とらんあんぐる組曲   作:レトロ騎士

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『隠しておきたい過去。語りたくない自分。
 いくつもの傷痕を見せない為に、その上に新たな傷をつくる。』


第三章

 

        ◇

        

「おい、こんな状況なんだ。黙っているとは言わせないぜ!」

 

 真雪が瞳に詰め寄った。

 ソファーでは薫が寝かされて、愛が額に冷やしたタオルをかけている。

 十六夜と御架月は霊力を消耗しているらしく、いくら剣に呼びかけても出てこない。そして肝心の耕介の姿が消えていた。薫を無理やり起こすわけにもいかず、真雪は先ほどの話を聞くことにしたのだ。

 それはたんに好奇心ではなく、耕介の剣の師匠とも言うべき薫を倒したのが、間違いなく耕介本人だということからだ。

 

「神咲に勝つには偶然とかたまたまとか、そんなレベルの話じゃない!耕介の腕は何度か打ち合ったあたしもわかるが、まだまだあたしらにはおよばねぇ。急激に成長したなんてのはナンセンスだ。てことはアイツが純粋に神咲より強いってことになる」

「そう……です。というより、『戦い』に関していえば一番才能があるのは耕ちゃんだと思います」

 

 きっぱりと言いきり、一息置いて彼女は続ける。

「剣道選手としてなら真雪さん、武道としてなら私、剣士としてなら薫がそれぞれ抜きん出ています。薫と私で試合すれば七対三位で私ですが、実戦なら薫が分があるという感じですね」

 

「じゃあ、耕介は何なんだ」

「バーサーカー? ――うーんと……キレた時だけって意味では『象』って感じかも」

「な、なんかますますわからなくなって来てしもーたんですが……」

 

 ゆうひが頭を抱え込んだ。

 

「私、二度だけ本気でキレた耕ちゃん見たんだけど……あのときの耕ちゃん、思い出したくもないくらい怖い顔して――十数人の武器を持った暴走族相手に一人で全員再起不能にしちゃったの」

「そ、そんなことが……」

「それだけじゃないのよ、愛さん。その暴走族の他のメンバーが耕ちゃんに復讐しようとしたんだけど、半グレ、っていうの?。麻薬やらなんやらでそのグループの凶悪さに目をつけていた警察がアジトに乗り込んだら、銃や刃物を持った数十人の男達が血だらけで倒れてたの」

「そ、それって……」

「そう、耕ちゃん。一人でそんな事が出来るわけないって警察は対抗組織の暴走族とかを探ってたし本人も否定してたけど、私はその日返り血で真っ赤になって息を荒げてた耕ちゃんと会って家で手当てしたから間違いないわ。それ以来、地元の不良達の間じゃ『百人殺しの鬼』とか『死神耕介』とか呼ばれてたんだから」

 

 シーンとリビングに静寂が集まる。

 想像の許容量を超えたのか、みなみと美緒が目を回していた。他の女性達も息を飲んで黙ってしまっているが、真雪だけは納得いかない様子で訝しがっている。

 

「そんな奴があんなに変わったって?ぜーったい信じられねー!だいたい今の耕介が昔のようだって言うんなら、性格も昔に戻ってるってことかよ。傷つけた神咲を放っておいてどっかにいっちまうような奴に!」

「違う!」

 

 瞳が怒鳴る。息を荒げていたがすぐに落ち着かせて、また語り出した。

 

「本質的な面では耕ちゃんは変わってません。汚いゲスには容赦ないけど、弱い人やなにかに一生懸命な人には何だかんだで優しかったし。多分、前より素直になっただけです。私は、耕ちゃんが他人が幸せになる事で喜びを感じられる人だと信じてるから。だから――今耕ちゃんが何か隠してるかもしれないけど、信じてあげてくれないかな」

 

 にこ、っと、瞳が笑った。

 寮生達は、少し俯きながら考え込んでいる。

 先程彼女達とは約束したが、少し、いやかなり心配になってきた。やはりこの事は黙っているべきだったか――

 

