黒魔女にっき。   作:宇宮 祐樹

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黒魔女は授業があんまりしたくない。

 

 グローレンス王立魔法学校。

 

 南の大陸でも最高峰の魔法学校で、その歴史は魔法と共に歩まれたと言っても過言ではない。数多くの歴史に名を残す魔術師を輩出しており、全ての魔術師の憧れる場所でもあった。

 そんなグローレンス魔法学校の図書室は広く、ミーシャの館が丸ごと入るような大きさである。その全ては魔術書で埋め尽くされていて、古今東西あらゆる魔術書がそこに存在していた。

 

 知識と静寂の二つが支配する空間に、白い衣装を身に纏った女性が一人。

 この図書室の司書であり、学院で白魔法の教師をしているアイリスは、手に持っていた本をぱたりと閉じた。

 

 やはり違う。どれもこれも、彼女の目的に適したものではない。いつもなら気品の溢れる彼女の表情は、今だけは物憂げなそれに染まっていた。

 肩肘をついて、アイリスが薄い唇から静かな吐息を漏らす。顔の横に垂れるつややかな黒髪を指でいじりながら、アイリスは退屈に思いを馳せていた。

 

(黒魔法、どうしようかしら……)

 

 きっかけは今日の朝だった。

 

『アイリス先生。図書室に黒魔法の魔術書ってないですか?』

 

 とある男子生徒から、こんなことを聞かれたのだ。思わずアイリスは長い廊下を歩く足を止め、並行して歩く男子生徒に訝しげな視線を向けられた。

 黒魔法。全てが謎に包まれた闇の魔法である。アイリスはふむ、と顎に手を当てて、生徒に優しく問いかけた。

 

『あら、どうして?』

『はい。志望する学院の試験に黒魔法の科目があるらしくて』

『あらあら』

 

 珍しくアイリスがうろたえた。なるほど、試験の科目にあるのなら必要になるはずだ。それで、その参考資料を探すために司書であるアイリスへと問いに来るのは必然である。

 

『探してもどこにもなくて困ってるんですよ。仲間にも探してもらってるんですけど、全然集まらなくて』

『そうねえ……待って、仲間? 何人いるの?』

『他に黒魔法が必要になってる奴らで……あー……10人ちょいですかね』

『あらあらまあまあ』

 

 まさか複数人いるとは。アイリスは今年の上半期で一番動揺した。

 アイリスの経験上、そういった試験に黒魔法が出されるのはかなり珍しいケースである。なにせ黒魔法というのは、未だ研究が続いている未知の分野の魔法だ。それをまだ最高峰の魔法学校とはいえ、発展途上の生徒に課すのは酷も酷だろう。

 だが、確かに黒魔法を試験に使うような学院はあった。しかしそれは志望者が一人とか二人とかのまだ許容できるようなスケールで、二桁ともなると話が違ってくる。予想外の事態に、アイリスの視線が泳ぐ。

 

『それで、魔術書の方は……』

『……ないのよ、それが』

『へっ?』

『ごめんなさいね、少なくともこの学校にはないのよ』

『あ……えぇっ!? 本当ですか!?』

『ええ、本当』

 

 この学校には黒魔法を記した魔術書は存在しなかった。大半の魔術書はほとんど研究所だったり専門の学院に回されたりしていて、一般の学校に出回ることはほとんどなかった。

 だからこの学校に限らず、黒魔法の授業というのはほとんど存在しない。例えあったとしても、それは講師がたまに見せるような独学のものだったり、たまたま白魔術の対比として魔術書に出てくるようなレベルである。

 

『そ、それじゃあどうすれば……』

『大丈夫。私も、いくつか当たってみるわ。お仲間さんにもそう伝えておいてちょうだい』

『わかりました。こっちでも何か探してみます』

『ええ、頑張ってね』

 

 そうして驚きながら去っていた彼は黒魔法の魔術書を見つけられたのだろうか。見つけたとしても、その仲間同士で理解できるのだろうか。アイリスの頭は、今日そのことでいっぱいだった。

