王虎   作:センチュリオン アクションX

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どーもです。最近日本に第二次世界大戦時に排水量五十万t級戦艦という計画があった事を知ったセンチュリオンアクションXです。

お気に入りしてくれた方々、ありがとうございます。

それでは始めます。


第3話

あの日、目が覚めると病院にいた。

 

頭に包帯、左頬に大きいガーゼ、右足は吊るされ左腕はギブスで固定されていた。

 

後に聞いた話、フラッグ車を庇ったさいに放り出され大怪我をしたらしい。

 

目が覚めた次の日、しほさんが来た。

 

怪我の事を聞かれた後で、しほさんは言いづらそうに言った。

 

 

 

『あなたを……転校させます』

 

 

 

 

あの日、全てが変わった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

ゆっくりと目を開く。どうやらティーガーllの整備中に眠ってしまったようだ。

 

「……最近こんな夢ばっかりだな」

 

あの日、西住流を止めたあの日。

 

全てを置いてきた、あの日。

 

最近こんな夢ばっかりだ。何故かは解らない。

 

「……後悔、してるんだよな」

 

正直自分でも解らない。

 

ただあの日出された提案を、俺は呑むしかなかった。

 

「無力で無能、あいつの言ってた通りだ」

 

才能がない、無能、役立たず、面汚し

 

散々言われてきた。

 

それでも、

 

『お前は無能では無い。私が保証する』

 

そう言い続けてくれた彼女に

 

「俺、もう一回戦車道やるよ」

 

聞こえるはずの無い暫く合ってない幼馴染の友人に向けて、そう言った。

 

 

 

 

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気づけば西に太陽が沈もうとしている時間だった。

ティーガーllの整備を終え校門をくぐったところに親友が立っていた。

 

「オッス、お疲れ」

 

「何だ、帰ってなかったのか」

 

「美紅に勉強教えてたんだ」

 

「なるほど」

 

俺の質問に答えたのは早瀬総士。大洗にきて第一の友人であり親友である。

 

「んで?本当に戦車道やるのか?」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

「そうかい」

 

それ以上聞いて来ない辺り、やはりこいつは気が利くのだろう。

 

「まあいいや、飯食いに行こうぜ」

 

「べつに構わんが、お前金はあるのか?」

 

「昨日バイトの給料日だったんだ。無かったら誘わねーよ」

 

「そうか。ならいくか」

 

「よっしゃ!なら今日はハンバーグ定食に唐揚げにポテトにトンカツにマグロ丼にするか!」

 

「食いすぎだ馬鹿」

 

周りの客に引かれる事間違いなしだ。

 

「ちぇ、ならハンバーグ定食に唐揚げでいいか」

 

「そのくらいが妥当だろう。あまり金を使うなよ」

 

「大丈夫だ、俺は生活費以外は趣味にしか金を使わないからな!」

 

「その趣味で多大な量の金を持ってかれて月末金がないと泣きついているのはどこのどいつだったかな?」

 

そう、こいつは趣味の為なら金を惜しまないタイプの人間。特にこいつの趣味は金がかかる。

 

「まあ……趣味は金がかかるから」

 

「ほどほどにしておけよ」

 

「無理だね!」

 

「もうお前には金をかさん」

 

「善処するので見捨てないで下さい」

 

「あまりにも綺麗な土下座に呆れを通り越して尊敬するよ……」

 

土下座する友人にそう言った。

 

 

 

ー翌日ー

 

 

 

「へー、やっぱり悠希くん戦車道やるんだ」

 

「ああ」

 

午前中、睡魔に対しキャメルクラッチを決め現在は食堂。

いつものメンバーで食事をとっている。

 

「まああくまでも噂だし、本当にあるかどうか解らないんだけどな」

 

「そう言えばもし仮に戦車道があったとして、大洗の戦車はどうなるんでしょう?」

 

「んーどうなるんだろうな。予算降りてくるなら多少の戦車は買えるんじゃないか?あれ?そうなると悠希、俺達の戦車ってどうなるんだ?」

 

「その点は問題無い。俺達はあのティーガーllがある」

 

「大丈夫なの?あれ使って」

 

真姫の言葉に頷き続ける。

 

「ああ、戦車道のルールに違反してなければどんな戦車でも使える」

 

