鳥ウナギ骨ゴリラ   作:きりP

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短編の異世界転移までを導入にして、普通に四人で転移しちゃった話になります。
なおメンツがアレなので下ネタが多めになるのはご勘弁を。


鳥ウナギ骨ゴリラIf――異世界新婚旅行編――
1 異世界は四人で


「ペロロンチーノさん! 俺、アルベドを幸せにします! 彼女にいい暮らしをさせてあげたいです!」

「モモンガさん顔怖っ!? ゲッソリしすぎだからね!? まあ俺も水分全部シャルティアに持ってかれた感じだけど、とにかく落ち着こうよ」

 

 卒業しちゃうと変な自信が沸いてきちゃうのも分からないでもない。それもあの絶世の美女を相手にだ。なんか立場が逆のような気もしないでもないが、モモンガを言葉巧みに落ち着かせていくペロロンチーノ。

 正直自分だってシャルティアを相手に丸一日狂ったように盛っていたのだ。性癖の合致って怖いと思いつつも疲労無効装備に感謝する。無かったら二人とも腹上死していたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 幸せなキッスをキメた彼らは草原にいた。唐突な舌が絡みあう感覚に驚愕したのは一瞬で、その心地よさに夢中になっていた。

 彼女から香るちょっときつい香水の匂いや「くちゅっ……ちゅっ……ぺろろんちゅ……ちーのさまぁぁん」などの脳髄を焦がす艶めかしい声も後押しするが、意を決してシャルティアを自身から離すペロロンチーノ。

 

「ぺろ……ペロロンチーノ様?」

「モモンガさん!!」

 

 アルベドとのキスに夢中になっていたモモンガも、その叫び声に驚きアルベドを離してペロロンチーノを見つめる。

 

「時間は過ぎてる!!」

「!?」

 

 モモンガもペロロンチーノの叫び声にあたりを見回し我に返る。

 目の前の情欲に濡れそぼった瞳のアルベドは置いておいて、満天の星空の元、大地の匂いさえ感じる草原に驚愕する。

 

「夢でもバグでもいい!!」

「!?」

 

 

 

 ザァアアアっと草原に一陣の風が通り過ぎていく。

 

 

 

「……なら最後までやっちまおうぜ!」

「おうよ!!」

 

 モモンガは中空に手を差し込むと『グリーンシークレットハウス』と呼ばれる拠点制作用のアイテムを取り出し起動する。そしてアルベドの手を握り優しく抱き寄せた。

 

「アルベド……お、お前の全てをもらってもいいかい?」

「あっ!? あぁぁ……もちろんでございますモモンガ様ぁ……」

 

「シャルティア。部屋は複数あるんだ……野外プレイも乙なもんだが、お前の初めては優しく奪ってやりたい」

「ふわっ!? ぐすっ……だいすきで……大好きでありんすペロロンチーノ様ぁ」

 

 両者寄り添いあい、まるで焦らすかのようにゆっくりと大きなテントの中に足を踏み入れる。

 踏み入れた先はリビングスペース。中央に大きな丸テーブルがあり、キッチンスペースも見受けられるが、テーブルの奥に四つの扉が見て取れる。

 

「右端はモモンガさん、左端は俺の部屋だ。間の二部屋はお前たちの部屋になるだろうが……ふふっ、いつお前たちは自分の部屋に戻れるんだろうなあ?」

「え? 戻すつもりなんか無いよ?」

「くっ!? クフゥウウウ!!」

「はうっ!? どうなってしまうのでありんす!? どうなってしまうのでありんす!?」

 

 もう四人ともテンションマックスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれですよね、美人は三日で飽きるとか聞いたことありますが、これ言った人の相手はそれほど美人ではなかったんでしょうね」

「表情がな~、コロコロ変わるんだよ……それが可愛くて可愛くて……って!? ちがうちがうモモンガさん。そろそろ真面目にこの状況を考えようよ」

「あっ!? あぁそうでしたね。確実に夢と言う線はありえませんからね」

 

