オリジナル話です
薄暗い室内。
豪華な椅子に深々と座り、ワインとステーキを頬ぼっている太った男がいる。
彼の目は正面に設置されている巨大なスクリーン。そこで流れているガンプラバトルへ釘付けになっている。
映像は世界大会のものだ。
多くのファイターによる乱戦形式のもの。
ガンプラが飛び交う中、白いガンプラが多くの敵を倒していく。
時にWR形態になりながらビームやミサイルを回避して、敵が迫ればMSに変わりビームサーベルで両断する。
飛び交う戦火の中で多くのガンプラを倒していく機体。
その機体の名前はガンダムデルタカイWW。
大型ビームライフルで敵を一掃する姿を見て太った男が声を上げる。
「欲しい!このガンプラが欲しい!!」
手の中のワインがこぼれながらも男は気にせず叫ぶ。
その目は今も戦い続けているガンダムデルタカイWWをみている。
「このガンプラをなんとしても手に入れる!おい!」
「はい」
傍に控えている黒服に男は指示を飛ばす。
「GMに連絡を取れ」
「……わかりました」
「なんとしても、手に入れるぞ!このガンプラを僕のコレクションに加えるのだ!!」
「というわけでコウサカ、手伝え」
「前振りもなくいきなりなんですか!?」
聖鳳学園のバトル部部室。
そこで俺はコウサカを捕まえていた。
「うちの知り合い四人がショッピングモールのガンプラバトルに出るんだよ。そこでガンプラのアドバイスが欲しいという。手伝いでお前が必要になった」
「その程度のことなら先輩でなんとかできるでしょう?僕だって予定が」
「カミキ姉の写真」
「(ピクッ)」
「私服姿と水着姿、様々な角度から撮られたものだ。ファンクラブとかで入手するのも苦労するようなものばかりだぞ?」
「(ピククッ)」
もう一押しか?
「俺の手伝いをしてくれたらお前の好印象をカミキ姉に伝えてやろう?前払いとして、これだ」
硬直しているコウサカの眼前に俺はあるものをみせた。
「ガンプラを作っている時の純真なカミキ姉の写真」
「やりましよう!」
笑顔で答えて俺の手を握り締めてくるコウサカ。
うん、物で釣ったのはいけないかもしれないけれど、ここまで乗り気になったのは少し驚きだ。
コウサカを連れて俺が家へ戻るとそこには四人の先客がいた。
「スパスィーバ、ハヤテさん」
「よう、響」
挨拶をしてくるのは制服を着た銀髪の少女、響。
暁、電、雷の姿もある。
「こんにちはなのです!」
「コウサカ、自己紹介しておくと、こいつらは暁、響、雷電だ」
「「名前を一緒にしないで!」」
「冗談だ」
「えっと、コウサカ・ユウマです。先輩の手伝いでやってきたんだ」
コウサカの笑顔で暁たちが笑顔を浮かべる。
数日ほど前、暁たちからショッピングモールのガンプラ大会に出場したいということでガンプラを見てもらいたいと頼まれる。
その依頼を俺一人で引き受けるのは大変ということでコウサカを巻き込むことにした。
「それで、お前達の使うガンプラがこれか」
「SEEDのGATシリーズですか」
四人の前に置かれている素組みのガンプラ。
イージス、デュエル、バスター、ブリッツ。
「見事にザフト四機か」
「こいつら仲良し四人組だからな」
「僕は暁ちゃんと響ちゃんのガンプラを見ます。雷電コンビは」
「「だから!一緒にしないで!」」
「申し訳ない(先輩の癖が移ったか!?)」
「じゃ、そっちは任せて、やるぞ。雷、電」
「はい!」
「なのです!」
二人の前に置かれているのはバスターとイージス。
電が使うのはGAT-X303イージスガンダム。
他のGATシリーズの中で唯一の可変システムが搭載されている紅の機体。
可変して相手を捕獲、高威力のエネルギー砲で戦艦を破壊することも可能。
雷が使うのはGAT-X103バスターガンダム。
遠距離からの支援砲撃を目的としており、特性の異なる二丁の大型携行砲を装備している。
二丁の砲を前後に組み替えて連結することで散弾と収束火線ライフルとして盾が不要とされる狙撃機体。
「正直言って、操縦さえ問題なければ、素組みでも戦える機体でもあるんだが……これは一回バラバラにして、余分な部分を切り落とす方がいいかもな」
「どうすればいいの!」
「なのです!」
「今から手本を見せてやる……といいたいけれど、お前ら、なんで膝の上に座っている?
