王虎   作:センチュリオン アクションX

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大分と早く書けたので投稿します。

それでは、始めます。


評価設定を10文字から5文字に変更しました。


序章 最終話

手にした力を振るう理由は 今でも変わらない

 

友人 自分の居場所 誇り 穏やかな生活

 

安らかな日常 自分の愛する人

 

それらが奪われるのなら

 

俺は 何度でも戦車に乗るだろう

 

ただ 守るために

 

ただ 奪われないために

 

今日も俺は 王虎に乗る

 

 

『とある少年の日記から一部抜粋』

 

 

 

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「ほら」

 

「あ、ありがとう」

 

ベンチに座っているみほに飲み物を渡しみほの右側に腰を降ろす。

 

プシュと缶コーヒーを開けて一口飲むが、みほは両手で握ったままだ。

 

「……去年の大会の話は友人から聞いたよ」

 

「っ!」

 

そう言うとみほの両手に力が込められた。おそらく予想していたのだろう。

みほの表情からは苦しさや怯えと言った物を感じ取れる。

 

この反応で確信した。おそらくしほさんに大会の事について何かしらの事を言われたのだろう。

 

(そんな事言うつもりは無いんだがな……)

 

そんな表情を見てこう思いながら、苦笑する。

実際、幼い頃はみほのフォローに入ることが多かった。

そうやってフォローしていた事も全部しほさんにばれてたのだが、しほさんは何も言って来なかった。

 

そう考えると彼女の心情は理解できる。

みほはただ、自分のただしいと思った行動をしただけ。

しかし結果的には彼女の行動で黒森峰は敗北した。それは西()()()()()()()()()()()()()()なのだろう。

 

ならば今回自分のすべき事は、幼き日のようにフォローする事だ。

 

微笑を浮かべながら言った。

 

「怪我は無かったか?」

 

「えっ、うん、無かったけど……」

 

彼女にとっては予想外の言葉だったのだろう。

 

「そうか、よかったじゃないか。みほもあの落ちた戦車の乗組員も無事だったんだろう?」

 

「うん…」

 

そう返事をしているみほには元気がない。

昔は活発な娘だったのに……いつ頃からかみほは引っ込み思案な娘になってしまった。

 

「ならいいじゃないか。お前は正しい事をしたんだよ。お前は胸はって言えばいいんだ『人の命を救った』って」

 

はっ、と振り返るようにみほがこちらを向くがそのまま続ける。

 

「おまえがあいつやしほさんになんて言われたのかは解らない。ただみほ自身が、その行動に後悔が無いのならそれはそれでいいじゃないか。別に俺はみほを責めるつもりは微塵も無いよ。だから」

 

とみほの頭に手を置きながら

 

「そんな顔するな。自分の思ってる事を言えばいい。違うか?」

 

そこまで言うと、みほは飛び込んできた。

 

「私…()()()()()が居なくなって…どうしたらいいか…わからなくて……!」

 

「すまんな。その事については謝る。許してくれ」

 

そこまで言った後は、静かにみほは泣いていた。

俺は何も言わず、ただみほの頭を撫でていた。

 

 

 

 

 

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「落ち着いたか?」

 

「うん、ありがとう悠希君」

 

しばらくしてみほが離れた。

 

「……悠希君は一年前からここに?」

 

「ああ、二年の春から通ってる……もう一年以上経つのか」

 

「…悠希君が居なくなってから、お姉ちゃんずっと落ち込んでた」

 

「………」

 

みほはあの日の事を知っている。だがここへ転校した理由などはしほさん等の極少数の人間しか知らない。

 

また、みほの姉であり同じ年の西住まほもその理由を知らない。

と言うより、しほさんも俺も言えなかった。

言ってしまえばまほはきっと………

 

と考えていた時、そっとみほの右手が俺の左頬に触れる。

 

「みほ?」

 

「…傷、治らないんだね」

 

「……一生傷だよ」

 

と言いながら微笑する。

俺自身、あの時のことを後悔してないと言えば嘘になる。

ただ、それで彼女が救われるのなら……そう思う。

 

「みほはここで戦車道をやるのか?」

 

「…」

 

俺の質問にみほは黙った。

 

「生徒会長になんか言われたか?」

 

「…必修科目で戦車道選んでくれって…」

 

みほは知らないが、大洗は廃校の危機にある。戦車道をやることになってみほがいると知ったらあの生徒会メンバーが黙ってるはずがない。だが

 

「嫌ならやらなくていいんじゃないか?」

 

「え?」

 

「無理にやる必要は無いって事さ。それでも生徒会が言ってくるなら俺の所へ来い。まあ、なんとかしてみせる」

 

「悠希君…」

 

「さて、そろそろ日が暮れる。帰るぞ」

 

そう言って立ち上がる。

 

「悠希君は戦車道を?」

 

「…やるつもりだ。だがみほ、俺の意見でやるやらないを決めるな。みほはあくまでも自分の意思でやればいい」

 

「…うん、ありがとう()()()()()

 

「……お前、また『お兄ちゃん』になってるぞ」

 

「え!?あ、その、忘れて……//」

 

いつからか呼ばれなくなった呼び名。

さっきもだが無意識だったのか?

 

「ま、流石に高校生にもなれば恥ずかしいか」

 

ケラケラと笑う俺に対しみほは顔を真っ赤にしたままである。

 

「呼びやすい方で呼べばいいさ」

 

「……」

 

と言うと悩み出すみほ。

……待って、そんなに葛藤することなの?