 そして放課後になってからアイリスは自分で図書室を探してみたが、やはり黒魔法の魔術書は見つからない。関連する文献を漁ってみても、とても試験で使えるような内容のものは存在しなかった。

 

 本格的にどうしようか、と悩んでいるその時。

 アイリスの耳に、図書室らしからぬどたばたとした足音が鳴り響いた。

 

「うおおおおおアイリス! くたばれええええええ!」

 

 聞き覚えのある叫び声に、アイリスがゆっくりと振り返る。そうして視界を埋める黒い霧へ咄嗟に取り出した杖を振るうと、白銀の矢が黒の煙を貫いた。

 霧が晴れ、姿を現したのは黒の長杖を持った少女の姿。黒いローブに金の髪をなびかせる、ミーシャがそこに立っていた。

 

「ふふふ、中々奇襲は効いたようね。いくら白魔女でも、仕事中に襲われるとは思ってなかったでしょう?」

 

 腕を組みながら、ミーシャがにやにやと頬を吊り上げる。彼女の言う通り、アイリスの反応はいつもよりも数瞬だけ遅れていた。そのことを理解したミーシャが、再び杖を天へと掲げる。その先には、漆黒の霧が塊を成し、雷を纏っていた。

 

「何をやってたかは知らないけど、こんな狭い場所ならチャンス! アイリス、今日こそあなたを黒魔法で始末してやるわ!」

 

 椅子に座ったまま口を開かないアイリスに、ミーシャが高らかに叫ぶ。何やら余裕をブッこいてるようだが、この魔法は昨日ミーシャが作り上げた、まだ世に出ていない完全新作の魔法。一発で防ぐのはそれこそ奇跡でもない限り不可能である。

 勝利を確信した笑みを浮かべ、ミーシャは黒杖を振り下ろす。黒く染まった闇からいくつもの雷撃の槍が生まれ、その全てがアイリスへと襲い掛かった。

 

 稲妻がアイリスの眼前へと迫る。そうしてミーシャは――笑顔のまま、固まった。

 

「ミーシャちゃん」

 

 雷の音に紛れる、微かな呟き。普通に考えれば掻き消えるはずのその声が、どうしてかミーシャにはとてつもない不安と共に感じ取れた。ぶわっ、とミーシャの全身が氷水に浸されたような寒気が走る。

 鳴り響く爆発音と巻き上がる砂煙。得体のしれない不安に身をこわばらせるミーシャの目に、それは入ってきた。

 

「ここは図書館ですよ?」

 

 静かに呟くアイリスの左手には、ミーシャの放った雷撃がまるで藁のように束になって掴まれている。昨日一晩中かけて開発したミーシャの魔法は、アイリスに簡単に防がれていた。

 そのまますたすたとアイリスが間合いを詰めて、かたかたと震えているミーシャの前へ立つ。そして左手に持った雷撃の束をミーシャの顔面の前へ突き出すと、生徒に教えるような優しさで問いかけた。

 

「図書館では静かに、って教わらなかった?」

「あ……えっと……で、でも」

「ミーシャちゃん」

 

 突きつけられたアイリスの左手の雷が、ミーシャの目の前でばぢん、と跳ねる。上から見下ろすアイリスの瞳はとても冷たく、ミーシャは一瞬息を呑んだ。

 

「ひぇ、ご、ごめんなさいっ」

「分かってくれればいいのよ? もうしない?」

「しません……すいませんでした……」

 

 目に涙をうるうると溜めながら、ミーシャが震えた声で答える。そんな黒魔女の姿を見て、ふとアイリスは考えを巡らせた。そうして心の中でだけ笑みを浮かべると、涙目になったミーシャへと口を開く。

 

「ねえねえ、ミーシャちゃん。ちょっと私のお願い、聞いてくれる?」

「な……い、嫌よ! 誰があんたのお願いなんか!! 」

「図書室」

「ひぅっ……すみませんでした……やります……なんでもします……」

「まあ嬉しい。ミーシャちゃんってとっても優しいのね」

 