「うん……私も信じるよー」

 

 知佳が憂いを秘めた笑みを浮かべて、そう言った。

 

「お兄ちゃん、優しかったもん。私の羽根を見ても『きれいだ』って笑ってくれた。妹になって、ずーと一緒に暮らしてきて……私が好きになったお兄ちゃん――。だから、私は信じるよー」

「……そうですね」

 

 知佳に続いて愛が顔を上げた。

 

「千堂さんの話に出てきた耕介さん、わたしが小さい頃にあった耕介さんとそっくりです。そして、耕介さんがこの寮に初めて来たときもそのときと変わってないと私は感じました。耕介さんは耕介さんですよ」

 

 吹っ切れたように愛が言った。

 隣にいたゆうひがそんな愛に触発されてか、ウンウンと頷きながら、

 

「そや。うちのボケに突っ込んでくれる耕介くんは、良い人に決まってる!相方として信じんでどうする!」

「あんなおいしい料理作ってくれる耕介さんが悪い人な訳ないです!」

「なのだ~!」

 

 みなみ、美緒も続く。一同は先程までの雰囲気も忘れて盛り上がった。だが、そこで彼女達がぴたりと止り、一人の人物をじっと見つめる。

 その人物――真雪は慌ててそっぽを向いた。だが照れくさそうに煙草を咥えながら、

 

「あーもう、あたしだってはなから信じてるよ!あたしが信じらんね―のはアイツが強いってことだけだ!当たり前だろ!」

 

 リビングにわっという歓声が響く。

 

「うちも……信じたいです」

 

 全員がソファーを振り向いた。

 薫がまだ痛む脇腹を押さえながら、その上半身を起こしていた。

 

 

         ◇

「耕介さん……どうしたんですか。霊力の同期が全然出来ていません」

「す、すまん……十六夜さん、もう一度お願いします」

 

 手に持った十六夜に再び力をこめる。それに伴い耕介の後ろに立つ人型の十六夜が、目を瞑り集中した。

 十六夜の刀身が微かに燐光を纏っていき、それがだんだんと強く――ならない。

 それは電池の切れかけた懐中電灯のように少し光ったと思うと弱まる事を繰り返し、最後にはすっと色を失い完全にただの鋼色に戻る。

 

「……耕介様?」

 

 十六夜が心配そうにその名を呼ぶ。耕介は焦ったように頭を振りながら、

 

「まってくれ、もう一度――」

「……今日は、もういいです」

 

 薫が溜息を吐きながらそう言い放つと、十六夜が眉を曲げた。

 

「薫、休憩入れてそれからもう一度お願いします」

「駄目。十六夜も気付いているじゃろ。今日の耕介さんは全然集中ができとらん」

「それは……」

 

 薫の言う通りである。十六夜自身が感じた霊力の不同調は一ヶ月前から時折見られ、さらに調子の悪くなっているここ数日でも最悪のものだった。十六夜には見ることが出来なかったが、霊剣十六夜に見られた点滅のような燐光も、力そのものは十分であるにもかかわらずそれが正常に流れていない為である。それは、全ての基本である集中がまるで出来ていない証拠だ。

 

「いったいどうしたとですか。先ほどの剣の稽古の時も上の空になる事が多かったですし、ここ一ヶ月の耕介さんは気合が全然入っていません」

「……いや、なんでもない。気のせいだよ」

 

 耕介が視線を逸らしてそう呟いた。

 まただ――最近の耕介にどうかしたのか聞くと、必ずこういう答を返してくる。少し煩わしげな表情を浮かべながら、だ。これで何でもないと言うのなら、どんなときに心配すればいいというのか。

 

「いいかげんにしてください!それとも、これがあなたの実力だと言うのなら、十六夜を耕介さんに継がせることなど出来ません。別の人間にまかせてもよかとですよ!」

 