「なのです?」
「駄目なの?」
二人から見上げられる。
小学生くらいの少女たちが泣きそうな顔をされると本当に困る。
「仕方ない、まずは雷からやるぞ」
「はーい!」
「電は横でみてくれるか?」
「はいなのです!」
少し横にずれて俺の膝の上(真ん中)へ腰かける雷。
雷の使うバスターをばらして手を加えていく。
「何をやっているんだ。あの人は?」
「レディーとしてあるまじきことよ!」
「嫉妬」
「そんなことしないわよ。レディーなんだから……」
響と暁が羨ましそうにハヤテ達のやり取りを見ている中、コウサカ・ユウマは呆れていた。
目の前に置かれているのは暁と響が使うガンプラ。
デュエルとブリッツ。
これらを改造する。
ただし、自分がやりすぎてはいけない。
ガンプラバトルは子供も大好きだ。しかし、大人や自分たちのようなベテランの領域の者達が手を加えるのは最低限にしないといけない。そうしなければ後の者達の成長につながらない。
「響ちゃん、暁ちゃんの操縦をどのようにしているか教えてくれるかい」
「了解」
「わかったわ」
頷いた二人に最低限のアドバイスと改造方法を教える事だけにコウサカは考える。
目の前で桃色空間偽が出来上がっているがあれは気にしないでおこう。
全ては報酬のためだ。
コウサカは目の前で改修されていくガンプラを眺めながら冷静に。
冷静に。
「そう、そこのパーツとこのパーツを組み合わせるんだ。どうせだから」
「成程、勉強になる」
「うー、パンクしそうよ」
冷静に、彼女たちのガンプラを最高のものにするんだ。
大会当日。
俺達はチラシに記されているはずのショッピングモールへやってきた。
はずだった。
「何だ、こりゃ?」
「ショッピングモールに見えないですね」
俺達の前に広がるのは小さなビル。
なんで?
「住所を間違えたのか?」
「そんなはずは。ちゃんと端末のGPSはここを」
「とにかく、入ってみるか?」
「そうですね」
「行くわよ!」
「ハラショー」
「頑張るわ」
「なのです!」
何か嫌な予感がしつつも俺とコウサカは四人を連れてビルの中に入る。
その瞬間、音を立ててシャッターが閉じた。
「は?」
ブン!と室内が消灯した。
なんだ?
『ようこそ、待っていたよ。ハヤテ・シン君』
「は?俺?」
いきなりのことに周りが戸惑う中で、俺はため息を零す。
「俺の名前を知っているのかとか、色々と言いたいけれど、直球で聞くわ。目的は何だ?」
コウサカと共にさらりと四人を守るようにしながら声の主に尋ねた。
音を立てて目の前のドアが開かれる。
「入って来いってことか」
「先輩……」
「コウサカ、端末、連絡できるか?」
「駄目です。電波が遮断されています」
「行くしかないってことか」
俺とコウサカは頷いて奥へ進む。
「これは!?」
奥はとても広い空間。
その中心には巨大なバトルフィールドが設置されている。
「バトルフィールド?」
「なのです?」
「ハヤテさん、これは」
戸惑う四人とコウサカに対して、俺は目の前の相手を睨む。
黒い帽子にロングコートを羽織っている男たちがいた。
「成程。てめぇら、まだ生きていたのか」
男たちの胸元にある「GM」というマークを見て俺は察した。
こいつらが何者か。
「先輩、この人たちのことを知っているんですか?」
「コウサカも話に聞いたことがあるだろ?六年前、ガンプラバトルが再開しようとした時に起こった事件、それを引き起こした連中」
「……まさか、ガンプラマフィア!?」
コウサカの言葉に俺は頷く。
ガンプラマフィア。
金のためなら合法、非合法問わずして活動する危険な集団。
ビルダー、ファイターとして実力があるため、どんな依頼でも達成しようとする。
六年前に国際ガンプラバトル公式審判員の手によって完全捕縛されたと聞いた。
「生き残りがいたなんて」
「どうやら、今回の大会自体、こいつらが仕組んだみたいだな」
俺の言葉に四人は目を見開く。
「さて、早速だが、ガンプラバトルを始めようか……我々に勝利すればキミ達は無傷でここから返そう。負ければ」
「負ければ?」
「キミの持っているガンダムデルタカイWWを貰おう」