 さすがにこれが夢だったら自分の想像力にドン引きですよと笑いながら二人で考察を話していく。

 なおシャルティアとアルベドは二人でバスルームへ。今頃ガールズトークに花が咲いている頃であろう。二人の仲については気になるところではあるが、二人がいない間にしなければならない話もある。

 

「まず問題は食料ですね」

「え? そこ?」

 

 ユグドラシルが終了しているのにということや、ナザリックの玉座の間から草原のような場所にいたことなど、考えることはそっち方面のことばかりと思っていたモモンガは、ペロロンチーノの発言に呆気にとられる。

 

「このままだと俺たちあと三日も持たずに死にます」

「……は?」

 

 この男は何を言ってるんだと思いもしたが、若干頬がこけたペロロンチーノを見て合点がいった。ああ、そうか、このままヤリ続けてたら確実に死ぬよなと。

 

「転移? 転生? ゲームに取り込まれた? そんなことはどーーでもいいんです。俺怖くてコンソール出せませんもの。うっかりログアウトに触れてしまったらとか考えちゃって」

「うわっ……なるほど。でもそれについては安心してください。コンソールは出ませんでしたよ」

 

 『うわっ』じゃないし『安心』でもないのだが、ペロロンチーノは心底安堵した表情で笑顔を見せる。

 

「俺自身がびっくりですが、はっきりいって丸一日セックスし続けてたって尋常じゃないですよね」

「……言葉にするともう、バカ丸出しというかサル丸出しというか」

 

 時間の感覚がなくなる程夢中になっていたのだが、壁に掛けけられているデジタル時計は20:27と表示されている。これはゲーム内時間ではなくリアルの時計だ。この場所に来たのが24時であるのは間違いないので、本当に丸一日ってことだ。

 

「これを可能にしたのは間違いなく俺たちが彼女たちを愛しているからなんですが」

「それが一番ですけどもう一つは……ステータスかなあ? 疲労無効装備とリング・オブ・サステナンス(睡眠・飲食不要効果)のおかげってこともあるかも?」

「あーステータスですか。俺は疲労無効装備のことしか考えてなかったです」

 

 確かに後衛職だけどレベル90台なら体力もそれなりにあるよなと納得するペロロンチーノ。つまりはそれってリアルの身体ではなくゲームのアバターのままなのかと思い立つ。二人とも若くは作っているが無駄にリアルに寄せすぎたためそれに気づくのが遅れたのだ。

 

「飲食不要、疲労無効……でもあれだけ出したら痩せもするわなぁ」

「腹が減らないから食べなくても大丈夫なことは間違いないんでしょうが、それとこれとは別問題なんでしょうね」

 

 二人にとっては大問題である。彼女たちに抗うことは出来ないが、死んでしまったら元も子もない。逆に言えば食料問題さえ解決すれば永遠が約束されるのだと。

 そういえば人間種になったから食料が必要になり、指輪に課金するまでの間システムとして食べていたことを思い出すモモンガ。あれ? このグリーンシークレットハウスはどうやって出したんだ? もしかしたらと思い右手を中空に突き出す。

 

「あっ! いけます! ありますよペロロンチーノさん」

「うぉっ!? もしかしてアイテムボックス? お? 俺も出来たよ!」

 

 嬉々として食料を取り出すのだが、出てきたものは虹色に輝くお団子のような丸い物体であった。

 

「そういえば試しに買っておいた『携行丸』しか持ってなかった……」

「ゲームとしてはまったく気にしてなかったけど……えぇ……これ食べられるの?」

 

 携帯食料としては一般的なアイテムではあるのだが、リアルで目の当たりにすると困惑するしかない。

 テーブルの上を転がしたりしながら、頭を捻るが食べて見なければ始まらないと、モモンガは意を決してかぶりつく。

 

「ど、どう? モモンガさん」

「う、うーんなんの味もしなくて逆に怖いんですが、お腹が膨れた感はありますね」

 