 普段の薫なら、どんなに怒ってもこんな言葉は言わなかったはずだ。十六夜の望みを否定、無視するような発言は。

 だが、挙動のおかしい耕介への不安、自分に隠し事をしていることの悔しさ、もどかしい苛立ち。そんな事が一度に加わり薫の怒りは限界まで来ていた。そして、弟にあれだけ大見得を切って誉めた耕介の出来映えに、裏切られたような感覚さえ絡まり、彼女は自分自身でも後々後悔するほどの暴言を吐いてしまった。

 しかし、それに気付いたのはもっと後の事で、今の彼女は耕介を睨み感情を押さえずにいた。

 

「耕介さん、聞いているんですか!」

 

 俯いたまま反応のないの耕介に薫が怒鳴った。

 

「……は……ない」

 

 彼は身じろぎ一つしなかったが、小さな呟きらしきものをして、手にした十六夜を強く握り締める。

 

「耕介……様?」

 

 そして十六夜がまず彼の異変に気付いた。いつも彼が纏わせているやさしい気配が、今まで感じた事もないほどの大きな感情の高まりに変わっている。だがそれに気付いた瞬間、刀身と頭身、二つの十六夜がビクンと跳ねた。

 

「ああああああ!」

 

 耕介が握り締めている刀がかあぁっと大きく光り輝いていき、その光に比例するように十六夜自身も悲鳴のような声を上げ、霊剣へと吸い込まれた。

 

「十六夜!?」「姉さん!」

 

 そして薫達が異変に気付いたとき、耕介が動いた。

 

「十六夜は誰にも渡さねぇ!」

「な!?」

 

 すさまじい形相で、耕介が十六夜を構え薫に突っ込む。少女は急な展開に驚きながらも、体に染み付いた動きで横に飛ぶ。なんとかその一撃を交わすが、耕介は霊力に満ちた十六夜を水平に凪ぎそれを許さない。

 

「ちいぃ!」

 

 御架月で辛うじて受ける。それと同時に後ろに飛ぶと、急いで自らの霊剣に霊力を注いだ。

 

「薫様、まさか!」

 

 御架月の問いに答える暇などなかった。

 

「っはあああああああ!」

 

 キイン!チン!キン!

 

 耕介から繰り出される連続の剣筋は無茶苦茶で、一灯流に限らずとも型になっていない。しかし、純粋に重く、早い。そしてそれは確実に薫のそれを勝り追い込んでいく。

 

「そ、そんな……」

 

 手加減しているわけではない。みね打ちにしてはいるがそのせいで剣技そのものの手を緩めているわけではないのだ。にもかかわらず、弟子である耕介に手も足も出ない。

 

「うおおお!」

「ぐぅ!」

 

 耕介の一撃が、脇腹辺りで受け止めた御架月ごと薫の体を弾き飛ばす。地面に叩きつけられる瞬間受身を取って体制を取り直したが、ずきり、と重苦しい痛みが彼女のアバラ骨辺りから響いた。先の攻撃の衝撃を殺しきれずにいたらしい。

 だが、そのおかげで彼との間に距離が開いた。この間合いでなら――

 

「神気発勝……真威、楓陣刃ぁ!」

 

 薫が光の塊をその剣先から繰り出す。さらに――

 

「洸桜刃ぁぁ!」

 

 奥義の連撃。それは薫が御架月を手にしてから猛練習した努力の結晶。例え一撃目をかわしても、その逃げ道を塞ぐように二撃目が襲う。さらにそれを受ける事を考慮して、すでに追の太刀の予備動作に移る。実質三つの技の複雑混合技であり、技の出を早めて威力よりも命中させる事に重きを置いている。これならばたとえ直撃しても致命傷にはならないはずだ。

 だが――

 

 ばちぃ!