「は!?」
「お前達の狙いは先輩の作ったガンプラなのか!?」
「その通り、どうするかね?最も選択肢など」
「ないに等しい……仕方ない」
「おっと、そこの四人の少女達も参加するのだ」
「なに!?」
「ふざけるな!彼女達は関係ないだろう!?」
コウサカの叫びもガンプラマフィアには届かない。
アイツら、俺達を叩き潰すための足かせとみているようだな。
だけど。
「暁、響、雷、電……巻き込んですまないな」
「気にしないで“提督”」
「そうよ!」
「もっと私達を頼ってもいいのよ!」
「電に任せるのです!」
俺の言葉に四人はやる気を見せていた。
コウサカをみる。
「コウサカ、悪いけど、手助けしてくれ」
「わかりました。僕もこいつらのやり方を許せません」
「だよなぁ……!」
俺はにやりと笑い、四人とコウサカと共にGPベースとガンプラをセットする。
「コウサカ・ユウマ、ライトニングZガンダム!」
「暁!レディーブリッツ!」
「響……フェニックスデュエル」
「雷!サンダーバスター!」
「い、電!イージスなのです!」
最後に。
「ハヤテ・シン。ガンダムXX!」
設置したガンプラ達が動き出してフィールドへ飛び出す。
「何だ、このフィールド?」
「設定にないフィールドか、コウサカ、四人、警戒しろ」
俺の言葉に五人は頷く。
フィールドはバトルフィールドに登録されているものではない。
草原に巨大な塔があるのみ。
「さぁ、その塔の扉を潜り抜けるのだ。最上階にいる私を倒せば、キミ達の勝利だ」
六年前と似たようなことをしやがって。
苛立ちを隠さずにガンダムXXのビームライフルで扉を破壊する。
壊れた扉へ六機のガンプラが突入した。
扉の向こうは宇宙空間だった。
「どうやら、六年前と似たようなフィールド形成のようですね」
「コウサカ、六年前のこと、どれだけ覚えている?」
「あまり、終わった後のことしか」
「ガンプラマフィアは卑怯な手を使う。注意しろよ」
「はい」
コウサカと会話をしていると大量のガンプラが飛び出す。
放たれる光線を回避する。
「早速お出まし……おいおい、多すぎだろ」
現れたのはジム。
ジム。
ジム!
とにかく、無数のジムが出現していた。
「なんで、ジムなのよ!?」
「ガンプラマフィアは基本的にジムを使う。GM/GMだ」
現れたGM/GMがいないか探しながらビームライフルを構えようとした時だ。
「司令官、ここは私達に任せてほしい」
フェニックスデュエルを先行させながら響が言う。
「そうよ!ここはレディーのやることよ!電、雷は二人と一緒に行きなさい!」
「でも!」
「暁ちゃん、響ちゃん!」
「任せていいんだな?」
「当然だよ」
「レディーの力をみせてあげるわ!」
響と暁の顔を見て俺は決める。
「コウサカ、行くぞ」
「……わかりました」
顔をしかめながらコウサカは頷く。
本当なら二人をここに残しておきたくない。自分も残っておきたいのだろう。
だが、そうすれば、この事態の解決につながらないことを理解しているのだ。
「二人なら大丈夫だ。操縦も教えている。何より、お前が改修したガンプラだ。信じていい」
「はい!」
「暁、響、雑魚の中に本体が紛れ込んでいる。油断。するなよ」
「了解」
「わかったわ!」
二人に後を任せて俺達は先を急ぐ。
ゲートをふさぐガンプラは俺とコウサカで叩き潰す。
しばらくゲートを進むと二つの分かれ道が現れる。
「分かれ道なのです!?」
「どうします?先輩……」
「俺と雷、コウサカと電で別れる。どちらかがゴールにつながっているはずだ。コウサカ、気をつけろよ」
「先輩も無茶をしないでくださいね」
二手に別れる。
コウサカ・ユウマと電のライトニングZガンダムとイージスなのですは雨が降る草原フィールドに到達する。
「ここは」
「待っていたぞ。コウサカ・ユウマ!」
「コウサカさん!」
鳴り響くアラートにライトニングZガンダムとイージスなのですはその場から離れる。
「直上!」
コウサカが見上げるとνガンダム(ジムヘッド)がライフルとバズーカを手にして襲い掛かる。
「くっ!」