 とりあえず問題解決? なんて二人して首をひねりながら言葉を交わしていくのだが、何故か嫁の手料理の話へと話題が変わったり『無限の水差し』で飲んだ水に感動したりと、話題が二転三転しながらお互いの嫁自慢が始まっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アルベド。泣いているのでありんすか?」

 

 ナザリックと比べたら格段に小さな風呂ではあるが、足を十分に延ばせるほどの浴槽につかり、二人は言葉を紡いでいく。

 

「ふふっ、ごめんなさいね。嬉しすぎても涙って出るのね……感情のキャパシティを越えてしまって……あぁ……もう、すごかったわ!」

「その話ならペロロンチーノ様だって……う、ダメダメ、この話長くなるでありんすよ! お風呂から出てまた求められたら抗えないでありんす! 今のうちに出来る考察だけはしておくべきでありんす!」

「くっ、シャルティアに諭されるなんて思ってもみなかったけど……そうね、一蓮托生よ?」

「当然でありんす」

 

 二人してにこやかに笑いあう。いがみ合う要素などないのだから。

 

 問題点は多岐に及び、ここがどこであるのか、ナザリックはどうなったのかなどの考えておかなければならないことは山積みであるが、最終的に愛する旦那様を守れればそれでいいのだ。

 

「私が盾で」

「妾が矛でありんす」

 

 モモンガがマジックキャスターでペロロンチーノが弓師。ある意味理想のチームにも見えるが回復役がいない。

 

「自身を回復する術はあるのでありんすが、皆を瞬時に癒すことは出来ないでありんす」

「治療アイテムはあるのでしょうし、例えばトーチャーなどを召喚して、なども可能でしょうけど不安が残るわ」

 

 一手遅れれば戦況などひっくり返る。チームとしては中途半端であることは否めない。

 

「……嫌でありんすけど、回復役を引き込むことも頭には入れておきんす、それで他には?」

「……正直シャルティアがびっくりするぐらい大人で頼りがいがあるのだけど、まぁわかるわ。それだけ本気なのですものね。なら言わせてもらうわね……人間種にはね寿命があるの」

「……」

 

 これは今必要な話ではないとは理解はしていたが、シャルティアのあまりにも必死な態度に、自身の最大級の懸念材料を述べていく。

 

「今が最高の幸せすぎて、その懸念がちらつく程度で済んではいるのだけど、人間は百年も生きられない種族なのよ……」

「……はっきり言ってそれは懸念材料にはならないでありんすよ?」

「シャルティア!?」

 

 眉根を寄せて咎めようとしたアルベドであったがシャルティアの次の言葉で平静を取り戻す。

 

「それは些細な問題でありんすよアルベド。御方達が生きている時間が私たちの生きている時間でかまわないのだから」

「あっ!?」

 

 覚悟の違いというわけではないが、永遠を求めたアルベドと同じ時間だけを求めたシャルティアの違い。一つ息を吐いてアルベドはフフッと微笑む。

 

「完敗よシャルティア、その通りだわ。恐れることなどなかったのね……」

「でも永遠も捨てがたいでありんすね。これは御方……ん、うん! 旦那様たちにも相談するべきでありんすね」

「えぇ……そうだ! シャルティア、身体を洗ってあげるから一旦湯船から出ましょう」

「な、なんなんでありんすかその笑顔は!? ……まぁいいでありんすけど、ちょ、ちょっと敏感になっているでありんすから優しくお願いするでありんす」

「えぇ了解よ」

 

 ふんふんと鼻歌を歌いながら優しい表情でシャルティアの背中を洗っていくアルベド。二人の仲は良好ではあるのだが、あまりにも重い『覚悟完了』状態の美女と美少女。

 

 バスタオルだけを巻いた湯上りの煽情的な姿を見て、即自室へと連れ込んだ二人にはまだ知りえない事である。

 





今まで書いてきたのと変わらないコメディほのぼの路線ですw

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