 ガチ泣きをキメたミーシャに、アイリスが頬に手を添えて笑う。そして手に持った雷撃へ魔法をかけると、それらはアイリスの手の中で収縮し、完全に虚空へと消えていった。

 そしてアイリスはミーシャの肩に優しく手を添えて、そのうるんだ金の瞳を覗き込む。そうして反対の手に、とある時間表を取り出した。

 

 かくして。

 

 

「今日からあなた達に黒魔法を教える黒魔女のミーシャよ! ビシビシいくからついてきなさい!」

 

 場所は放課後の小さな多目的教室。

 昨日の一件はすでに忘れてしまったのか、教壇に立ったミーシャはふんぞり返り、唖然とした表情を浮かべる十人程度の男子生徒の前で声高らかに宣言する。教卓は置いてあるとミーシャの身体が隠れて生首になってしまうので、今は教室の端に置いてあった。

 

 あれから数日後、ミーシャは家から黒魔法の魔術書をいくつか学校に持ち込み、黒魔法の講座を開くことになった。教える事自体は基礎中の基礎なので断りたかったが、教室の後ろで微笑んでいるアイリスがそれを許してくれなかった。普通に漏らしそうになった。

 しかし、別段ミーシャとしても黒魔法を教えることに抵抗はない。むしろこれを切っ掛けに黒魔法に興味を持ってもらいたいと思い、退屈ながらも講座用の小さな資料を作るくらいには頑張った。

 

 生徒一人一人の机の上にある黒い冊子を見て、ミーシャがごほん、と咳払いをする。

 

「まあ黒魔法を教えるって言っても分からない事だらけだろうし、分からない事があったら何でも質問しなさい。黒魔女である私が完璧に答えてあげるわ」

「はい、じゃあ先生、質問いいですか」

「あらいきなり? でもいいわ、許可してあげる」

 

 生徒から先生、と呼ばれたことに少しだけ浮ついたミーシャが、手を挙げた気だるそうな生徒を指さす。

 

「先生パンツ何色ですか?」

 

 …………。

 

「黒魔女だからもちろん黒よ! 当然じゃない!」

「おおっ……!」

「なるほどっ……!」

 

 湧き上がるしょうもない歓声に、続けて隣の生徒が手を上げる。

 

「じゃあ先生! カップいくつですか!?」

「黒魔女だからもちろん、ブラックのBよ! ちゃんとあるわ!」

「あっそっすか」

「む、何よその反応……ってか、見ればわかるでしょ!」

 

 ダークのDではないらしい。急にテンションを落とした男子生徒に、ミーシャは口を尖らせた。

 別に貧乳でも悪くはない。あの控え目な胸部から生み出される柔らかな曲線は、大きいだけの胸には作り出せない魅惑のラインだ。それを理解できないようではまだまだ未熟な魔術師である。

 

「じゃあ先生、彼氏って――」

「あらあらあらあら、私ミーシャちゃんの講座を早く聴きたいわ」

 

 推定Fカップ、今日の下着は水色のアイリスが静かにため息を吐く。口を開けたままの男子生徒は凍り付き、静かにイスへと腰を下ろした。やったなアイツ、と同じ穴の狢である他の生徒が男子生徒へと視線を向ける。

 

「む、アイリスに向けての講座じゃないし」

「でも、ミーシャちゃんは優しいからやってくれるんでしょ?」

「やるけど……」

 

 不服そうにミーシャが魔法で本を取り出し、渋々と言った様子で語り始める。

 

「それじゃあ今から始めるわよ。みんなは私が作ってきたヤツ読んだ?」

「読みましたけど……」

「じゃ、それを前提に話をしていくから」

 

 そう言ってミーシャは白い粉のついたチョークを手に取り、かつかつと背伸びして黒板の半分辺りに白い線を走らせていく。

 

