王虎   作:センチュリオン アクションX

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今回キリの良いところでやめたところ2000字ちょっとと短いです。

すいません許してください。

次回は長くするので。




それでは第二章、始まります。


第二章「王虎、戦地へ」
第1話


時々、悪夢ではない夢を見る。

 

いつかみた、幼い日の記憶。

 

縁側に座って、庭を見つめている俺の先に戦車を乗り回す二人の少女 、西住まほと西住みほ。

 

俺の隣に立ってその光景を眺めているその二人の少女の母親、西住しほ。

 

そしてその隣には白髪の、俺の母親、出雲 晴夏が居た。

 

 

 

いつかみた記憶。

 

その中には、俺やまほ、みほの日常が写っていた。

 

あの日は確か、まほの家に預けられるんだったか。

 

西住家の玄関でかあさんは見送りの俺に口を開いた。

 

『悠希』

 

『何?かあさん』

 

『戦車はね、本当は戦争の為に開発された物なの。けれど戦争と戦車道は同じものではないの。はっきりと覚えておいてね』

 

『??』

 

首を傾げる俺に優しい笑顔で頭を撫でる母親。

 

『ふふ、まだ難しいわね。それじゃあ、行ってくるから良い子にしてるのよ?』

 

『うん!』

 

この言葉が、かあさんの最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

ぞろぞろと皆が戦車を探しに歩き始めた頃。

 

 

「いけるぞって……ほんとに大丈夫なのか?このおんぼろ戦車」

 

「問題ない。竜骨も無事だし、フレームもしっかりしてる」

 

呆れたように近づいて来たのは親友の早瀬総士。流石に予想外だったらしい。

 

「以前これに乗っていた人はよほど大切に乗ってたんだろう。正直言ってもっとおんぼろ戦車があると思ってたからな」

 

「これ以上のおんぼろがあんのかよ……」

 

そう言って肩でため息を付く総士。

 

「整備は自動車部に任せよう。美紅、真姫」

 

「はい?」

 

「んむ?」

 

入り口付近にいた二人えおよぶ

 

「とりあえず俺と総士でティーガーを取りにってくる。二人は……そうだな。みほ!」

 

倉庫から出ていこうとしていたみほを呼び止める。

意図を察したのかみほは何も言わずともこちらに向かってきてくれた。

 

「どうかした?おに……じゃなかった。悠希君」

 

「俺と一緒に戦車に乗る仲間だ。紹介する。早瀬総士に篠原真姫、そして如月美紅だ。んで総士は知ってるだろうが、俺の幼馴染の西住みほだ」

 

「よろしくお願いします」

 

紹介したのち、一番にみほが頭を下げた。

そんなみほに近づく真姫。

 

「よろしくね~。みほちゃんって呼んでいい?」

 

「あ、はい、えっと」

 

「真姫で良いよー。篠原って呼びにくいでしょ?んで悠希君。私達はどうすれば良いのかにゃん?」

 

「みほ達と一緒に戦車を探してきてくれ。捜索隊は多いほうがいいからな」

 

「了解!んじゃいってくるねー!」

 

「あ、真姫さん!もう………では、行ってきます悠希さん」

 

「ああ、あまり真姫が暴走しないよう見ておいてくれ」

 

「はい。では」

 

そう言って美紅は真姫を追いかけていった。

 

「……さて生徒会長、俺達はティーガーを取って来る」

 

「りょうかーい。あそこ回収班の車両が入れないから気を付けてねー」

 

「了解した。行くぞ総士」

 

「おうよ」

 

と総士と二人で山奥へと入っていった。

 

 

 

 

『ねえみほちゃん、さっき悠希君のことなんて呼ぼうとしてたの?』

 

『え!き、聞こえてたんですか?』

 

『そりゃもうバッチリね!で、で?なんて呼ぼうとしてたのかにゃん?』

 

『私も気になるなー?』

 

『沙織さん!?』

 

『いいじゃん減る物じゃないんだし』

 

『幼馴染って所も気になるよねん。で、そこの所どうなのみほちゃん?』

 

『あぅ…』

 

 

 

 

こんな会話があったとか無かったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ悠希」

 

「ん?」

 

ティーガーの場所へ行く途中、総士が腕を組ながら問いかけてきた。

 

「さっきあったのは四号戦車だったが、大洗もドイツ戦車を主に使ってたのか?」

 

「いや、事前に調べてみたが大洗の戦車は国籍がバラバラだったらしい。とはいえ全盛期はかなり優秀な戦車を保持していたみたいだが……」

 

「だが?」

 

「……ほとんどが売却されたみたいだ」

 

事前に生徒会長に頼み集めた領収書。その中の数点、戦車のものが残されていた。

 

「!じゃあいま大洗にある戦車は」

 

「軽戦車や癖のある中戦車、全盛期に売れることの無かった()()()()()()()しか恐らく残されていない」

 

「…そんなんで勝てるのかよ」

 

不安になるのもわかる。だが

 

「勝てる勝てないじゃないんだよ総士、やるかやらないか。今はやるしかないんだやらなければ廃校だぞ」

 

「……そう、だな」

 

そう、やるしかない。

大洗学園を救うために。

 

 

そして()()()()()()()()()

 

「着いたぜ」

 

森の奥ふかくにいつものように王虎は鎮座していた。

 

「ああ、総士は車長席に座ってくれ」

 

「道案内すれば良いんだな?」

 

「ああ、操縦席からも見えなくはないがな。ヘッドフォン型の通信機があるからそれを使ってくれ」

 

「了解」

 

その返事を聞いて俺は操縦席に乗り込む。

 

「さて、運転は久しぶりだが……頼むぞティーガー」

 

エンジンかけると改良されたマイバッハ社製V型12気筒水冷ガソリンエンジンが唸りをあげる。

 

「エンジン安定、冷却水問題なし。その他に以上なし」

 

細かいチェックを入れてから両手のレバーをゆっくり倒す。

 

12気筒エンジンが回転を初め約70tの巨大な車体がゆっくりと動き始めた。

 

「動作安定、シフトチェンジ ギア2(セコンド)……トランスミッション異常なし。よし総士、案内頼む」

 

『オーケー。まあしばらくは道なりだが段差やアップダウンが激しい。気を付けてくれ』

 

「了解」

 

 

王虎はゆっくりと林道を走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

そう、戦地へ赴くために。

 

 

 

 

 




第二章始まりでまさかの主人公母親死亡が明らかに。


みぽりんってこうやって絶対やらかすと思うんですよね。

さて第二章始まりました。母親は元々いない設定だったんです、物語の関係で。

お気に入り登録してくださった方々、ありがとうございます。

評価してくださったてっちゃーんさんありがとうございます。


今後もこの王虎をよろしくお願いいたします。

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