 

「…悠希君」

 

結局名前呼びにするようだ。

 

「それじゃあ帰るか」

 

「……悠希君!」

 

「ん?」

 

「あの、二人の時だけ、お兄ちゃんって呼んでいいかな?」

 

その質問に少し目を見開きながら俺は笑顔答える。

 

 

 

「ああ、かまわないよ。みほ」

 

 

 

 

 

 

ちなみに次の日、クラスの男子生徒から二年の西住とどういう関係だ!と迫られた事をここに記す。

 

 

 

 

 

 

 

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「ふ~」

 

その日の風呂上がり、頭を拭きながら椅子に座りテレビをつける。ちなみに俺はニュースしかみない。

 

「北の国が米国挑発ね……一体いつまで続くんだろうな」

 

なんてぼやいていると机の上の携帯が鳴った。

 

「誰だ?こんな時間に」

 

着信相手の名前を見る。

 

 

『着信 西住しほ』

 

 

その文字をみた瞬間、すぐに電話に出る

 

「もしもし?」

 

『久しぶりね』

 

「…ええ、お久しぶりです。しほさんそれで……」

 

『あなたの頼んでいた物が完成しました』

 

「!そうですか。では、大洗に」

 

『もう輸送している途中です』

 

「……何から何まで、ありがとうございます。しほさん」

 

『その律儀なところ、母親にそっくりね』

 

「母さんに?」

 

『ええ。彼女は事ある度に私にお礼を言って頭を下げていたわ』

 

「……そう、ですか」

 

『話は以上です』

 

「忙しい時に連絡ありがとうございました。無理なさらないよう頑張って下さい」

 

『ええ、あなたも体調管理には気をつけて』

 

「はい………では」

 

そう言ってしほさんとの電話を切る。

 

……やっとできたか。()()が。

 

「……待ってろよ○○、お前だけは必ず俺の手で倒す。絶対に」

 

そう言って左手を握った。

 

 

 

 

 

そして、戦車道初日がやっていくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「思ったより集まりませんでしたね」

 

「全部で18人、私達と出雲さん達をあわせて25人です」

 

河嶋、小山と続き俺が口を開く。

 

「だが最低の人数は揃っている。後は戦車だな」

 

「まあなんとかなるでしょ、結果オーライ」

 

「そんなんでいいのか生徒会長……」

 

呆れ気味にそう呟くと三人で話しているみほが視界に入る。

 

他の二人は知らないが、仲良くできているみたいで何よりだ。

 

そして倉庫の前に生徒会メンバーが並び河嶋が口を開く。

 

「これより戦車道の授業を開始する」

 

「あの戦車は、ティーガーですか?それとも」

 

「えーっと、なんだったっけ。出雲君開けてくれる?」

 

「わかった。総士、手伝ってくれ」

 

「おう!」

 

生徒会長の命により重い緑の鉄扉を開く。

そこにあったのは、ボロボロの戦車。

 

「うそー」

 

「ありえなーい」

 

「ボロボロ~」

 

()()()()でいいのでは?」

 

「これはただの()()()…」

 

と色々な声が聞こえる。

 

「四号戦車D型か」

 

「だな」

 

一発で見抜く総士、それに同意してゆっくりと戦車に近づく。

 

「錆びが目立つな……」

 

「装甲と転輪は大丈夫そうだよ悠希君」

 

「!みほ」

 

いつの間にか隣に居たみほに驚きながらも、そのまま続ける。

 

「履帯は巻き直すとして、ターレットリングやエンジンは動かさないと解らないが………装甲と転輪が無事なら十分だ。いけるぞ」

 

その言葉に周りからわずかに声が上がる。

そして一言、みんなに聞こえる声で言った。

 

「さあ、戦車道を始めよう」

 

 

 

 

 

 

 

この先 少年が見るのは希望か絶望か

 

 

それは誰にも解らない

 

 

 

 

 




しほさんの口調大丈夫かな……。一応オリ主と話すときはしほさんは柔らかい設定です。

○○にはオリキャラの名前が入りますが、今は公開しません。

しほさんから送られる物についても現在は公開しません。

さて今回で序章、アニメの第1話までが終了し次回から聖グロ戦の章に入っていきます。

ここまで呼んでいただいた皆様、感想をいいただいた皆様、お気に入り登録をしてくれた皆様には大変感謝しています。

これから先、長いですがこの『王虎』を応援していただけたら幸いです。それが作者の原動力となります。


……さてここからなんですが、主人公の関係とプラウダ編もしばらくしたら書くと言うこともありまして、
他校の戦車を()()()()()()()ことになりました。

実際、ティーガーllはサンダース相手ではほぼ無双状態になってしまいます。

それでは面白くないので()()()()抵抗できるような戦車を追加するつもりです。
(あくまでもある程度です)

もちろんサンダースだけでなくプラウダや黒森峰も強化されると思います。
(多分黒森峰はストーリーの関係上絶望的なくらい強化はいるかも……)

それでも主人公の位置は最強の重戦車と言う立場を変えるつもりはありませんのでご理解の方をよろしくお願いいたします。


それでは、次回も王虎にご期待ください。

感想等をいただくとありがたいです。
(誹謗中傷的なものはお控え下さい)

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