「でもあのティーガーllって10.5cm砲でしょ?史実じゃアハトアハトの強化版だよ?」

 

「あれは『既存戦車の再武装』って言う計画にあった10.5cm砲搭載計画のティーガーllだ。戦車道のルールには砲本体に制限を殆んど掛けてないからな」

 

「戦車道のルールって基本的にはどんな感じなんですか?」

 

「それに関しては総士のが詳しい。頼む総士」

 

「1945年8月15日、つまり第二次世界対戦終結までに開発または()()()()()()()()が仕様可能、それに判定装置を取り付ける事、だな」

 

「ちょっと待って。私オープンキャンパス行った大学の戦車道チームでたしかセンチュリオンってやつ使ってたとこあるけどセンチュリオンってイギリスの戦後戦車じゃないの?」

 

「センチュリオンはMk.lというプロトタイプのみ戦時中に6両開発されているんだ。戦闘記録は朝鮮戦争の時に強奪されたクロムウェルとセンチュリオンとの戦闘が初めてだけど戦時中に開発されて輸送中に終戦を迎えたMk.lは戦車道のルールには違反してねぇんだよ」

 

「さ、さすがミリタリーマニア……そう言うのすらすら出てくるね」

 

「戦車道見てりゃ常識だろ?なあ悠希」

 

「俺はドイツ専門だ」

 

どこかの誰かさんに耳にタコ出来るくらい聞かされたからな。

あ、誰かさんって言うのは総士じゃないぞ?

 

「他にも色々あるけど…まあいいや、とにかくあのティーガーllは問題無いって事だ」

 

「ほー」

 

真姫が感心した様に声を漏らす。

美紅は美紅でしっかり聞いていたようでなんかキラキラしてる。

 

「でも学校側から許可は貰えるんでしょうか?」

 

「そこも問題無い。現に放課後に使っていいとも言われてるし。俺の履歴みた生徒会からは絶対に許可を貰える」

 

「「なんで?(ですか?)」」

 

総士と美紅がハモる。仲良いなお前ら。

 

「そういや言って無かったな。俺が一年生の時の学校」

 

「お前があんまり聞くなって言ってたからな」

 

「まあそうだな。俺が行ってた学校は黒森峰だ」

 

「「「……え?」」」

 

「黒森峰だ」

 

「「「………えぇぇぇぇー!?」」」

 

「うるさ!ここ食堂だぞ!」

 

とりあえ周りの生徒に謝り会話を続ける。

 

「ちょ、おま黒森峰って!いや前に戦車道やってたって聞いたけど!生徒会の事も納得出来るけど予想外だわ!」

 

「ま、まさかの名門中の名門……」

 

「けど一昨年の大会お前出てなかったよな!?」

 

「大会始まる前に戦車道止めたからな。出てないのはあたり前だ。黒森峰でもティーガーllに乗ってたよ」

 

「じゃああのティーガーllは…」

 

「いやあのティーガーllは事情があって話せないが俺が黒森峰にいた頃のやつとは違う」

 

「じゃあ悠希さんは何故大洗に?」

 

「それは……」

 

美紅の言葉に詰まる。

 

「……話したくないと」

 

「……すまん」

 

「構いません。誰にだって話したくないことはありますから」

 

…優しい子だな。

 

「さて戻ろうぜ悠希、次移動教室だろ?」

 

「そうだな。行こう」

 

「え!?私食べ終わって無いんだけど!?美紅は!?」

 

「遅いです真姫さん。先に行きますね」

 

「美紅の裏切り者ーー!」

 

 

真姫の叫び声が食堂に響くが俺達は気にせず食堂を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…悠希、お前は今どこに居るんだ……」

 

とある学園艦で少女が呟く。

 

 

 

 

 

再会の日は近い。

 

 

 




名前から察している方もいるかもしれませんが作者はセンチュリオンも好きです。

劇場版で出てきたセンチュリオンMk.lは現在世界に二両しかないそうです。

センチュリオンMk.l,Mk.llの主砲は17ポンド砲(約77mm)で戦闘記録は無く戦時中輸送されている時に終戦したそう。

ティーガーと張り合える事が出来たかもしれない戦車の内の一両と言われていますが記録がないので戦闘力は未知数だそうです。

設定改変

車両について

1945年8月15日までに試作、開発された戦車



1945年8月15日までに試作、開発及び()()()()()戦車

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