「それにも書いた通り、黒魔法っていうのは主に白魔法の『表』とを対をなす、『裏』の性質を持つの。一番わかりやすい例えは光と影ね」

 

 ミーシャが描いたのは、光に照らされた木の絵だった。その一本だけ描かれた木には太陽から隠れるように影が伸びており、ミーシャがそこにぐるぐるとチョークで円を何度も描く。

 

「今この状態には、光と影の二つの概念があるのは分かる? その二つの概念を表と裏に分けると、この木の影の部分が黒魔法である『裏』ね」

 

 逆に表はこっち、と木の反対側の太陽が当たっている地面に、ミーシャがぐるぐると丸をつける。

 

「実は本質的な違いはこれだけなの。白魔法はこの日の当たる部分に。黒魔法はこの影のある部分に性質を持つわ。アイリス、そうでしょ?」

「ええ、そうね」

 

 生徒が後ろに視線をやると、アイリスは微笑みながら頷いた。

 

「例えばアイリスは転移魔法の手段として、光から光へ転移するわ。だから、この日の当たっている地面ならどこにでも行けるのよね。逆に黒魔法は影から影にしか移動できないの」

 

 と、もう一本の木を描き始め、それに影を付け足しながらミーシャが説明を続ける。

 

「だから転移ができる場所は少ない。私もこうして木の影から木の影へしか転移できないし、砂漠みたいな影が無い場所だったら、転移の魔法を使う事すらできないわ。ま、建物みたいな影しかないところだったら別ね」

 

 だけど。そう付け足して、ミーシャが黒板消しへと手をかける。そうして丸い太陽と木から伸びる影を消すと、そこに細い三日月を描いた。

 

「私は夜になると、アイリスみたいに転移魔法が使えるようになるの。さて、ここで問題。どうして私は使えるようになると思う? あ、別に隣と話してもいいわ」

 

 数秒の沈黙があったあと、ざわざわと静かに生徒がざわめき始める。今の分かったか、あんまり分かんねえ、などと会話を続けているうちに、一人のメガネをかけた生徒が右腕を挙げた。

 

「はい、そこ」

「夜になって、影っていう区別がなくなるから、じゃないですか?」

「うーん、ちょっと惜しいかな。まあ、間違いではないんだけどね」

 

 残念、とミーシャが付け足して、手の内でチョークを遊ばせた。

 

「確かに夜になると辺りは暗くなるし、そうなると影とかの区別がつかなくなるわ。だから転移もやりやすくなる。でも月の明るい日とかだと、どうしても月明りの当たるところと、その影ができちゃうの」

 

 ミーシャがチョークを弱く握り、うすく木から伸びる影を描く。

 

「だからまあ、間違いではないのだけれど、答えとしては違うわね。他にいる?」

「じゃあ」

「お、またあなたね。いいわ、言ってみなさい」

 

 手を挙げた気だるげな生徒に、ミーシャが指をさす。

 

「夜だから、とかどうでしょうか」

「お、当たり。そういうことね」

 

 は? と教室の空気が一瞬だけ止まったような気がした。

 それを気にするような様子も見せず、ミーシャがかつかつとチョークを走らせる。再び丸い太陽の絵を今度は三日月の隣に写し、その二つを斜線で隔てた。

 

「仕組みはこう。さっきも言ったように、白魔法と黒魔法は二つの相反する概念によって成り立ってるの。そして、ここには今『昼』と『夜』っていう全く違う二つの概念があるのね」

 

 ここまで来ればあとは簡単。そう呟いて、ミーシャは三日月を丸で囲い、生徒たちの方へ振り向いた。

 

「つまり、私は夜という『状況』に裏の性質を持たせたの。そうすれば、昼は白魔法の天下だけど、夜になればひっくり返って黒魔法が使えるようになるってわけ」

「でも先生、さっき影と光って言ってましたけど」

「だから言ったじゃない、アレは例えばの話。アイリスもあんな方法じゃなくて普通に『昼間』っていう『表』の状況だからどこでも転移できるのよ。そうでしょ、アイリス?」

 