ライトニングZガンダムが盾でビームを防ぎ、ライフルを構える。
「遅い!フィンファンネル!」
νGM/GMから放たれたファンネルがコウサカ達を襲う。
「させないのです!」
イージスなのですが腕から刃を展開してファンネルを切り裂いていく。
支援するようにライトニングZガンダムの狙撃がファンネルとνGM/GMの動きを阻む。
「電ちゃん!」
「はい、なのです!」
動きを止めている敵機にイージスなのですが飛び込む。
懐に入られたνGM/GMは反応できない。
このまま相手を倒すという瞬間、フィールドに無数のGM/GMが現れる。
「乱入!?普通にバトルをするつもりはないということか」
「当然だろ!」
「ならば、教えてやるよ。僕が作ったガンプラは伊達ではないということを!」
「負けないのです!」
現れた無数の敵影に二機のガンプラは突撃していった。
「ここは」
「ようこそ、最上階へ!お待ちしていたよ!!」
俺と雷がたどり着いたのは荒れ地のようなフィールド。
ガンダムXXとサンダーバスターが到着すると同時に地面から巨大な音を立てて現れるガンプラ。
「コイツ……」
「司令官、これはなんなの!?」
「サイコガンダム……いや、ジムヘッドだからサイコジムといったところか?」
巨大なガンプラ。
それは機動戦士Zガンダムに出てきたサイコガンダムだった。
違う点があるとすれば、サイコガンダムはファーストガンダムをモデルとしているのだが、このサイコはジムをモデルとしている。
かといって、量産型デザインというわけでもない。
「雷、距離を取りながら砲撃だ。ミサイルで関節などを狙え」
「わかったわ!」
サンダーバスターが両肩からミサイルを放つ。
サイコジムはゆっくりと突き進む。
ミサイルを受けて少しのけ反る。
だが、それだけだ。
「固そうな装甲だな。おい!」
叫びながらビームライフルを撃つ。
攻撃を受けたサイコジムは手の指先から大量にビームを放った。
ガンダムXXはサンダーバスターを守るように左手を構える。
大量のビームがガンダムXXの左手に吸収されていく。
「ほぉ、だが、いつまでその小さな体で防ぎきれるかなぁ?」
笑いながら繰り出されるビームの嵐。
「司令官!私が何とかするわ!」
「雷、無茶はするな!」
サンダーバスターが前に出て高威力のビームを放った。
しかし。
「うるさい羽虫だ」
サイコジムの巨大な手がサンダーバスターを捕まえる。
メキメキとサンダーバスターの体が歪んでいく。
逃げ出そうともがくがサンダーバスターは動かない。
バチバチと関節部が悲鳴を上げていく。
「一か八か……」
操縦桿を動かしてSPモードの二番をタッチする。
その瞬間、ガンダムXXの右腕、右肩の装甲が左右に展開し、大量のプラフスキー粒子を放出する。
「大穴、あけてやるよ」
エネルギーをチャージしたビームライフルから放たれた極太の光弾がサイコジムの頭部、胸部を消失させる。
「雷、大丈夫か?」
近づいてビームサーベルでサイコジムの腕を切り落としてサンダーバスターを救出する。
「大丈夫……でも、サンダーバスターが」
サイコジムに握りつぶされかけたからか、フレームのいくつかが歪んでいる。
「とにかく、これで勝利……」
待て。
何かがおかしい。
システムが試合終了のアナウンスを伝えていないことに気付いた俺が周囲を警戒しようとした時。
地面から大量のビームが俺達のガンプラを包み込んだ。
「先輩たちは!!」
コウサカと電、暁と響のガンプラが最終フィールドに到着した時、そこはとんでもない光景が待っていた。
焼野原になっているフィールド。
一部の崖が溶けている。
その中心に佇む金色の巨大な怪物のようなガンプラ。
後部から大量の赤い粒子を放っている。
「あれはアルヴァトーレか!」
それはガンダム00のファーストシーズンに登場する巨大MA。
疑似太陽炉を搭載したMAであり、主砲は主人公たちの旗艦プトレマイオスを半壊にまで追い込んだ威力を持つ。
しかし、コウサカの知るアルヴァトーレと異なり、アルヴァアロンの上半身がアルヴァトーレから伸びている。ちなみにボディはGM/GMである。