 

「な!」

 

 耕介は一撃目を十六夜で防ぐと、次いでくる洸桜刃を開いた左手で受け止めた。ばしゅうと煙を上げて光塊が握りつぶされる。光が消えた後、彼の手はうっすらと燐光らしきものを纏っているが、傷一つついているようには見えない。

 手加減をしていたとはいえ、霊剣により増幅された霊力の塊を生身で受けきれるものではない。ましてや直撃をして無傷でいるなど――

 

「薫……」

「こ、耕介さん?」

 

 耕介が突如頭を抱えて膝をついた。ゼイゼイと息を切らせ、何かを必死で堪えているようだ。

 

「に……げろ」

「え……」

「早く逃げろ!」

 

 耕介が叫んだ。

 薫は悩む。今の隙だらけの耕介なら確実に決められる――

 そう判断し、薫は御架月を構え一歩の踏み込みで耕介の正眼に飛び込み、痛む脇腹を無視して彼の首筋に刀の峰を落とす。もらった、と彼女が確信した刹那――

 がぁん!

 燐光を発した耕介の腕によって止められた。そして薫に大きな隙が出来る。

 

「しまっ……」

 

 すでに十六夜の切っ先が薫の胸に向かい標準を会わせ、それが恐ろしい速度で迫り――

 

「薫さまぁ!」

 

 思わず目を閉じた薫の耳に、御架月の声と、ざくぅと嫌な音が聞こえてくる。だが不思議と切られたときの鋭い痛みはなく、代わりに先ほど傷ついた脇腹が軽く悲鳴を上げていた。

 間を置いて開いた眼前には、不可解な現実があった。彼女を庇う様に立つ人型の御架月の直前で血に染まった刃が止っている。届いていない刃の血の原因は――

 

「耕……介さん……」

「ぐ、う……大丈夫か……薫」

 

 耕介の左の手の甲から刃が貫かれ、そのままの形で十六夜の刀身が握り閉められている。まるで、右手と左手に別の意思があるような、そう思わせる光景だった。

 ずるりと剣が引き抜かれ血が滴り落ちる。

 ザク、と十六夜を地面に突き刺し耕介は「はあ」と大きく息を吐いた。顔を上げた彼の顔は、いつもの明るい耕介のそれではなかったが、少なくても今までの恐ろしいものではない。

 

「こ、耕介さん……」

 

 薫の呼びかけに、はっと彼女の方を向く。薫は負傷した部分に左手を添えて、御架月に体を支えられている。怪我はしていないようだがよほど霊力と神経を使ったらしく体に力が入らないようだ。その姿がなんとも痛々しい。

 

「あ、ああ……」。

 

 そんな彼女を見て、耕介は何かに恐怖したように震え出しす。

 

「あああ……うわあぁああ!」

「耕介さん!?」

 

 耕介がいきなり踵を返して、外につながる門に向かって走る。あわてて追いかけようとするが、体の方が言うことを聞かない。その間に耕介は外へ飛び出してしまった。

 仕方なく残された十六夜の無事を確認しようと手に取ろうとした瞬間、おかしい事に気付いた。

 

「十六夜が……まだ霊力を放っている!?」

 

ドン!

 

 溢れ出た光源は力となり、破裂音を立ててその奔流を辺りに流す。薫はとっさに御架月を構えるが、それはあまりにも急過ぎた。

 

「きゃああ!」

「うわあ!」

 

 霊剣が飛ばされ、光が彼女を襲う。そのさなかで、自分を襲っている光の恐怖よりもそこから感じ取れる寂しさのような感覚を不思議に思いながら――彼女の視界が暗転した。

 彼女を支えていた御架月共々後ろに吹き飛ばされ、その衝撃で徐々に意識が薄らいでいく。自分が硝子をぶち破りながらさざなみ寮の中に入ってしまったことをかろうじて認識する。

 愛に体を抱えられ、先ほどの出来事を伝えようとするが――

 

「こ……こうす……」

 

 唇を動かす感覚もなくなって――完全に彼女の意識が途絶えた。 

 

 

 

 

「あとの出来事は、皆さんの方がよく知ってると思います」

 

 薫の話が終わり、皆が「ほう」と溜息をついた。

 

「でもなんで、十六夜さんが最後に爆発したん?」

 

 ゆうひが首をひねる。

 

