ行くだけだろ?」

 

 寝ぼけ眼でカミキ姉に伝える。

 

 そういえば、ホシノ後輩が大会専用のガンプラを作ろうと考えるとかいっていた。

 

 協力者のラルさんがカミキ弟へガンダムを知るためにGミューズを勧めていたなぁ。

 

「とにかく!早く、着替えて!」

 

「いや、休みの日だから、ゆっくり寝ていたい……わかった、わかったから!そんな目をするな!すぐに着替えるから!!」

 

 今にも泣きそうになるカミキ姉に言って俺は着替える。

 

 三分で着替えて、顔を洗い、外へ出た。

 

「はい、シン君はこれをつけて」

 

 カミキ姉から渡されたのはサングラス。

 

 なして?

 

 

 

「普段のメガネじゃダメなのかよ?」

 

「ばれちゃうじゃない」

 

「あ、そ」

 

 与えられたサングラスを装着して俺とカミキ姉は少し先にいるカミキ弟とホシノ後輩を尾行する。

 

「どうでもいいが、カミキ姉、雑誌逆さまだ」

 

「心配、大丈夫かしら」

 

「駄目だ、聞こえていないし」

 

 雑誌を逆さまに向けて二人に熱い視線を向けるカミキ姉。

 

 俺は溜息を吐いて、座席へ腰かけようとした時。

 

 

――ゾクリ。

 

 

 全身を突き刺すような視線を感じて立ち上がる。

 

 周りを見るが誰もいない。

 

 気のせいか?

 

 俺はため息を零しながら立っているカミキ姉へ座席に座るように促す。

 

 しばらくして、電車から降りる。

 

 歩いている二人の様子をカミキ姉は見守っていた。

 

「どうでもいいが、カミキ姉、落ち着いたらどうだ」

 

「だって~」

 

 今にも飛び出そうとしているカミキ姉を俺は止める。

 

 先の二人が手を繋いでいるあたりから落ち着きがない。

 

「何度も言うが別にGミューズへ買い物に行くだけだろ」

 

「でも、デートよ!あのセカイが」

 

「カミキ姉、ブラコンになるのは仕方ないが落ち着け、頼むから」

 

「ううぅ、でもぉ、シン君~」

 

 涙目でこちらをみるカミキ姉。

 

 弟が心配で仕方ないのだろう。

 

「とにかく、Gミューズへ向かおう……お前がデートすることになってカミキ弟がこんなことをやりだすか心配で仕方ないよ」

 

「え?私?」

 

「カミキ姉だっていつかはデートするだろ?」

 

「……」

 

 頼むからこのタイミングできょとんとした表情を浮かべるのをやめてくれ。

 

 しかも、何か期待するような眼差しを向けられているような気がするんだが……。

 

 俺は溜息を吐きながらGミューズへ向かうように促す。

 

 

 

 Gミューズはこの街にあるガンダムを中心として扱う巨大な娯楽施設。

 

 

 入り口には巨大なファーストガンダムがある。実物大サイズではないけれど。

 

「凄い、大きなガンプラ」

 

「ガンダムだから」

 

「違うの?」

 

「違う」

 

 カミキ弟同様にガンダムに疎いな、カミキ姉は。

 

「お前もどうせだし、ガンダムを少しは知っておいたらどうだ?確か、読モやっていたよな?どっかで触れる機会もあるだろ」

 

「そうかな?」

 

 首を傾げるカミキ姉。

 

 わかっていないな。

 

 カミキ姉は知らないのだろう。七年前にガンプラアイドルの出現によって色々と変化が起こっていることを。

 

 

「ま、あいつらの邪魔にならない程度で教えるから……行こうぜ」

 

 あの二人も監視されていない方がいいよな。

 

 振り返ったところで俺は絶句する。

 

 最悪なタイミングで奴がきていた。

 

「何……やっているんですか?ミライさん、先輩」

 

「コウサカ君!?」

 

「よぉ、コウサカ」

 

「ここで、何を?」

 

 驚いた顔をしているコウサカ。

 

 そういえば、コイツは家で大会用の機体を制作していたよな。

 

「コウサカ君!あっちで何か食べない?」

 

 慌てた様子でカミキ姉がコウサカの前に立つ。

 

 その立ち位置だとコウサカから二人の様子は見えないだろうな。

 

「ごめんね、シン君」

 

「俺は別にいいよ。行こうぜ、カミキ姉、あとコウサカ」

 

「おまけみたいに言わないでください!!でも、行きます」

 

 だらしなく口元を開けながらカミキ姉についていくコウサカ。

 

 好きなんだな。カミキ姉のこと。

 

 そんなことを思いながら俺は二人の後についていく。

 

 これって、コウサカの恋路の邪魔をしている……かもしれないと思ったのは、ことあるごとにこちらをジト目でみてくる彼に気付いたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひっさしぶりやなぁ!ハヤテ・シン!!」

 

 カミキ姉をコウサカに任せて(押し付けて)Gミューズから帰ろうとしていた俺に関西弁で話しかける奴がいた。

 

「よぉ、アホ毛」

 

「誰がアホ毛や!!」

 

「いや、頭にはねている髪あるから、アホ毛だろ」

 

「そんなん関係あるかい!てか、なんで自分がここにおんねん!」

 

「いたらダメなのか?」

 

「ああもう!飄々しおってからにムカツクやっちゃなぁ!」

 

「そろそろ落ち着いたか?」

 

「うるさいわい!……まぁいい」

 

 相手は半眼でこちらをみる。

 

「なんでガンプラ舞台から姿を消した!ハヤテ・シン!いや、白い悪魔!」

 

「引退するつもりだった。色々あって、今は学校の後輩に協力している。お前の嫌悪の対象のコウサカ・ユウマとな」

 

「!!」

 

 俺の言葉にサカイ・ミナトは目を見開く。

 

「ガンプラバトル?アイツが!?名人杯もあるんやぞ!」

 

「俺に怒るな。あとツバ飛ばすな。てか、近い!!」

 

 東のコウサカ・ユウマ、西のサカイ・ミナト。

 

 どこぞの高校生探偵のようにこの二人ほど名前を知られているガンプラビルダーはいないだろう。

 

 コウサカ・ユウマはイオリ・セイさんにガンプラを、サカイ・ミナトはガンプラ心形流に身を置き、様々なガンプラを世に送り出してきた。

 

 今年の名人杯も期待されている。

 

「大阪のお前がここにいるってことは」

 

「その通りや」

 

「不機嫌な理由はそれか」

 

 コウサカの当て馬にされたと思ったか。

 

 ライバル心……いや、敵対心が勝っているアホ毛なら仕方ないだろう。

 

「それで、むしゃくしゃして、俺の後輩に指導はやめてくれよ」

 

「あ?」

 

「何でもない……それで、俺に絡んできた理由は失踪したことについてか?」

 

「せや!お前ほどのファイターがなんで姿を消した!」

 

「逃げているからさ」

 

「は?」

 

「悪いな、アホ毛、ちょっと、面倒な客だ」

 

 否定したかった。

 

 これはウソだと。

 

 現実ではない。質の悪い夢だと。

 

 だが、嫌でも俺の前に彼女達は姿を見せる。

 

 どこかの学校の制服を着た女の子たち。

 

 微笑みながら彼女は俺を見た。

 

「探しましたよ」

 

「ようやく会えました!」

 

 

 悪夢が音を立てて俺の前にやってきた。

 

 


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