GMアルヴァアロンの砲の先には半壊しているサンダーバスター。
全身から煙を吹き出しているガンダムXXの姿がある。
「先輩!大丈夫ですか!?」
「コウサカか。俺は大丈夫だ。それよりも雷のサンダーバスターを」
「雷ちゃん!大丈夫なのです!?」
「応答しなさいよ!」
「だ、大丈夫!でも、バスターは動かないの」
「それでも、雷が無事でよかった」
四人が抱えるようにしてサンダーバスターを遠くへ連れていく。
「先輩、こいつは」
「コウサカ、少し頼みがある」
「頼み?」
「おやおや、遅れての援軍かい?無駄だよ。このGMアルヴァアロンに勝てるものは存在しない」
挑発してくるガンプラマフィアの言葉に顔をしかめてしまう。
かなりの改造が施されていることはみればわかる。
「先輩、何を」
「お前のビームライフルでXXの背中を撃て」
「え!?」
「エネルギーが足りないんだよ。雷の機体を守るために粒子を使ってしまって、フルパワーに程遠い……あの金ぴか野郎を潰すにはエネルギーがいるんだ」
「わかりました」
「悪いな」
コウサカのライトニングZガンダムのビームがガンダムXXの背中に直撃……することなく、吸い込まれる。
続けて放たれるエネルギーを吸い込む。
「余計なことをせず、おとなしく消えたまえ!」
GMアルヴァアロンの両手がGNビームライフルをガンダムXXへ向けようとした時。
後方にいたフェニックスデュエル、イージスなのです、サンダーバスター、レディーブリッツがそれぞれの武装でGMアルヴァアロンを攻撃していく。
攻撃されたGMアルヴァアロンが下半身のアルヴァトーレの主砲を撃とうとした時。
「待たせたな!」
射線上に飛び出す純白の機体。
ガンダムXX。
持っていたビームライフルを撃つ。
アルヴァトーレの主砲に光弾が直撃、大爆発を起こして主砲が消滅した。
「なんと!?」
ガンプラマフィアが驚く中、煙の向こうからアームセイバーを展開したガンダムXXが現れる。
GNフィールドを展開するGM/アルヴァアロン。
そのシールドをアームセイバーが切り裂く。
「まだだ!」
アルヴァトーレから腕が伸びてガンダムXXを捕えようとする。
瞬間、
「エクスプロージョンだ」
ガンダムXXの瞳が赤く輝き、体から大量の粒子を吹き出し、力を増す。
EXAMシステムとRGシステムを独自に改造したハヤテ・シンのシステム。
瞬間的にガンプラの性能を一点集中で引上げ、その力で相手を倒す。
アームセイバーの腕がGM/アルヴァアロンの両腕を切り落とし、仕込み腕を足で叩き潰す。
武装を仕舞い、ビームサーベルでアルヴァアロンとアルヴァトーレの体を引きはがした。
「コウサカ!」
「はい!!」
ハヤテの叫びと共にライトニングZガンダムの狙撃がGMアルヴァアロンを貫いた。
攻撃を受けたGMアルヴァアロンが爆発して地面へ落ちていく。
システムがバトル終了を告げる。
二日後。
「その後、どうなったんですか?」
カミキ弟の家で先日起こった騒動について話をしていた俺にホシノ後輩が尋ねてくる。
「どうなったも何も、連中を追いかけていたガンプラバトル公式審判員の人たちに身柄を預けて、俺達は解放……大会も偽物だったんだよ。疲れただけだ」
「でも、先輩、凄いっすね!MAも倒してしまうなんて」
「あの時は正気を疑いましたよ。いきなり自分を撃てなんていいだすんですから」
「仕方ないだろ?敵の粒子は何か細工されている可能性があったから、コウサカの機体しか当てがなかったんだ。サンダーバスターなんかボロボロだったしな」
「それで、あの子達はどうしているの?ガンプラバトルを続けるのかしら」
やってきたカミキ姉の質問に俺は答える。
「続けるさ」
俺の言葉に全員の視線が集まる。
「どうも、俺のXXのエクスプロージョンをみたせいで、本気でガンプラバトルに打ち込みたいといって、色々と勉強しているさ」
「それはよかったです」
コウサカがほほ笑む。
俺も同じように笑った。
「さて、俺の話はここまで、お前らの全国大会予選について、打ち合わせしようじゃないか」
「はい!」
「わかりました」
「今年も勝ちますよ!」