 そうミーシャが問いかけると、後ろのアイリスはこくりと頷いてみせた。ぽかんとして後ろに視線を向ける生徒たちに、ぺちぺちと両手を叩いてミーシャが口を開く。

 

「あなた達が学ぼうとしてる黒魔法っていうのは、こういうことなの。要するに思考の問題。概念を二つに分けて、それを正しく判断することがまず第一歩ね」

 

 揃いも揃って呆け顔を浮かべる生徒たちに、こんなところか、とミーシャがチョークを手放す。

 

「ま、そんなに難しく考えなくてもいいわ。慣れればいいだけの話だから」

 

 そしてミーシャが魔法で取り出した黒杖を振ると、出現した黒い煙が小さく分裂しそれぞれの生徒の前へとなびく。蠢く闇はだんだんと形を成していき、それは数冊の魔術書へと姿を変えた。

 

「来週までの宿題よ。今渡した本を全部覚えてきなさい。次の講座の一番最初でテストするから」

「こっ……これ全部ですか!?」

「当り前よ。それくらいしないと」

 

 試しにミーシャが自分の分をぱらぱらと捲ってみるが、別に問題はない。最初に予定した通り、これに記されている基本の思考方法をテストするつもりだ。

 唖然としたままの生徒に向けて、ミーシャが黒杖をしまって手を叩く。

 

「はい、じゃあ今日は初めてだからここまで! 私も面倒になってきたし、次の宿題ちゃんとやってきなさいよ! それじゃあ、解散!」

 

 

 誰もいなくなった、西日の光が眩しい教室。端に追いやっておいた教卓を魔法で運び、ミーシャがふぅ、と息を吐く。その様子を、アイリスは位置を変えずにずっと見つめていた。

 

「ここで良かった?」

「ええ、そこで大丈夫よ。ありがとう」

 

 確認をするミーシャに、アイリスが優しく答える。すると何を思い立ったのか、ミーシャが教壇の上に立ち、教卓の裏へと回る。そうして上から顔を覗かせると、再びアイリスへ問いかけた。

 

「どう?」

「うーん、やっぱり生首ねえ」

「クソっ……」

 

 身長が足りない。もっとグラマラスにならなくては。その点だけミーシャはアイリスが羨ましかった。

 なんてな事を考えていると、ふとアイリスが目の前へと歩み寄る。生首のままのミーシャを見下ろしながら、アイリスは重たげな雰囲気を纏って、その口を開いた。

 

「ミーシャちゃん、今日はどうだった?」

「ん、まあ普通ね。初めてだったらあんなんじゃないかしら」

 

 アイリスの視線に気づかず、ミーシャが肩をすくめる。

 

「でも、黒魔法を教えるのは悪いものじゃなかったわ。あんなに私の話を聞いてくれるの、初めてだったもん」

「……じゃあ、次の講座もやってくれる?」

「ふん、愚問ね! あなたが嫌って言っても無理矢理やってやるんだから!」

 

 悪戯めいた笑みを浮かべるミーシャに、アイリスもつられて笑う。さっきまでの重たい表情は、既にどこかへと消え去ってしまった。

 夕日が落ちる。赤く染まった太陽の光が、ミーシャの髪に反射してきらきらと輝いていた。

 

「ねえ、ミーシャちゃん。私、今日のお礼がしたいんだけど」

「え? なんかくれるの!?」

「そうねえ……この前、パスタが美味しいお店を見つけたの。この後行かない?」

「いいわねいいわね! あんたの奢りだからね?」

「ええ、もちろん。それじゃ、行きましょうか」

 

 教壇からぴょんと降り立って、ミーシャが教室を後にするアイリスを追う。

 差し込む日差しは、白いローブと黒いローブの二つを、朱色に染めていた。

 

 




 5話もしないうちにゲロ吐いたり下着晒されるミーシャちゃんかわいそう

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