霊夢のお兄ちゃんになったよ!   作:グリムヘンゼル

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なんか前に似たような話を書いたなあ、とか思いつつ投稿。

もしかしたら、エンドレスエイトしてるかもしれない……。さて今は何回目の周回か長門に聞いてこなくちゃ!


第5話

「今日は白鹿には冥界に行ってもらうわ」

おれ()()ねともう()すか……」

 

紫母さんが突然頭のおかしいヤバめな発言をしだした。どうやらもう認知症の初期症状が出始めたようだ。親がこのような状態になってしまったことはとても悲しく思うが、これからは、涙を呑んで頑張って介護していこう。

 

「違うわよ!なんでそんな悲しそうな顔してるのよ!冥界に私の古い友人がいるの。その子に紹介しておこうかな、と思ってるの」

すで()にエアともだち(友達)にんしき(認識)するだんかい(段階)までぼっちがしんこう(進行)していたなんて……!こいつはもうだめだっ、おいて()こう」

「私の妄想なんかじゃないわよ!友達はちゃんといるから」

「でもめいかい(冥界)にいるんでしょ?」

「そうね。あの子は基本的に冥界にいるわね。住居も冥界にある訳だし」

「それってつまり、もうお()くなりになられているかた()()いに()く、と?」

「そうね。その認識で間違いないわね」

 

死んだ人に会いに行く。紫母さんの言葉をそのまま受け取るのなら、物理的に不可能な事象だ。ならこの言葉はなんらかの例え、比喩的な表現で間違いないだろう。そうであれば不可能も可能になる。

 

「なるほど、わかった!」

「やっと分かってくれたのね……」

「つまりお墓参りってことだよね!ゆかりかあ(紫母)さんもうだいぶとし()()ってるかrイタイ!」

「女性の歳については言及するんじゃありません。痛い目見るわよ」

「ぶってから()わないでよ……」

 

最近はよく頭叩かれてる気がするなあ……。脳細胞が死滅したらどうするんだ。ただでさえ馬鹿なのに、このままいくと阿呆になるんですけど。若年性認知症もこのままだと夢じゃないかもしれない。(錯乱)

 

「一応言っておくが紫様のご友人は実在するぞ。その方は冥界の管理者として冥界に居を構えている。ご本人も幽霊であらせられるが、ちゃんと意思の疎通も可能だ」

 

藍お母さんが朝食の後かたずけを終わらせ台所から戻ってきた。紫母さんは基本的に胡散臭いからあんまり信用できないけど、藍母さんが言うなら信用してもいいかもしれない。

それにしても、冥界にいて幽霊。さらに冥界の管理者か。なんか記憶に引っか…かる……なあ………………。あれもしかして、これ結構危険なのでは?いやまさか、あの大食い幽霊ではないだろ……。

 

「あの……そのかた()、かなり…()べられるかた()、ですか?」

「ああ、そうだな。控えめに言ってもかなりの大食いをされる方ではあるが、それがどうした?」

 

マジかあああああああああああああああああああああああああああ!!ヤバいヤバいヤバいヤバい!!ほぼほぼ幽々子様で確定してんじゃん!あの幽霊、生物をいとも簡単に殺すことができる凶悪な能力を持ってんだぞ!気に食わないから殺すとか、そういうことはあの幽霊の性格を考えるとないとは思うが、美味しそうと思われたらかなり危ない。原作でも夜雀のミスティアを食べたと思わせるセリフ回しが存在する。ミスティアを食べていたとするなら、どんなにミスティアが幼児体型だとしても3歳児よりは体格はいいはずだ。俺なんて丸呑みかもしれない。

 

「おい、どうした白鹿?大丈夫か?かなり汗をかいているようだが」

「もしかして、大食いだから食べられるとか思ってるのかしら」

 

図星をつかれた。それも直球ど真ん中のを。咄嗟に何か話そうにも喉に何か栓をされたみたいに言葉が出てこない。

 

「あらもしかして本当にそんなこと思ってたのかしら?」

 

確信しているような表情の二人に、今さら嘘を言ってもしかたないので、一度だけゆっくりと頷く。

 

「ふふ、大丈夫だ。大食いであったとしても、そんなに節操なくなんでも食べているわけではない」

「そうかしら?あの子、最近になって『妖怪ってどんな味がするのかしら~』とか言っていたから、もしかしたら妖怪を食べたら、次は『人間の味はどうかしら~?』とかいうかもしれないわよ?」

「ヒエッ……」

「ちょっと紫様!何言ってるんですか!白鹿が怖がるじゃないですか!」

「あっ……」

 

完全に失言したと気付いた紫母さんは、あたふたしながら身振り手振りで大丈夫だと言い張るが、なにぶん精神がある程度成熟しているせいか、そんなもので安心できるはずもなく、紫母さんの様子でさらに不安になり、ついには目元から涙が溢れそうになる。

 

「あーもう、よしよし大丈夫だぞー。食べられることはないから、安心していいぞー」

 

涙が流れる寸前で藍お母さんに抱きしめられる。

 

「たしかあそこにも霊夢と同じくらいの赤子がいたはずだ。もし食べられるとしても、お前よりも小さいその赤子からだ。その赤子が食べられているうちに紫様のスキマで逃げて帰ってくればいい。それでも危なくなったら紫様に塩胡椒でも振りかけて火炙りにして、供物として捧げろ。それなら逃げて帰ってこれる時間は確保できるだろう。ちゃんと火炙りにする前にスキマは開いてもらっておけよ?でないと逃げれないからな」

「りょーかい!!」

「うむ、いい返事だ」

「最低だわ、この親子……」

 

 




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