「多分、十六夜は耕介さんから送られた大量の霊力を、うち達を傷つけないようにずっと押さえていたんです。ですが耕介さんの手から離れた事で、許容量を超えていた霊力の行き場がなくなり暴発したのだと思います。といっても霊力が吹き出ただけですから、十六夜自体には影響ないはずです。今は気絶しているような状態かと」

「え……じゃあ、耕介君は十六夜さんに力を押さえられている状態で、それで薫ちゃんよりも強かったんですか?」

「……ええ、もともと霊力の許容量ではうちより超えていると踏んでましたが、予想以上でした。それに体術的にもうちの遥か上でした。ですが、今まで手を抜いていたとも思えませんし……千堂の話は本当だったということです」

 

 急に自分の名が上がり思わず自分の顔を指差す瞳。

 

「神咲……いつから聞き耳立ててたんだ」

「話の腰を折るタイミングがなかっただけで、そんなつもりはなかとです。……一応、耕介さんと暴走族辺りの話からは聞いてました」

 

 少しだけ申し訳なさそうに薫が言った。質問をした真雪がそのついでとばかりに、

 

「聞き耳っていやあ、あたしらがここで話し込んでいたってのにおまえらがそんな事になってるなんて気付きもしなかったが、なんか理由でもあんのか?」

「……最近は、神気を飛ばす奥義の練習をしてましたから、万が一のことを考えて一応防音処理もかねた簡単な結界を張っておいたんです。外からの音は聞こえますけど」

「結構気を使ってたんだな……。ご苦労なこって。んで、アイツがキレると強いのはわかったとして、結局なんだって耕介があんなにキレちまったんだ?」

 

 薫が俯く。わからない、と言う意思表示だろうか。

 

「結局……そこにもどっちゃうんですよね……」

「なのだ」

 

 みなみが呟き、それに合わせて美緒が頷く。残りの寮生も同じだ。すると知佳がおずおずと手を上げた。発言するのに別にそうする必要はないのだが、そういう動作が彼女らしい。

 真雪が妹に「ホレ」と煙草で促した。

 

「えっと、お兄ちゃんは、十六夜さんは渡さないって言ったんだから……やっぱり十六夜さんに関係あるんじゃないのかな」

「そうだろうなー。でもどう言う意味だ?渡すも渡さないも十六夜の所有者は耕介だろーに。神咲家の形式云々はともかく」

 

 妹の疑問に頷く真雪。

 

「……うちが、十六夜を別の人に任せるって言ったせいでしょうか」

 

 薫が声を落としてそういうと、真雪はつまらなそうに煙草に火をつけ、

 

「だって本気じゃなかったんだろ?アイツがそれに気付かないとは思えねーぞ」 

「いいえ、耕介様は嫉妬する自分に悩んでいたせいで、正常な判断が出来なかったんでしょう」

 

 真雪に続いてそう答えたのは――

 

「みかちゃん!」

 

 愛が驚く。薫の部屋に安置しておいた二本の霊剣。そのうちの一本、御架月が人型を取りいつのまにか一階に降りていた。

 

「御架月……大丈夫?」

「はい、薫様。完全ではありませんが霊力も少し戻りました。姉さんもまだ意識が戻りませんが、大丈夫です」

 

 薫、他一同がほっと息をつく。

 

「ところで御架月。なにかわかったと?耕介さんが嫉妬したって……」

「ええ、先ほどの打ち合いをしているとき、姉さんから伝わる耕介様の神気がそう教えてくれていました」

「どうして、それが嫉妬だとわかる」

「わかりますよ……。僕も、姉さんが僕ではなく神咲家を庇った時、嫉妬に狂いましたから」

 

 ばつが悪そうに少し顔が暗くなる御架月。薫がそんな御架月に僅かに「すまん」と詫びる。

 

「でも、嫉妬するって誰に対してなんです?寮内には女性しかおらへんし、十六夜さんに誰か他にそういう関係になるような男がいるとは思えへんし」

「それは……おそらく――」

 




ワイ氏、読み返して耕介のKOUSUKEっプリに悶える

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